「エーステ」春組による全曲解説イン
タビュー! オリジナルアルバム MA
NKAI STAGE『A3!』Spring Troupe 満
開の桜の下で

大人気のMANKAI STAGE『A3!』が舞台を飛び出し、春・夏・秋・冬の4つの組ごとにオリジナルアルバムをリリース! その第1弾は春組のMANKAI STAGE『A3!』Spring Troupe 満開の桜の下で。アルバム用の新曲と原作アプリゲームの楽曲をカバーした欲張りなこの1枚を引っ提げ、8月には単独ライブであるMANKAI STAGE『A3!』Troupe LIVE~SPRING 2021~も決定している。まずはメンバー自身の“全曲解説”をお届け。思い切り春組ワールドに浸って欲しい。
ーー本日は牧島 輝(碓氷真澄 役)さん、前川優希(皆木 綴 役)さん、立石俊樹さん(茅ヶ崎 至 役)、古谷大和さん(シトロン 役)にお集まりいただき、アルバム収録曲についてお聞きしていきたいと思います。まずはM1『桜の下で』。アルバムのオープニングにふさわしいスケール感のあるナンバーです。
古谷:すっっごくいい曲ですね(ドヤ)。
前川:あ、全曲そのコメントで行こうとしてる顔だ。やめてね。
古谷:(笑)。
前川:いい曲です。始まりにふさわしくもあり、卒業を連想させるエモーショナルな雰囲気も持ち合わせた曲。キラキラだけじゃないこの曲でアルバムをスタートさせる……やっぱり春っていう季節は“出会いと別れ”が同居しているのかなぁと思いました。
牧島:(音楽を担当された)Yuさんはすごくポジティブな方だから春組の歌詞も全部ポジティブなんですけど、でも歌ってると逆にちょっと切なくなって……どんなときも明るくいればいるほど、前を向かせてくれようとするほど、そこにグッとさせられるのが素敵なんです。
牧島 輝
古谷:僕らが歌に“哀しげ”とか“物憂げ”とかを乗せずシンプルに歌ったほうが、聴いてる人もちょっとキュンと切なくなったりするんだよね。
牧島:過去を置いて前に進もうって気持ちの中に潜む「出会いは別れとセットだから」という感覚が聴いてる人の心に浮かぶ……みたいな。
立石:そうだね。春組も今回のライブで牧ちゃんが卒業するということもあって……僕はこれは牧ちゃんに贈る歌でもあると思っています。別れを惜しみすぎるよりも前向きな春組の良さを感じさせつつ、新しい季節に踏み出すワクワク感が溢れてるのが好き。絶妙に素晴らしい感情のラインだなって思います。
牧島:で、龍儀くんはどう思う?
立石・古谷・前川:(爆笑)。
ーー佐久間咲也 役の横田龍儀さん、本日は……残念ながら都合がつかず欠席ですね。座談会のテーブル、実はちょうどいい場所がひとつ空いてますけど。
古谷:一応、龍儀の場所ってことで。
牧島・前川・立石:(ニコニコ)。
ーー5人の曲もレコーディングはおひとりずつ。歌っているときはメンバーの顔が浮かんでいたり?
前川:ちょっとイメージしたりはありました。
前川優希
牧島:僕は順番的に最後に歌入れしたんですけど、Yuさんのデモの歌声を聴きながらやってたらみんなの声も聴きたくなって、お願いしてみんなの歌声を流しながらレコーディングさせてもらって。それが……すごく……良かったんですよねぇ。
前川:なんか素敵。
牧島:でしょ。これ、僕のとっておきエピソードなんで(笑)。
ーーM2は『Spring has come!』。他己紹介ナンバーであり、原作のユニットテーマ曲ですね。
前川:ゲームリリース当初から春組を象徴する曲でしたよね。ちょっとフフッと笑える歌詞なんだけど、サビでは結構いいこと言ってたりもして。
立石:エーステはいつも春組から始まって、初の単独公演(SPRING 2019)も東京凱旋公演の時に原作の曲を数フレーズ入れて歌うって初めて決まったのも僕ら。実際に歌った時のお客さんの反応はやっぱり忘れられなくて……。
古谷:歌う前、めちゃくちゃ緊張したよねっ!
