大黒TSUKEMENが語る待望のホールデビ
ュー~5人の男たちによる熱い夏

2本のバイオリンと1台のピアノで独自の音楽を追求してきた人気インスト・ユニットTSUKEMEN。バイオリンのTAIRIKとKENTA、ピアノのSUGURUの3人組だ。2008年のデビュー以来、クラシック音楽はもとより、ジャズ、ポピュラー、映画音楽、そしてオリジナル曲に至る幅広い楽曲を縦横無尽に演奏してきた。これまでにリリースしたCDアルバムは、国内クラシックチャートを賑わせ、ライブにも多くのファンが詰めかける。その活躍は留まるところを知らない。
そして、そのTSUKEMENメンバーに和太鼓奏者の大多和正樹と尺八奏者の黒田鈴尊が加わって、2018年に結成された異色ユニットが大黒TSUKEMEN。3年目を迎えた今年、7月18日(日)に、浜離宮朝日ホールでのホールデビューとなる『大黒TSUKEMEN THE JAPAN STAGE 2021 ~大和魂 夏の陣~』を行う。東西を超えた迫力あるサウンドに、5人の男たちの熱い夏を聴きたい。生音による今回の公演では、彼らの音楽の原点に触れるまたとない機会にもなりそうだ。5人に公演への意気込みを訊いた。
――今回は待望のホールデビューですね。おめでとうございます!
TAIRIK:大黒TSUKEMENの5人ユニットは3年前に誕生し、以来、着実に公演を積み重ねてきました。お互いの距離感も分かってきた頃合いでのホールデビューとなり、とても嬉しいです。このユニットが、コンサートホールでどう見られるかの試金石でもあり、楽しみにしています。
KENTA:大黒TSUKEMENは、バイオリンとピアノに、尺八、和太鼓が加わった、楽器の音色が豊かなチームです。ホールという場所で、PA(音響装置)に頼らないサウンドで楽しんで頂くことで魅力が溢れてくると思いますね。
大多和:5人が手にする楽器はそれぞれに数百年という単位の歴史をもっています。そして、その原点は生音です。今回は「それぞれが生音の楽器をやっているんだ」ということを、改めて感じることの出来る公演になりそうです。
TAIRIK(TSUKEMEN)
――浜離宮ホールは音響も素晴らしいですよね。西洋楽器と和楽器の両方が奏でる生音に酔いしれたいですね。
SUGURU:確かに西洋の楽器と和の楽器のコラボレーションというのが大黒TSUKEMENの魅力の一つなのですが、実は、メンバー一人ひとりの半端ない個性というのも大きな魅力だと思います。それがチームとしてホールに立つことは、次のステージに向けた新たなスタートになると思っています。
黒田:そうだね。西洋楽器と和楽器の違いというのをとっぱらって、5人の男がそれぞれの楽器を持ち寄って、5人でしか表現できない音楽を作ってきました。ホールで生音を届けることで、新しい一面をお届けできると楽しみにしています。
TAIRIK:メンバーの「個の力」が強ければ強いほど、5人になったときの爆発力は大きくなっていくと思う。だから、楽器の違いということを超えて、全員が蓄えてきた力を存分に出し合う場になったらいいよね。
SUGURU(TSUKEMEN)
――5人の個性がぶつかりあうという意味でも、やはり「真田組曲」は会場を訪れる皆さんも楽しみにしている一曲なのではないでしょうか。
TAIRIK:「真田組曲」は、ずっとTSUKEMENの3人で演奏してきた曲です。でも、大黒TSUKEMENとして音を出したときに、「(この曲が)完成した!」と感じました。お客さんの反応も良かったです。大黒TSUKEMENとしてこの曲をやりたいというメンバーの気持ちもあって、演奏曲としてとりあげることになりました。
――和楽器との共演では、TSUKEMENの皆さんの表現も大きく変わってきますか。
KENTA:ええ。大多和さんの熱量や黒田さんの尺八の謡回し、フレージング力に刺激を受けますね。3人で弾いている時とは、音色やテンポ感が少し変わってきます。
