梶裕貴インタビュー:フィナーレで一
人二役の共闘 『劇場版 七つの大罪
光に呪われし者たち』見どころは、
兄弟の絆&それぞれの愛

『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』が、2021年7月2日(金)に公開される。原作者・鈴木央氏が描き下ろした完全新作オリジナルストーリーで、原作でも謎に包まれていたキャラクターが登場するだけでなく、メリオダスとゼルドリスの兄弟による共闘にも注目が集まる本作。
SPICEでは、梶裕貴(メリオダス/ゼルドリス役)にインタビュー。2014年のTVアニメシリーズ放送開始から、約7年半にわたり『七つの大罪』と歩んできた梶に、作品への想いや劇場版の見どころを訊いた。
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【インタビュー】「メリオダスとゼルドリスが終始登場します!」
──劇場版第2弾の公開を受けてのお気持ちをお聞かせください。
まずは、テレビシリーズで『七つの大罪』の物語を最後までアニメで演じられたことが、何よりもうれしかったです。僕はこれまでもインタビューやイベントなどの機会があるたびに、「この物語を、最後まで演じきることができたらうれしいです」と話してきました。それが実現したことには、もう感謝しかありません。鈴木央先生が素敵な作品を最後まで描ききってくださったこと、そして、原作やアニメを愛してくださった作品ファンの皆さんの応援のおかげだと思います。本当にありがとうございます。
しかも劇場版は、アニメ最終章となる『七つの大罪 憤怒の審判』と同時期に制作するという、いつも以上のハードルがあったであろうにも関わらず、制作に踏み切ってくださったことに、ただただ頭が下がる思いです。ずっと謎に包まれていた存在、最高神やダリア、ダブズが登場するなど、原作では描かれていなかった部分を央先生自ら補完してくださっている内容になっているので、原作ファンの方にも間違いなくご満足いただけるはずです。央先生が一体いつからこの展開を考えていたのか、お聞きしてみたいくらい(笑)。
大団円後だからこそ、“お祭り”のようなワクワク感のある劇場版に
──今作は、アフレコの段階で絵がほぼ完成していたそうですね。ありがたいと同時にプレッシャーもあったとツイートされていましたが、“最終章のその先”の物語を演じてみていかがでしたか?
本編では、メリオダスや仲間たちが、あれだけの壮絶な戦いや悲しみを経てようやく迎えることができた、大団円ともいえるエンディングを迎えました。だからこそ今回の劇場版は、どこか“お祭り”のようなワクワク感を感じましたね。しかも、メリオダスとゼルドリスが終始登場します! もちろんこれまでにも、本編でふたりが会話するシーンを演じてはきましたが、ここまでがっつり行動を共にしたり共闘したりするシーンは初めて。ありがたかったです。

(c) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」製作委員会

──その分、収録は大変そうですが……?
テレビシリーズでは、2人の声が重なっていたり、会話が続いてしまってどうしても息を吸うタイミングがなかったりする場合を除けば、メリオダスとゼルドリスを同時に演じてきました。ただ今回の劇場版はそういったシーンばかり(笑)。加えて、少人数でのアフレコだったこともあって、1日目にゼルドリス、2日目にメリオダスと、2回に分けての収録となりました。それぞれゲルダ役の甲斐田裕子さん、エリザベス役の雨宮天さんと一緒に収録しています。なので、メリオダスを演じる際は、前日に収録したゼルドリスの声を聴きながら、自分の声に対して掛け合いをしたので、どこか不思議な感じでしたね(笑)。自分の声を客観的に聴くというのは、なかなか高度なスキルが必要でした。
(c) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」製作委員会
──取材の時点ではまだ映画が完成前ということで、一部だけ声を聴かれたそうですが、ゲスト声優さんのお芝居はいかがでしたか?