牧島・立石:した〜っ。
前川:お客さんはそうくると思ってないから突然のことに一回「えっ!?」と驚いてから、「わ〜っ!」と盛り上がった客席の表情と歓声はやっぱり……忘れられないなぁ。
牧島:マチソワ間で振付の(伊藤)今人さんと何度も練習したしね。
古谷:めっちゃ覚えてる! 時間に余裕がなくてなかなか振りが入らなくて……今人さんに気合い入れてもらって本番を迎えて。
立石:僕は当時、この曲をiPhoneに入れて毎日聴いて開幕に向けワクワクした気持ちを育んでたんですけど、「桜の下で」と同じく春組ならではの“明るくて切ない”魅力が詰まっていて、今聴いてもいろんな感情とか思い出とかがよみがえってきます。でもまさかこうして僕らでフルで歌うことができるとは思っていなかったので……良かった。嬉しいですね。
立石俊樹
ーーM3『春色の予感』。こちらはうっすらオリエンタルテイストの、他己紹介リレーのオリジナルナンバー。
牧島:個人的にすごい好き。カッコいい。
古谷:うん。聴いててすごいテンション上がるし。
立石:歌ってても気分、上がるよ。
前川:ライブっぽいよね。
牧島:早くステージで歌いたいかも! 一緒に歌うところなんかは疾走感とかテクニカルな感じがさ、ちょっと大人っぽくていいよね。ホント、ライブを想像したくなる曲で。でもこれ……絶対めっちゃ踊るでしょ?
ーーアルバムとしても序盤から中盤へ、ここで少し風景が変わっていくニュアンスを孕んだナンバーですし……各ソロの後にちょっと期待できる、少し長めのインストパートがありますよね。
前川:しかもそのメロディもひとりずつ微妙に個性があるから。
古谷:「ここ踊るからね」って、突きつけてきてるよなぁ〜。
古谷大和
立石:うん。めちゃくちゃ踊るような気がする(笑)。
牧島:順番だと僕が最初なんですよ。
前川:ま、輝くんはめちゃくちゃ踊らされると思うよ。
牧島:僕……ダンス呪われてるからなぁ……。
立石:どういうこと??
古谷:そういうこと??
前川:大丈夫だって!
牧島:(笑)。頑張る。
ーーキャラクターとしてのレコーディングは、やはりこれまでのエーステやお客様のことをイメージして気持ちを作るとか……?
古谷:みんなってどうしてるの? 自分は舞台上でだったらその時のお芝居の気持ち、お客様の反応で自然とパフォーマンスできるけど、レコーディングってやっぱりちょっと大変で……。でもYuさんの素敵なところは「最初はまずは楽曲として今歌えるモノを歌っていいよ。公演ではまたその時の心情で全然違う歌唱になったって構わないから」って指導してくださるところ。だから無理に自分のキャラクターはこうって決めつけすぎずに歌えるし、より本番でのパフォーマンスを楽しみに待ってしまう。
立石:やっぱりお芝居がつくと歌の世界が広がって、また全然違うもんね。
牧島・前川:(頷く)。
(左から)立石俊樹、牧島 輝、前川優希、古谷大和
ーー4人のナンバーが続いたあとのM4『嘘のない涙』は、リーダー・咲也のソロ。日記を繰るような柔らかい印象のミディアムナンバーです。
古谷:聴いた時、すごくいい歌だけどすごく難しそうだなぁって思った。表現の上での芝居心とか技術とかが必要な。だから……ライブ? 「横田、がんばんねぇとなぁ」って思った。
牧島・前川・立石:(笑)。
前川:龍儀くん……咲也って新生MANKAIカンパニーの最初の一人だから、どんな演出になるにしても彼が一人でドンとステージにいてソロを歌う姿は絶対じーんときますよね。キャラクター的にも「がむしゃらに頑張ります」っていうリーダーが見せてくれる世界を想像すると──。
牧島:ちょっと楽しみですよね。ドキドキしてきた。
古谷:ホントホント。僕らも生で聴くのが楽しみ。佐久間咲也くんってみんなをガッと引っ張っていくんじゃなくて、彼の頑張ってる背中を見たみんながその背中を押したくなるキャラクターで、そこは龍儀とも被るから……それがこのソロでお客さんにも僕らにも伝わって、いい追い風になったらなって思いますね。
前川:俊くんとかアドバイスある? 歌の。
立石:僕? うーん……横っちゃんの初めてのソロ。ステージではちょっとナルシストになってもらうのがいいんじゃない?
