Suara

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【Suara インタビュー】
この曲を歌っていると
自分が強くなった気分になる

実に1年8カ月振りのCDリリースとなる新作「戦刃幻夢(せんじんげんむ)」は、和の音色も取り入れた勢い満点のユーロビート。バラードのイメージから一転、がむしゃらに突き進むサウンドとリリックの裏には“無情”な世の中に生きる現代人への力強いメッセージが隠されている。儚さと切なさを存分に発揮したカップリング曲と併せ、彼女の軸とふり幅を感じられる一枚だ。

“人生の折り返し地点に来てしまった”
という焦りがあった

1年8カ月振りの新作リリースですが、その間に世の中は新型コロナウイルスの影響もあって状況が激変してしまったのをどのようにとらえています?

今日の取材自体が約2年振りなのでちゃんとしゃべれるかな?(笑) やっぱり最初の頃は悲観的になったりもしましたね。でも、今はポジティブに頑張っていこう!っていう気持ちになっています。

何がきっかけで気持ちを切り替えられたのでしょうか?

そもそもコロナとは関係なく、年齢的に40代に入ったということで“人生80年としたら、もう折り返し地点に来ちゃった”っていう焦りがあったんですよ。この先、何かインプットすることもなく成長もせずに、今まで得てきたものだけを消費して生きていくには、まだ40年もある!って。

そんな焦りなんて持つ必要のないのでは? 傍から見ていると、そんなふうに思われていたことが意外です。

いやいや、私って本当に世間知らずなんですよ。例えば海外に歌わせてもらいに行く時も、現地のスタッフさんとのやりとりやインタビュー、プライベートの買い物まで、通訳してくれる人がいないと何もできない! レコーディングにしても全部スタッフさんがお膳立てしてくださって、“はい、どうぞ!”っていう状態でしか歌えないですし、ライヴリハでも“リバーブください”のひと言だけで、他全部やってもらうような状態で。そんな甘えてばっかりの自分を“ダメだなぁ、もっと自分の力でも歩いていかなきゃ!”って思うようになったんです。そこから“もっと視野を広げて、いろんなことを吸収しながら生きていきたい”といろんなことを始めたんですよ。コロナ禍以前に始めた英会話もそうだし、入ってからはDTMを使い始めてみたり。

それまではアナログ派だった?

そうなんです。スマホも全然使いこなせていないくらい、本当に機械には疎かったんです。今までは曲を作ったら、それをスマホに録音してスタッフさんに送るっていうアナログな手法だったんですが、ここ最近は仮歌を録れる環境を自分の部屋に作って、キーチェックだとかプリプロの前段階とかは自分でやれるようになりました。仮歌とか練習で歌ったものを録って聴くのは歌の向上に絶対につながるだろうし、やりとりもスムーズになるから、せめて歌とコードのベース音くらいは自宅で録音できたらいいかなぁって。もちろん一番極めるべきは歌そのものなんですけど、そうやって視野を広げていけたらいいなと思っています。

その結果、ポジティブにもなれたということですね。そんな中で発表される新曲「戦刃幻夢」はゲームソフト『うたわれるもの斬2』の主題歌で、パブリックイメージからは遠いアッパーなユーロビートという曲調に驚きました。

でも、『うたわれるもの斬』の主題歌だった「理燃-コトワリ-」(2018年9月発表のシングル)もユーロ風だったので、このシリーズはそういうスピード感のあるカッコ良い曲がくるんだなぁと、私自身は納得でしたね。純粋に“うわっ、カッコ良い!”と思ったし、ゲームのプロデューサーからも“とにかくカッコ良く、ロックシンガーっぽく歌ってください”と。例えば、歌い出しの《明日を》だったら“を(Wo)”の“W”を意識してほしいとか言われました。

なるほど。

ファンの方はSuaraに対してバラードのイメージが強いでしょうけど、こういうスピード感のある曲も“カッコ良い!”と思ってもらえたら嬉しいですね。気を抜くと歌が遅れてしまいそうな曲なので、レコーディングでも自分が牽引してるかのように力強く、歌詞をいただいた際に感じたポジティブ感に沿って、とにかく楽しんで歌いました。あと、MVは前回「理燃-コトワリ-」の時のイメージカラーが紫や赤で、刀を持ったりと和のイメージだったので、それと対比させるために今回は電飾とかキューブとか、ちょっとモダンなセットの中で撮りました。この曲を最初に聴いた時、ブルーのイメージを持ったので、衣装をブルー系にしてみたりとか。

歌詞に込められたメッセージも、“とにかくがむしゃらに突っ走っていこう!”というとても力強いものですしね。ただ、ひとつ気になったのが《無情にもこの世界は溢れてる》というフレーズなんですが、いったい何があふれているんでしょう?

…難しいですね。特に歌詞についての説明は受けたりしないので、あくまでも私の解釈ですけど、例えば今の世の中って昔よりも情報があふれているじゃないですか。その中で迷ってしまうことも多いけれど、自分にとって必要なものだけを取り込むことの大切さを歌っているような気がしていて。無情にも今の世の中の状態がそんなふうに変わってきていて、その中で“自分が信じるものは何か?”という軸をしっかり持っていなければいけない。私もスマホで自分にとって何の実にもならない記事とかを延々見てしまったりしているし、脳って情報を入れすぎると処理が追いつかなくて老化してしまうっていう話を最近聞いたんです。周りに惑わされず、しっかりと自分を持っていないとダメで、そうやっていろんなものがあふれている無情な世の中と自分というものが相反しているようなイメージを受けました。

つまりは、さまざまなものがあふれる混沌の中でも、確固たる自分を持って走り続けていこうということですね。

それがないと進めないと思うんですよ。もちろん『うたわれるもの』という世界観の中で作られた曲ではあるでしょうけど、今の世の中に通じるところが多い歌詞でもあるんですよね。例えば《闇の中に見えた光を 逃さないように》は、闇の中に光を見出すには能動的な力も必要で、タイミングや気持ちも大事なんだなぁって思わされたり。

そんな強い決意はタイトルからも伝わってきます。“戦刃幻夢”というインパクトもすごいですし。

“うわっ、絶対にこのワードは私から出ない!”って、私もすごく感動しました。曲そのものもカッコ良いし、歌詞もシンプルながらメッセージ力が強いんですけど、それをさらに引き上げるパワーがこのタイトルにはあるなって。ゲームをプレイされる方はゲームの世界観と併せて曲を楽しんでほしいですし、されない方もこのスピード感がある曲で、夏の暑さを吹き飛ばしてほしいですね。私自身、この曲を歌っていると自分が強くなった気分になるので、ぜひ聴いて、歌って、レベルアップして、夏の暑さと戦ってください(笑)。
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シングル「戦刃幻夢」

OKMusic編集部

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