倉科カナさんのお芝居からは、最高神という存在ならではの人間味の排除された無機質さや、女神族という美しいけれど得体のしれない雰囲気が表現されているように感じました。麒麟・川島明さんとNON STYLE・井上裕介さんは、おふたりとも漫画やアニメがもともとお好きということで、アニメならではの表現をご存知の方ならではのお芝居をされているなと感じました。なによりも、おふたりが演じた魔神は、ご本人の面影のある"描き下ろしキャラクター"ということで……すごくうらやましかったです(笑)。
(c) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」製作委員会
「ゼルドリスってこんなにかわいいヤツだったんだ……!」
──梶さんが思う、劇場版の注目ポイントを教えてください。
個人的には、メリオダスとゼルドリスの共闘です! 本編では、メリオダスたちにとっての敵となる〈十戒〉のひとりとして登場したゼルドリス。彼との闘いや、そのなかで見えてくる様々な真実が描かれてきました。そんなドラマを経た後だからこそ、兄弟愛やふたりの絆を感じる描写は、とても感慨深くて。それぞれ、相手に対して思うところがあったり、なかなか素直になれない部分があったりするのですが、そういった心情は、原作でも描き切れなかった部分だと思うんです。なぜなら、ふたりのドラマ以外にも描くべきことがたくさんありましたから。
──確かに、ひとりひとりのキャラクターにいろいろなドラマがあるのが『七つの大罪』の魅力ですからね。
そういう意味では、メリオダスにはエリザベス、ゼルドリスにはゲルダという大切な存在がいるので、それぞれの愛も見どころですね。今回の劇場版では、ようやく再会できたゼルドリスとゲルダの幸せなシーンがたくさん登場します。

(c) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」製作委員会

常に眉間にしわが寄っていて、ピリピリとした雰囲気のゼルドリスが、ゲルダにだけは甘えるような口調やしぐさを見せてくれているので、演じていても新鮮だし微笑ましくて。「ゼルドリスってこんなにかわいいヤツだったんだ……!」と思わずにはいられないシーンが、冒頭から出てきます(笑)。
ゼルドリスにも、もともとそういった面はあったのでしょうが、そこに蓋をしてでも戦わなければ守れないものがあり、そうせざるを得ない状況が、原作ではずっと続いていました。でも劇場版では、ようやくその呪縛から解かれた、本来のゼルドリスが登場するんです。ゲルダに翻弄される彼を、ぜひ楽しみにしていてください(笑)。
『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』本編映像(ゼルドリス×ゲルダ編
劇場版のなかで一番好きなシーン
──メリオダス&エリザベス、ゼルドリス&ゲルダ、それぞれのカップルの愛し方の違いや魅力はいかがでしたか?
どちらもすごく大きな愛情を持っていますが、兄弟でも、愛の感じ方や伝え方はちょっと違うんです。メリオダスよりもゼルドリスの方が甘えん坊な面があるのがかわいらしいですね(笑)。
それから、今回はメリオダスとエリザベスの関係の変化も素敵なんです。もともとメリオダスはエリザベスのことが大好きですし、甘えるときは全力で甘えてきましたが、今回のエリザベスは、本来の彼女らしさに加え、よりしっかりとメリオダスを支えられるような女性になっていて。弱気になったメリオダスに対してエリザベスが言葉をかけるシーンは、劇場版のなかでも一番好きなシーンと言ってもいいかもしれません。そのシーンの天ちゃんの、まるで包み込むような……大きな愛情が伝わるお芝居は、本当に素晴らしかったです。深く深くメリオダスを愛しているんだってことが、声からも伝わってきました。
──ちなみに、エリザベスとゲルダも愛し方がそれぞれ違うと思いますが、梶さんが甘えるならどちらを選びますか?
