[Alexandros]川上洋平、大ヒットホラ
ーの続編『クワイエット・プレイス
破られた沈黙』について語る【映画連
載:ポップコーン、バター多めで P
ART2】

大の映画好きとして知られる[Alexandros]のボーカル&ギター川上洋平の映画連載「ポップコーン、バター多めで PART2」。毎月22日更新のこの連載ですが、6月22日、川上洋平の誕生日の公開回で取り上げる作品は、2018年に公開され全米No.1大ヒットホラーとなった『クワイエット・プレイス』の続編、『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』です。
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』
緊急事態宣言前の4月中旬頃、[Alexandros]のドラムのリアド君と一緒に完成披露IMAX試写会に行って観てきました。リアド君が1を観てないっていうから、「絶対観て!」って言って事前に観てもらったんですけど。いやー、おもしろかった! 既に今年のベスト3に入るくらいですね。続編が1作目を超えるってこと自体なかなかないと思うんですが、超えてますね。ラストシーンがまた憎くて。「ここで終わるのか!」っていう続きが観たくなるシーンになってるので、僕の予想としては3作目があると思うんですけど、4作目5作目とかになるとちょっとだるくなる匂いはしてるから(笑)、3で終わらせてほしい。でも3を観た後に、「やっぱり1と2が良かったね」っていう結論になりそうな予感がしてます。
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』より
■長男と長女の成長物語にもなっていて、成長ぶりに感動してしまいました
1に引き続き、音に反応する何かが襲ってくるっていう設定で、主人公のアボット一家のお母さん・エヴリン役はエミリー・ブラント、お父さん役は監督と脚本も担当してるジョン・クラシンスキーで。1でお父さんは亡くなってしまったんですけど、3人目の子供をエヴリンが産んで。元々いた長女と長男、そして赤ちゃんっていう4人家族が、その何かから逃げながら生き抜こうとするっていう話で。1作目では「父とは? 母とは? 子供を守るとは?」みたいな、親の子供への愛が重点的に描かれていたんですけど、2はそのちょっと頼りがいがなかった長男と長女の成長物語にもなっていて、その成長ぶりに感動してしまいましたね。僕は独身ですけど、リアドは結婚して子供もいるのでまた違う感情を抱いたんじゃないかと思って、観終わった後に聞いてみたら、「そこがすごく良かった」って言ってました。お父さんの遺志を受け継いだ娘と息子の頼もしさは映画の主人公として申し分ない力強さで。特に聴覚障害を抱えてる長女役のミリセント・シモンズは素晴らしい演技でした。ほぼ主役と言ってもいいくらいの活躍でしたね。今回お母さんは少し影を潜めて、娘と息子が大活躍するっていうところに、どこか『エイリアン』シリーズのリプリーへのオマージュを感じましたね。あと、謎の男みたいな役でキリアン・マーフィーが出てくるんだけどかっこよかったなあ。
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』より
■窮屈な環境でどれだけ人間は抗えるのかっていう今の状況にも置き換えてしまう
僕は1もすごく好きで。ニューヨークで見たんですけど、公開してから割と経ってたのにまあまあお客さんが入っていて。ニューヨークの映画館って、観客がセリフに対して声に出してツッコミ入れたり、笑い声やリアクションも多いのでうるさいんですよ(笑)。そのリアクションを楽しむのもひとつの醍醐味だったりするんですけど。ただ『クワイエット・プレイス』の時は、みんな息を潜めて物音を立てないようにしてて、すごい素直な観方をしてるのが良かった。何か起きると小声で「oh my god~」とか言ったりしてて(笑)。あの騒がしいニューヨーカーたちがそうやって小声でリアクションしてるのがかわいかったんです。
上映中に音を立てないでくださいとか、スマホ見ないでくださいとか、注意があったりしますけど、『クワイエット・プレイス』の場合、そういうことがいらない。アトモスフィアでお客さんを黙らせてしまうという。かなり前の映画ですけど『ゼロ・グラビティ』もそういう映画でしたよね。映像に釘付けになりながら沈黙を楽しむみたいなね。
もちろん1が作られた時にコロナ禍っていうのは想定してなかったと思うんですけど、窮屈な環境でどれだけ人間は抗えるのかっていう今の状況にも置き換えちゃいますよね。マスクをしなきゃいけないし、ライブの時も声が出せないから拍手で応える。もう世界がクワイエット・プレイスっていうか、クワイエット・ワールドですよね(笑)。予言してた感じがあるっていうか、いろいろ考えさせられましたね。
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』より
■作品を立ててくれるような環境がちゃんと整ってるかっていうのはやっぱり大事
IMAXで観れたのも本当に良かった。音もすごく迫力があったし、映像もかっこよかった。CGがバンバン入ってくるわけじゃなくて、こじんまりとした状況で追い込まれるシーンも多くあって。僕はそういう映画がすごく好きなんですね。大々的なシーンが多く展開されるマーベルとか、おもしろいとは思うけど、オープンワールドすぎてあまり没入できないんです。『スター・ウォーズ』まで行くと、自分だけのワールドを作品の世界観に見出すことができるんだけど、マーベルとかはみんなのもの感があって、あまり自分を投影できない。もちろん素晴らしいフランチャイズだと思うんですけど。
やっぱり映画館って、映像を観るっていうことに対して一番適している場所で。真っ暗な空間には映像しかなくて、一緒に来てたはずの友達や恋人や家族もその時間だけはいなくなって映画と対峙する。だから僕は家で映画観る時も電気を消して、なるべく映画館に近付けるんですけど、『クワイエット・プレイス』シリーズはそういう観方にもすごくぴったりだと思います。例えば美術館でも、壁がすごく派手だったとしたら、邪魔で絵に没入できないですよね。作品を立ててくれるような環境がちゃんと整ってるかっていうのはやっぱり大事だなって思いました。
『クワイエット・プレイス 破られた沈黙』より
■主演のエミリー・ブラントがツボなんです
主演のエミリー・ブラントが僕すごい好きなんですよね。助演女優賞を取ったりした『プラダを着た悪魔』がすごく良かったし、その後の『ボーダーライン』や『ガール・オン・ザ・トレイン』も良かったし、うまいしかわいくてツボなんですよね。『クワイエット・プレイス』の監督・脚本・お父さん役のジョン・クラシンスキーと結婚してるんですけど。だからもう『クワイエット・プレイス』夫妻ですよね。ジョン・クラシンスキーはジャック・ライアンのイメージがあったけど、このシリーズで売れた!って感じがしてます(笑)。
取材・文=小松香里
※本連載や取り上げている作品についての感想等を是非spice_info@eplus.co.jp へお送りください。川上洋平さん共々お待ちしています!

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着