牧島:自分に自信を持つってこと?
牧島 輝
立石:そうだね。自分らしく歌の世界に身を委ねるというか。
古谷:あ〜、確かに。ちょっと迷ったり自信なかったりするとすぐバレちゃうんだよね。
立石:うん。結局は自信が大事だと思うよ。
前川:いいアドバイスかも!
古谷:わかった。じゃあもうずっと褒めよう!
牧島:いや、言わなきゃいけないことは言わないとだよ。
前川:厳しいなぁ〜。
牧島・立石・古谷:(笑)。
ーーアルバムはここから後半へ。M5『カレーパン』は真澄&綴のデュエットソング。サックスの音色も印象的な“男の子”なナンバー。
前川:5人の歌は基本聴かせる歌って感じなんですけど、『カレーパン』は歌でも台詞でも結構2人のやりとりで構成されてるのでそういう楽しみはありつつ、僕的にはやっぱり“牧島 輝と2人で歌う”のは緊張しますよ! 輝くん歌上手いし、輝くんの歌、すっごい好き……で、自分の歌は自分であまり好きじゃないんです……そんなに上手じゃないので。だから、頑張らなきゃって。
牧島:(イケボで)いい歌声だったよ。
前川:……って、いい声で言わないで!
古谷:上回ってくるねぇ〜。
立石:(笑)。
牧島:「舞台を頑張ろう」みたいなことがテーマじゃなくて、こういう感じの歌、僕たちがただ生きてる日常の何気ない会話とかキャラ感がすごく見える世界観も素敵だよね。監督に早くカレーパン買って帰ってあげたい真澄を微笑ましく見てる綴の顔も思い浮かぶような、ほっこりした歌詞もいい。
前川:最初は仲悪かった2人が今は同室でうまくやっている、今だから歌える歌なのかなぁって思った。最後のフェイクとか難しくてもうライブで声が裏返っちゃう予感しかしないけどー(笑)。
前川優希
牧島:カッコつける歌じゃないからそれもいいんじゃない? 「カレーパンあったかいうちに持って帰ろう」って歌ってるんだもん、僕ら。
前川:そうだね。
牧島:真澄は他の曲だったら監督のためにカッコつけたところを出してるけど、この曲だったら素顔のままでいられる。そこを見せられるのはありがたいし、やっぱりこれもステージで歌うのが楽しみです。とっても。
ーーM6もデュエットですね。キャラクターの魅力全開のクセになるナンバー、『一回一円、イケてるメンマ』。担当は至&シトロン!
古谷:びっくりしましたよ〜。ね?
