キラキラした青春とミュージカルの魅
力を再確認 『「オープニングナイト
」〜桜咲高校ミュージカル部〜』tea
m Blue ゲネプロレポート

横山だいすけ主演の完全新作ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』。男性メインキャストによるteamBlueと女性メインキャストのteamRedの2チーム構成で同一の内容を上演する斬新なシステムの本作が、2021年7月2日(金)よりスタートした。
上演に先駆けて行われたteamBlue(武藤 潤(原因は自分にある。)、杢代和人(原因は自分にある。)、大倉空人(原因は自分にある。)、瑛(あきら)、中谷優心、村上貴亮)のゲネプロの様子をお届けしよう。

<あらすじ>
新学期を迎え、新入生を迎える準備をしている高校教師テッペイ(横山だいすけ)。熱血教師の彼が担当するクラスの一人が、超エリート進学校である桜咲高校のミュージカル部に憧れて入学してきたマイト(武藤潤)だ。
「ミュージカル俳優になる」という夢を実現するため、しっかり者の親友・ヒロキ(杢代和人)と一緒に、廃部になっていたミュージカル部の復活を目指すマイト。
テッペイは歌が大の苦手だが、密かに思いを寄せるミオ先生(三倉佳奈)がミュージカル好きだと知ったことから、勢いで顧問を引き受けてしまう。
マイトとヒロキの奮闘により集まった仲間は、厳格な理事長(福井貴一)の息子で、自分の夢を打ち明けられずに悩んでいるオウタ(大倉空人)、妹のサラ(渡邉心結)を溺愛する不良生徒ユージ(瑛)、計算高い食いしん坊のタロウ(中谷優心)、ダンス力抜群のいじめられっ子ソースケ(村上貴亮)。
一癖も二癖もあるメンバーたちの前に、学問至上主義の校長(湖月わたる)や教師たちが立ちはだかる。また、校長に頭の上がらない教頭(野々村真)もミュージカル部設立に何か思うところがあるようで……?
様々な困難が待ち受ける中、ミュージカル部は無事に舞台初日「オープニングナイト」を迎えることができるのか――

ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
冒頭で流れる音楽は、オーケストラ風やロック調、ジャジーな雰囲気へと次々に移り変わり、これから始まる物語へのワクワクが高まる。
また、作中ではマイトがヒロキにミュージカルの楽しさを説明するために、「このシーンをミュージカルにすると……」と、ストレートの芝居をミュージカルでリプライズするシーンも。馴染みのあるダンスや曲調に「あるある」と頷きながら、「ミュージカルっていいな」と改めて感じることもできる。マイトが語るミュージカルにまつわる思い出に共感できる方も多いのではないだろうか。
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
横山演じるテッペイは、「ザ・体育教師」というイメージの明るく元気で気さくな先生。歌が苦手という設定のため美声を封印し、生徒たちの心に寄り添い、迷いながらも共に進む教師を熱く演じた。学校の教育方針や校長の思いへの理解と、生徒たちの熱意の間で揺れ、不器用ながらも必死に歩む姿が胸を打つ。
テッペイが顧問を引き受けるきっかけになったミオ先生は、ミュージカル部を見守り、背中を押す清涼剤のよう存在。あたたかい笑顔と柔らかい雰囲気が、ほっと一息つかせてくれる。
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』

ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』

ミュージカルへの情熱に溢れた新入生・マイトは、希望に満ち溢れた高校生のキラキラと、若さゆえの勢いを見事に魅せてくれる。自らの夢に向かってまっすぐ進んでいく姿が眩しく、学生時代の楽しさを思い出させてくれる。クールなツッコミ役・ヒロキとマイトの息のあった掛け合いも楽しい。目標達成に向けて突っ走るマイトを支え、共に歩むヒロキの友情にも胸が熱くなった。そして、理事長でもある父への反発心、アイデンティティに対する悩みを抱えてもがくオウタがマイトに出会って少しずつ変わっていく様子は、王道ながらグッとくる。
普段はボーカルダンスグループ「原因は自分にある。」のメンバーとして活動している武藤・杢代・大倉の三人だが、ミュージカル初挑戦と感じさせない落ち着きが印象的。湖月や福井といったベテランたちにも怯まず食らいつく彼らの姿が、それぞれの演じるキャラクターの設定とマッチし、さらなる熱さを生んでいた。
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
不良のユージは、いじめられているソースケを助けたり、妹相手にたじたじになったりと、気の優しさが随所から感じられて微笑ましい。ガラは悪いが空気の読める兄貴分といった佇まいで、ミュージカル部の雰囲気を引き締めていた。大食いキャラのタロウは飄々とした雰囲気が面白い。シンガーソングライターとしても活躍している中谷の艶と厚みのある歌声は魅力たっぷり。フェイク混じりの迫力ある歌唱がグッとくる。ソースケを演じる村上のキレのあるダンスと、美しいハイトーンが印象的な歌唱にも惹きつけられる。いじめられっ子らしいおどおどした態度と、パフォーマンス中の楽しそうな表情のギャップが鮮烈だ。
また、物語の主役はテッペイと生徒たちだけではない。
生徒目線だと頭が固く、融通が効かない大人たちに見えるが、生徒を導く存在としてのプライドや責任を持つ校長や教師たち、学校を信用せず、後継者である息子に自分が考える必要な経験を積ませたいと考える理事長にも、共感できるポイントはたくさんある。また、校長に頭の上がらない教頭がミュージカル部ついては校長に何度も進言するなど、大人たちの抱える事情や物語も見所に溢れている。

ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』

自分の夢や目標が明確になってくる一方、まだまだ世間知らずな部分もある「高校生」と、彼らを取り巻く教師たちにフォーカスし、学生の本分とは? 青春とは? 彼らを導く大人のあるべき姿とは? といった疑問を投げかけてくる本作。様々な立場の考えと言い分が繊細に描かれているため、それぞれのキャラクター目線で、いろいろな角度から物語を見ることができるはずだ。
マイトの情熱がテッペイに伝わり、生徒たちに「今しかできないことに挑戦するチャンスを与えたい」というテッペイの思いが周囲を少しずつ動かしていく。ついに校長だけでなく理事長や学校全体を巻き込んだテッペイとミュージカル部の行く末は? テッペイの恋心、理事長とオウタ親子の確執、校長が学問至上主義になった理由など、それぞれのドラマの結末は。
高校生から大人たちまで、登場人物一人ひとりの青春を、ぜひその目で見届けてほしい。

ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』

ミュージカル『「オープニングナイト」〜桜咲高校ミュージカル部〜』
取材・文=吉田沙奈 撮影=かしだたにたかし アークスインターナショナル

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