IVVY、TOSHIKI在籍ラストシングル「
ALL ME」に込めた想いと大きな決断に
至ったメンバーの絆

いまや飛ぶ鳥を落とす勢いでミュージカル・舞台で活躍し注目を集めるようになったTOSHIKI(立石俊樹)が年内でIVVYを卒業することを発表。7月21日(水)には、TOSHIKI在籍ラストシングルとなる「ALL ME」をリリースしたIVVYに、TOSHIKIの卒業について、さらに新曲について話を聞いた。
――突然の卒業発表には正直、驚きました。
TOSHIKI:ですよね(苦笑)。
HIROTO:発表のタイミングをどうしようかというのは、ずっと話し合ってきていて。そのなかで、年内で卒業するのであれば、それまでにファンのみなさんが1日でも多くIVVYとしてのTOSHIKIを見られて、応援できたほうがいいだろうなということで、今回のシングル「ALL ME」の告知タイミングで発表しました。
――TOSHIKIさんに改めてお伺いします。卒業したいという意思は、TOSHIKIさんの口からメンバーに伝えたんですか?
TOSHIKI:はい。僕の芸能活動はIVVYから始まってまして。そこから俳優、舞台活動もやるようになったなかで、お芝居の魅力にどんどん魅せられ、好きになっていったんですね。これまで両立してやっていくなかで、気持ちの切り替えが難しいときもあって、いろいろと調整してもらいながら、並行してやってはいたんですけど。例えばIVVYのライブ活動に対して、僕は演技の仕事もしているので、4人と僕ではライブに対しての時間のかけ方に物理的な差が出てしまう。自分としてはこなせてはいたけど、費やした時間の差とか考えると、果たしてこれでいいのだろうか? とか。正直、どんどん考えるようになってしまって。
――ああー。そんなことを思っていたんですね。
TOSHIKI:はい。僕がIVVYに100%時間を費やしていたらもっと違うものになったのかな、とか考えたり。でも舞台、俳優活動はどんどん好きになっていってたから、これをいま辞めるという選択は僕はできなかった。IVVYにしてもお芝居にしても、僕を応援して下さるみなさんに中途半端なものを届けたくなかったんですよ。そこで差が出たらグループにも申し訳ないし。ウチのメンバーは“それでもいい”というスタンスで僕を受け入れてくれてたんですけど、そろそろけじめをつけなきゃいけなと思って。IVVYの5年間の集大成的なアルバム『AWAKE』を出した後、次のアクションを考えたとき、俳優として自分はもっと深いものを届けたいなと思ったタイミングだったので、それでメンバーとマネージャーに話をしました。
HIROTO
体が持たなくなるまで両立してきたのをそばで見てきたからこそ、引き留めることはできなかった。そもそもIVVYを作ったときに僕はリーダーとして“IVVYがゴールじゃなくてもいい”と言ったので。
――“夢を叶えるまで一緒にやろうよ”と引き留めたりしなかったんですか?
HIROTO:できないですよ。それは。そもそもね、彼は二つのことを同時にできない人だから。7~8年一緒いれば、それはすごくよく分かる。そういう人間が、体が持たなくなるまで両立してやってきてくれたのをそばで見てきているからこそ、引き留めることはできなかったです。そもそもIVVYを作ったときに、僕はリーダーとして“IVVYがゴールじゃなくてもいい”と言ったので。
――え、それはどういう意味で?
HIROTO:IVVYきっかけで他に新しいやりたいことが見つかったら、それはそれで嬉しいって最初にいったもんね?
TOSHIKI:うん。
HIROTO:その通りになったので、逆に(TOSHIKIの選択は)素晴らしいことだと思ってます。
――でも、IVVY単体で考えると、1stアルバムを出して、ここからっていうときですよ?