それぞれの良さがありますし、甘えさせ方もそれぞれ違うからなあ……。どちらも体験してみたいです(笑)。役者は、キャラクターを通してそれが体験できるので幸せ者ですね。それぞれのカップルの幸せなシーンをもっともっと見たいです。
──長く演じてきたキャラクターだからこそ、今まであまり見せられなかった一面を演じる機会があることは、役者さんにとってもうれしいですね。
そうですね。そういう面もあるんだってことを知ると、もし違った形でメリオダスと一緒の時間を過ごせていたら、もっと仲のいい兄弟になれていたのかもしれないな……とも感じてしまいました。でも、そうはならなかったからこそ、結果として今回ゼルドリスのかわいい姿が見られたわけで(笑)。メリオダスとしても僕自身としても、そして作品ファンの皆さんにとっても、きっと胸があたたかくなる描写がつまっていると思います。
「機会をいただけるのであれば、とにかくトライしてみたい」
──改めて、『七つの大罪 戒めの復活』(2018年放送)でゼルドリスを演じることが決まった際の想いや、演じ終えた今のお気持ちを教えてください。
ひとつの作品で、主人公と、メインストーリーに絡んでくる重要なキャラクターとの2役を演じるのは初めてでした。原作に、メリオダスとゼルドリスの声が似ていることを匂わせる「この声は」というセリフがあったので、「もしかしたら僕が演じさせていただけるのかも……?」とは少なからず思ってはいましたが(笑)。
(c) 鈴木央・講談社/2021「劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち」製作委員会
本当にゼルドリスも演じることになった際は、シンプルにうれしかったですね。当時はまだ、ゼルドリスがどれくらい登場するかさえもわからなかったのですが、僕は演じる機会をいただけるのであれば、とにかくトライしてみたいと思うタイプ。重要なキャラクターを2人も演じるというハードルはありましたが、だからこそちゃんと演じられたときの手ごたえや喜びは大きいはず。そう思って挑戦させていただきました。あの時も、「何としてでも演じきってやるぞ!」と、気合を入れて臨んだことを覚えています。
ちなみに、ゼルドリスの声のトーンはスタッフさんと話し合って決まったのですが、僕自身としては、最初あそこまで低く太くするつもりはなかったんです。でも後々、メリオダスが魔神化した時にやや低めの声を出すことになったので、結果として、ゼルドリスの声はあれしかなかったんだなと。うまく両者の違いを表現することができ、いただいた演出に感謝です。
──これまでの『七つの大罪』のアフレコで、特に忘れられないアフレコといえば?
各シリーズのクライマックスのエピソードはどれも印象的です。序盤はあまり感情を表に出すキャラクターではなかったメリオダスが、本気を出したり、怒りをあらわにしたりする場面は、より伝わるものがありましたよね。コミカルでハッピーなシーンも多々ありましたが、つらく苦しいドラマもきっちり描かれている作品。自分が演じているときも、他の役者さんのお芝居を聴いていても、胸が締め付けられる瞬間が何度もありました。
忘れられないドルイドの試練。共感できる部分が増えたぶん……
──シリーズ後半では、メリオダスが弱さや涙を見せるようになりましたね。
エリザベスやバンの前でそういった人間らしい部分をさらけ出せるようになってからは、僕としても共感できる部分が増えたぶん、演じているときはすごくしんどかったです。なかでも、『七つの大罪 戒めの復活』第8話「ドルイドの聖地」で、メリオダスが封印された力を取り戻すために過去と向き合う、辛く苦しい試練に挑んだときは、愛するエリザベスを目の前で失う悲しみを何度も何度も味わったので、僕自身もとても辛かったです。でもあのシーンがあったからこそ、視聴者の皆さんには、彼にとってのエリザベスの存在の大きさが伝わったはず。ああいった限界を超える経験は、生きていてもそうそうない出来事だと思うので、役を通して体験できるのは役者冥利につきますね。辛いですけど(笑)。
不安を隠して挑んだ、第1話のアフレコ
──約7年半にわたって関わってきた『七つの大罪』は、梶さんにとってどんな作品でしたか?
ここまで長い期間、メインキャラクターと過ごしてきた作品は、僕にとって『七つの大罪』と同時期に始まった『進撃の巨人』の2作品くらいなんです。奇しくも、ほぼ同じタイミングで終わりを迎えようとしていることも不思議に感じます。最後まで演じさせていただける喜びと、とうとう終わってしまうんだという寂しさがあふれて……なんというか、感慨深いです。
『七つの大罪』に関しては、オーディションでメリオダスとホークを受けさせていただきました。どちらの役に決まったとしても、きっと楽しいアフレコになるだろうなと思っていたのを覚えています。収録が始まってからも、当時はまだメリオダスの正体や、どう生きてきて何を考えている人物なのかが描かれてはおらず、物語の中盤くらいまではずっとミステリアスな要素の強いキャラクターでした。
加えて、〈七つの大罪〉の団長という役どころ。先輩の役者さんが大勢いらっしゃるなかで、自分が作品としてもキャラクターとしても中心に立ち、団長というカリスマ性や仲間を率いる力のある役を演じる立場だったので、今よりもっとキャリアの浅かった自分にとっては、ものすごく高いハードルがあるように感じられました。なので第1話のアフレコはすごく緊張していたのですが、(ホーク役の)久野美咲さんや天ちゃんの前で、僕がその不安を表に出すわけにもいかないなということで、必死になんともない風を装っていました(笑)。
──第1話はまだ大罪メンバーも登場していませんし、そこは先輩として2人を安心させてあげたいですよね。
声優として、自分の立ち位置が大きく変化する時期だったこともあり、毎週いろいろ考えていましたね。作品だけでなく、現場の空気も盛り上げるにはどう向き合えばいいかを考え始めたのがちょうど7年ほど前でした。そこからの時間はとても濃かったので、『七つの大罪』という作品も、メリオダスというキャラクターも、自分にとっては本当に大きくて大切な存在です。
梶裕貴がいまだに解放されない“呪い”とは?
