中村倫也、吉岡里帆、向井理が“いの
うえ歌舞伎”で堂々共演! 劇団☆新
感線『狐晴明九尾狩』オンライン製作
発表レポート

劇団☆新感線41周年興行 秋公演 いのうえ歌舞伎『狐晴明九尾狩(きつねせいめいきゅうびがり)』が2021年9月17日(金)からTBS 赤坂ACTシアターほかで上演されることになった。

 
中島かずき作、いのうえひでのり演出で、中村倫也、吉岡里帆、浅利陽介、竜星涼、早乙女友貴、千葉哲也、高田聖子、粟根まこと、向井理ら総勢38名が出演。「狐の子」を名乗る陰陽師・晴明と、陰陽師に化けた九尾の狐との頭脳戦を、新感線らしくアクション、歌、ダンス、笑いを盛り込んだ伝奇ファンタジーとして作り上げる。
 
7月17日、オンライン製作発表会見が行われ、出演する中村倫也、吉岡里帆、向井理、脚本の中島かずき、演出のいのうえひでのりが出席した。会見の様子をレポートする。
中島かずき  オフィシャル撮影:田中亜紀
ーーまずは、一言ずつご挨拶をお願いします!
中島:20年ぐらい前から、安倍晴明の話はどこかでやりたいなと思っていたんですね。今回、中村倫也くんが主演で、いのうえ歌舞伎をやるということで、倫也くんで安倍晴明がいいなと思いついて。キャスティングをやっていくなかで、向井くんがそのライバルで、一見陰陽師に見えて、実は九尾の狐という役がいいのではないか、と。烏帽子が似合うし(笑)。
 
その男2人の中に、吉岡さんが入ってくる。安倍晴明はもともと「狐の子」と言われているので、狐で、霊で……と、どうしても思いつくことがあって。いのうえにも相談して、やっぱり「狐の霊」で、晴明と一緒に闘うというイメージができた。いろいろなものを考えたんですけど、どうせなら、こちらが見たいものを描こうと決意して。狐の霊が吉岡さんということで、進みました。
 
最初に考えた話とは全然違うんですけど、でもこれはこれで面白くなったと思うし、楽しみにしていただければと思います!
いのうえひでのり  オフィシャル撮影:田中亜紀
いのうえ:新感線のいのうえ歌舞伎は、生田斗真くん主演の『偽義経冥界歌』が、コロナの影響で、東京公演が途中で止まり、博多公演は全部中止になって、非常に悔しい思いをしてました。いのうえ歌舞伎は、立ち回りも多いし、人数も多いし、なかなかこういう状況の中で作品を作ることができなかったんですけど、満を持して、今回はいのうえ歌舞伎をフルスペックというか、すべて今まで通りというか、全力でやることになりました。
 
しかも今回、安倍晴明ということで、非常にファンタジー色が強いものになると思います。初期の『阿修羅城の瞳』や『BEAST IS RED~野獣郎見参!』辺りの、あやかしとか魔術とか妖力とか、ファンタジー色の強い、いのうえ歌舞伎になっています。最近のいのうえ歌舞伎と比べても、いろいろ仕掛けがあったり、面白い舞台になっていると思います。頑張りたいと思います!
中村倫也  オフィシャル撮影:田中亜紀
ーー出演者の皆様は、ぜひ出演が決まった時のお気持ちや公演に向けての意気込みなどを教えてください。
中村:配信を見てくださっている方、こんにちは! ……パッと横を見ましたら、僕よりはるかに身長が高い“理っち”(向井理)より、僕の方が座高が高いのではないと愕然としていますが(笑)。そんなチビとノッポと、可愛い狐ちゃんでお届けします。
 
いつの時点で出演が決まったか定かではなくて。2、3年前ぐらいから、ぬるぬると、こんなことやろうか、あんなことやろうと話していたことが、現実味が帯びてきた感じです。そういう意味で言うと、共演者が決まった時に、これでやるんだなと実感したポイントでもありました。バランスの良いカンパニーになるんじゃないかなという予感がしております。
 
昨日、初めて本読みをして、すごく楽しかったんですよね。いろいろな妖怪が出てきて嬉しかったですし、すごく楽しいものになるんじゃないかなと思っています。客演の面々は、若い面々が多いんですけど、古くからの新感線ファンのお客さんも楽しんでいただける予感がしました。これから1日1日稽古を頑張って、いいもの作れるようにやっていきたいと思います。よろしくお願いします!
吉岡里帆  オフィシャル撮影:田中亜紀
ーー今回が初めての劇団☆新感線という吉岡さんは、狐霊のタオを演じられます。
 
