布袋寅泰、
新曲と映像作品について語る!
40周年記念映画も2022年に公開!
6月30日、『布袋寅泰 40th Anniversary EP & Live Film リリース記念 スペシャルトークセッション』がYouTubeで配信された。同日、2タイトルが同時発売された、布袋寅泰のアーティスト活動40周年の第1弾リリースとなるEP『Pegasus』と、映像作品『40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”』との発売を記念して行なわれた、まさに“特別なトークイベント”。お相手を務めたのは人気ラジオ番組のナビゲーターとしても知られるクリス・ペプラー氏で、氏とは旧知の仲である布袋は終始リラックスしつつも、予定を上回る50分超の時間をかけて真摯に言葉を紡いでいた。その内容はファン必見のものであったことはもちろんだが、J-ROCK、J-POPの現状を考える上でも貴重なセッションではあったと思う。
ファンには嬉しい新音源、新映像作品について布袋が語った部分。まずその要点をまとめてみよう。EPのタイトルチューンでもある新曲「Pegasus」は“どこを切っても布袋節満載の曲に仕上がった”と本人。“昔ながらのファンのみなさんには、懐かしいリフだなと思う。BOØWYの頃を彷彿させる”と続けながらも、“聴いたら弾きたくなるリフ。でも、そこにはちょっとしたトリックがあって、そう簡単にがコピーはできないように仕上がっている”とベテランならではの自信を示す。確かにエッジーで疾走感があり、さらにメロディアスというギターフレーズは、布袋楽曲以外でそう聴けるものではない。楽曲全体のモチーフは、伝説の生き物“ペガサス”が翼を広げて羽ばたく映像をイメージしたところから浮かんだものだという。“人間が創り出したイマジネーションの動物だけど、今の時代を象徴している。みんな、自分で自分自身を縛っているところがあるから、そこから解放したい”と楽曲に込めたメッセージを改めて語ってくれた。
「10年前の今日のこと」は「Pegasus」から一転、リズムレスのアコギ弾き語り。今回のEP収録曲のギターは全てロンドンの自宅で録音したものということだが、この楽曲は“冬から春を告げるロンドンの柔らかい日差し”の中で、“東日本大震災から10年、家族でロンドンに移って来年でもう10年……10年ひと昔、自分の歩んできた道を手繰るよう”に作ったものだという。“10年前を歌いながら“今”を歌っている歌”“新旧のファンのみなさんそれぞれに、新鮮で違った響き方をするだろうし、(コロナ禍で)今は立ち止まっているけど、流れている時間をもう一回見つめてほしい”と付け加えた。
「上を向いて歩こう(Instrumental)」はロックダウン中のロンドンでふとこのメロディーを爪弾いたことで、“これは言葉にしなくとも歌える曲だな”と気づき、“いつの時代も僕ら気持ちを上向きにしてくれる曲。今こそみんなに届けたい”と今回のEPに収録することになった。“歪ませ過ぎてもいけないし、ビブラートばかりかけるのも嫌いなのでテレキャスターで弾いて、(しかも)パートパートでダビングすると気持ちが途切れちゃうから”という理由で、70テイク以上も録った中から厳選したテイクだという。自身のプレイと録音状態にこだわる抜く姿勢に、布袋寅泰の布袋寅泰である所以を見た思いがする。
格闘技イベント『RIZIN』のテーマソングとして昨年末からTV中継でオンエアされている「D.O.F. (Death or fight)」も今回のEP『Pegasus』に収められている。待望の収録だ。“応援するファンの人たちももちろんのこと、命がけでリングに上がっていく選手たちの気持ちを高揚させるもの”に加えて、ファイターそれぞれにある試合に臨むまでの“ドラマチックな部分”も意識したそうである。
一方、『40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”』に関しては、緊急事態宣言が発令されて無観客配信となった当日を振り返り、“悔しくて、寂しくて、孤独で、一瞬、涙が(出そうになった)”“今も無観客の会場が映ると胸が痛くなる”と言いながらも、これから同作品を鑑賞する人たちに向けて“それぞれが好きな席に座って、ご自宅を“ライヴハウス・武道館”に変えて、美味しいビールを飲みながら楽しんでほしい”と前向きに語る。
