マカロニえんぴつ、思わぬドラマを生
んだ大阪でバンド史上最大のツアーが
幕「みんなに直接会いに行けて嬉しか
った」

マカロックツアーvol.11 〜いま会いに行くをする篇〜 2021.6.17(THU)オリックス劇場
マカロニえんぴつが6月17日(木)、大阪・オリックス劇場にて『マカロックツアーvol.11 〜いま会いに行くをする篇〜』の最終公演を開催した。
当初は5月13日(木)、14日(金)に同会場にて公演が行われる予定であったが、新型コロナウイルスの感染拡大に伴う緊急事態宣言延長を受け、6月16日(水)、17日(木)へと延期に。結果、16日はバンドの結成9周年の記念日、そして翌17日はバンド史上最大規模の全国ツアー最終日と、日程が振り替えられたことで思わぬドラマを生んだ、事実上のツアーファイナルとなった。
マカロニえんぴつ
3階建ての大きなホールに見劣りしない巨大なオブジェやビジョンが設置されたステージへ、おなじみのビートルズのSEに後押しされ登場したメンバーにオーディエンスは一気に総立ち。暗転の後に閃光のようなスポットライトを浴びて、「大阪ー!」(はっとり/Vo.Gt、以下同)と宴の口火を切ったのは、「生きるをする」。小気味良いビートにつられて自ずとクラップが発生する疾走感、楽曲の躍動感と絶妙にシンクロする照明からは、彼らが重ねてきた旅の重みと充実感が存分に伝わってくる。続く「遠心」でも、ビジョンに映し出されるイメージ映像と繰り出されるサウンドの巧みな連携で、目で、耳で、感動中枢を刺激。ライブという現場でしか味わえない体験を、アニメやドラマ、CM等に求められるのも納得のみずみずしいポップソングで彩っていく。

マカロニえんぴつ 撮影=日吉"JP"純平
「お待たせしました、いよいよ今日が本当のツアーファイナルです! 細かい理屈やあれこれは抜きにして全力で楽しんで、全部ここに置いていきますんで、一緒に楽しい時間を過ごしましょう。ただ、ごめんなさい、一つだけルールがあって、声を出しちゃいけないんです。でもその分、みんなの動きや表情をバッチリ見てるので。最後までよろしくお願いします!」