立石:ね。「まさかシトロンと至で曲、くるんだ!?」って。
古谷:びっくりしたけど、俊くんとは他の作品でも一緒になることが続いてて、「お、歌も一緒だ。やったー!」って思いました。
ーー絶妙な掛け合いで構成される愉しさが際立つ分、緻密に織り上げて歌う難しさもありそうです。
古谷:音楽として、まずはちゃんと2人で縦を合わせていかないと普通にズレるよっていう怖さはあるけど、そこを守りつつライブ感で……Yuさんの言葉にも甘えつつ、ね。ステージでは僕らとお客さんとの間で生まれた“何か”をちゃんとお客さんに届けられる『メンマ』にしたいなと思ってる。自分は役者だし、どの曲もそこから何か物語が伝わるような……単なる歌だけじゃないところで届くモノがあるし、そう届けたいと思ってライブでも歌っていきたいんですよね。シトロンくんは台詞歌のパートを担うことが多いんですけど、それも「難しい」と思ったら多分難しくなっちゃうから、「こうしたらいいかな。こうすることで伝わるかな」「お芝居で持っていくならこうだよな」っていう自分の出せる精一杯で、表現しています。
立石:なんだろう……最初はホントに「楽しみ!」と思って、いざレコーディングの場になったらYuさんから「実はこの曲、ある曲に繋がってるんだよ」って教えてもらって……。
古谷:そうそうそう! エモいんですよぉ〜。
立石:「なるほど、これはただの面白い歌じゃないんだ!」ってわかって、さらにこの曲のことが好きになりました。
立石俊樹
ーーあ、それはもしかして……。
立石:ヒントは『一五一会』(MANKAI STAGE『A3!』~SPRING 2019~ メインテーマ)のとある歌詞のところ、です。僕自身もですけどあのフレーズって「なぜ?」って思ってた人もいっぱいいたと思うけど、いよいよその謎の伏線がここで回収されるという──。
古谷:至とシトロンが交わした約束があっての『一五一会』。ここにもしっかりドラマがありますね。
牧島・前川:おお〜っ!
立石:まさに“スター・ウォーズ”ですよ。
ーー壮大な物語の中のエピソード4が第1作、そこから遡るように新作が作られていった時間軸の“仕掛け”?
立石:そうです。そうです。
古谷:お、なるほど。
牧島:俊くん冴えてる(笑)。
前川:上手いこと言ったぞって顔してるし。
立石:(笑顔)。
古谷:新曲って思って聴いたら実は今までのことも思い出されてきたりとか、もっと春組のことが好きになったり色々わかったりする。『メンマ』だけじゃなく、ここにある歌は全て「僕らが歌う意味がある曲たち」なんだなって思います。
古谷大和
立石:そうなんだよね〜。
ーーM7は春組公演曲。舞台では舞台オリジナルの劇中劇ナンバーで構成される中に一部組み込まれていた原作の3曲がメドレーになっています。最初が旗揚げ公演曲『僕らの絆』。ロミオ&ジュリアス(咲也&真澄)。
牧島:ロミジュリを演じたのが3年前。レコーディングは「ハモリとかどっちが上だっけ?」って思い出すところからの作業だったんだけど、先に録ってた龍儀くんの歌が「あれっ? ホントに??」って(笑)、部分的にパートが入れ替わってるところがあって……歌いやすいところ先に歌われちゃったのかなぁ、とか……。
前川:横田〜っ!
