Newspeak×w.o.d. 2マンツアー『SU
MMER WARS』を控えた2組が語る、互い
の評価と“夏の陣”への想い

Newspeakとw.o.d.。いずれ劣らぬスケールの大きなロックサウンドで注目を集める、いまもっともライブを目撃するべき“旬”のバンドだ。

魂で共鳴し合う2組は、8月末から9月にかけて2マンツアー『SUMMER WARS』で京都、豊橋、静岡、横浜の4都市を回る。“夏の陣”には、Newspeakとw.o.d.はもちろん、両バンドと観客その他さまざまな“真剣勝負”のイメージが明滅する。もちろん感染対策はしっかりして、熱い熱い夏休みの終わりを過ごしたい。
NewspeakのRei(Key,Vo)、Yohey(Ba)、Steven(Dr)と、w.o.d.のサイトウタクヤ(Vo,Gt)、Ken Mackay(Ba)、中島元良(Dr)の6人に、出会いからお互いへの評価、ライブに懸ける思い、ツアーへの意気込みまで、わいわい語ってもらった。
──Newspeakとw.o.d.が出会ったのはいつごろですか?
Rei:2019年にNewspeakの『No Man's Empire Tour』の岡山と高松公演でw.o.d.に出てもらったのが最初ですね。
──その前から知ってはいたんですよね。
Rei:もちろん。音源を聴いてかっこいいと思ったから呼んだので。
サイトウ:それで言うと俺めっちゃ前からNewspeak知ってる。
Rei:え、そうなん?
サイトウ:今は新宿のZirco Tokyoで店長やってる白井二朗さんっていう人が教えてくれたんです。俺の地元が尼崎で、二朗さんは以前Deepaでブッキングマネージャーをやっていたんですけど、俺ら中学のときから知り合いで。東京に来るころかな?
Ken:もっと前かもね。
サイトウ:「Newspeakっていうかっこええバンドがおんねん」って音源くれたりとか。
Rei:めちゃくちゃ推してくれてたんだよね。俺らも二朗さんからw.o.d.の名前をよく聞いて、それでググったか何かで知ったと思う。
Newspeak/Rei(Key,Vo)
──聴いたときの印象は覚えていますか?
Steven:かっこいいバンドだなって。同期(シークェンス)を使わないで、3ピースでちゃんとパワーを持ってかっこいい演奏できてる。パワー感じた。
Rei:今はけっこう違うタイプのバンドになってますけど、たぶんルーツが近いんですよ。英語で歌ってるバンドから影響を受けて、ロックの響きとかパワーをまったく損なわずにそのまま日本語でズドーンって表現できてるのがすごいなと思いました。そこはNewspeakがまだ課題としてる部分なので(笑)。俺らも日本語で歌うことに全然抵抗ないし、やりたいんだけど、ちょっとイメージと離れちゃうんです。
Yohey:僕、高校のときに髭を聴いて、むちゃくちゃ衝撃を受けたんですよ。“日本にこんな音を出してるバンドがいるんだ!”って思って大好きだったんですけど、w.o.d.を初めて聴いたときに同じ感覚になったというか、すごいと思いました。ツアーに来てもらってライブ見たときも“かっこいいなー”ってずっと思ってたし。
サイトウ:うれしいですねー。Newspeakはね、さっき話した二朗さんが音源のURLを送ってくれて聴いたんですよ。白バックに「Newspeak」ってバンド名だけ書いてある静止画のやつ。
Rei:あぁ、『What We Wanted』(2017年)かな? 最初のEPの。
サイトウ:めちゃくちゃクオリティ高かったんすよ。
Ken:ね。すごかった。
サイトウ:“もう売れてはる方ではないんですか?”みたいな(笑)。でもReiくんが言う通り、ルーツが一緒というか、かぶってるところがいっぱいあるなって。(Newspeakは)めっちゃUKやと思うんですよ。俺らもニルヴァーナとかグランジとか言われてるけどさ、UKロック大好きやん。
Ken:うん。
元良:俺も大好き。
w.o.d./サイトウタクヤ(Vo,Gt)
サイトウ:俺らとはクオリティの置きどころが違うというか。
元良:でかいんだよね、Newspeakは。音源ももちろんでかいけど、ライブを見たときさらにそう思った。俺らのはスタジオ感じゃん。
サイトウ:そうそう。シガー・ロスやもんな、聴いた感じとしては。“ファァァン! 大地! 空!”みたいな(笑)。それは俺らにはないやんか。
元良:ないない。
Steven:簡単だよ、同期使えば(笑)。
Rei:同期使って、いい感じにリヴァーブいっぱいかければいいんだよ。
サイトウ:絶対それだけじゃないやん。同期を聴きながらバンド感を損なわない演奏をするのって、たぶんめっちゃ難しいと思うんですよ。Newspeakはそれでいて(力を込めて)「ヴゥゥゥンッ!」っていうよさも持ってるから。
Rei:いちばん文字にしづらいやつじゃん(笑)。
──その“ヴゥゥゥンッ!”を少し言葉で説明してもらうとすると?