HIROTO:分かってます。だから、すんなり(TOSHIKI卒業を)受け入れたかっていったら、もちろん時間はかかりました。普通に生活できないぐらい悩みました、今後のグループについて。1人抜けるならIVVYじゃないし、この5人じゃないんだったら僕はステージ降りて引退しようかとか。リーダーとしていろいろ悩みました。それで、まずYU-TAに連絡したんです。僕はYU-TAが“今後もやる”って言ったらやるし“やらない”って言ったらやるつもりはなかった。そこは“俺がやるからついてこい”じゃなく、みんなに合わせようという考えでした。そうしたら、YU-TA は“IVVYをなくしたくない”と言ってて。KENTO.iとTAIYUも同じ考えだったので、“分かった。じゃあこれからもやるぜ”と。
YU-TA
TOSHIKIの卒業をネガティブなものにしたくなかった。グループが無くなってたら“自分のせいだ”って感じるかもしれない。それは絶対に嫌だと思って。
――うわー、そうだったんですね。IVVY継続を決めてくれてありがとうございます。
YU-TA:なくすことよりも、続けるほうが大変なんですよ。だけど、普段の生活のなかでIVVYを生きがいにしている方がいるなかで、グループが無くなるのはその人たちの生きる糧を無くすことにもなりかねない。引き際は自分たちが決めることじゃない。求めてくれる人がいるのであれば、やり続けたいという思いです。あと、TOSHIKIの卒業をネガティブなものにしたくなかったんです。TOSHIKIが俳優としてやっていくとき、このグループが無くなってたら“自分のせいだ”って引け目を感じるかもしれない。それは絶対に嫌だなと思って。僕は綺麗な送り出し方をしたかった。だから“IVVYはなくせない”と思いました。TOSHIKIにはTOSHIKIの道があって、自分のことだけに100%神経を集中して、今後は俳優の道を頑張ってほしい。自分らは自分らでIVVYをよりよくするために、さらに頑張らなきゃいけないし。1日でも長くこのIVVYが続けられるための方法として、今後はオーディションなど、層を厚くしていく方法も考えなきゃいけないなとか。そうやって、みんなの拠り所となるこの場所をずっと残していきたい。仮に形が変わったとしても。と、僕は思ってます。
――TOSHIKIさんは、“脱退”ではなく“卒業”なんですか?
HIROTO:はい。脱退じゃないよね?
YU-TA:うん。IVVYでやるべきことをすべて果たして。
HIROTO:送り出す訳だから、卒業ですよ。だから、ファンのみなさんもそういう気持ちで、笑顔でTOSHIKIを送り出してもらえたら嬉しいですね。あ、卒業証書渡さないとだね(笑)。
――最後にね。その前にニューシングル「ALL ME」も出ますから。TOSHIKIさんが在籍するIVVYのシングルは、これがラスト?
TAIYU:はい。シングルとしては。
HIROTO:ここ、大事なところなんで、ちゃんと書いといて下さいね。
――意味深(笑)。今回のアー写、カラフルでしたね。
HIROTO:やりたかったんですよね。こういう変わった感じを。「WINK」もカラフルでしたけど、今回はもうちょい奇抜というか。
TAIYU:ごちゃごちゃっとしてますよね。僕なんかこんな真緑とか着たことなかったし。今回は自分らしい色味とかも逆に壊して。
HIROTO:《僕らしく》とか歌ってるのに(笑)。でも、そんな新しい自分も含めて「ALL ME」。
TOSHIKI
IVVYにしてもお芝居にしても、僕を応援して下さるみなさんに中途半端なものを届けたくなかったんです。
――うまいことつなげましたね(笑)。IVVYのなかでも明るい曲調ですね、今作は。
HIROTO:TOSHIKI卒業のこともありますけど、今の世の中自体、閉塞感があって、僕ら自身も思うようにエンタテインメントできてない。そういう自分たちを鼓舞するため、またコロナ禍でみんな大変な思いをしているなか、曲のパワーで1人でも多くの人がハッピーになれたらいいなというところでできた曲なので、こういう曲調になりました。
――《クシャッと笑おうよ》って、よくよく考えると独特な表現ですよね。
HIROTO:《ダメなときでも》っていってるから、“大笑いして笑い飛ばせ”ではない。そこが深いですよね。
――そうなんですよ。そして、今作のサビ。IVVYにしては珍しく、ユニゾンで歌ってますよね。
TOSHIKI:確かに。
HIROTO:エモさが出るかなと思って。TOSHIKIのこともあり、これがラストシングルにもなるのでボーカル3人の声を重ねようという気持ちもありましたし。この曲ってそもそも歌で魅せる曲じゃないよね、という話になったんですよ。
――たしかに。歌でかますようなタイプの楽曲ではないですね。
HIROTO:みんなで一つになって歌っているようなイメージだから、そういうメッセージも含めてユニゾンで歌いました。
KENTO.i
TOSHIKIの卒業、このコロナ禍を生きるファン、二つに向けて、明るい未来を見ていこうよというメッセージを届けたくて、リリックを詰め込みました。
――サビの歌唱中に“イェイ!”とか入れていってるのはKENTO.iさん?