この40年間で布袋寅泰が手掛けたナンバーを2日間に分けて披露した同公演。初日はBOØWY、COMPLEX、ソロの初期ナンバーも演奏されたが、BOØWYが4人バンドであったがゆえに“頭の中で鳴っていたシンセの音、サックスの音を全部ギターで表現していた”と述懐しつつ、今のバンドメンバーにはサックス奏者が居ることで、過去曲を“完全化できた”という。“熱狂だけではない、布袋寅泰の40年の音楽をじっくりと楽しんでもらえる”と、これもまた内容に関しては実に満足気に語ってくれていた。
DISC-2に収められた2日目のライヴには吉井和哉がゲスト出演。布袋はクリスと共にそのダイジェスト映像を観ながら、“無観客になってしまったので、ひょっとしたら吉井くんはお断りになるかなと思ったんだけど、“いやいや、やりますよ! 当たり前じゃないですか!? 僕たちのステージじゃないですか!?”って、心意気で駆けつけてくれて…”という裏話も教えてくれた。そんなエピソードを知ると、このライヴ映像はさらに胸熱で見ることができるのではないだろうか。
すでに告知されていた今秋からの全国ツアーのタイトルも『HOTEI 40th Anniversary ~Double Fantasy Tour~ "BLACK or WHITE ?"』であることが発表された。このツアーは凡そ2デイズ公演になっているので、『40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”』のような、Day1がバンド時代~ソロ初期、Day2がソロでの代表曲という構成になるのかと思いきや、“シャフルしたかたちで、何が出てくるか分からない”“まったく違うセットリストでやろうと思ってる”と布袋は予告。“黒が好きな人も、白が好きな人もいますよね?”と意味深な言葉も残してくれた。さらには、コロナの感染状況が予断を許さない中、何もしないことが安全策であることは認めつつも、“(音楽を)絶やさないという意志をしっかり持って、力を合わせて立ち向かっていく”という意味合いも込めて、この全国ツアーを開催すると力強く言い放った。そこには、日本のロックシーンを創造し、40年間、けん引し続けてきたトップランナーとしての責任感のようなものが垣間見えた。
そして、このトークセッションに最後には、映画『Still Dreamin’〜布袋寅泰情熱と栄光のギタリズム〜』が制作されることが発表となった。制作の指揮を取る石田雄介監督が今まさに布袋寅泰40年間の軌跡を収めたさまざまなデータを集めている最中で、撮影は今も続いているとのこと。布袋自身も“ストーリーはこれからコンティニューしますから、どこまで追えるか?”と、どういう内容に仕上がるのか興味深そうだ。“Still Dreamin’”というタイトルは、もちろんBOØWYの代表曲のひとつであり、ソロでも披露している「Dreamin’」の引用であるが、“夢って叶えることが全てじゃなくて、追いかけ続けることに意味があると思うし、“Still”なんだというところが僕の生き様だと思う”と言い、映画の題名が40年間の軌跡そのものだと語る布袋。“アーティスト活動を記念したドキュメンタリーとはちょっと違う”ということで、2022年の公開を楽しみにしたいところだ。
サッとこの日のトークセッションを振り返ったが、さすがにその全ては書き尽くせない。よもやファンは見逃していないとは思うが、もし万が一、まだ見ていないという人には、7月5日午前23時59分までアーカイブ配信されているので、急いでこの貴重なトークセッションを味わってほしい。
photo by 山本倫子
text by 帆苅智之
■HOTEI 40TH ANNIVERSARY SPECIAL SITE
https://sp.universal-music.co.jp/hotei/40th/