サイトウ:初期のザ・フーとか、ずっと言ってるのはクラウド・ナッシングス、ジョイ・ディヴィジョンとか。たぶんパンクバンドってことやと思うんですけど、熱量に振り切ってる感じというか、気合というか(笑)。俺らもいつか同期も使ってみたいから、うらやましいです。あと、ギター貸してくれてありがとう。
Rei:(笑)。岡山だったっけ。
サイトウ:そう。弦が切れちゃったときに貸してくれたんです。マジで助かりました。
Rei:w.o.d.がやってるときに俺もフロアで見てて、お客さんの空気が出来上がってるのがわかるんだよね。楽屋に戻って“どうしようかな”って考えた記憶がある。
Newspeak/Yohey(Ba)
──一緒にツアーをしようという話になったのは?
サイトウ:対バンでライブする機会がないっていうのが大きいんじゃないすかね。
Yohey:コロナでイベントが中止になり、ライブをやってもワンマンなんで、“対バンやりたいなー!”っていう気持ちがすっごい強くなって。w.o.d.と2マンだったら面白いんじゃないかと思ったんです。
サイトウ:前のときはガッツリ打ち上げできへんかったから。王将で餃子とビールぐらいやったもんね。今回もできへんけど。
Rei:そうだったね。移動があったんだったかな?
サイトウ:“もっとやれるのに!”って思いました(笑)。
──打ち上げも大事ですが、バンドはライブしてなんぼみたいなところがありますしね。
Rei:去年はしんどかったですね。実を言うと去年までは自分のことをあんまりバンドマンだって思ってなかったんですよ。むしろバンドマンって言われるのイヤだったし、家でトラック作ってそれをリリースして……で大丈夫な人だと思ってて。でも去年ああいうことになって、9月に半年ぶりぐらいに自主企画でライブをやったら鳥肌が立つぐらい楽しくて、“俺バンドマンだったんだ!”って生まれて初めて思いました。ライブってこんなに“なきゃいけない”もんだったんだ、って。ライブがなかったら何のために曲を作ってるのかわからないみたいな。
Yohey:単純にメンタル的にも不満が溜まるし、活動の流れのなかでもネックになってくるよね。ただ曲を作ってリリースするだけっていう状況はつらいんですよ。
Rei:作ったものを披露して、レスポンスがあるじゃないですか。それが次の作品を作るエナジーになるんです。以前はツアーが終わったら自然に“よっしゃ、作ろ”って気分になってましたけど、去年は“止まっちゃいけないよな”って意識的に気合を入れてパワーを出すみたいな感じだったので。
Newspeak/Steven(Dr)
──お客さんと向き合ってリアクションを感じることが大事なんですね。
Rei:自分で作ったものを自分で“うわ、めっちゃいいわ!”って思う瞬間ってめっちゃ短いんです。楽しんでる人を見るのはめちゃくちゃうれしいし、それで初めて“作ってよかった”って思える。ずっと当たり前に思ってたことのありがたさに去年気づきました。そういう意味ではポジティブな側面も少しはあったのかなって。
サイトウ:一緒。
Rei:一緒だよね。たぶんミュージシャンみんな同じこと考えてるんじゃないかな。
サイトウ:俺らは去年から“ロックバンド”って言い出したんですよ。ロックっていうものにポリシーを感じ始めたっていうか、“やっぱウッドストックに憧れとったな”とか、“グラストンベリー出てみたいよな”みたいな気持ちを思い出して。俺らがなんでスタジオでずっとでかい音鳴らしてんのかっていうと、最初にそういうバンドを見たり聴いたりして、“バァァァン!”ってやってるのがただただかっこよくて、それを自分でもやりたくて“ガァァァッ!”って(笑)。正直、大義名分はそんなになくて、ただでかい場所ででかいスピーカーででかい音を鳴らしたいだけなんですよね、たぶん。
w.o.d./Ken Mackay(Ba)
──擬音語だらけ(笑)。気持ちは伝わります。
サイトウ:でも同じ曲ばっかりやってると、みんな盛り上がってくれますけど、だんだん飽きてくるんですよ。“この曲やったらこういうふうに盛り上がってくれるんやな”ってパターン化するみたいな。そこから“こういう曲を作ってこういうライブしたい”っていうモチベーションが生まれて、できた曲をライブに持っていくときの「どや!」っていう気分も最高やし、お客さんの反応を見るのも楽しいし。そのサイクルが止まったのはマジでしんどかったです。ライブが生活の中心やったから、何すればいいかわからんくなって。
