【公演ガイド】日本を代表するバレエ
団が「NHKバレエの饗宴2021 in 横浜
」に集い、珠玉の名作を披露!

「NHKバレエの饗宴2021 in 横浜」が2021年10月3日(日)神奈川県民ホール大ホールにて行われる。2012年に始まった「NHKバレエの饗宴」は、日本を代表するバレエ団、ダンサーが集う公演で、今年は3年に一度のダンスの祭典「Dance Dance Dance @ YOKOHAMA2021」との共同プログラムとして催される。今回は新国立劇場バレエ団『パキータ』、谷桃子バレエ団『ジゼル』第2幕、東京シティ・バレエ団『Air!』、牧阿佐美バレヱ団『アルルの女』という珠玉の4作品を披露。指揮:冨田実里、管弦楽:東京フィルハーモニー交響楽団による生演奏と共に贈る、まさに"バレエの饗宴"の名に相応しい必見の公演だ。上演作品の魅力をご紹介しよう。
■新国立劇場バレエ団『パキータ』~"日本最高峰"が魅せる、古典の精華!
新国立劇場バレエ団に大きな注目が集まっている。国立の劇場に所属する我が国唯一のバレエ団として四半世紀近い歴史を歩んできたが、2020年9月より、世界的なバレリーナとして一世を風靡した吉田都が芸術監督に就いた。今回上演する『パキータ』(音楽:ミンクス)は、古典バレエの魅力があふれる名作。元はジプシーの娘とフランス人将校の恋が主題の全幕物だが、この度上演するのは、古典バレエの父といわれるマリウス・プティパがロシアで創り上げた舞踏会のグラン・パだ。主役の男女カップルが踊るパ・ド・ドゥ、男性1人女性2人により踊られるパ・ド・トロワ、そしてコール・ド・バレエと呼ばれる群舞によって壮麗な舞踊が連続する。吉田の下、"日本最高峰のバレエ団"として発展するカンパニーの実力を肌身で感じたい。
新国立劇場バレエ団『パキータ』 撮影:長谷川清徳

■谷桃子バレエ団『ジゼル』第2幕~老舗の伝統が息づく舞台に期待!
谷桃子バレエ団は創立70年を超える歴史あるバレエ団。創立者の谷桃子(2015年没)が長らく主宰し、現在は谷の薫陶を受けた髙部尚子が芸術監督を務める。その老舗が長年受け継ぐ代表的な演目の1つが『ジゼル』(音楽:アダン)。ロマンティック・バレエの代表作で、ジゼルとアルブレヒトの悲恋を描く名作だ。ここで披露されるのは、第2幕、死後ウィリーになったジゼルの所へアルブレヒトが現れるシーン。主役2人の思いがこもったパ・ド・ドゥ、女王ミルタに率いられたウィリーたちによる美しくも迫力十分な群舞など、すべてが絵になる様式美に満ちている。髙部の指導を得て、老舗の伝統が生かされた好舞台に仕上がることを期待したい。
谷桃子バレエ団『ジゼル』第2幕より 撮影:スタッフ・テス

■東京シティ・バレエ団『Air!』~音楽との一体感が抜群なショルツの傑作!
東京シティ・バレエ団の躍進が目覚ましい。東京都江東区と芸術提携を結ぶなど独自の存在感を発揮してきたが、2009年に安達悦子が芸術監督就任後、レパートリーにより一層幅が出てきた。眼目はウヴェ・ショルツ(2004年没)の作品群。ショルツは音楽を鮮やかに視覚化する手腕に長けたドイツの異才で、死後も少なからぬ作品が踊られている。今回登場する『Air!』は1982年世界初演作品で、J.S.バッハの管弦楽組曲第3番にのせて、目くるめくような踊りを繰り広げる。音楽と舞踊の驚異的なまでの一体感こそショルツの真骨頂だ。2021年1月、「ウヴェ・ショルツ・セレクションII」においてバレエ団初演したばかりの話題作にご注目あれ。
東京シティ・バレエ団『Air!』 撮影:鹿摩隆司

■牧阿佐美バレヱ団『アルルの女』~プティのドラマ性が高い名編を鮮烈に!
牧阿佐美バレヱ団(芸術監督:三谷恭三)は、古典から現代作品まで幅広いレパートリーを誇る名門。特に没後10年を迎えたローラン・プティ(2011年没)の傑作群は財産だ。フランス生まれで"ダンスの魔術師"とも称せられたプティの作品の中でも屈指の名作がドーデの戯曲に想を得た『アルルの女』(世界初演:1974年)である。フレデリにはヴィヴェットという婚約者がいるにも関わらず、アルルの闘牛場で見かけた女性(幻影)に惹かれていく。彼の苦悩の果てに待ち受けるのは何か。ハイライトのファランドールは、数々のプティ・ダンサーが名演を残してきた圧倒的な見せ場。牧阿佐美バレヱ団✕プティによる、ドラマティクな舞台から目が離せない。
牧阿佐美バレヱ団『アルルの女』 撮影:山廣康夫
文=高橋森彦

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