ファンには嬉しい新音源、新映像作品について布袋が語った部分。まずその要点をまとめてみよう。EPのタイトルチューンでもある新曲「Pegasus」は“どこを切っても布袋節満載の曲に仕上がった”と本人。“昔ながらのファンのみなさんには、懐かしいリフだなと思う。BOØWYの頃を彷彿させる”と続けながらも、“聴いたら弾きたくなるリフ。でも、そこにはちょっとしたトリックがあって、そう簡単にがコピーはできないように仕上がっている”とベテランならではの自信を示す。確かにエッジーで疾走感があり、さらにメロディアスというギターフレーズは、布袋楽曲以外でそう聴けるものではない。楽曲全体のモチーフは、伝説の生き物“ペガサス”が翼を広げて羽ばたく映像をイメージしたところから浮かんだものだという。“人間が創り出したイマジネーションの動物だけど、今の時代を象徴している。みんな、自分で自分自身を縛っているところがあるから、そこから解放したい”と楽曲に込めたメッセージを改めて語ってくれた。
「10年前の今日のこと」は「Pegasus」から一転、リズムレスのアコギ弾き語り。今回のEP収録曲のギターは全てロンドンの自宅で録音したものということだが、この楽曲は“冬から春を告げるロンドンの柔らかい日差し”の中で、“東日本大震災から10年、家族でロンドンに移って来年でもう10年……10年ひと昔、自分の歩んできた道を手繰るよう”に作ったものだという。“10年前を歌いながら“今”を歌っている歌”“新旧のファンのみなさんそれぞれに、新鮮で違った響き方をするだろうし、(コロナ禍で)今は立ち止まっているけど、流れている時間をもう一回見つめてほしい”と付け加えた。
「上を向いて歩こう(Instrumental)」はロックダウン中のロンドンでふとこのメロディーを爪弾いたことで、“これは言葉にしなくとも歌える曲だな”と気づき、“いつの時代も僕ら気持ちを上向きにしてくれる曲。今こそみんなに届けたい”と今回のEPに収録することになった。“歪ませ過ぎてもいけないし、ビブラートばかりかけるのも嫌いなのでテレキャスターで弾いて、(しかも)パートパートでダビングすると気持ちが途切れちゃうから”という理由で、70テイク以上も録った中から厳選したテイクだという。自身のプレイと録音状態にこだわる抜く姿勢に、布袋寅泰の布袋寅泰である所以を見た思いがする。
格闘技イベント『RIZIN』のテーマソングとして昨年末からTV中継でオンエアされている「D.O.F. (Death or fight)」も今回のEP『Pegasus』に収められている。待望の収録だ。“応援するファンの人たちももちろんのこと、命がけでリングに上がっていく選手たちの気持ちを高揚させるもの”に加えて、ファイターそれぞれにある試合に臨むまでの“ドラマチックな部分”も意識したそうである。
一方、『40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”』に関しては、緊急事態宣言が発令されて無観客配信となった当日を振り返り、“悔しくて、寂しくて、孤独で、一瞬、涙が(出そうになった)”“今も無観客の会場が映ると胸が痛くなる”と言いながらも、これから同作品を鑑賞する人たちに向けて“それぞれが好きな席に座って、ご自宅を“ライヴハウス・武道館”に変えて、美味しいビールを飲みながら楽しんでほしい”と前向きに語る。
この40年間で布袋寅泰が手掛けたナンバーを2日間に分けて披露した同公演。初日はBOØWY、COMPLEX、ソロの初期ナンバーも演奏されたが、BOØWYが4人バンドであったがゆえに“頭の中で鳴っていたシンセの音、サックスの音を全部ギターで表現していた”と述懐しつつ、今のバンドメンバーにはサックス奏者が居ることで、過去曲を“完全化できた”という。“熱狂だけではない、布袋寅泰の40年の音楽をじっくりと楽しんでもらえる”と、これもまた内容に関しては実に満足気に語ってくれていた。
DISC-2に収められた2日目のライヴには吉井和哉がゲスト出演。布袋はクリスと共にそのダイジェスト映像を観ながら、“無観客になってしまったので、ひょっとしたら吉井くんはお断りになるかなと思ったんだけど、“いやいや、やりますよ! 当たり前じゃないですか!? 僕たちのステージじゃないですか!?”って、心意気で駆けつけてくれて…”という裏話も教えてくれた。そんなエピソードを知ると、このライヴ映像はさらに胸熱で見ることができるのではないだろうか。
