ROTTENGRAFFTY、『Goodbye to Roman
ce Tour 2021』Billboard OSAKAファ
イナル公演の公式レポート到着

ROTTENGRAFFTYが、6月9日にリリースした初のアコースティック作品『Goodbye to Romance』を引っ提げ、京都 / 名古屋 / 東京 / 大阪の4都市でツアー『Goodbye to Romance Tour 2021』を開催。ロットン初のアコースティックライブツアーであったが、いわゆる“アコースティック”という概念に収まらないツアーとなった。追加公演が地元・京都で8月に二日間開催されることも発表されたが、本記事では6月26日にBillboard OSAKAで行われたファイナル公演のオフィシャルレポートをお届けする。

ROTTENGRAFFTYが6/9にリリースした4th Mini Album『Goodbye to Romance』はバンド初となるアコースティック作品であり、ROTTENGRAFFTYというバンドと彼らの楽曲の新たな魅力を味わうことができる作品だ。そして6/10(ロットンの日)からスタートした“Goodbye to Romance Tour 2021”は、同作に伴いアコースティック形式でライブを行うという、これもまたバンド初となる試み。京都KBSホール、Zepp Nagoya、Zepp Tokyoと3都市を巡ってきたこのツアーは、本日いよいよ締め括られる。
Billboard OSAKAに詰めかけた観客は、ドリンクや食事を楽しみながら開演を今か今かと心待ちにしていた。大好きなバンドのライブを思う存分堪能できる贅沢な場所と時間。今夜彼らはいったいどんなステージで魅せてくれるのだろうか。開演時間が近づくにつれ、期待はどんどん膨らんでいった。
ROTTENGRAFFTY
照明が落ち、ステージ後方のバンドロゴに火が灯る。オープニングSEに合わせて会場の至るところから手拍子が沸き起こり、メンバーがステージに登場。手拍子と拍手が一層強くなる中、NOBUYA(Vo.)が両腕を大きく広げてライブがスタートした。
KAZUOMI(G./Programming)が鳴らすアコースティックギターとサポートプレイヤーである匠の鍵盤が心地よく絡み、目の前がパッと開けるような「盲目の街」でまず心を掴まれる。観客は手を叩き、腕を振り上げ、ステージの5人と一緒に心の中で歌う。N∀OKI(Vo.)とNOBUYA、2人の伸びやかな歌声が響き渡る。彼らが鳴らすサウンドに身を任せるのはとてつもなく楽しい時間だ。

N∀OKIが「その目で、心の奥底で楽しんでいって頂戴!」と叫んで「相殺微量サイレンス」へ。侑威地(Ba.)とHIROSHI(Dr.)が繰り出すリズムに身体が揺れ、KAZUOMIがザクザクと刻むギターに心が踊る。N∀OKIとNOBUYAが交互にヴォーカルを取って作り上げていく世界に引き込まれ、会場の熱がどんどん上がっていく。

