SUPER BEAVERが、映画『東京リベンジ
ャース』の主題歌「名前を呼ぶよ」を
語るーー「男たちの生き様が自分たち
に重なった」

SUPER BEAVERの7月7日(水)にリリースされた新曲「名前を呼ぶよ」が映画『東京リベンジャーズ』の主題歌に決定した。同作品は北村匠海、吉沢亮、山田裕貴らをキャストに迎え、人気原作を実写映画化した『東京リベンジャーズ』が7月9日(金)より全国公開される。どん底の人生を送る青年・花垣武道が、あるトラブルをきっかけに高校時代へタイムリープ。当時の恋人や仲間と再会し、未来を変えるために奮闘する物語だ。そんな同作の主題歌「名前を呼ぶよ」は、大切な人の名前を呼び、その姿を追いかけるような楽曲の世界、映画で描かれている物語との親和性が非常に高い。今回はすでに『東京リベンジャーズ』を鑑賞したというSUPER BEAVERの渋谷龍太(Vo)、柳沢亮太(Gt)、上杉研太(Ba)、藤原”33才”広明(Dr)にその感想を尋ねながら、あらためて自分たちの過去について振り返ってもらった。
●SUPER BEAVERに近いものがあった
――今回、「名前を呼ぶよ」が映画『東京リベンジャーズ』の主題歌になってます。とても面白い映画でしたよね!
渋谷:自分たちが主題歌として携わったので、「どんな作品になっているんだろう」とちょっと緊張して映画を鑑賞しました。物語と音楽がリンクし、すべての面で好転しないとどちらにもよろしくないですから。映画、ドラマとタイアップするときは毎回のことなのですが、「僕らの曲がしっかり響いてくれますように」という願いと、あと作品への期待からくる「面白いものであってほしい」という願い。そのふたつが相まって緊張するんです。それに作品はフタを開けてみるまで分かりませんから。だけどそういう緊張感は最初だけでした。ずっと夢中になって観てましたし、気がついたら自分たちの曲が流れていたんです。「あ、自分たちの音楽がしっかりこの映画のなかで鳴っているな」と嬉しくなりました。
藤原:僕もすごく感動しましたね。主題歌を担当したからとかではなく、映画としてちゃんと面白い。俳優のみなさんの演技もすばらしかったし、仲間を想うシーンなど原作の良いポイントがきっちり描かれていて、人の心が感じられる物語でした。こういう映画の主題歌に抜擢していただいて本当に光栄です。
柳沢:最初から最後まで力が入ったし、漫画のキャラクターがまさにそのままスクリーンに出てきた感じでした。俳優さんたちにキャラクターが乗り移ってるみたいで。だけどただ似せるのではなく、気持ちをそのままキャラクターに持っていったというか。だから観る側もすごく引き込まれる。最初から最後まで拳を握って観ていました。
上杉:とてもクオリティが高かったですよね。俳優さんの演技、映像、アクションなどすべてが複合的となり、原作にもあった厚い人情の物語を築き上げていました。そもそも物語自体にシンパシーを感じました。男たちの生き様、葛藤、闘う姿、悩む姿は自分たちにも重ねられましたから。
――SUPER BEAVERに近いものがあった、と。
上杉:その場、その場で起きることに対して面と向かって闘うところが、SUPER BEAVERに似ているんですよね。人と人が対峙して生み出されるものは、良いことだけではなく、悩み、悲しみもあるはず。自分たちもそういうことをたくさん経験して、バンドを構築していくことができたので。シチュエーションは違うけど、自分たちの道のりを思い出しましたね。
――主題歌「名前を呼ぶよ」は映画の内容と見事にシンクロしていますよね。曲を聴くと、主人公・タケミチが当時の仲間たちの行方を追ってタイムリープする様が思い浮かびます。
柳沢:『東京リベンジャーズ』で大切な要素は、誰かを想う気持ち。そこはSUPER BEAVERとしてもずっと歌い続けてきたこと。今回はその点をあらためて丁寧に歌いたかったんです。そして、そうやって浮かんでくる感情はいずれも、誰かと出会ったことで生まれるものですから。
●みんな学生時代から今みたいなポジションだった
SUPER BEAVER 藤原"33才"広明
――今回の映画と楽曲の重要なテーマはまさに「人との出会い」。そこでSUPER BEAVERはどのようにして出会ったか、あらためて振り返ってもらいたいんです。ちなみに渋谷さんは雑誌『anan』でも旅の出会いについてコラムを執筆していらっしゃいますよね。5月19日(水)発売号では、「電車で見知らぬ人と乗り合うのも、出会いとして良い」というような内容を書いていましたが。
渋谷:僕は、自ら動いて誰かと出会おうとすることがかなり多いんです。出会う人の一人ひとりに人生があることは面白いじゃないですか。その人が何を見て、どんなことを思って生きてきたのか。そこに興味があって。出会いは、お互いにとって最先端な状態ですし。
――と、言いますと?
