ふぉ〜ゆ〜による伝説の公演再び!歌
あり、タップあり、マジックあり……
見所だらけの『SHOW BOY』ゲネプロ・
囲み取材レポート

2019年に上演され、「ふぉ〜ゆ〜の最高傑作」と高い評価を受けた『SHOW BOY』が、2021年7月1日(木)シアタークリエにて開幕した。シアタークリエでのふぉ〜ゆ〜オリジナル公演の中では初の再演作品に、2021年4月で結成10周年を迎えた彼らが挑む。
新キャストとして中川翔子、高田翔、高嶋菜七、瀬下尚人らを迎えてパワーアップした本作のゲネプロと、ゲネプロ後に行われた囲み取材の様子をお届けしよう。

<あらすじ>
物語の舞台は東京湾に浮かぶ大型カジノ豪華客船。
オリンピックを間近に控えた東京のエンターテインメントの象徴であるその客船は、水上を動くラスベガスと呼ばれている。
ある日、客船の目玉であるショーの開演前に、ディーヴァが牡蠣にあたってしまう。
代わりの出演者探しと平行し、船上では4人の男たちの宝石のような4つの物語が動き出す……。
※以下、劇中の写真やキャラクター・内容に関するネタバレを含みます。
開演前からステージには水面や星空が広がり、豪華客船内という非日常に誘われる。セットや照明、映像を巧みに使い、豪華な船内や華やかなパフォーマンスを描き出す演出と、各シーンにマッチした音楽も本作の大きな見どころと言えるだろう。
本作は、豪華客船で行われるショーが始まるまでの1時間に起きる様々な物語にスポットを当てたオムニバス形式の作品だ。最初は意味がわからなかった台詞や、突然登場する不思議な格好のキャラクターたちの背景、キャラクター同士の意外な繋がりが、物語が進むにつれて分かっていくのが楽しい。メタ的な台詞やコミカルなやりとりも多く、客席からは度々堪えきれない笑い声が上がっていた。
『SHOW BOY』
裏方(福田悠太)は、主演ダンサー(高田翔)や姉である支配人(中川翔子)に無茶な要望を押し付けられながらも、掃除やアイロンがけ、人探しといった雑用に奮闘。怪我でダンサーを引退した彼だが、後輩である主演ダンサーに向ける言葉、軽快にタップを踏む楽しそうな姿からはパフォーマンスへの熱い思いが感じられる。切れ味の鋭いダンスを披露するシーンも多く、見応えたっぷりだ。
全財産を失ったギャンブラー(越岡裕貴)と大金を持つ少女(桐島十和子)は、ひょんなことから姪と叔父さんとして行動を共にすることに。賢く生意気な少女に翻弄される情けないおじさんの構図が微笑ましい。自らの境遇を話したり、ピアノの連弾をしたりする中で心を通わせていく様子に胸が熱くなり、ギャンブラーと少女がお互いの言葉に勇気をもらう様子がグッとくる。
ひときわ異彩を放つ中国マフィア(松崎祐介)は、ビジュアルのインパクトに負けない個性的なキャラクター。拳銃の取引を進めている時や、通訳(瀬下尚人)に対して凄む時の強面と、愛する子どもとの電話で見せるデレデレしたパパの顔のギャップに思わず笑ってしまう。その他にもユーモラスでお茶目なシーンが多く、マフィアだが悪人とは思えないかわいらしさがある。
10年間試験に失敗しつづけ、ついにクビになったマジシャン見習い(辰巳雄大)のとぼけた雰囲気も楽しい。次々にマジックを失敗するシーンは観ていてハラハラしてしまうほどおぼつかない手付きだが、エンジェル(高嶋菜七)の前やクライマックスシーンでは難易度の高いマジックも危なげなくこなしていく。客席を巻き込んだ演出もあり、成功すると拍手が起きていた。
『SHOW BOY』
また、4人の男たちの物語に大きく関わるキャラクターたちも魅力に溢れている。
支配人はマジシャン見習いの恋の応援をしたり、ディーヴァの代役(だと勘違いしたマフィア)の背中を押したりするほか、ショーの中ではアドリブで客席を沸かせる。見習いの扱い方に戸惑う師匠・ミスターマジック(辰巳智秋)や、マフィアに脅される通訳のコミカルな芝居や、ショーで見せるパフォーマンスも圧巻だ。さらに、口の悪いショーガール・エンジェル、エンジェルにベタ惚れの主演ダンサーといった面々の複雑な恋模様も見逃せない。
コミカルでポップな中にそれぞれの挫折や苦悩が描かれ、様々な偶然が重なって4人の運命が交錯する本作。4人が勇気を持って一歩踏み出し、共にステージに上がるクライマックスは、本当に楽しく、明るい気持ちになる。
ディーヴァの代役として堂々とステージに立つマフィア、主演ダンサーと一緒にタップを踏む裏方、マジックを見事に成功させる見習い、それぞれのステージに乱入するギャンブラーのキラキラとした姿、彼らを取り巻く人々の幸せな笑顔に、元気と勇気をもらうことができるはずだ。
左から越岡裕貴、福田悠太、辰巳雄大、松崎祐介、中川翔子
ゲネプロ後の囲み取材には、ふぉ〜ゆ〜の福田悠太、辰巳雄大、越岡裕貴、松崎祐介と、支配人役の中川翔子が登壇した。
――2年ぶりの再演ということで、今の気持ちを聞かせてください。
越岡:初演が終わった時にはもう「(再演を)やります!」と声をかけていただいていたので、絶対やりましょうと言っていました。
松崎:終わった瞬間始まりましたね。
越岡:どういうことだよ(笑)!