KAZUOMIが「座っててもロックするぞ!」と激しくギターを鳴らし、そこにN∀OKIのブルースハープが絡む。迫力あるステージングとバンドアンサンブルで圧倒したのは「ドクロの唄」。アコースティックツアーと聞いてしっとりしたライブだと思ったら大間違い、彼らはどこまでもロックを爆発させていた。オーディエンスは身体を揺らして腕を振り上げ、5人のステージに釘付け。曲の最後はN∀OKIがブルースハープのソロで魅せ、客席からは大きな大きな拍手が沸き起こる。興奮は最高潮だ。
「目は口ほどに物を言うから、その目ン玉で思い切りライブしてくれ」とN∀OKIが告げ、KAZUOMIが「来いよ!」「もっと来いよ!」と煽って「D.A.N.C.E.」。筆者はあまり馴染みがないBillboardだが、果たして今までここでこんなに激しいライブが繰り広げられたことはあったのだろうか? とちょっと心配しまうほどに爆発的な盛り上がり。とにかく楽しい。会場全体が一緒になってライブをするという、とんでもなく楽しい瞬間の連続。
HIROSHIのドラムに合わせて鳴り響くたくさんのクラップ。N∀OKIが更に大きなクラップを観客に要求し、その音量が最大になったところで「アンスキニー・バップ」。駆け上がるようなビートに心が踊り、KAZUOMIのギターソロに笑みが咲き、N∀OKIとNOBUYAの歌に引っ張られて自然と身体が動く。「ライブは楽しい」という、我々が少しの間だけ忘れていた感覚を思い出させてくれる。
熱いステージから一転、青い照明に包まれて幻想的に始まったのは「THIS WORLD」。一音一音に命を注ぐかのように歌うNOBUYA、歌で感情のすべてを爆発させるN∀OKI。その雄大なステージにぐっと引き込まれ、胸が震える。楽しいだけじゃなく、感動するだけじゃない。いろんな感情がとめどなく溢れ出す、何にも代え難いひととき。
ROTTENGRAFFTY
MCでは「ツアーファイナルへようこそ! ありがとう!」とNOBUYAが感謝の気持ちを告げ、N∀OKIがこれまでの10本のライブを振り返る。サポートプレイヤーの匠にも感謝の気持ちを告げ、匠から「楽しいです!」と返される。さらに侑威地とHIROSHIがそれぞれ感謝の気持ちを口にする。メンバーが楽しそうにライブをしている様は、観ていて本当に清々しい。
「みんなが確実に求めているのは爆音のROTTENGRAFFTYやと思うけど、逆に今の環境と状況を心の底から楽しんでいってほしい。ライブハウス、バンド、いろんなところが大変なんですけど、みんなが好きなMUSIC、守っていきましょう」とN∀OKI。「この生のライブ、あの場所に戻れるように」と言葉を重ねて「Familiarize」がスタート。
N∀OKIの歌とKAZUOMIのギターで始まった同曲は、音数が少ないけれどとてつもなく熱を帯びていて、聴く者の胸を鷲掴みにする。続くNOBUYAの歌はどこまでも響き渡り、オーディエンスは食い入るようにステージを見つめ、一音も聞き逃すまじと意識を集中させる。
そしてキラキラとした輝きが目に見えるようなギターの音色で始まった『「70cm四方の窓 」~君のいない空~』。この楽曲に込められた情景が眼前に思い浮かぶような奥深くて叙情的なサウンドと歌。胸に染み入るステージで魅せた同曲は、間違いなくこの日のハイライトのひとつだった。
NOBUYAとN∀OKIが立ち上がって「NO THINK」がスタート。一気に熱くなった空気の中、会場が大きな一体感に包まれたまま「南口」へと続き、軽快なリズムに会場が揺れてマスクの下の笑顔が揺れる。曲の最後にN∀OKIが「音楽、ありがとう!」と叫び、客席からは更に大きな拍手が起こる。
NOBUYAが「アコースティックツアーを発表したときにたくさんの意見が届いたけど、ライブでちゃんと面と向かって伝えられたらいいなと思っていた」という前置きの後、「あのぐちゃぐちゃのライブハウスに戻るための一歩なんです」とこのツアーに込めた想いを説明する。「俺ら不器用やからこれからもみんなを困らせるかもしれないけど、これからもROTTENGRAFFTYをよろしくお願いします」と深々と頭を下げるNOBUYAに、たくさんの拍手が降り注ぐ。
そして次に始めたのは新曲「Goodbye to Romance」。ハッとさせられるようなアンサンブルと胸を締め付けられる歌、迫りくるKAZUOMIのギター、侑威地とHIROSHIが組み上げたリズム。すべてがひとつになって押し寄せる音像に圧倒される。胸の奥底まで響くその音と歌の感触はいつまでも忘れないだろう。
そして本編最後は「金色グラフティー」。NOBUYAとN∀OKIの掛け合いの後、「輝き狂え!」というN∀OKIの号令でスタートした熱狂の渦。その熱狂を更に加速させるビートと、胸を焦がすギター。オーディエンスは両腕を振り上げ(もちろん着席したまま)、身体を揺らし、感情を沸騰させる。NOBUYAがステージを駆け回り、KAZUOMIが立ち上がって興奮を加速させる。
先ほどNOBUYAが「あのぐちゃぐちゃのライブハウスに戻るための一歩」とこのツアーを説明したが、いや、もうとっくに我々の心の中はぐちゃぐちゃだ。最後はNOBUYAが口上を告げ、この日いちばんの拍手に包まれて本編が終了。
ROTTENGRAFFTY
メンバーがステージを去った後も会場の興奮は収まる様子がなく、アンコールを求めるクラップもひときわ大きい。そんな観客たちの熱い気持ちに応えるべく、ドリンク片手にメンバーが再びステージに登場して乾杯。KAZUOMIが「ありがとう」と喜びをあらわにし、今回のツアーの追加公演決定を発表する。
突然のサプライズに歓喜の拍手が沸き起こる中、KAZUOMIが「心を込めて演ります。聴いてください」と始まったのは「Walk」。N∀OKIとNOBUYAのヴォーカルに引き込まれ、楽器陣が描く壮大なサウンドに心が震えて鳥肌が立つ。このまま圧倒的に魅了してライブを終了させるかと思えば、最後は「Rainy」。“楽しい時間よこのままずっと続け”とばかりに全員が腕を振り上げ、心の中でROTTENGRAFFTYと一緒に歌って大団円。
ROTTENGRAFFTY
とてつもなく余韻が残る、楽しくて素晴らしい時間だった。コロナ禍だろうがアコースティックであろうが、我らがROTTENGRAFFTYのライブはやっぱりえぐかった。「あのぐちゃぐちゃのライブハウスに戻るための一歩」とNOBUYAが言ったこのツアーで、我々の心はぐちゃぐちゃにされた。ライブが終わった瞬間に湧き上がったのは「またROTTENGRAFFTYのライブが観たい」という気持ちだった。 
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Text by Takeshi.Yamanaka Photo by Yukihide”JON...”Takimoto

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