こまつ座第135回『日本人のへそ』WO
WOWでの放送を前に、井上芳雄×朝海
ひかるのインタビューが到着

「こまつ座第135回『日本人のへそ』作・井上ひさし 演出・栗山⺠也」が2021年7月17日(土)21:00からWOWOWで放送される。放送を前に、井上芳雄✕朝海ひかるのインタビューが到着した。
2021年3月〜4月にかけて全国5カ所で公演されたこまつ座135回公演『日本人のへそ』。本作は、好きなものをこの一作にすべて注ぎ込んだ、井上ひさしの劇作の原点。井上は1969年に『日本人のへそ』で演劇界へ本格的にデビューした。今回、東北へのオマージュを込め、10年ぶりに上演された。

左から、小池栄子、井上芳雄

出演するのは、井上芳雄、小池栄子、朝海ひかる、山⻄惇ら豪華キャスト。息をもつかせぬスピード感で疾走する、まるでおもちゃ箱をひっくり返したような、エネルギッシュなこの音楽劇を、大胆かつ巧緻に演出するのは⻤才、栗山⺠也。1980年に演出家デビューし、1996年に紀伊國屋演劇賞、読売演劇⼤賞最優秀演出家賞、芸術選奨新⼈賞を受賞。以降、栗⼭は同作をはじめ、『きらめく星座』『太鼓たたいて笛ふいて』『組曲虐殺』など井上作品を演出し、注目を集めた。今回、東京・紀伊國屋サザンシアター TAKASHIMAYAでの公演が放送となる。

吃⾳患者の治療をするために、東北の岩⼿から出てきて裸⼀貫でのし上がっていくヘレン天津というストリッパーの半⽣を、吃⾳患者たちが劇中劇で演じ始める。そして物語はそこで終わることなく、ラストスパートへ向けて急加速で発展していく⼈間模様の⽣々しさはストリッパー、ヘレン天津の怒涛の⼈⽣そのものだった。