吉岡:狐の霊の役なんですけど、私は、狐の役をずっと某CMでさせていただいていて、狐歴が結構長いんですよね(笑)。今までやってきたことが役に立つ日が来た、嬉しいなとも思ったんですけども、いざ台本を読んでみますと、私が知っている狐と全然違うなというのが、まず初めの印象です。
 
舞台が日本で、劇団☆新感線でということで、妖怪がたくさんでてきて。その不思議な世界観に、多分お客さんはすぐにすっと連れ込まれるんじゃないかなと思います。安倍晴明が中村さんで、九尾の狐が向井さんということで、最高のメンバーの中に入らせていただいて、すごく楽しみでありますが、緊張もすごくて。
 
昨日は初めて本読みがあって、何でも初日は緊張するものなんですけど、初・新感線が私だけらしく、緊張しました。足手まといになりたくないなと思いながら、なんとか皆さんにしがみつきながら、頑張りたいなと思っています。きっと楽しんでいただけると思います。全力で頑張ります!
ーー向井さんはいかがでしょうか?
向井:僕も、倫也くんと一緒で、いつ出演が決まったか定かではないんですが、新感線からオファーが来ましたという話を聞いたときは、「嫌われてなかったんだな、よかった」という思いが強くて(笑)。ほとんど内容を聞いていない中でしたが、オファーをいただいて、快諾しました。でも、想像以上に大変なので、ちょっと後悔し始めているんですけど(笑)。
 
以前出演した時は、本当に鍛えられました。IHIステージアラウンド東京という特殊な劇場でやらせていただいたこともあって、経験したことのないエンターテインメントをやらせていただいた。(これまでの経験を踏まえても)やっていなかったことがこんなにあったんだという気づきがあって。大変でしたけど、エンターテインメントの力はすごいなと改めて思いました。今回は、すでに膨大の量のセリフに溺れそうになっていて……。
 
中島:ごめんね(笑)。
 
向井:大変な舞台になると覚悟しています。でも、役者が苦労している作品こそ、お客様には楽しんでもらえると思いますので、その苦労をみなさんに観ていただいて、こんな時代だからこそ楽しんでもらえる作品にしたいと思います。
向井理  オフィシャル撮影:田中亜紀
ーーみなさま、それぞれ共演したことがありますが、どんな舞台になりそうか、予想を教えてください。
 
中村:吉岡さんはもう間違いなくキュートな狐ちゃんになるだろうなと。期待大ですし、弟の早乙女(友貴)くんとの掛け合いはコミカルなところもある。こういう知恵比べで主導権を握り合うシーソーゲームの話の中で、牧歌的な瞬間を期待しています。理っちのド悪役芝居、すげぇ楽しみっすね(笑)。シュッとしているし、無駄なこと喋らないイメージですけど、ド悪役の発声を舞台上ではしてもらいたいです。
 
ーー「理っち」というのはいつから……?(笑)
中村:戦争映画で共演したことがあって。(向井が)『のだめカンタービレ』とかやる前で、世間に見つかる前に(笑)。戦争映画なのにシュッとしている人がいるなと思っていたんですけど。同じ部隊のメンバーだったので、それ以来懐かせてもらっています。
向井:あの時の小生意気なガキがこんなに大きくなるとは。弟的な存在ですね。その時から生意気でしたけど。
中村:あんまり変わっていないです。
向井:懐かしさもありますけど、十何年という期間、演劇も含めてお芝居の世界でどっぷりやってきているので、刺激しあえたらいいなと思います。
(左から)中島かずき、吉岡里帆、中村倫也、向井理、いのうえひでのり  オフィシャル撮影:田中亜紀
ーー吉岡さん、改めて本読みで感じられたことを教えてください。
 
吉岡:中村倫也さんが演じる安倍晴明は愛さずにはいられない人だなというのが、本読みの第一印象です。少年性とピュアさを持ちつつ、占ったり、魔術を使ったりする危うい部分もあって。危うい部分とピュアな部分が混在しているところが、イメージと重なって、ぴったり!
中村:俺、魔術使えそう?
吉岡:使えそうです(笑)。
中村:使いたいね〜(笑)。
吉岡:向井さんは、前に共演した作品で、ものすごく虐められる役で……本編ではものすごく虐められたので、そのイメージが……。
向井:セリフの通り、一言一句言っただけなのに(笑)。
吉岡:はい。それは分かっていても、どうしてもあの怖い表情とかを思い出してしまって、イメージが埋め込まれている感じがあるので……。今回も、因縁がある関係なので、反撃できるように頑張ります(笑)。
 
ーー安倍晴明で、ファンタジー色の強い舞台ということですが、どんな演出になりそうですか?
 