すでに告知されていた今秋からの全国ツアーのタイトルも『HOTEI 40th Anniversary ~Double Fantasy Tour~ "BLACK or WHITE ?"』であることが発表された。このツアーは凡そ2デイズ公演になっているので、『40th ANNIVERSARY Live “Message from Budokan”』のような、Day1がバンド時代~ソロ初期、Day2がソロでの代表曲という構成になるのかと思いきや、“シャフルしたかたちで、何が出てくるか分からない”“まったく違うセットリストでやろうと思ってる”と布袋は予告。“黒が好きな人も、白が好きな人もいますよね?”と意味深な言葉も残してくれた。さらには、コロナの感染状況が予断を許さない中、何もしないことが安全策であることは認めつつも、“(音楽を)絶やさないという意志をしっかり持って、力を合わせて立ち向かっていく”という意味合いも込めて、この全国ツアーを開催すると力強く言い放った。そこには、日本のロックシーンを創造し、40年間、けん引し続けてきたトップランナーとしての責任感のようなものが垣間見えた。
そして、このトークセッションに最後には、映画『Still Dreamin’〜布袋寅泰情熱と栄光のギタリズム〜』が制作されることが発表となった。制作の指揮を取る石田雄介監督が今まさに布袋寅泰40年間の軌跡を収めたさまざまなデータを集めている最中で、撮影は今も続いているとのこと。布袋自身も“ストーリーはこれからコンティニューしますから、どこまで追えるか?”と、どういう内容に仕上がるのか興味深そうだ。“Still Dreamin’”というタイトルは、もちろんBOØWYの代表曲のひとつであり、ソロでも披露している「Dreamin’」の引用であるが、“夢って叶えることが全てじゃなくて、追いかけ続けることに意味があると思うし、“Still”なんだというところが僕の生き様だと思う”と言い、映画の題名が40年間の軌跡そのものだと語る布袋。“アーティスト活動を記念したドキュメンタリーとはちょっと違う”ということで、2022年の公開を楽しみにしたいところだ。
サッとこの日のトークセッションを振り返ったが、さすがにその全ては書き尽くせない。よもやファンは見逃していないとは思うが、もし万が一、まだ見ていないという人には、7月5日午前23時59分までアーカイブ配信されているので、急いでこの貴重なトークセッションを味わってほしい。
photo by 山本倫子
text by 帆苅智之
■HOTEI 40TH ANNIVERSARY SPECIAL SITE
https://sp.universal-music.co.jp/hotei/40th/
『布袋寅泰 40th Anniversary EP
& Live Film リリース記念
スペシャルトークセッション』
アーカイブ
「Dangerous feat. 吉井和哉」 from
『40th ANNIVERSARY Live
“Message from Budokan”』
映画『Still Dreamin’ 〜布袋寅泰
情熱と栄光のギタリズム~』
特報映像
映画『Still Dreamin’ 〜布袋寅泰
情熱と栄光のギタリズム~』
監督:石田雄介
制作:東北新社
配給:東宝映像事業部
公開日情報:2022年公開予定
(c)2022 Still Dreamin' 製作委員会
■公式サイト
https://umusic.jp/hotei_moviePR
■公式Twitter
https://twitter.com/hotei_40thMovie
制作:東北新社
配給:東宝映像事業部
公開日情報:2022年公開予定
(c)2022 Still Dreamin' 製作委員会
■公式サイト
https://umusic.jp/hotei_moviePR
■公式Twitter
https://twitter.com/hotei_40thMovie
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