渋谷:出会ったその瞬間はお互い、自分の情報としてもっとも新しい状態。つまりその人の最先端と出会えている。そしてその人の感性、価値観を垣間見ることで、相手の人生にまで浸透していく感覚がある。もちろん自分について改めて見えてくるものもある。同じ時代に生きているのに、全然違う人生を歩んできた人の価値観に純粋に興味があるんです。そういう部分で出会いは何かの大事なキッカケになる。多くの人と出会って話を聞きたいんです。
――バンドの出会いの話でいくと、もともと渋谷さんと上杉さんは同じ学校の同学年だったんですよね。
上杉:渋谷との出会いは直感的なものがありましたね。仲良しグループの友だちだったわけではなかったし。僕はフォークソング部に入ってバンドをやっていて、渋谷はそこに所属はしていないけど遊びに来て、よく歌っていたんです。で、僕がやっていたバンドのボーカルよりうまかった。何よりも計り知れない謎のオーラがあって、「ああ、彼はきっと変なヤツなんだ」と思っていました(笑)。「こいつと一緒に何かを作れば面白いんじゃないか」と直感が働き、突拍子もなく「バンドをやらないか」と声をかけました。
――10代のときから渋谷さんは異質な存在感を放っていたんですね。
上杉:でも、今と変わらないんですよね。独特の空気と世界観を持っていたので。それはもともと人が持っているものだから、練習してがんばっても追いつけるレベルの話ではない。渋谷と何かやれば化学反応が起きる気がしてましたね。
――そこに同じ学校の後輩の柳沢さんが加わるわけですよね。でも中高時代は上下関係にシビアなところがありますよね。
柳沢:高校生のときだったから、最初はものすごく先輩に感じていました。ぶーやん(渋谷)はとても独特でした。髪型も独特で、とにかく目立ってる先輩だった。リーダー(上杉)はその当時からリーダー感があったんです。応援団の団長もやっていましたし。それぞれ当時から、今みたいなポジションに就いている感じでしたね。
――すごく些細な話なんですが、最初は敬語だったんですか?
柳沢:もちろん敬語でしたし、「渋谷先輩、上杉先輩」と呼んでいました。ふたりともすぐ「タメ語でいいよ」と言ってくれたけど、そんなの昨日、今日で変えられるものじゃないですよね。そこで無理やりつけたアダ名が「ぶーやん」「リーダー」だったんです。そうやって少しずつ距離を縮めていきました。
――そして柳沢さんは、幼馴染の藤原さんを連れて来ると。
藤原:自分は学校も違ったし、まったく関係ないところからバンドに入ったから不安は確かにありました。だけど出会った頃から現在まで、全員礼儀正しくて、人に対して平等だったんですよね。その感じが最初からみんなにあって、それに僕に対してもかなり気をつかってくれていた。居づらさはまったくなく、「良い人たちだな」とスッと溶け込んでいけました。
●ぶーやんが「女の子を取り戻しにいく」とスタジオから消えた
SUPER BEAVER 渋谷龍太
――だけど居心地の良さと打ち解けていくのは、また話が違いますよね。どういうことがあって打ち解けることができたんですか。
藤原:えっと、記憶が曖昧なんで間違ってるかもしれませんけど……。
渋谷:え、何を喋りだすの(苦笑)。
藤原:4人で1回目か2回目くらいにスタジオに入ったときなんですけど。ぶーやんがいきなり「女の子を取り戻しにいく」と言い出してスタジオから消えたんです。遅刻してきたんだっけ? 途中で出ていったんだっけ?
