「エンターテインメントの力を感じて
ほしい」米倉涼子×城田優共同プロデ
ュースのエンターテインメントショー
『SHOWTIME』が華々しく開幕

米倉涼子と城田優が共同プロデュースすることで話題のエンターテインメントショー『SHOWTIME(ショータイム)』が、2021年6月23日(水)に東京・東急シアターオーブにて華々しく幕を明けた。
本公演は米倉と城田がタッグを組んで共同プロデュース、共同演出、さらに舞台初共演となるミュージカルショーだ。二人を繋ぎ合わせたのは、稀代の振付家ボブ・フォッシー。米倉が三度ブロードウェイの舞台に立った『シカゴ』、そして城田が2019年に主演を務めた『ピピン』の生みの親だ。フォッシー作品のナンバーはもちろん、今このときだからこそ届けたい、厳選されたミュージカルナンバーが披露された。
初日公演の直前に行われたゲネプロと囲み取材の模様を、写真と共にお届けする。
上演時間は休憩なしの約90分。真っ赤な緞帳が上がると、そこには光り輝くダイヤモンドのような眩いショーの世界が広がっていた。
前半戦は『シカゴ』、『ピピン』、『キャバレー』など、米倉が愛するフォッシー作品のナンバーを中心に、最高にクールなダンスショーが展開される。フォッシー作品から選りすぐってパフォーマンスすることが長年の夢だったという米倉の熱意が感じられる構成だ。米倉は抜群のスタイルと圧倒的な存在感でステージをリード。妖艶な表情からコミカルな演技まで、多彩なパフォーマンスで魅せてくれた。
城田は自身が出演した『ピピン』からはもちろん、米倉と共に『シカゴ』のナンバーにも挑戦。あまりにもハマり役の城田の姿に、「このままここで『シカゴ』を上演できるのでは?」と思ったほどだ。その落ち着いた佇まいや安定感のある歌声からは、貫禄すら感じられた。
第一声からソウルフルな歌声で会場を沸かせてくれたのは、唯一無二の歌声の持ち主JKimだ。本公演では圧巻の歌声のみならず、男性ダンサーを率いてパワフルなダンスも披露した。トークの最中、デビューした年が米倉と一緒だということを明かし、二人並んで『シカゴ』のナンバーを歌い上げる場面もあった。
『ウエスト・サイド・ストーリー Season2』出演を機にミュージカル出演が続く森崎ウィンは、切ないバラードに透明感のある歌声を乗せて響かせ、会場の雰囲気をガラッと変えた。過去にピピンを演じた城田と、来年ピピンを演じる森崎によるここでしか聴けないデュエットも必聴だ。二人の歌声が重なり合って化学反応を起こし、より一層美しく、深みのあるハーモニーが生まれていた。
ソロナンバーで渋い演技と熟練のダンスで客席を魅了したのは、大澄賢也だ。大澄はショーの全編を彩るエネルギッシュで華やかな振付も担当している。ボブ・フォッシーが確立した“フォッシースタイル”を取り入れた斬新な振付、そしてそれを見事に踊りこなした日本ミュージカル界屈指のダンサー陣に、拍手を送りたい。『SHOWTIME』をショータイムたらしめたのは、紛れもなく彼らのダンスだろう。1曲丸々ダンサー12名のみでパフォーマンスするナンバーが取り入れられるなど、公演を通して全キャストが輝いていた。
本公演には、日替わり(公演毎)で中尾ミエと前田美波里がスペシャルゲストとして登場する。ゲネプロ公演回には前田が出演し、貫禄たっぷりに歌い上げ、太陽のような笑顔でショーを盛り上げた。
トークコーナーを挟んでからの後半戦は、ミュージカルソングやポップス、さらに本公演のために作られたというオリジナル曲が披露された。フォッシースタイルをリスペクトしつつ、このご時世だからこそエンターテインメントの力を信じたい。そんな想いで城田が選んだ珠玉のナンバーの数々が登場する。オリジナル曲「Show Must Go On」は、城田が作詞・作曲を手掛けた。コロナ禍で苦しんできたエンターテインメント界の人々の想いが、まっすぐな歌詞とメロディに乗って胸に響いてくる。
前半の妖艶で退廃的な雰囲気の演出と変わって、後半では希望が感じられるような明るい照明や衣装が多く取り入れられていた。本公演の演出は主に米倉が衣装を、城田が舞台美術と照明を担当したそうだ。ショーを通して、二人のこだわりが詰まった世界観もたっぷりと味わってほしい。
ゲネプロが終了して間もなく、興奮冷めやらぬ米倉と城田が再びステージ上に登場し、囲み取材が行われた。一部抜粋して紹介する。
――ゲネプロを終えた率直な感想を聞かせてください。
米倉:感動しています。一つのショーを彼(城田)と一緒に作ることが実現したんだということに、感動しています。