立石・古谷:(笑)。
牧島:でも当時もお芝居しながら歌うから動きやセリフに合わせてやりやすいように細かくパート分け直したりもしたので、最終的にここで整理した感じですね。やっぱりね、音で覚えてることとかもいっぱいあったりするし……この曲で改めてあの時の舞台上の景色を思い出しました。
古谷:ロミジュリは物語もすごい王道で、歌も「春組ってこういうことなのかな」って思わせてくれる、前向きで元気をくれる曲だよね。
前川・立石:(頷く)。
牧島:僕らMANKAIカンパニーとしてはシャッフル稽古(MANKAI STAGE『A3!』〜Four Seasons LIVE 2020〜での一演目)でもやったけど……僕はやっぱり春組のロミジュリが一番好き。
立石:そこは譲れませんよ。思い入れありまくりだもん! 僕らの初演の一幕だよ。
前川:そうだよ〜。もう……バカみたいに緊張した! まじ震えたし……。
牧島:震えた。そして、劇中劇やりきって幕が降りた時のあの感じ! 一生忘れられない。
立石:忘れない、絶対。あの時は苦しさもあったなぁ……。
前川:「僕たちが二幕にちゃんと繋がなきゃいけない」って。
古谷:そのプレッシャーも感じてやったロミジュリ。今回この曲を久々に聴いたけど、僕もホントいろいろ思い出しちゃったし……時が過ぎたからこそ、また新たに感じられるモノもあるなと思った。ただの“再放送”じゃない、今の春組のロミジュリになってるはず。
前川・立石:(頷く)。
牧島:そんな思い出深い曲を改めて歌えたのは本当に嬉しかった。しかも今回は公演ではできなかったセリフ部分なんかも龍儀くんとやれたので、そこも聴きどころとして楽しんでもらえるかなぁって思ってます。
(左から)立石俊樹、牧島 輝、前川優希、古谷大和
ーー第二回公演曲『ワンダーランド・ア・ゴーゴー!!』はアリス&帽子屋(真澄&至)。春組らしいファンタジックな世界が詰まってますね。
前川:楽しい曲だよ〜。
牧島:楽しい〜。
古谷:ただただ可愛い。好きだったなぁアリス。
立石:いい! やっててずっとワクワクしてた。あの時はこのアリスとすごく切ない『ぜんまい仕掛けのココロ』の正反対のテイストの2本をやって……全部ひっくるめて「春組でよかった」って思ったんだよね。だからロミジュリ同様思い入れのある過去作を今の自分たちの状態で歌い直すことができて……今やったらこうなんだなぁってわかることができたし、初めて感じることもたくさんあったし、思い出すことも果てしなくて。
前川:自分的には春組の中で1、2を争う“耳に残る曲”。春単の時とか♪らんらららららん がずーっと頭の中巡ってて、もう、やばかったもん(笑)。電車の中でもこっそり口ずさんだり。
古谷:確かに僕と会話するときも「らんらん」で返してくるときあったもんね。
前川:いや、ないわそんなん!
牧島・立石:(笑)。
前川:あ、いや、もしかしたらそうなってたかもなぁ……っていうくらいには、好きでした(笑)。
立石:主演の真澄を準主演の至がわかり合うために試行錯誤していくって関係の物語で……演じるの大変だったし、自分にとってもすごく思い入れのある作品です。
牧島:僕はずっと出ずっぱでしゃべりっぱなしで……結構終わった後の記憶ない感じのときも多かったです。でも……すっごく楽しかった〜。
牧島 輝
古谷:楽しかったよ〜。
ーー「楽しかった」が止まりませんね(笑)。
前川:わちゃわちゃするシーンでわちゃわちゃし過ぎて、曲聞こえなくて何かちょっとうまくタイミング取れていない時ですら、それがもう楽しかったし(笑)。
牧島:一緒に穴に落ちるところね。あと僕が異常に長くしゃべりながら、無駄にずっとじゃれてたときもあったよね(笑)。
立石:ほら、僕がアリスにお茶飲ませるシーンで、タンブラーの中になぜかいつもは入ってないタグが入ってて、「やばい」と思いつつわざと牧ちゃんに見せるようにお茶を渡して……。
古谷:あったあった!