Rei:ただ、そのサイクルがきれいに回りすぎてて、ちょい先ぐらいしか見えなくなってたとこもあるんですよ。それがいきなり断ち切られたことで、もっと先のことや昔のこと、“なんで音楽を始めたか”とか“何をしたいのか”みたいなことを考えるようになって、初心に返れた気がする。久しぶりにライブをやったときにそれが全部戻ってきたというか。
Ken:俺らもあったよな。
サイトウ:あった。震えたもんね。
Rei:“幸せ!”ってなったよね(笑)。
Yohey:ほんまにそうやな。走馬灯かと思ったもん。
w.o.d./中島元良(Dr)
──緊急事態宣言と綱引き状態ではありますが、去年の後半から少しずつライブができるようになってきました。開演時間を早める、キャパ50%、お客さんが声を出せないなどの制約はありますが、だからこその発見や楽しさはありますか?
Rei:ムズムズしてる人たちを爆発させる快感みたいのはあります。声出したらあかんのに“フォーッ!”ってつい漏れちゃう人とか、けっこういるんですよ(笑)。自分たちのライブなのに、フェスで初見のお客さんの前で“来いよ、来いよ”って思いながらやってるみたいな感覚を味わえてますね。反骨精神っていうか、“出たいんでしょ? その枠”みたいな。出ちゃダメなんですけどね。コロナ前には“オラー、もっと来いよ!”みたいなこともパフォーマンスとしてやってたけど、今は完全に、それこそさっきの“ヴゥゥゥンッ!”の部分がね(笑)。
サイトウ:そうっすよね。そうそう。
Rei:そうして自然発火みたいに盛り上がってくれたらうれしいっていうか、“楽しませる”っていうよりも“楽しもうよ”っていう、久しぶりの一体感を感じます。
サイトウ:俺らは“好きに楽しんで”っていうスタンスでずっとやってたし、お客さんもほんまにいろんなタイプがおるから、やってる感じとしては変わらんけど、Reiくんが言うその感じはめっちゃわかります。“もっと遊びたいよな!”っていう気持ちはいつもあるし、MCでも言うし。
元良:声を出せない分、空気とか眼差しでエネルギーが伝わってくるよね。
──そういうのってステージからもわかるものなんですか。
元良:めちゃめちゃわかります。
サイトウ:(客席の)隙間が空いてるからよけいにめっちゃ見えるんすよ。踊り狂ってる人もおるしね、毎回(笑)。
Rei:ちゃんとスペースがとられてるから、逆に一人ひとりが体を動かす量が増えてるよな。そう考えたらいい側面も絶対あるし、制約されてるっていう感覚を忘れさせたらこっちのもんみたいな。“この中にいなきゃいけない”じゃなくて“この中は自由に使っていい”っていうふうに感じてもらいたい。
──Newspeakとw.o.d.はルーツを共有しているというお話がさっきありましたが、精神的な部分でも通じるものがある気がしています。人目なり評価なりは最終的にどうでもいいというか、自分たちの理想を追っているロマンチックな感じがある。
サイトウ:わかります。やりたいことはめちゃくちゃあるし、やりたくないこともめちゃくちゃある、みたいな。でも普通そうやんな(笑)。
Rei:そもそも音楽が好きだからやってるのに、いちばん好きなことで自分がやりたくない仕事をするほどしんどいことってないと思うんですよ。そこまでするならバンドやめて普通に仕事します。ただ、意固地にならなければもっと楽なのに……っていうか(笑)、“それはイヤだからやらない”ってなりがちなので、なんでも楽しめる人がうらやましいところはありますね。それでもスタンスを変えるつもりはないし、僕が多少フレキシブルになっても、この二人に「それはRei違えよ!」みたく言われると思うんで(笑)。
Yohey:層が厚いんですよ(笑)。Reiが鍵開けて出てきたところで僕が鍵閉めるんで。
Rei:みんな頑固なんだけど、頑固のポイントがそれぞれちょっとずつ違ってるのがよくできてるなって思います。ちょうどタイミングが合って鍵が開くときもあるし。
サイトウ:そういうバンドのほうがかっこいいんちゃうかな。俺らが好きなバンドもそういう人らばっかりやったと思うし。そんな偏屈とも思ってないし。
元良:できることと似合うことって別だったりすると思うんですよ。今は3人ができて、かつ似合うことだけをやってる気がする。
サイトウ:そうやね。見てて違和感あるじゃないすか、やりたくないことをやってる人って。それがあんまりかっこよく見えないというか。その人が得意なことをやってるときがいちばん“フゥゥゥ!”ってなるので。二人ともすっげえクセプレイヤーですけど、無理して変えるようなことは絶対にしたくないし。
w.o.d.
