日本のトップバレエダンサー達がQUE
ENに挑む『ROCK BALLET with QUEEN』

2021年7月8日、いよいよ『ROCK BALLET with QUEEN』の幕が上がる。そのカリスマ性とともに、世代を越えて今なお唯一無二の存在感と威光を放つ、世界的ミュージシャン「QUEEN」。今作はその音楽を題材としたバレエで、演出・振付には新国立劇場バレエ団のファーストソリストであり、同バレエ団をはじめオリジナリティあふれる様々な作品を発表している福田圭吾が挑む。そして出演するのは同バレエ団の井澤駿、米沢唯(共にプリンシパル)、東京バレエ団の秋元康臣(プリンシパル)、池本祥真(ファーストソリスト)、牧阿佐美バレヱ団の菊地研(プリンシパル)、長瀬直義(元東京バレエ団ソリスト)ら、日本のトップクラスのダンサーらだ。さらにピアニストとして壺阪健登(バークリー音楽院)が参加。「QUEEN」✕バレエという、ジャンルを超えた試みに臨むダンサーらの意気込みを、先頃行われた公開リハーサル時の談話を振り返りながらお伝えする。(文章中敬称略)
■ジャンルを越えて、バレエの魅力を伝えたい
この「ROCK BALLET with QUEEN」誕生のきっかけは、「バレエの魅力をバレエに縁のない人に知ってほしいと考えたとき、ロックとバレエを組み合わせてみてはどうだろう、と考えた。そしてQUEENならばロックをはじめ、ワルツなども多様な音楽性がありバレエにぴったりなのではないかと思った」とプロデューサーの石渡真美。そこで福田に演出・振付を依頼したところ、「喜んで引き受けた」と福田。とはいえやはり「最初は歌付きの曲に違和感はあった。でもQUEENのバラエティ豊かな曲に触れていくうちに、どんどん自分のイマジネーションが引き出されていくような感覚になった」と振り返る。
物語はロックバーで起こる男性4人の人間模様。バーで少し人生に疲れたのか、それぞれの思いに浸る井澤、秋元、菊地、長瀬らが音楽に触れることによって生きる力を取り戻す、というのがざっくりとした大筋だ。
本公演唯一の女性ダンサーである米沢は音楽の女神――いわばディーバ。その女神の先鞭を切るかのように、打ちひしがれているような男性らの間を軽やかに飛び回る池本は、彼等とディーバ・米沢を繋ぐメッセンジャーのような役割だ。「QUEENが大好きなので、その曲で踊れることがとにかくうれしいし、楽しい」と池本はにこやかに話す。
撮影:中島駿野
「(紅一点であるのが)ある意味役得。圭吾さんにありがとうと言いたいです(笑)」と茶目っ気も交えて話す米沢は、しかし踊りは彼女ならではのシャープなキレのある、動きをいかんなく発揮。それでいてハッとするような視線を投げかけ「ロックの女神がいるとすれば、こんな感じだろうか」と思わせられる説得力を放つ。「(踊ってみて)人の声の力、人の声が放つエネルギーに圧倒されている。フレディのあの絶叫エネルギーに負けないような踊りをしないと」(米沢)。
■「フレディに助けてもらっている」。大切にしたいQUEENの世界感
今回の出演ダンサーはプロデューサーの石渡の人選に、福田が「僕の作品を踊ったことがあるダンサーに入ってほしい」ということから同僚の井澤、米沢が加わった。菊地と福田はかつてコンクールなどで顔を合わせることがあるなど、知り合いとしては長い付き合いになるが、実際に共演するのは初めて。菊地は「圭吾の振り付けはいつか踊ってみたいと思っていた。こうした形で夢がかなってうれしい」と話す。
撮影:中島駿野
米沢とのパ・ド・ドゥも組まれている秋元は「素晴らしい人達ばかりで楽しい。この公演を通して今までにない自分を引き出せたら」と話せば、長瀬は「久々の大舞台。自分ならではの大人の雰囲気を出していきたい」と意気込みを語る。井澤もまた「素晴らしい方々との共演の機会をいただいた。皆さんに負けないように頑張りたい」と抱負を述べた。
撮影:中島駿野
音楽で参加する壺阪は昨年日本に帰国したばかり。「こうした機会をいただき、関わることができて幸せ。公演にむけて頑張りたい」と話す。
「振付の際に気を付けることは」という問いに、「QUEENの曲は一つひとつが確立されているので、その雰囲気を壊さないようにしていきたい」と福田。音楽に対しきめ細やかな振付をする、彼らしい回答が返ってきた。
世界のカリスマQUEENに挑む日本のダンサー達の挑戦。記念すべき瞬間を、ぜひ楽しみたい。
取材・文=西原朋未

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