辰巳:まさに終わりは始まりだというのをこの作品で知ったというか。終わった瞬間「また絶対やろう」と言っていただけて。僕らは大変な時期の中でもたくさん舞台をやらせていただいて、今年もこの作品までにメンバーそれぞれ3〜4本舞台に出ているので、グループとして日本一ステージに立っていると自負しています。その中で、この夏『SHOW BOY』という作品をできる。諦めない大切さをすごく感じています。
中川:私は1年に2本出るのが初めてなんですが、皆さんすごいんですよ。2年ぶりなのに、場所とか歌詞とかほとんど全部覚えていて。ジャニーズいちの仕上がりだと思います!
――舞台出演を重ね、経験を積んだ成果だと思いますが、自分たちの成長を実感することはありますか?
越岡:稽古場で、それぞれがそれぞれの道で活躍してきたんだなっていうのは見えますね。お芝居をしていて、変わったなって。具体的に言うと、みんなが自分の持ち味を発揮できるようになってきて、いい味が出ています。だから4人揃ったこの『SHOW BOY』は最強です!
辰巳:僕らも少年隊みたいになってきたかなと。舞台に立った時、「舞台が生きる場所」っていう感覚になってるなって見てて感じますし。僕らはこの2年間でたくさんの演劇をやらせてもらって、しかも結構毛色の違う作品が多くて。特に福ちゃんなんかはミュージカルスターですし?
福田:そうですね。ミュージカルスターです!
辰巳:僕もストレートとかたくさんやらせていただいて。アンサンブルの皆さんも、有名な作品にたくさん出て、またこうして『SHOW BOY』に集まっているので、とんでもない作品になっているなというか、いろんなエンターテインメントが凝縮して『SHOW BOY』にやってきたという気持ちで舞台に立っています。
福田:再演ということでレベルアップした部分もたくさんあります。一番の特徴は、スタッフさんの愛情をすごく感じまして。初演の時はセットが手動だったんですけど、今回はワイヤーで……。
辰巳:福ちゃんごめん、あれ(今回も)手動なんだ。手で巻いてるから。
福田:でも前回は押してたから!
越岡:(客席には)見えてないのよ。
福田:稽古初日に、スタッフさんが一番力を込めて話してくれた部分なので。
辰巳:確かに、僕らに自慢してくれたからね(笑)。
福田:あと、横のパネルが2枚増えたんです! プロデューサーが言ってました。あれによって奥行きが出る!
中川:(セットのことは)全然知らなかったけど、とにかくアップデートされています。裏もすごいんですよ。こんな大変な舞台初めてです。でもこんなに楽しい舞台も初めて!
――中川さんはふぉ〜ゆ〜の皆さんと初共演です。どんな印象ですか?
中川:風間俊介先輩から「大丈夫、ふぉ〜ゆ〜は素晴らしい。人間ができてるよ!」と聞いて安心して稽古場に入ったんですが、本当にその通り! 大人の落ち着きのあるナイスガイたちです。
辰巳:風間くんっていう時点でちょっと嘘くさいですよね(笑)。
――(作中の)MCで支配人が色々喋りますが、内容は毎回変えるんですか?
中川:稽古場含めて全部変えています。43公演あるんですけど、目標は全部変えて、皆様にちょっといい話を持ち帰っていただけたら。アドリブも頑張ります。眼球2個じゃ足りない世界なのでリピートしたくなると思いますし、席によって違うものが見えてくると思うのでぜひリピートしてください!
『SHOW BOY』
――ふぉ〜ゆ〜の皆さんは、見て欲しいところはありますか?