城田:正直、本当に目まぐるしくて。私事なんですが、別のミュージカル(『ブロードウェイと銃弾』)が3日前に終わったばかりで。本当にゲネでさえできるのだろうかという不安もあったんです。でもみんなの顔を見たり、音楽を聴いたり、パフォーマンスを観ていたんですけど、そうすると自然と力が湧いてくるというか。もちろんまだまだ至らないところはあるのですが、一安心というか、今はホッと胸を撫で下ろしています。
――今回、14年来の友人でもあるお二人が共同演出をされ、米倉さんが衣装を、城田さんが美術と照明を主に担当されたと伺っています。
城田:基本的には相談しながら、ね。
米倉:共同作業という形で、城田くんにほとんどお任せして、私は横槍を入れ(笑)。
城田:その横槍がいつも的確で。今回は米倉さんと共同ということもあったので、ちょこちょこ相談しながら作っていって、その結果が先程観ていただいたものですね。
米倉:この舞台ができあがるまではあっという間で、3日くらいでドドドドドって出来上がったのですが、その中でもどんどん変えていきました。想いに近づくよう、頑張ってきました。
城田:スタッフのみなさんに感謝です。
――演出面でのこだわりは?
城田:物語があるミュージカルではないので個々の魅力を最大限に活かし、我々の歌やダンスを通して、劇場に足を運んでくださった方に少しでもポジティブなエネルギーを、ということをテーマにしていました。キャストのみなさんにも口を酸っぱく、「テクニックは第二でいい。想いを第一に持ってこの『SHOWTIME』には臨んでほしい」と。我々の「エンターテインメントが好きなんだ、これからも続けていくんだ、SHOW MUST GO ONなんだ」という想いで作りました。
――本来であれば、ここ東急シアターオーブで『シカゴ』を上演予定だったと伺っています。今回、新たなチャレンジとして臨む『SHOWTIME』が開幕を迎えるわけですが、今どのような想いでしょうか?
米倉:私、『シカゴ』以外ミュージカルをやったことがなくてですね(笑)。まだ新参者なんですけど、今回この機会をいただいてたくさんのダンサーやミュージシャンと出会うことができました。この歳になってもまだまだ未熟者で、これからやれることがたくさんあるんだなと、夢と希望でいっぱいです。
――今回一緒に舞台に立ってみて発見した、お互いの新たな魅力を教えてください。
米倉:共通点はね。
城田:結構多いですよね。
米倉:体は大きいけど、気が小さい(笑)。
城田:二人共本当に小心者で、すごく緊張しいなんです。でも、やっぱりよねさんは本番強いですよね。
米倉:本当?
城田:前半のショータイム、米倉さんがやりたかったセクションの表情とか、僕はそれに引っ張ってもらってるところはあります。
米倉:私もドラマでご一緒したことはあるけど、舞台上でアイコンタクトを取ったのって今日が本当に初めてで、めちゃくちゃ楽しかった。やりながら、また違うところでやりたいなあって思っちゃった。
――最後に、観客のみなさまへメッセージをお願いします。
米倉:この『SHOWTIME』は、みなさんの想いと、私たちの想いと、このコロナ禍で辛い思いをした全員の想いを汲んで実現したショーです。まだまだ楽しい人生が残っています。今、光が見えてきていますが、それを感じていただきたい、謳歌していただきたい、楽しんでいただきたい。「明日も頑張るぞ」と思ってもらえたら、それが私にとって最高のみなさんへのプレゼントになるなと思います。
城田:米倉涼子という一人の女性から広がり、こんなにもたくさんの人たちを巻き込んで、こんなにも素敵な空間を生み出せていることを心から幸せに思います。同時に、これをたくさんの方たちに共有できたらいいなとワクワクしています。劇場の座席について『SHOWTIME』の緞帳が上がった瞬間から、全て忘れてエンターテインメントの力を感じていただきたいですし、これまでずっと長くやってきたエンターテインメントやショーを通して、みなさまに笑顔や勇気や希望をお届けできるように精一杯、スタッフ・キャスト・オーケストラ一同、力を合わせてこの舞台に立つのみです。

キャスト、ダンサー、アーティスト、総勢33名で贈る珠玉のエンターテインメントショー『SHOWTIME』は、6月23日(水)〜27日(日)まで東京・東急シアターオーブにて上演予定だ。今だからこそ実現できた奇跡のショーを、その目に焼き付けてほしい。
取材・文・写真=松村蘭(らんねえ)

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