牧島:ああ〜っ(爆笑)。
立石:こんな風になっちゃってるけどよろしくね〜って感じでやって、チラッと見たから「よし、確認したな」って託して(笑)。そういう暗黙の空気でハプニングも一緒に乗り切ったのもいい思い出ですね。お客さんには気づかれなかったはず。あの時の牧ちゃんの顔、面白かった〜。
前川:アイコンタクトしてね。
牧島:いや、普通にびっくりしたし、笑いそうになっちゃって。他にも色々ね、アリスは思い出すとハッピーな気持ちになることばっかりでした。
ーーそこから第三回公演曲『思い出のねじ巻き』への流れも絶妙です。ルーク&S(綴&シトロン)の切ない友情の物語。涙腺が刺激されます。
古谷:いい話なんですよ……。
牧島:いい。めちゃめちゃいい。
立石:……ホントにねぇ。僕も大好き。泣ける。
前川:主演をやらせてもらったすっごく大事な作品の歌。でも輝くんが言うように、僕もあんまり記憶がないんです。稽古から思いつめてプレッシャーを感じていたのでがむしゃらに取り組んで……実際「がむしゃらだったな」ってことしか覚えてないというか。劇中劇の前の綴の芝居、そこに寄り添ってくれたシトロンや咲也の思いをそのまま劇中劇へと引き継いでやってた気がするから……ライブで歌うって時になったら、お芝居と地続きじゃないところでのパフォーマンスはきっとまた違った歌になるんだろうなって思う。綴くんとしてどういう気持ちで歌うのか、そして大和くんとの掛け合いもどういう気持ちのやりとりになっていくのかは今は全くの未知、だなぁ。
前川優希
古谷:僕もそう思う。あの時の『ねじ巻き』ではないってことだけはわかるけど……繰り返しになりますが、やっぱり役者として「今やる意味」をお客さんに感じてもらえるような演劇を届ける、演劇人としてこの曲のメッセージを歌と踊りに乗せて届けていきたくて──それを考えるのも楽しいし、そこが役者の本望なのかなぁ。原作のゲーム画面の奥にあるモノを役者の芝居や演出でしっかり足してあげて素敵に魅せていくことができるのが演劇の世界ですから……責任も大きいですし、その役目を背負うのを光栄に思って、大切に歌っていきたいなって思いますね。
牧島:『ぜんまい』はもう……泣けるんですよ。
前川:忘れもしない最終稽古の通し、最後の方のシーンで輝くんが出るところをとちったんだよね。で、「どうしたの?」って聞いたら、「お前らのお芝居を袖で見てたら泣きそうになって」って。
古谷:言ってたね〜。
牧島:もうSはいないけど心の中で生きてるんだぜ、的なやりとりのあとに歌があるって流れで、僕は彼らにとって敵の役なんですけど「ルーク、お前マジでもう絶対幸せになれよ」とか真剣に考えてたら……出トチった。
立石・古谷:(爆笑)。
前川:いつもならそういうときも面白いリアクションしてくれて和むんだけど、その時は真面目に落ち込んじゃって。
牧島:あんなにいい芝居してるのに、僕が足を引っ張ってしまったと──すっごい反省したんです。
立石・古谷:(笑)
牧島:いやもうほんとに好き。おすすめ。舞台とか観たことない人に一番最初に観て欲しいですよ、『ぜんまい』。照明とかもすっごく綺麗で……。ライブで歌ってくれるの、僕もすごく楽しみにしてますから。
前川:ちなみに『ぜんまい』は幕が開くと同時に俊くん演じるボイドがひとりで歌うシーンから始まるんですけど、稽古場からもう嫉妬。あのポーズ、僕の中の「立石俊樹かっこいいシリーズ」トップシーン。一応僕が主演だから、僕よりかっこするのはやめてくれ〜!