KENTO.i:僕も言ってますけど、あれもみんなの声を重ねて。
YU-TA:全員です。
――サビに入る前の“ヘーイ”は?
YU-TA:そこも全員で。
――そんなところまでユニゾン攻めしながら、最後のパートではその声が解き放たれ、3人がボーカルリレーでつなぎ、スピーカーのLRで声が掛け合ったりするところは耳が大喜び。
TOSHIKI:ありがとうございます。
HIROTO:僕、ここ大好きなんですよ。僕、YU-TA、TOSHIKIの順番で歌っているんですけど、このメロディは最後しか出てこないので、浸って聴いてみてほしいな。
YU-TA:僕は2番のBメロブロック全部を聴いてほしい。歌詞がめちゃめちゃ今のご時世に当てはまってるなと思うので。“これって正しいのかな?”って、みんな悩みながら生活してると思うんですよ。でも、自分が進んだ道を信じていけばその先には明るい未来が待ってる、といってるこのブロックが僕は大好きで。この曲は全部が応援歌なんだけど、個人的にいま一番そこがグッときますね。
KENTO.i:僕は自分が書いたラップパートを聴いてほしい。今回はTOSHIKIの卒業、このコロナ禍を生きるファン、二つに向けて、明るい未来を見ていこうよというメッセージを届けたくて、この短い小節数にリリックを詰め込んだんですよ。《僕ら繋いだあの日のステージ》は、僕ら5人が揃って初めて立ったステージや、メジャーデビューを発表した新宿BLAZEでのライブのことをいってて。そこから《終わることのない絆》はTOSHIKIがここを卒業しても俺らの絆は終わらない。だからこそ、ここからお互い《光り輝く未来へ》と向かっていこうぜ、と。過去から未来に向けての思い、それを全部ここに詰めました。
――TOSHIKIさん、気づいてました?
TOSHIKI:知らなかったです。今回の取材で初めて聞きました。でも、この曲のKENTO.iのラップを聴いたときから、もしかしたらここはそう(自分へのメッセージ)かもというのは思ってました。
KENTO.i:(笑顔でうなずく)。
TOSHIKI:いま実際に聞けて嬉しかった。
KENTO.i:よかった。そんなTOSHIKIとファンに向けて、今回は書きました。
TAIYU
振り付けはめちゃくちゃシンプルですけど、歌詞をすごく表現していて。わちゃわちゃ感がありながら、ダンスとフォーメーションでうまく構成してます。
――TAIYUさんのお気に入りパートは?
TAIYU:僕はサビの《でも僕らしく》の後のパートです。最初は英詞をコーラスのように歌うんだけなんですけど、最後のパートだけ、メインボーカルの3人がそれぞれ日本語で歌うメロディが出てきて、そのラストをTOSHIKI君が締める。僕的には「ALL ME」はここがキモだと感じてます。
――TOSHIKIさんはどうですか?
TOSHIKI:僕は、全体を通してのことでいいですか? この曲自体は明るくてあっけらかんとして歌ってそうな曲調なんですけど、決して明るく開き直った感覚ではないんですよね。さっきYU-TAが言ってたブロックにあるように、悩んでいるときって誰もがどんよりしがちじゃないですか。でも、そこを乗り越えた先に“あ、やっぱこれでよかったんだ”という光が見えてくる。だから、ユニゾンで歌っているサビの《クシャって笑おうよ》も簡単に笑ってる訳じゃない。そういうところが、曲全体として伝わったらいいなと思いますね。
――今作のダンスの特徴は?