「眺めがいいね」でも音と光の波状攻撃でカラフルに魅せ、再びのMCでは鳴りやまない拍手に応えておどける高野賢也(Ba.Cho)に向かって、「病み上がりであんまり調子乗るなよ(笑)。この間、急遽入院して、Yahoo!ニュースに載った高野リーダー、無事復帰です!」といじるはっとり。そんなメンバー間の仲の良さがにじみ出るやりとりから、「振替公演になってどうなることかと思いましたが、みんなの顔を直接見に来れて、音楽を渡しに来れて、胸をなで下ろしています。楽しもうね、もうそれだけ」と告げ、「溶けない」「恋人ごっこ」という甘酸っぱいナンバーや、レトロフィーチャーなシンセも印象的な「STAY with ME」を連投。はっとりが敬愛してやまないバンド、ユニコーンも大阪で幾度となく舞台を踏んできたオリックス劇場(旧・大阪厚生年金会館大ホール)で、その背中を追いかけた若き才能が歌っている光景に、何とも言えないロマンを感じる。さらには、人気女性アイドルグループ「エビ中」こと、私立恵比寿中学に楽曲提供した「愛のレンタル」のセルフカバーもファイナルにしてツアー初披露と、最終日にふさわしい成熟と特別で魅せていく。
マカロニえんぴつ 撮影=日吉"JP"純平
ここで、「結成当時から足しげく大阪には通ってますけど、昨日「初めてマカロニえんぴつのライブを見た人!」と聞いてみたら、他のツアー先に比べると意外と少なかったね」と、大阪のファン層の厚さについて語るはっとり。メンバー紹介では、長谷川大喜(Key.Cho)が絶賛する愛媛県・松山の鯛めしの話や、サウナ好きが高じて熱波師検定なる資格試験まで受けた田辺由明(Gt.Cho)が、客席に向かってタオルで風を送るパフォーマンスでも場を沸かせ、アニメ好きの高野は大阪のご当地アニメとして『アベノ橋魔法☆商店街』を推薦。入院中の食事の話から「ファイナルまでお酒を飲まないと、体調に一番気をつけてたのに入院するという(笑)」との裏話も飛び出し、大学時代の後輩であるサポートの高浦“suzzy”充孝(Dr)には、「ライブからレコーディングまで、今やなくてはならない、欠かせない存在です。これからもピカイチのプレイをしてくれるでしょう。次のツアーも決まったしね」と感謝とエールを送った。
そして、「俺の紹介はひと言で済ませますね。ロックスターです! 出会いばかりではなく、別れもたくさんあった春。渡せなかった花束を今さらだけど渡しに行く、そんな春の歌を」(はっとり)と、アウトロのノスタルジックでエモーショナルなギターソロが胸を貫いた「春の嵐」、ギターの掛け合いから強靭なポップネスを宿した「mother」と、壮大でありながら寄り添うようなマカロニえんぴつ特有のダイナズムを響かせ、パワフルなドラミングにカオスなギターと繊細なピアノが絡み付く「メレンゲ」と畳み掛ける!  最高のプレリュードを演出した新曲「八月の陽炎」では、はっとりが爪弾くメランコリーなギターと連動した風景の映像が、オレンジ色の光とともにまばゆい青春群像劇を描いていく。
マカロニえんぴつ
「終わりが近づいていると思うとちょっと寂しいね。このツアーから新しく参加したスタッフだったり、メジャーデビューだったりと、出会いずくめのホールツアーだったので。いつもより仲間が多くて楽しかったし、久々にみんなに直接会いに行けて嬉しかった。バンドをやってて良かったと思う瞬間はたくさんあるけど、今回みたいなツアーを何回もできるのが喜びかなと改めて思ったので。みんなとせっかく会えたのにもうすぐ終わっちゃうのは口惜しいですが、元気が余ってるなら出し切ってくれないですか? 「恥ずかしがらないではしゃいでおけばよかった!」と後悔するのはもったいないですから。声は出せないけど手拍子だったり、体のいろんな部位を打撃して参加はできますから!(笑)  一緒に楽器になってくれますか!?」
後半戦は、ジャクソン5的なアプローチも軽快な「ルート16」で、「冒頭からナイス手拍子ありがとう! 大阪のマカロッカー(=マカロニえんぴつファンの愛称)はリズム感が良いわ」とはっとりも自慢気なオーディエンスのクラップに包まれ、「ノンシュガー」ではオリエンタルでドリーミーなサウンドとドライブするギターがオーディエンスをけん引。
「また日常に戻るのが悔しいね。受け取った想いも、渡したかった想いも、大事に持ってたはずなのに気付いたらぽろぽろこぼれ落ちてしまってる毎日で。だから何度も何度も伝えたいと思います。不器用な、俺たちに似たあなたたちからこぼれ落ちていく感情を、全部拾いに来ました。」
マカロニえんぴつ 撮影=日吉"JP"純平
彼らのポップセンスを凝縮したようなアンセム「ブルーベリー・ナイツ」では、イントロでのそんな誘いもろとも広大なオリックス劇場を完全にロックオン。目まぐるしく展開していくスペクタクルなダンスビートが導く「カーペット夜想曲」といい、さまざまなサウンドを聴かせながら一貫してポップな楽曲群が、セットリストに積み重なるたび感動を増幅させていく。
「俺は今すごい幸せを感じています。このバンドを結成したとき、良い音楽をやりたい、好きな音楽を届けたい、そこに自分の気持ちがちょっとでも乗っかれば、自分のことも救ってやれるだろう、そういう想いで始めたんです。その気持ちが幸せなことに、今なお変わってない。それどころかもっとワクワクしてます。どうやら、それが回り回ってあなたを救う歌になっているらしいですね。俺は自分のためにやってます。あなたの生まれも育ちも分からないし、救い方なんて知らない。だけどこのバンドがあなたに似てるなら、あなたに近いなら、頼ってください。俺はこれからもこのバンドを続けます。好きな歌を歌います。自分を救い続けます。手放してもいいけど、また拾いに戻ってきてもらえたらうれしいです。出会えてよかった。素通りしないでいてくれたあなたのために、最後に歌います。」
彼らの名を、その音楽を知らしめる大きな転機となった「ミスター・ブルースカイ」。小さなライブハウスで<いつか届け>と必死に手を伸ばしていたバンドの歌が、今ではホールの高い天井を突き抜けるかのように、多くのオーディエンスを前に鳴り響く。マカロニえんぴつは、9年という時間をかけてここまでやってきたのだ。
マカロニえんぴつ 撮影=日吉"JP"純平
ホールから降り注ぐ大きな拍手に呼び戻され、再びステージへと姿を現したメンバーも、「欲しがるねぇ……まぁアンコールがあるつもりでやってたんですけどね(笑)。やっぱりね、(映画『男はつらいよ』の主人公=)寅さんも毎回フラれて終わるから気持ち良いわけじゃん? お決まりは大事です。アンコール至上主義です(笑)」と思わず顔がほころぶ。
「昨日は結成日だったから、特別な曲をやったんです。けど、今日はやらないと言ったら……大阪の人は恨んだら忘れないから、Twitterで「あいつら1曲減らしやがった」とか「2日目手を抜いたぞ」とか、あーだこーだ書かれるから(笑)。今日もやるぜ! インディーズデビューした頃の曲で、MVもあれよあれよと再生されて「やったー!」と言ってたら、コメント欄には「ボーカルがブサイク」とか「出てるモデルがかわいそう」というような辛辣なご意見が並び(笑)。苦い思い出ですが、そこから始まったマカロニえんぴつの旅です。ライブサーキットではこの曲を毎回やってました。「これで勝てる!」から、「勝つって何?」とだんだん路頭に迷っていった原因にもなったんですけど(笑)、今改めて歌詞を見ると、最初から気合いは同じだったなと。今歌ったらまた違うフィードバックがあるなと思って、昨日も感慨深いものがありました。」
焦燥感のまま駆け抜ける初期の代表曲「鳴らせ」が、当時からは想像もつかない大きなステージの上で鳴らされ、ラストは一転、現在進行形のマカロニえんぴつを投影した「はしりがき」で万感のエンディングへ。改めて多くのスタッフに感謝を述べ、「最高のグッドミュージックラバー、あんたたちに拍手! 本当に最高でした。最後が大阪で良かったです。ありがとうございました! また元気な姿で会いましょう」とオーディエンスとの再会を約束。自身初の神奈川・横浜アリーナ公演を含む、バンド史上最大規模のツアーを見事に締めくくった。
なお、今後のマカロニえんぴつは、全国各地の夏フェス出演を経て、9月28日(火)の新潟LOTSを皮切りに、全国9カ所15公演を巡るワンマンツアー『マカロックツアーvol.12~生き止まらないように走るんだゾ!篇~』を開催する。
マカロニえんぴつ 撮影=日吉"JP"純平
取材・文:奥“ボウイ”昌史 撮影:日吉“JP”純平

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