立石:ハハハッ(笑)。
立石俊樹
ーーそんな公演の思い出などもかみしめつつたどり着くラストナンバーが、M8『MANKAI☆開花宣言』。クリエイターの大石昌良さんのカラーが感じられる、カラフルで元気溢れる1曲ですね。原作の第一部主題歌でもあります。
古谷:これも普段は歌わない歌で、なかなかに……。
立石:うん、一番難しい曲だと思います。
前川:そうなんですよ。一筋縄ではいかない感じで。
古谷:これは僕の想像だけど、原曲は原作で歌っている声優さんたちの感覚を音に乗せて録ったんだろうなぁっていう空気感もあるので、それを僕らが歌うとまた全然違うものになるんだなって実感はあります。
ーーみなさんのハーモニーがいつもとちょっと違う色味を帯びて聴こえるのも、そういう“変換”を経ているからなのかもしれません。
立石:フルで歌ったのはこのアルバムが初めて。旗揚げ(SPRING & SUMMER 2018)の時のカーテンコールで歌わせてもらったりもしたので、その時のことが思い出される1曲でもあり……。
前川:ゲームの4年間を支えてきた歌、エーステのみならず『A3!』全てを背負っている大事な曲として歌わせていただくっていう気持ちはすごくありますね。本来はリーダー4人の曲ですし。
古谷:これもまた主題歌を歌わせてもらう嬉しさと、やっぱり今の僕らが歌う意味というところを大切に思いながらレコーディングに臨みました。原作とは全然違う歌い方なんですが、「シトロン君だったらこう歌うだろうな」って信じて集中した。
牧島:(頷く)。歌入れは自分も真似とかコピーじゃなく「僕たちが春組なんだ」って思って好きにやれたと思うな。
立石:落ちサビのところなんか特に象徴的に僕たちのカラーが出てるんじゃない? みんなひと言ずつあってサビへと繋がるあのパートのエモさは、春組が歌ってる意味が感じてもらえるよなぁって思うんだけど──。
前川:確かに! 自分がそのパートをもらえている意味、選ばれた理由とかを考えながら歌って……。
古谷:そうすることが作品への僕らの恩返しでもあり敬意。これから大切に歌っていきたいよね。
古谷大和
立石:キャラに人生を乗せる、じゃないけど、やっぱりちょっと特別な意味が込められた曲に仕上がっているんではないでしょうか。
牧島・前川・古谷:(頷く)。
ーー1曲1曲に込められた思い、素敵です。これまでのエーステ公演でみなさんが積み重ねてきた時間と経験があったからこそ生まれたアルバム……夏のライブは牧島さんの「卒業」公演ともなりますね。改めてこの先の春組の活動への意気込みをお聞かせください。
牧島:もちろん悔いが残らないようにはやらなきゃいけないとは思うけど、今までだって僕たち、悔いが残らないようにやってきたはずだし……もちろん、自分たちも変わってきたんだっていう自覚はあるけど、それは良い成長だったと信じてる。だからライブもあまり意識せず今まで通り全力でやれば、きっといいステージになるよ。いろんなこと受け入れて、難しいことは考えずに楽しんでいきたいし、それでいいんだっていう気が……してます。
前川:3年間エーステをやってきて……当たり前ですけど惰性で何かをするってことはなく、自分を新しくし続けていく、小さな一歩の積み重ねでも新しくしたいと思って舞台に立っています。安定した「もうこれで盤石」っていう状態もエンターテインメントとして素敵だと思うけど、うまくいかないことがあってもカンパニーみんなで前へ前へ進んでいく事が大事だし、進んできた道は歴史として残っていくはずだし……ね。もっと先、真澄が輝くんじゃない人になってもそれは仲間が増えるって事だから、さみしい感情はつきものだけど……悲しい出来事ではないし……。
牧島:泣いてる?
前川:泣きそう(笑)。よし、頑張ろうね、みんな!