──やるなら全員が納得できることをやりたいと。
サイトウ:そうそう。納得してやってるっていうのがたぶんかっこいいんやと思います。信じてやってるというか。(Kenに)どうかな?
Ken:俺は何も考えてないから(笑)。
サイトウ:でもいちばん頑固なんはこいつなんすよ。
Ken:何がイヤなのかわかんないんすけどね(笑)。
Rei:楽しくやりたいじゃん、バンドって。遊びの延長で始めたものだから、自分たちっぽくないことをやり始めると遊びじゃなくなってくる。そういうことは避けたいですね。
Steven:スタートから人に合わせて“売れるかもしれないもの”を目指して作ると、売れても自分のものじゃないから、幸せを感じるのかわからない。でも、本当に自分がかっこいいと思えるものを頑張って頑張って出せば、ブレイクしなくてもプライドを持ってできるし、ブレイクしたら本当に幸せじゃないですか。
Rei:そういう考え方でw.o.d.には通じるものを感じるから一緒にやれるし、逆に言うとそういうバンドとしかやりたくないですね。
Newspeak
──『SUMMER WARS』というツアータイトルはみんなで話し合って決めたんですか?
サイトウ:そういうことにしといてください(笑)。
Rei:話し合って、マネージャーさんがポロッと言ったのがみんな気に入って決まりました。“夏休み感”みたいなのを久しく味わってない人が多いと思うので、あの楽しい感じをSUMMERに込めて、お互い気合を入れていこうっていうことでWARSですね。
──ツアーへの意気込みを聞かせてください。
サイトウ:単純にこっちが楽しんでやればいいかなと思います。楽しそうにしているのを見てると楽しくなるから。
元良:ワンマンはワンマンでまた違う気持ちの乗り方をすると思うんですけど、相手がいるとなるとお互いに触発されるものがあると思うんです。“次はあいつらが出るぞ”と思ったら先に出るほうは負けないライブをしようとするし、先に出たほうがいいライブをしたら後から出るほうも気合が入るだろうし。
サイトウ:あと、単純に人数が増えてるからかもしれないけど、ちょっと心強い(笑)。“もうひとつおるから大丈夫や”みたいな気持ちになれるというか。
Steven:そうだね。全然違う、2マンだと。
Rei:今はワンマンが増えてるから、ライブハウスのサイズで別のバンドのファンと空間を共有するのって、ちょっと久しぶりなお客さんが多いと思うんです。お客さん同士で友達になれたりするのも対バンの醍醐味だったりするので、そういう楽しさも思い出してもらいたいですね。
サイトウ:ひとが企画したイベントに出るときって胸を借りる感じもあるし、企画してる側には責任があるけど、今回は責任も分散するから、絶対楽しいっすよ。
──最後に“これだけは言っておきたい”ということがありましたらお願いします。
Rei:Newspeakの2ndアルバム『Turn』が7月末にリリースされるので、それをガチ聴きしてきてほしいです。それ以外は言いたいこと全部言いました。
──w.o.d.はどうですか?
Ken:バーベキューが楽しみです。
サイトウ:期待の4割ぐらいをバーベキューが占めてますね(笑)。

取材・文=高岡洋詞 撮影=菊池貴裕

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