柳沢:あー、あった! 来なかったんじゃなかったけ。いや、帰ったのかな。
藤原:それがすごく印象に残っていて。スタジオから消えた瞬間だけは「うわ、なんかちょっと嫌なやつかも」と思ったんですけど、「女の子を取り戻しにいく」という理由を聞いて、「悪くないな、面白い」と思いました。
渋谷:いやあ、恥ずかしい限りです。
全員:ハハハハ(笑)。
藤原:自分が好きな女の子のために行動するなんて、男子っぽいですよね。そこにぶーやんの人間っぽさを見た気がして。「こういう人とバンドをやるのは良いな」と感じました。自分はそういうタイプじゃないから、なおさら面白かったんですよね。
渋谷:なんかいろいろあったんでしょうね、当時は。確か別れた彼女が別の人と付き合うとか聞いて、いてもたってもいられなくなったんです。だけど自分の当時のスタンスや理由、行動、今思い返してみると全部恥ずかしいです(苦笑)。
上杉:でもさ、江戸っ子感があるよね。「てやんでえ、こりゃあ行くしかねぇ」みたいな。そこは今も変わらない。こっちも「だったら行くしかねぇだろう!」と送り出すメンバーばかりだし。「練習は練習なんだから、それはダメだろう」ではなく、そこに確固たる意志があって、プレゼンテーションをちゃんとした上なら、「それだったら行くべきだ」と。で、渋谷がいなかったから3人で練習したのを覚えています。
柳沢:極端なことを言うと、それについてどうとも思わなかったよね。現在までに至る関係性も同じで、人にとって絶対的に大事なことって、天秤に掛けられるわけではない。今の話はすっかり忘れていたけど、思い出してきて「みんな変わってないな」と実感できました。
●好きな人たちと一緒にいると「生きていて良かった」
SUPER BEAVER 柳沢亮太 
――今の話自体が『東京リベンジャーズ』の内容に近いものがありますよね。あと『東京リベンジャーズ』と主題歌「名前を呼ぶよ」は「生きる実感」を思い描いた内容にもなっています。みなさん「生きていて良かったな」と感じられる瞬間はありますか。
上杉:毎日、感じています。夕方から夜になるとき「今日もちゃんと夜になって良かった」と。1日、1日が過ぎていくなかに自分がちゃんといて、朝から夜になって、今日が終わる、毎日が尊く感じられるんです。いつか夜を体験することのない日が来るわけですし、次の日の朝を迎えられない日も訪れる。そういう一つひとつの当たり前に、生きている感触を得ています。
柳沢:根本的に楽しいことが好きなので、ライブとかうまい酒を飲んだときはしんどかったことが吹き飛んで、「生きていて良かった」となります。そういう実感は一瞬だけかもしれないけど、その一瞬が大切なんですよね。
藤原:僕は最近「生きていて良かった」と思うことが増えたんです。自分の幸せではなく、友だちが結婚したとか、子どもが生まれたとか、恋人ができたとか人の幸せに喜びを得るように、自分の身に何かあったとかではなく、仲間の幸せを見て一緒に楽しめるようになりました。人の幸せからエネルギーを受け取って、「生きていて良かった」と。あと、純粋に人の幸せを喜べる自分自身で良かったとも思います。
渋谷:僕は基本的にはひとりで過ごす時間を大事にしていますね。ただ、生きていると実感できるのは、ほかの誰かと一緒にいるときだけ。別に「この人と一緒にいなきゃいけない」という決まりごとなんてないじゃないですか。自分で「この人と過ごしたい」と思って過ごす時間は尊いもの。ライブなどで好きな人たちと一緒にいる時間はやっぱり「生きていて良かった」と感じられます。これからもそういう時間を大事に積み重ねていきたいですね。
SUPER BEAVER
取材・文=田辺ユウキ 撮影=森好弘

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