SUGURU:旋律とリズムのプロが加わってくれることで、ピアノの役回りは大きく変わります。ですから、心持ちも変化しますね。3人で弾いているときは、引き算された音楽というか、より「真」に近い音を紡いで表現してきました。それが5人になると、例えば、鈴尊さんの尺八の息遣いによって色付けされるように曲のイメージがより鮮明に可視化されるんじゃないでしょうか。
KENTA(TSUKEMEN)
――大多和さんと黒田さんにとって「真田組曲」とはどのようなものなのでしょう。
大多和:「真田」がテーマですから、戦であったり、悲しみであったりと、とぼろげなイメージはあります。演奏に参加するに当たって、情景はより具体的に、悲しみはより悲しく、広さはより広く、演奏しようとしました。まるで色を塗っているような感じです。
黒田:僕も大多和さんの「色を塗っていった」という感覚に似た感覚をもっています。そもそも尺八には古くから自然や花鳥風月をそのものになって表現するという側面があります。そういった表現の部分で少しでも貢献できていければ嬉しいですね。
――「AKATSUKI」も5人で演奏するのは今回が始めてですよね。
TAIRIK:「AKATSUKI」は、TSUKEMENが一番演奏してきた曲で、或る意味、最もTSUKEMENらしい曲です。今までどういうわけか大黒TSUKEMENでは演奏してきませんでした。僕たちの中にはTSUKEMENの3人でやっているサウンドが当たり前のようにあったんですが、大黒TSUKEMENで演奏することで、それがどういった進化を遂げるのかが凄く楽しみですね。いつも聞いてくださっている方にとっても新鮮さを感じていただけるのではないかと考えています。
大多和正樹
――今回のコンサートでは、すでにお話を伺ってきた和のテイストの楽曲に加えて、これまでの演奏会で好評を博してきた「スペイン」も演奏されますね。
TAIRIK:「スペイン」はノリや勢いが大切になる作品で、その場、その場で何を紡いでいくのかというところに楽しみのある曲。今年の演奏と来年の演奏といった具合に、演奏は毎回違ってくるでしょうから、その時の流れを大切にして、5人で楽しみながら演奏したいですね。
黒田:毎回、みなさんの即興に驚かされます(笑)。それぞれの楽器が、元々、目指しているところは全く違うのに、こんなにも面白く熱い演奏になるのかというのも驚きですね。
KENTA:僕は「スペイン」と「真田組曲」の間にある振れ幅を楽しみたいな。この5人の編成なら、演奏力や集中力の表現だけではなく、アドリブもできます。ぎゅっとした集中と、それのほどけ具合を楽しんで欲しいですね。
黒田鈴尊
――5人の熱い夏の陣を楽しみにしています。最後にお客様に向けて、一言ずつお願いいたします。
大多和:この2年くらい、音楽が共にあるということがとても貴重だと強く感じてきました。世の中に音楽がずっとあって欲しいという気持ちと、皆さんと共有できる、貴重な時間があるという気持ちをもっています。是非、コンサートに足を運んでみてください。
黒田:この5人だからこそ、この時期だからこそ、この今だからこそ。みなさんと共有したい音と演奏を一緒に楽しむことにドキドキワクワクが止まりません!
KENTA:初となる音楽ホールでの公演です。これまで以上にそれぞれの楽器がもつ瑞々しい音色にじっくりと浸って楽しんでいただきたいですね。記念すべき出発点のようなコンサートとなると思います。是非、多くの皆さんに来ていただきたいです。
TAIRIK:人類が始めて音をたたきだしたときの様子を想像します。互いの言葉が分からなかったとしても、一緒に楽しむことが面白くって始まったような気がします。大好きなメンバーと共に出来るというこの感覚は絶対に伝わると思いますし、必ずよい音楽をお届けします。素晴らしい空間が出来ると思うので会場に来ていただきたいですね。
SUGURU:この数年間、5人で過ごしてきたことで一つのチームが出来上がりつつあります。また、プレーヤーとオーディエンスの壁を取り払って楽しめるような場が出来ると思います、皆さんも是非一緒に楽しみましょう!
取材・文=大野はな恵

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