今井翼主演のミュージカル『ゴヤーG
OYAー』 WOWOWでの配信・放送を前に
収録レポートが公開

WOWOWでは、スペイン最大の画家ゴヤの激動の半生を今井翼主演で描いた、ミュージカル『ゴヤーGOYAー』を2021年7月3日(土)よる7時よりWOWOWオンデマンドにて独占配信、8月7日(土)よる8時30分よりWOWOWライブにて独占放送する。この度、収録レポートが公開された。
新型コロナウイルス感染症拡大防止による緊急事態宣言の休業要請を受け、4月25日(日)より東京公演の中止を余儀なくされた本公演。本番組は、翌26日に日生劇場で無観客で収録されたもので、観劇を予定していたファン、公演を楽しみにしていたファンにも、映像という形で、作品を追体験できるまたとない機会となるはずだ。
本作の舞台はフランス革命・ナポレオン戦争の激動の時代。人生の半ばで聴力を失いながらも≪黒い絵≫と通称される14枚の絵や「裸のマハ」などの傑作を生み出し、スペイン最大の画家とうたわれるフランシスコ・デ・ゴヤの画家人生のみならず、“人間ゴヤ”に焦点を当てて描くオリジナルミュージカルだ。原案・脚本・作詞にG2、演出に鈴木裕美という、日本演劇界を牽引してきた2人が初タッグを組んだ本作は、約1年半の休養期間を経て、昨年に復帰した今井翼にとって、復帰後“初主演”のミュージカル作品となる。
ミュージカル『ゴヤーGOYAー』 /(c)松竹
オープニングはゴヤの死後の世界。荒野に吹きすさぶ風の音が聞こえる暗闇の中、「聾者(ろうしゃ)の家」と呼ばれていたゴヤの別荘を訪れたテバ伯爵(山路和弘)が、家の壁に「黒い絵」と呼ばれる14枚の絵を発見するところから始まる。宮廷画家として華やかで色鮮やかな絵を描いていたゴヤがなぜ、こんなにも陰鬱(いんうつ)で恐ろしい絵を描いたのか。アンサンブルキャストとともにテバ伯爵は歌い叫ぶ。「ゴヤよ、教えてくれ。一体お前に何があったのだ」――。そこから本ミュージカルは過去のゴヤの姿を描き出す。王妃マリア(キムラ緑子)の側近だったテバ伯爵を狂言回しに、「裸のマハ」などをはじめとしたゴヤの数々の傑作がどのように生み出されたのか。その波乱万丈な生きざまや混沌(こんとん)とした社会の中でいかにして芸術家になっていったのか。G2がその背景にあった激動の時代をからめた独自の解釈で物語を紡ぎ出し、そして鈴木がパワフルな演出でそれを具現化している。
2007年、大阪松竹座での初座長公演『World's Wing 翼Premium』でフラメンコを披露したことをきっかけにスペインの魅力に取りつかれたという今井。長きにわたってスペインの文化に魅了され、そして理解を深めていった今井は世界初のスペイン文化特使に就任している。また、フラメンコダンサーの佐藤浩希に師事した今井は、これまでも数々の舞台でフラメンコを披露してきたが、本作でも、佐藤の振り付けのもと、フラメンコを披露するシーンがある。キレのいい動きは情熱的ではあるが、大地を踏みしめるように鳴り響くその音からはどこか切なさ、はかなさを感じさせる、まさに目が離せない名シーンとして注目したい。
ミュージカル『ゴヤーGOYAー』 /(c)松竹
また、テノールボイスで歌うミュージカル俳優が多い中、低く響き渡る今井のバリトンボイスは貴重だ。その低くもパワフルな歌声が、野心を抱きながらも、苦難の中でわが道をゆく、というゴヤの熱き魂と共鳴している。例えば第1幕の前半部分で披露される楽曲「一瞬を永遠に」では、「今の場所から飛び上がりたい」と熱望するゴヤに対して、サパテールは「飛んでいってほしくない」と歌うなど、強く結び合っている親友同士の思いが違う方向を向き始めるようになったことに気付く、切ない楽曲となっているが、サパテール演じる小西遼生のハイトーンボイスと、ゴヤ演じる今井のバリトンボイスが絶妙なるハーモニーを生み出し、心をグッとつかまれる。
また、野望に燃えるゴヤの立ち振る舞いを心配し続けるのは、清水くるみ演じる妻のホセーファ。運命に翻弄(ほんろう)され続けるゴヤを、献身的に支える彼女の姿が感動をもたらす。そしてそんなホセーファと対照的なのが、キムラ緑子演じる王妃マリアや、仙名彩世演じるアルバ公爵夫人。彼女たちは己の欲望に忠実に、力強く生きる女性像となっており、そんな多彩な女性たちの生き様が描かれるのも本作の見どころとなる。
本作の作曲・音楽監督を担当するのは、人気ピアニストの清塚信也。スペインの音楽を基調とした情熱的な楽曲をはじめ、軽快な楽曲、心を揺さぶるような切ないバラード、そして民衆の怒りを代弁するかのような勇ましい楽曲など、登場人物たちの心情に寄り添った楽曲の数々は非常にエモーショナルだ。またクラシック出身の清塚らしく、まるで組曲のように多様な旋律が奏でられているところも、作品の壮大さに寄与している。特に第2幕の民衆たちの怒りが爆発するシーンなどは、アンサンブルキャストのパワフルな合唱の迫力に圧倒されそうな魅力がある。
ミュージカル『ゴヤーGOYAー』 /(c)松竹
若きゴヤがまっすぐに、力強く生きる姿、そしてそんな彼を支える親友や妻の存在は、閉塞(へいそく)感が漂っている今の時代だからこそ響くものがある。コロナ禍でエンターテインメント業界が打撃を受ける中、それでも負けずに熱い舞台を見せようと奮闘するスタッフ、キャストの熱い思いも、この放送から感じ取れるはずだ。

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