──作中では、メリオダスたちが三千年もの呪いからようやく解放されました。梶さんご自身も、声優として活動してきたなかで、悩みや苦しみから「解放されたな」と感じる瞬間や出来事はありましたか?
僕、妙~に重い仕事が重なることが多いんです。例えば、ある作品の最終回と別の作品の第1話の収録が同じ日になったり、喉のコンディションが崩れるほど叫ぶような作品と、高くてかわいらしい声を出す作品が同じ日になったりすることが多々あって。全部たまたまなのですが、その苦しみからはいまだに解放されていませんね(笑)。そういうときは、もう試練だと思って受けとめることにしています。最近になって、ようやくですが。
「ひとつひとつの仕事に存分に時間を割くことができたら、もっと落ち着いて向き合えたかもしれないのに……」と思ったこともあります。でも、例えどんな状況であっても、そのときの全力を発揮できるのがプロフェッショナルだと思うんです。昔は、「なんでこうなってしまうんだろう」とよく落ち込んだりもしましたが、今は「今できることを全力でやるしかない」と吹っ切って挑むようにしています。
混沌とした声優界で、梶が貫く信念
──混沌とした時代のなかで、仲間や自分の信念を大切にする姿が描かれる本作。声優界も活躍の幅が広がり、いい意味で混沌としていますが、梶さんが貫いている信念をお聞かせください。
作品もキャラクターも、この世にひとつしかない存在です。僕たち声優は、そのキャラクターの気持ちを、声を通して代弁させていただく立場だからこそ、当たり前ですが、手を抜かないこと。常にその責任をしっかり受け止めて、誇りをもって挑むことが大事だと思っています。最近は、声優にもいろいろなジャンルのお仕事の機会がありますが、何よりも声の芝居が大事であり、すべてだと思っています。そこが軸としてしっかりと存在していなければ、そんな機会をいただけてもお受けしている場合ではないはず。そう覚悟を決めています。僕自身の一番の興味も、もちろん声の芝居にあります。これからも、その軸は大切にしていきたいです。
──最後に、公開を楽しみにしているファンへメッセージをお願いします。
まずは、テレビシリーズを完結までご覧いただき、本当にありがとうございました。それだけでも十分幸せなことですが、ありがたいことに2回目の劇場版が公開されることになりました。感謝の気持ちでいっぱいです。央先生描き下ろしのストーリーならではの、原作を読んでいて気になっていた部分がすべて補完されている内容になっていますので、どなたもきっと大満足していただけるはず。『七つの大罪』の魅力が、たっぷりとつまっています。公開に備えて、ぜひ原作やアニメを観返していただけるとうれしいです。
作品としては幕を閉じることになりますが、皆様の心のなかには、これからもずっとずっと生き続けていってくれるはず。これからも、何度も作品を振り返っていただきたいですし、まだメリオダスたちに出会ったことのない方がいたら、この素敵な物語を伝えていっていただけたらうれしいです。映画館の大きなスクリーンと迫力の音響設備のなかで、ぜひ『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』をお楽しみください!
『梶裕貴 声のひとさじ』に岡野昭仁が生出演
梶と雨宮は、本作の主題歌・岡野昭仁(ポルノグラフィティ)が歌う「その先の光へ」(作詞:スガ シカオ 作曲:澤野弘之)にコーラスとして参加している。本編映像を使用したコラボレーション・ムービーが公開中だ。また、梶がパーソナリティを務めるラジオ番組『Spoon presents 梶裕貴 声のひとさじ』に、岡野昭仁が生出演する。ゲスト回のオンエアは、7月1日(木)21:30よりTBSラジオにて。
「その先の光へ」×『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』コラボレーション・ムービー
『劇場版 七つの大罪 光に呪われし者たち』は、2021年7月2日(金)公開。完結したTVアニメから続く“最終章のその先”で、まだ誰も見たことのない彼らの物語が、再び幕を開ける。
取材・文=実川瑞穂、撮影=池上夢貢

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