いのうえ:いろいろ考えてはいるんですけど、ネタバレになるので……。最後に、向井くんがラスボスとして、小林幸子さん的な出方をするかな。それは楽しみにしていてください(笑)。
向井:う、歌うわけではないですよ!(笑)
『狐晴明九尾狩』ビジュアル /オフィシャル提供
ーービジュアルも公開されましたが、衣装を着られた感想をぜひ教えてください。
中村:暑かったですね。動きずらそうだなと思いました。
いのうえ:舞台上では汗が通りやすいものにします(笑)。
吉岡:しっぽがどうなるのかなと、狐歴長い身としては気になります。もふもふした、いい尻尾を持てるか。しっぽをつけたままアクションをしたことがないので、どうなるのかな。
中島:もふもふはキーワードですね。
向井:アクション向きの衣装ではないと思いますけど、烏帽子ありの動きって僕、大河ドラマも、大立ち回りもまぁ大変で、それが飛ばないかなという心配は。
いのうえ:考えないといけないですね(笑)。
ーーいのうえ歌舞伎に出演するにあたり、大切にしたい部分を教えてください。
吉岡:さきほど、私のパートが牧歌的とのことでしたが、それこそ緩急なのかなと。新感線の舞台を観にいくと、笑えるところの物量がしっかりあって、気楽に観られる。お尻が痛くなりづらいイメージがあるので、笑いのパートを大事にした方がいいかなと思いました。
 
中村:僕のあくまでイメージなんですけど、とんとんとんと、テンポ良くいく中で、見得を切るというか、メリハリがつけばいいかなと思います。ちゃんと全部、情感を込めてやると損をする感じがする。でもまぁ、言っちゃえば、いのうえさんが決めてくれるから。まだ立ち稽古に入っていないし、台本に書いていないこと急に始まったりしますしね(笑)。
 
向井:僕が個人的に新感線を観に行って思うことは、シリアスとコメディのバランスもそうなんですけど、エンターテインメントを極めようという姿勢がストイックだなと思います。度肝を抜く演出や効果で、ハードルを超えていく凄まじさ。やるのは大変なんだろうなと思いながら観ています。とにかくいろんな苦労をして、どんどん傷つきながらやっていって、その反動でお客様を楽しませていきたいなと思いますね。
(左から)中島かずき、吉岡里帆、中村倫也、向井理、いのうえひでのり  オフィシャル撮影:田中亜紀
ーー安倍晴明に対しては、どういうイメージをお持ちですか?
中村:シュッとして、ミステリアスで、なんか、半端ない(笑)。
ーーちなみに、もし魔術を使えたら何したいですか?
中村:式神を大量生産して、自分の王国をつくって、ハンモックで寝ているだけという暮らしがしたいです。
 
ーー吉岡さん、狐歴が長いということで、狐を演じる上でのポイントを教えてください!
吉岡:うーん。人間じゃないんだよというアピール(笑)。私は人間じゃないんだよと思いながらやっています。あと、これも某狐をやっていて、こだわっているのは、絶対に人間の耳を見せないこと。メイクさんと話し合ってやっています。
ーーでは最後に、観客の皆様に一言ずつお願いします!
いのうえ:こういう状況下の中では久しぶりに豪華な舞台になると思うので、ぜひ見逃しなきようにお願いします。
中島:本番までには落ち着いている状況になることを祈っています。ぜひ劇場で楽しんでいただきたいです。
 
向井:製作発表を最初から最後まで配信で見ていただくことはなかったし、初めての経験でした。いい緊張感でした。楽しんでいただければよかったなと思います。
 
吉岡:今日はありがとうございました。配信を見てくださってありがとうございました。新感線に初挑戦ですが、本読みの段階から面白いぞという予感が漂っておりますので、ぜひ観に来てください。いのうえさんの演出をまだ受けてないので、未知の世界なんですけど、いろんな仕掛けがまっていると思います。是非劇場にお越しください。
 
中村:9月17日からの公演になります。東京公演と大阪公演があります。こういうご時世ですけど、シンプルに、面白いものをつくるために頑張ります。これから本格的に稽古入って、本番もだいぶしんどい時もあると思うんですけど、気が向いたらぜひチケット買っていただいて。お客様が無事に当日楽しめるように願っております。よろしくお願いします。
取材・文=五月女菜穂

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