越岡:見て欲しいところだらけで選べないですね。役の目線に立って、4〜5回来ていただけると嬉しいなってくらい、目が足りない作品です。
福田:例えばこっちで見所になるシーンをしているときに、別の場所でも見所のシーンをやっているので、見所✕見所です。
辰巳:この作品って、豪華客船の中で行われるショーのために動いている1時間前のストーリーを、それぞれの目線で楽しめるオムニバスなんです。だからその中で、最初っから最後までいろんなことが隠れていて、それが繋がっていく。見終わってからもう一回見たら、また全く違う世界が楽しめるような作品になっているので、自分なりに物語の鍵を見つけて楽しんでいただけたら。
松崎:僕は赤いパンツですかね。中国マフィアが途中でパンツ一丁になるんですけど、あれだけ怖い感じなのにパンツは可愛いんだっていう。人間ていうのは下着があってこそですからね。
――辰巳さんは手品もすごいですよね。
辰巳:手品がレベルアップしちゃったんですよ! リアルマジシャンRYOTAさんに指導していただいているんですが、半分くらい前回からグレードアップして。前回一緒だったキャストさんも驚いてくれるようなマジックに挑戦しています。
――松崎さんの中国語は全部本当に話しているんですよね?
松崎:はい。前回観に来てくださった方に「松はいいよね、適当に喋ってればいいから」って言われたんですけど、先生とマンツーマンで勉強したんです! 今回は、中国語のクオリティを上げて、さらに中国語を喋るだけじゃなくて人間の素質? 性質? 言葉が通じなくても気持ちで通じ合うみたいな。ね!
越岡・福田・辰巳:「ね!」って……(笑)。
中川:本当に喋ってたんだ! 初日からペラペラだったから、適当に喋ってるのかと思った(笑)。
辰巳:本当に完璧なんですよ、発音も綺麗に練習してて。でも堂本光一くんに「松は適当でいいな」って言われて、ちょっと怒ってるのを僕らは目撃しました(笑)。今回も観に来てらおうよ。
松崎:光一くん、前回観て「支配人やりたい!」って『SHOW BOY』大絶賛してたからね。
中国語が適当だと思われたことへの怒りを爆発させる松崎
――ふぉ〜ゆ〜から見た中川さんの印象はどうですか?
辰巳:登場した時の華やかさもですし、歌声がすごく素敵で。この作品にはたくさんの素敵な歌があるんですけど、そこに新たなパワーを生んでくれています。愛を感じる歌声で、『SHOW BOY』がまたパワーアップしたと思います。
中川:こういう風にちょこちょこ褒めてくださるんですよね。それで士気が上がります。あとは、階段を降りるシーン、何もないところで足が絡んで転んだりしていたんですが、弟くん(裏方役の福田)が介助してくれたり。みんなの優しさが垣間見えるシーンも多いので、探してもらえたら。あと、観客の皆さんが手拍子してくださって気合が入りました。ステージから一人ひとりの顔が見えるので、拍手や手拍子をいただけると嬉しいです。
――最後に、ファンの皆さんへのメッセージをお願いします。
越岡:こういう状況下なので、皆さんに踏み出す勇気を与えられたらいいなと思って一生懸命ステージに立ちます。ぜひ観に来て、一緒に楽しんでください!
福田:自然と笑顔になれる、素敵な、極上のエンターテイメントショーになっています。ぜひ劇場で一緒に笑いましょう!
辰巳:今、諦めなきゃいけないことがたくさんある状況で、皆さん諦めることに慣れてきてる時期だと思います。僕がこの作品をやる中で思うのは、諦めないでいると、新しい出会いだったり、叶うことだったりもあるということ。歌もダンスもマジックもタップもありのエンターテインメントショー『SHOW BOY』。劇場で生の空気を楽しんでください。
松崎:7月1日より、このシアタークリエから、『SHOW BOY』っていう豪華客船が出航します。前回乗り遅れてしまった方も、再出航いたしますのでぜひ劇場にお越しください。まずは東京公演突っ走って。皆さんにも何かメッセージが伝わればいいなと思っています。
中川:『SHOW BOY』は本当に明るくて眩しくてキラキラしていて、だけどなぜかちょっと泣けてしまう、そんな切なさもはらんだ作品だと思います。ふぉ〜ゆ〜の皆さんが最後踊っている時に、支配人が後ろで楽しそうに眺めるシーンがあるんですけど、その歌に出てくるように、大人になっても遅いなんてことない。叶えたい夢って見つかり続けていくんですよね。生きることが楽しくなる、素晴らしい作品だと思うので、皆さんにも幸せと笑顔を持ち帰っていただきたいと思います。本日から出港の『SHOW BOY』、再演が伝説になれるよう頑張りますのでよろしくお願いします!

初演を観た方も、今回が初めての方も、心から楽しめるだろう本作。4人の男たちと彼らを取り巻く人々のドラマを、ぜひ劇場で見届けてほしい。
シアタークリエでの上演は7月27日(火)まで。その後、大阪(7月30日(金)~8月1日(日))、愛知(8月7日(土))へと続く。
取材・文・撮影=吉田沙奈

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