人間椅子、2年2か月ぶり新作『苦楽』
ジャケット写真&収録詳細を発表 和
嶋慎治コメントも

人間椅子が、オリジナルアルバムとしては『新青年』以来、約2年2か月ぶり通算22枚目となる新作アルバム『苦楽』を今夏8月4日にリリースする。その新作『苦楽』のCDジャケットと収録内容の詳細が発表された。
今作は全13曲の新曲を収録。同時に公開されたCDジャケットは、荘厳な観音様がサイボウグ的な装いとデジタル的なタッチで描かれている。
そして明日7月1日(木)からは、今作の1曲目を飾る楽曲「杜子春」が先行配信される。
『苦楽』を携えての全国ツアー『苦楽 ~リリース記念ワンマンツアー~』の開催も決定しており、8月20日(金)の長野公演を皮切りに、9月27日(月)東京Zepp DiverCity(TOKYO)公演までの全14公演を予定している。
なお、今作『苦楽』についての和嶋慎治(Gt&Vo)の寄稿も公開された。
■人間椅子/和嶋慎治
昭和の子供たちが漠然と未来に思い描いていたのは、バラ色の二十一世紀、みんながニコニコと快適に暮らす明るい社会でした。さて、果たしてやって来た二十一世紀はどうでしょうか。快適にはなったかもしれません。しかしバラ色かといえば、どうもそうとは思えません。無邪気に個性を出すこと、突出した行動を取ることは半ば悪と見なされ、個人的には息が詰まりそうな空気を感じています。昨年来からは、これはいちおう突発性の事象なのでしょうが、笑顔をお互いに見せあうことも叶わなくなりました。まるでジョージ・オーウェルの予見したディストピアのようです。この度の災害が数年後に何らかの終結を見たとして、その時にいったいどんな未来が待ち受けているのか、想像するだに戦慄を禁じ得ません。
我々は豊か、快適という名前の楽な道を選んできました。しかし、思うのです。苦しみがあってこその人生なのではないかと。実りを得るためには、苦労して畑を耕さなくてはなりません。人は生まれ、死に、その間に多くの別れを経験し、愛情を覚えます。悲しみと苦しみから他人を許すことを知り、お互いに尊重し合えるようになります。いってみれば、苦しみこそが幸せなのかもしれません。昨今の息苦しさは、苦労を片隅に追いやった(あるいはそのように仕向けられた)結果のように思えてなりません。
おそらく、苦と楽は表裏一体です。苦しみがあってこそ楽が輝き、幸せを感じるのです。今回のアルバムでは、人生における悲しみと苦しみ、最悪の未来図、人間らしくという意味では間違った選択、などをハードなサウンドで描きたく思っています。もちろん、いたずらに批判的にならぬよう、特定の事象をあげつらわないよう、細心の注意を払うつもりです。現代の視点から、普遍的な事柄を歌うことが出来たなら、大いに成功といえるでしょう。
ちなみに『苦楽』とは、戦前~戦後の大衆文芸誌の名前でもあります。江戸川乱歩の「人間椅子」は、この雑誌に発表されました。前アルバム『新青年』の次作として面白く、またふさわしいとも思えましたので、このタイトルを提案させていただきました。
和嶋慎治

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