「90年代サブカルの呪い」(コア新書/コアマガジン)※電子書籍版をおすすめします

「90年代サブカルの呪い」(コア新書/コアマガジン)※電子書籍版をおすすめします
ロマン優光のさよなら、くまさん
連載第191回 東京オリンピック開幕 オリンピック・パラリンピック、始まる前から大変なことになってますね。今、これを書いている時点では小林賢太郎解任が発表されたくらいなんですが、原稿が完成して配信されるころまでに何が起こるのか、まったく想像がつきません。
  辞任・解任になった人たちに関しては、「何で頼んだの?」という運営側のずさんさが一番問題なのですが、「何で受けちゃったの?」ということも気になりますよね。三人ともオリパラに関わらなければ、過去のことが世に知れたり、ここまで批難されたりすることはなかったと思いますもんね。のぶみさんに関してはこういう名誉ありそうな仕事を喜んで受けそうではあります。作品の内容に対する賛否はおいといて、あれだけ疑わしい経歴をわざわざアピールしてくる人ですから、目立ちたい欲凄そうですからね。あと、地方の小さい町でちょっと不良やってましたとかいう話なら、真偽のほども確かめにくいと思うんですよ。でも、池袋なんて都会の大きな街で200人規模の大きなグループの頭をやってたなら、絶対に知ってる人がいないとおかしいじゃないですか。逆に当時不良だった人が「そんな奴知らない」って言ってくるのも目に見えてます。なんというか、そんなずさんな危機意識の人だから、目立ちすぎることで、胡散臭い人間であると話題にり、経歴が追及される危険性など考えずに仕事受けたと考えれば、まあ自然な気がします。経歴が追及され、ちゃんと釈明して真実を明かさなければならなくなる前にさっさと辞任するまでのスピードの速さにはびっくりしましたが。
 小山田さんが一番不可解ですよね。ちょっとネットで調べたら、ロキノンやQJの件のいじめインタビューが上の方にでてくるわけで、絶対に追及されることになるじゃないですか。普通に考えて、語られていることの真偽のほどは解明されてないとはいえ、「障害者に対するいじめ」を楽しそうに語るようなことをしていたことはっきりしているし、それに対しての説明も未だになされていない。そういう人間がパラリンピックに関わるなんて、絶対に無理じゃないですか。何を考えていたのでしょう?
 今回はオリンピック・パラリンピックの開催自体に対して、反対の意見を持っている人が多かったため、いままで小山田さんの存在すら興味がなかったような層にもいじめインタビューの件が届いたため、発言と内容に関する怒りが新鮮な層が大量に生まれました。そのため、何年間も取りざたされながら、そのたびに小規模な盛り上がりしかみせなかった彼に対する批難の声が、分母数が多くなったことで、いままでにないくらい高まったのだとは思います。新型コロナ禍の中で反対多数の中で開催される状況ではなく、平時開催だったとしても、さすがに小山田さんは批難浴びて辞任することになったとは思いますが、コロナがなかったら当初のプランどおりにすすんで、小山田さんがこの仕事を受けることもなかったと考えると、新型コロナで大きく運命が変わってしまったのかもしれませんね。小山田さんのいじめインタビュー自体に関することは『90年代サブカルの呪い』という本で二年前に触れていて、そこに付け加えることはあまりないので、ここでは特に触れません。ただ、インタビューしたライターや掲載誌は、何が真実だったのか、ちゃんとした説明をしなければならないと思います。また、理不尽な事に対する怒りは大切だと思いますが、Twitter上で、コーネリアスの公式アカウントや彼を擁護したと判断された人に対して過度の罵倒リプを送ったり、彼の家族に対する罵倒リプを送っている人は問題です。ちゃんとした批判や抗議の声が必要なのであって、家族に対するものは論外としても、過度の攻撃は「批判している奴らがいじめをしている」というあげ足とりの原因になるだけです。こういう問題は真面目に誠実にとりくまないといけないんです。とはいえ、あからさまに人を叩きたいだけの人が叩ける相手を見つけたみたいな様子の人間もいて、そういう人は何を言われても変わらないのでしょうけど。Twitter上で争いがあると関係ないのに吉田豪にわざわざリプを飛ばして報告し、RTさせて揉め事を大きくしようとするようなことをやっていたアカウントがこの件で暴言リプを飛ばしているのを見たりすると、単に叩ける対象が見つかってはりきっているだけの人も確実にいるのだなと感じます。そういう人たちが真面目に怒ってる人の足をひっぱっていると思います。
 小林賢太郎さんに関しては、20数年前のネタで今だったら絶対やらないだろうとはいえ、オリンピック・パラリンピックというものの性質上、オリンピック憲章に触れるものである以上、仕方ないですよね。ただ、いきなり詳細な説明もなく解任というのは運営が無責任すぎるような気がします。ただ、弱小Webメディアの記事に乗っかって、より悪く見える感じに切り取った動画を貼り付けて拡散した『実話BUNKAタブー』のTwitterアカウントの中の人(複数人で回り持ちしていると聞きました)からはさすがに悪意しか感じないし、どうかと思います。センシティブな問題を雑にネタにした小林さんの当時の意識の低さ(当時の日本社会全体の認識なども含めて)は検証されるのは当然なのですが、意図的にユダヤ人攻撃をしているように思わせるような切り取り方をして叩かれやすくして炎上を狙う(そもそも独自ネタでもないし)のは、自分たちも悪趣味さに定評のある誌面造りをしている同誌(自分も連載が掲載されているわけですが)がやるのはさすがにどうかなと思います。まあ、逆にらしいとも言えますが。 今回中の人を担当した人自体は絶対不謹慎ネタ好きだし、ああいうの悪いとも思ってなさそうだし、ほんとに単なる悪意だと思うんです。あと、国内で協議する前に海外に通報した副防衛大臣は本当にイスラエルが好き、日本のことよりイスラエルが大事なんだなと、びっくりです。
 開会式までにどんなとんでもないことが起こるか予断を許さない状況ですが、直近だけではなく、コロナ前から何年も続く不可思議な事態の連続に日本は大丈夫じゃないんだなあという気分を強くさせてくれるオリパラですねえ……。
(隔週金曜連載)
図版:「90年代サブカルの呪い」(コア新書/コアマガジン)※電子書籍版をおすすめします
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小山田圭吾辞任問題で再注目。『90年代サブカルの呪い』
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【ロマン優光:プロフィール】
ろまんゆうこう…ロマンポルシェ。のディレイ担当。「プンクボイ」名義で、ハードコア活動も行っており、『蠅の王、ソドムの市、その他全て』(Less Than TV)が絶賛発売中。代表的な著書として、『日本人の99.9%はバカ』『間違ったサブカルで「マウンティング」してくるすべてのクズどもに』(コアマガジン刊)『音楽家残酷物語』(ひよこ書房刊)などがある。現在は、里咲りさに夢中とのこと。twitter:@punkuboizz
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