井上芳雄✕朝海ひかる インタビュー
朝海ひかる、井上芳雄
――お互いについて、芝居への目覚めについて
井上:僕はルドルフを演じていないとここにいないですからね、いろんな意味で。朝海さんとはルドルフ繋がりですね。
朝海:そういうご縁があるよね。
井上:今やっているのは主にお芝居じゃないですか。その時から考えたら今みたいにお芝居するなんて考えられなかったですか?
朝海:考えられなかった。私は、『エリザベート』のルドルフを演じてから「舞台って楽しい」って思いました。
井上:結構遅めじゃないですか?
朝海:それまでは踊れたらいいやって。後ろで楽しく踊ったり歌ったりするのが好きでした。ルドルフがきっかけでお芝居に目覚めた。
井上:「こまつ座」に出る自分は?
朝海:全然考えられない。
井上:お芝居が好きなタカラジェンヌだと思ってました。
朝海:違う違う。でもそこ(『エリザベート』)から、お芝居で人の人生を生きるってなんて楽しいんだろうって思って。その後雪組に組み替えをして、その時“お芝居の雪組”と呼ばれてたので。雪組で、いろいろ勉強させてもらって、どんどんお芝居が好きになって。
井上:面白いですね。それで今ここに行き着いてるってわけですもんね。
朝海:芳雄くんは、ミュージカルでしょ?
井上:僕は、セリフとかいらないと思ってましたもん。あんまり長いセリフとかもらっても困っちゃうと思ってたんです。
朝海:なにがきっかけでお芝居やり始めたの?
井上:僕は「こまつ座」がもともと好きだったんですよ。観るのが好きで。でもやっぱり出たいなと思って、出るためには芝居しないといけないから。それで栗山さんにも教えてもらって。僕もこんなにお芝居をやるようになるとは全然思わなかったです。
左から、小池栄子、井上芳雄
――舞台裏について
朝海:膝がボロボロですよ。
井上:女性陣は本当に大変ですよね。ヒールも履いているし。着替えが多いですよね。朝海さんの方が僕より断然多い。
朝海:この間数えたら、上から着ている物とか羽織る物を全部数えると、1幕で12回くらい衣装変えてるかな。
井上:着替えるだけで疲れますよね。
朝海:そうだね、髪の毛とかもカツラを全部替えるので、それに女性はお化粧も変えているので。
井上:そっか。1幕全然止まってないですか?
朝海:止まってない。クリーニング娘の前はちょっと時間があるけど、そこだけ。あとはずっと走り回ってる。
井上:一瞬でばって脱いで、ぱって戻るとこありますよね。
朝海:芳雄くんの役は早着替えある?
井上:僕はあんまり、早替えっていうのはないんですよ。だからそんな大変じゃないんですけど。靴下を袖で脱いだり履いたりしているのが、後半疲れてきてね。座らないと靴下が履けなくなっちゃう。
朝海:どんだけ足腰弱いの(笑)
井上:傾斜っていうのが足腰きますね。
朝海:今回の八百屋舞台(傾斜がついた舞台)は普通の倍ぐらいに角度がある感じがします。そこで、踊ったり歌ったり転がったり皆さんしてるので。
井上:あんまり後ろに行きたくないですもんね。ただ歩いてるように見えて、登ってるわけだから。ものすごく考え抜かれたセットと演出ですよね。
朝海:稽古場の最初に栗山さんがが「いいセットだろう」ってすごいおっしゃていて。やっぱり考え抜かれたセットですね。
左から、朝海ひかる、小池栄子
――10年前(2011年)の舞台について
井上:10年前のご覧になっているんですか?
朝海:はい。
井上:僕も観てます。どんな印象でした?
朝海:萬長(辻萬長)さんが駅名を言っていくのが、すごい印象に残ってて。私仙台出身なので、仙台とかその辺りの駅名になじみがあるし、自分も降り立ったことある駅とか言ってくれるから、すごいゾクゾクして。
井上:うらやましい。福岡の駅も言って欲しい。
朝海:だから自分でもシュッシュポッポやってても、今あの辺だとか、すごいよくわかるの。
井上:山西(山西惇)さんも覚える時、本当は全部の駅に行こうと思ったんですって。でもコロナ禍で行けなかったから、グーグルでみてイメージしながら覚えたって言ってました。
朝海:そうなんだ。そのイメージが強いからちゃんと間違わないででてくるんですね。
井上:染み付いてますもんね
朝海:間違えたことないですもんね。稽古場から一回も。芳雄くんは最初に観た時は?
井上:最後は「なんじゃこりゃ」って思った記憶がすごくて、なんかすごいものみちゃったっていう印象でした。
左から、小池栄子、井上芳雄
――台本を最初に読んだ印象
朝海:改めて台本読むと、「あー!」って思うよね。言葉一個ずつ咀嚼(そしゃく)すると
井上:ちゃんとわかってくると、さらにすごい作品なんだなっていうのがわかる。いろんなものが詰め込まれて、1回観たくらいじゃ全てはわからないですよね。
朝海: 一個ずつのセリフの中にいろんな意味が入っていたりするから。
井上:全部わからなくても楽しめる作品でしょうし、わかったらわかったでハマる作品だと思いましたね。
朝海:改めて読んだ時はどう思いました?
井上:大変そうだな、とは思いましたね。いろんな役柄をやるし。やったことないタイプの役も多いし、「こまつ座」に出るって、お芝居とか演劇の根本に戻るというか。朝海さんは?
朝海:やっぱり井上先生の戯曲を、声に出して自分たちがセリフとして誕生させる時って何か特別な思いがする。
井上:責任もありますしね。
朝海:先生がこれを書かれた時の思いとか。栗山さんが「きっとこの一言だけで1週間ぐらい考えたよ」とかおっしゃるんですが、そうなんだと思うと、一言一言の重みがね。言葉への向き合い方を改めて考えさせられると言うか。
井上:「こまつ座」ならではの意気込みもありますよね。
朝海:何が本当で何が嘘かわからないって言うのがこのお芝居の一つのテーマになっているので、どのセリフをとっても表と裏があると思うと楽しい。
左から、山﨑薫、大内唯、山西惇、木戸大聖、前田一世、藤谷理子、井上芳雄、朝海ひかる、岩男海史、小池栄子、土屋佑壱、久保酎吉、安福毅
写真=宮川舞子

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