本物の装束を纏った天童よしみらがジ
ャンルを超えた音楽を届ける Music
al Variety『三都物語』オフィシャル
レポート

2021年7月14日(水)日本青年館ホールにて、『Musical Variety 京都・巴里・東京 三都物語 装束サマーフェスティバル』が開催された。
本作は、日本の宮廷装束や服飾文化を研究し製造する井筒(京都)の装束を纏った出演者が、京都・巴里・東京の三都を現在と過去を行き来するという設定のもと、ミュージカルやJ-POP、古今東西の歌はもちろん、タップダンス、舞踊、ジャズ、和楽器演奏など、あらゆるエンターテインメント要素が詰まったミュージカル・バラエティショーだ。
この度、オフィシャルレポートと舞台写真が届いたので紹介する。

伝統的製法で作られた本物の装束を身に纏って歌い踊る『Musical Variety 京都・巴里・東京 三都物語 装束サマーフェスティバル』が、7月14日(水)日本青年館ホールにて開催された。
舞台は、装束を着た音楽ショーを思いつく場面からスタート。舞台の衣裳として作られたものではない“本物”の装束を纏って、歌謡界の天童よしみ、シャンソンのクミコ、ミュージカルの土居裕子岡田浩暉をはじめ、日野真一郎、ブレイク☆スルーなど、各界の実力者がジャンルを超えて集い、歌謡曲からミュージカル、オペラまで、ジャンルを超えた音楽を届けていくのである。
例えば、岡田の「京都慕情」から始まる京都編では、日野がソプラノサックスも披露。「まくらことば」では、天童の紫式部とクミコの清少納言が雅な平安言葉でやりとりするコミカルなシーンもあって客席に笑いが起きる。
「京都慕情」岡田浩暉
「まくらことば」
巴里編に移ると、オペラ曲の「宮廷楽士長」で指揮者に扮した日野が登場。日野が楽器の音を声で表現しては楽器が応えたり、演奏者たちとの掛け合いで音楽のすばらしさを面白く見せていく。
「宮廷楽士長」日野真一郎(右)
続いて、和傘を掲げて「シェルブールの雨傘」を歌う岡田。装束姿がしっとりと幻想的な世界を作り出す。また土居は、装束と同じ素材でこのために作られたドレスを纏って「孤独のドレス」(『マリー・アントワネット』より)を歌唱。そのドレス姿に洗練された気品が漂う。天童が歌ったのは「愛の讃歌」だ。彼女のために作られた真紅の艶やかな十二単で現れ声を発した瞬間、どこか荘厳な空気に包まれる。シャンソンの名曲「ミロール」を歌ったのはクミコ。女帝が着るという白い装束を身にしながらも、人を励ます歌詞のままに、自由自在に観客を盛り上げた。

「シェルブールの雨傘」岡田浩暉
「孤独のドレス」土居裕子
「愛の讃歌」天童よしみ
「ミロール」クミコ

そして場面は東京へ。「東京五輪音頭」や「夏の終りのハーモニー」、“東京メトロ大メドレー”として歌われる「東京だよおっかさん」「六本木心中」など東京にちなんだ懐かしく耳馴染みのある曲の数々が楽しく心地よい。全編を通じて、笑いを混じえながら歌い踊る様は、「シャボン玉ホリデー」などのかつてのテレビのショーを彷彿とさせる、まさしく“ミュージカルバラエティショー”である。

このバラエティに富んだ異分野の才能と音楽をひとつにまとめたのは、構成・演出の菅野こうめい、音楽・ピアノを手掛けた大貫祐一郎だ。オリジナルの「三番叟」として、和楽器演奏で踊るタップを入れるなど、そこここに楽しませる工夫が見て取れる。なかでも、ふたりで作ったオリジナル曲「一途な夏」は、このひと夏のショーを作り上げた人々の“一途な”思いを象徴していて圧巻だ。本物の歌い手たちと本物の装束が本気をぶつけ合った、ほかのどこにもない、不思議だけれどユニークで新しいステージ。心をいろんな時空に連れて行ってくれる、とびきり楽しいエンターテインメントとなった。
「京の靴音」三番叟より

「風笛」
「一途な夏」
テキスト=大内弓子  写真=宮川舞子

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