立石:僕自身はちょっと期間が空いて久しぶりに戻ってくるエーステが次のライブなので、「エーステをやる感覚」がまず楽しみですね。のめり込んで得るモノもあるけど、離れたからこそ改めて獲得できるモノって必ずあるから、夏のライブでも新しい発見がたくさんあるだろうことが純粋に楽しみなのと……牧ちゃんとラストではあるけど……その……。
牧島:ちょっと待って。僕、死ぬわけじゃないから。
前川・立石・古谷:(爆笑)。
牧島:会えるからね。ずっと。
立石:そうだよね! 僕らが新しく取り組めることを楽しみつつ、更新され続ける春組の魅力をお届けできるんじゃないかと思います。楽しみにしてて欲しいです。
古谷:エーステって集まった人が全員前向きで作品を愛している素敵な現場で、原作もとても愛されているし、舞台もたくさんの方が見てくださる事が約束されているような作品なんだけど……だからこそ、みなさんに満足してもらえる舞台を届け続けるには僕らはひたすら真摯に、そしてポジティブな気持ちで作品と向き合い、よりお客様の満足する気持ちのパーセンテージを上げていくのみだと思っています。ライブでの卒業は牧島にとって大きなタイミングではあるけど、本人が言うように彼も僕らもこれまで通りにしっかりと春組であり続けることが一番大事。丁寧に届けていきたいです。
牧島:とは言えね、牧島個人としては最後にもう一言いいですか? 僕、やっぱり春組って夏組・秋組・冬組には負ける気がしないんですよ!!!
立石:なぜ突然のファイティングポーズ!?
前川:コラ、喧嘩売らない!
古谷:みんなで「MANKAIカンパニー」でしょ!
牧島:いや、アルバムもライブも僕たち春組がトップバッター。ただバトンを渡すだけじゃなく、「やっぱ春ってすごいなぁ」ってね、みんなに思わせてやりますよ!
古谷:……うん。ま、そういうところ、牧島らしいけどね(笑)。
(上段左から)立石俊樹、古谷大和(下段左から)牧島 輝、前川優希
横田龍儀(佐久間咲也役) コメント
横田龍儀

佐久間咲也役の横田龍儀です。今回インタビューに参加できず申し訳ありません。なので、あたかも僕もいたかのように答えます(笑)。
■アルバム全体への感想
原作の曲も新作の曲も歌えてとても素敵なアルバムだと感じてます。Yuさんの曲は言葉一つひとつがとても素敵で思いが込められているので、聞いてくれる方もいろんな思いで聞けるんだろうなと感じました。
■好きな曲、おすすめの曲、ソロ曲について
好きな曲は正直全部です(笑)。ソロ曲が今回あるのがとても嬉しかったです。元々歌が苦手で、ボイトレにも通っていたので、少しでもその成果が出てればなと思います。
■レコーディングのこぼれ話
ソロ曲のレコーディングの時すごく緊張していて、なんとかソロ曲のレコーディングを終え落ち着いた後に、歌っているところを撮影させてくださいと言われ、もう一度ソロ曲を歌ったら肩に力が入ってなくて本当に良かったらしく、「なぜそれを最初からやらない!」って、Yuさんに笑われました。
■ファンのみなさまへ
春組のライブ、みんなで楽しみましょう! このライブがずっとずっと心に残るように。全力で楽しみましょう!
■ライブに向けて
本番、ただ全力でみんなと楽しめるように。観に来てくれる皆様に満足してもらえるように、本番の始まるギリギリまで全力で努力して取り組みたいと思います!!

Hair&MAKE
笹浦麻記(e-mu)※前川優希、古谷大和
中元美佳※牧島 輝、立石俊樹
stylist MASAYA
■古谷大和
・Tシャツ ¥9,900 (AlexanderLeeChang/Chang) ・ネックレス ¥5,500 (maturation)
その他スタイリスト私物
■前川優希
・シャツ ¥31,000 ・パンツ ¥37,000 以上2点ともに(0658) ・シューズ ¥39,600(Tomo&Co./Name Store)
その他スタイリスト私物
■牧島 輝
・シューズ ¥39,600(Tomo&Co./Name Store)
その他スタイリスト私物
※上記全て税込表記。
<お問い合わせ先>
・Chang(03-6804-7704)
・Name Store(03-6416-4860)
・nobu Ikeguchi(03-6438-9036)
・maturation(hdjj3etym4@i.softbank.jp)
・0658(06-6568-9862)

取材・文=横澤由香  撮影=池上夢貢

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