あほの坂田。 再起の狼煙が上げられ
たソロツアーの最終到達点・大阪公演
をレポート

AHO NO SAKATA LIVE TOUR 2021 -Redo Parade-

2021.6.27(sun) Zepp Osaka Bayside
浦島坂田船のメンバーとしても活躍するあほの坂田。が、4都市でのソロツアー『AHO NO SAKATA LIVE TOUR 2021 -Redo Parade-』を有観客にて開催した。
“サーカス”をテーマにした2ndソロアルバム『Red Parade』を携え、本来であれば、2020年6月に開催を予定していたソロツアー。コロナ禍にあって、ツアーは中止となり、『Red Parade』は11月から通信販売限定の受注生産販売になるなど翻弄されたが、あほの坂田。は“諦めない男”である。1年を経てようやく開催できることになったツアーのタイトルは、『Red Parade』から『Redo Parade』に。“Red”に“o”を足した“Redo”とは、“やり直し”という意味。再起の狼煙がしっかりと上げられたツアーの最終到達点、6月27日の大阪・Zepp Osaka Bayside公演の模様をお伝えする。
あほの坂田。
華やかなホーンセクションの音をきっかけに幕が開くと、そこにはきらびやかな衣装に身を包んだあほの坂田。が。アルバム『Red Parade』と同じく、1曲目は「Rainbow Parade」だ。ここ1年、浦島坂田船としては無観客配信ライブを重ねてきたわけで、彼のイメージカラーである赤のペンライトを振る坂田家(あほの坂田。ファンの呼称)にしても、その絶景を目の当たりにするあほの坂田。にしても、感無量なことだろう。<いざ共に行こう>というフレーズにも、心が動く。かと思うと、間奏で突如シガーボックスを用いたジャグリングにチャレンジし、きまりきらなかったのか首をかしげて笑顔を見せるお茶目な場面も。
あほの坂田。
“君の笑顔が ずっと続きますように”という願いを込めてあほの坂田。が歌ったのは、「サニーデイ」。オーディエンスが声を出すことはできなくても、アーティストとオーディエンスが空間と時間を共有し、相乗効果を実感できるライブとは、なんてかけがえのないものなのだろう。
あほの坂田。の“かっこいい”面が際立ったのは、『Red Parade』に収録の「ボクは道化かもしれない」や、浦島坂田船のアルバム『RAINBOW』に収録のソロ曲「迷図」、ソロアルバム『キミに伝えたいこと』に収録の「純粋リバース 〜Hell or Heaven〜」。ロックな疾走感を完全に味方につけるその姿、突破力をたたえた歌声は、冒頭2曲とは別人のようだ。
あほの坂田。
『Red Parade』に収録の「MASK」は、大人な雰囲気を漂わせるジャジーなナンバー。赤や紫のライトに照らされながら、時にがなるように歌ったり、最後には狂気的な笑い声を響かせたり。巻き舌にもウィスパーボイスにもやさぐれ感がにじむ「コールボーイ」にしても然り、艶っぽい歌声、濁りのない高音、女性ダンサーとの絡みにもドキドキさせられた「Remelt」にしても然り、“憑依型”という言葉が浮かぶ。
「みなさんは、僕にとってかけがえのない存在。そんなみなさんのために歌います」と前置きしたのは、「君だけのピエロ」。<愛おしくてたまらない> <君>への混じり気のない想いは、フロアにいるひとりひとりの胸に深く深く刻まれたはずだ。
幕間映像では、ライブタイトルにちなみ、あほの坂田。がやり直したいこと=しばらく遠ざかっている運転にチャレンジ。ペーパードライバーだけれどかっこよく運転したい、と意気込むあほの坂田。をプロのレーシングドライバーが導き、人生初のドリフトを目指すことに。3時間、50回を越えるドリフト練習を経て、難易度の高い卒業検定に挑むこと10回目で合格。“諦めない男”の本領は、ここでも発揮された。
あほの坂田。
あほの坂田。
デニム生地のジャケットに着替えて、後半戦の始まりを告げたのは『Red Parade』に収録の「I'm Your Tamer」だ。ファンキーなテイストもあほの坂田。によく似合うし、<美しくしなう 腰の窪みさえ>と歌いつつ腰に手を這わせる姿には色気も感じる。ステージに用意された椅子と机、メイドに扮したダンサーと動画さながらな「ビターチョコデコレーション」にも高まってしまう。
あほの坂田。
声を出せなくても坂田家とコミュニケーションをとりたい!というあほの坂田。の気持ちがあふれたMCに続いたのは、「きみへ」。アコースティックギターを奏でながらの、ていねいな弾き語りだ。<ただ君が笑ってくれるだけでほら それだけで魔法のように 日々は色づくんだよ>というフレーズはじめ、その温かな歌声は、耳や心を満たしていく。ダンサーと共に、ステッキを使った華麗なパフォーマンスで魅せた「未完成ユートピア」。さらに、ポップにダンサブルに突き抜ける「ジャンキーナイトタウンオーケストラ」、中毒性が高すぎる「ねぇ、どろどろさん」と、楽曲によってがらりと表情を変える変幻自在ぶりも楽しい。
あほの坂田。
思うような活動ができなかった1年半近くの葛藤を吐露しつつ、坂田家とともに“やり直し”ができたことの喜びと感謝を真っ直ぐに伝えて、本編ラストは5月に動画投稿された「Redo Parade」。春夏秋冬繰り返すけれど、<今日の薄紅 色、匂い 今日だけのもの>。感情ほとばしる歌声を浴びながら、二度と戻らない一瞬一瞬を大切にしたいとあらためて思った。
鳴り止まない坂田家の拍手に答えて、再びステージに現れたあほの坂田。がアンコールで力強く届けてくれたのは、『Red Parade』の最後を飾る「ALIVE」、そして「スーパーヒーロー」だ。「歌うことと笑うことが大好き」な彼は、坂田家にとっての心の太陽。いつだって頼もしく、歩む道を明るく照らしてくれる。
あほの坂田。
あほの坂田。
なお、浦島坂田船は7月7日にアルバム『L∞VE』をリリースしたのち、『浦島坂田船 SUMMER TOUR 2021 ~甘い∞密のような♥をしない?キミの放課後はボクのモノ♥無限大の♥STARTぉ☆~』と題し、7月24日から9月20日にかけて有観客ツアーを実施。ワンマンツアーで磨かれたあほの坂田。のショーマンシップが、ますます色鮮やかに花開くことにもなるだろう。

文=杉江優花 撮影=堀卓朗

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