TAIYU:振り付けはめちゃくちゃシンプルなんですけど、歌詞をすごく表現していて。だから、さっき僕が話したパートも動きの型自体は全部一緒なんですけど、最後だけ歌詞に合わせてちょっとだけ手振りが変わるんですよね。全体的にサビはダンスを、あとの部分は踊るというよりも5人のフォーメーションで(歌詞を)表現するところが多いので。わちゃわちゃ感がありながらも、ダンスとフォーメーションでうまく構成した振り付けになってます。
HIROTO:おー(拍手しながら)凄いな~。
YU-TA:着眼点が僕らとは違う。
――褒められてますよ。TAIYUさん。
YU-TA:他ではこんなにしゃべらないからね。
HIROTO:SPICEさんにはかなり心を許してますね(笑)。
――ありがとうございます。MVの見所は?
HIROTO:今回は台本なし! とにかく5人の。
KENTO.i:ありのまま。
TAIYU:ALL MEを。
HIROTO:“5人のありのままを撮らせてもらいます”と。“カメラ回すので5人で楽しんで”、みたいなシーンが。
YU-TA:多かった。
HIROTO:ファンは嬉しいのかな、というMVになってます。5人のいつもの仲いい感じが。
TAIYU:ありのままの状態で出ているので。
HIROTO:ソロカットだけ各々頑張りました。
KENTO.i:たしかに(笑)。

――では、C/W曲「Spiral」についても聞かせて下さい。主人公の二人、ダメじゃん(笑)。
TOSHIKI:曲じゃなくて、そっちがね(笑)。
TAIYU:沼ってますね。この二人は。
HIROTO:これ、曲がよすぎてみんなシングルにしたくて仕方なかった曲なんですよ。実はこれは「WINK」のコンペのときにあった曲なんです。そのときに、みんなこの曲が好きすぎて“いつかこれをリリースしたいんでキープさせて下さい”って言って。そのときから温めていた曲ですね。
――似合ってますよね、IVVYに。
HIROTO:まさに。歌詞もIVVYっぽくて。
TAIYU:この、届かない感じの。
YU-TA:恋愛がね。
HIROTO:IVVYファンはスッと馴染んで。
YU-TA:沼る曲だね。間違いなく。
HIROTO:これはね“キー高いけど頑張るんで”って言って、お願いして最後に転調を入れてもらいました。
――そこで、さらに切なさも倍増しますからね。あとは、泣きのサビも。
YU-TA:最初の3行はメロディー、歌ものなんですけど、次の2行は歌というよりもセリフみたいな感じで。登場人物が本当に思っていることをいってる感じなんですね。それで次にまた歌にもどって、セリフになって。歌と芝居の中間みたいなサビなんですよ。それがこの曲に、ツンとくる泣きのエモさを生み出していると思いますね。しかも、ここは同じメロディなんですけど、3人それぞれ歌い方もニュアンスも違う。そこでもひっかかりを作っていて。ここをね、1人が全部歌もので通して歌っただけでは“ああ、いい歌だね”で終わってしまうはずです。
――素晴らしい分析、ありがとうございます。これ、踊りながら歌うんですか?
全員:踊ります。
TAIYU:「ALL ME」と同じ方に振りを付けて頂いたので、ダンスと歌詞を表現したフォーメーションがこの曲も素晴らしいんですよ。これで一番鳥肌が立ったのは、最初に立ち位置のフォーメーションに付いて。そこからいろいろフォーメーションを変えて踊ったあと、最後の最後に頭のフォーメーションに戻るところ。その循環でSpiralを表現してたことに気づいたときは感動しまくりました。
――それでは最後に、今後のIVVYについてなんですが。TOSHIKIさん卒業後、現段階で新メンバーを入れることは考えているんですか?
HIROTO:はい。30人入れようかと思ってて……嘘です(笑)。今後いろいろ考えます。
取材・文=東條祥恵 撮影=大塚秀美

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