L→R rio(Key)、syunn(Ba)、kiila(Vo)、tomoki(Dr)、yu-ya(Gu)

L→R rio(Key)、syunn(Ba)、kiila(Vo)、tomoki(Dr)、yu-ya(Gu)

【vivid undress インタビュー】
地獄から愛の歌を
歌えるようになるまでのひとつの物語

メジャー3作目となるミニアルバム『愛のゲイン』はvivid undressの最重要作となるのは間違いないだろう。とにかくラストに収録された「後悔」が半端じゃない。充実のバンドアンサンブルと歌詞に込めた熱量を合致させ、彼らにしか出せない圧倒的なグルーブを作り出すことに成功している。

“ここまでやっていいんだ!”って
箍(たが)が外れた

昨年夏のミニアルバム『変身コンプレックス』の時もvivid undressのバンドサウンドが変化したという話をしたと思いますが、新作『愛のゲイン』もまた変わりましたね。

yu-ya
まさに変えようと思って取り組んだので、それが伝わったのなら良かったです。自分は今回もメロディーとバックの雰囲気を作ったんですが、サビを今までにないくらい開けた感じにしたくて。ただ、それ以外は今まで通りの、エッジの効いた部分を出していきたいという想いもありました。コロナ禍でライヴができなくて“ちょっと暗いなぁ”と思う状況がもう2年くらい続いていて、生活リズムも変わったんですね。朝5時くらいに起きるようになったんですよ。それまでの曲作りは深夜で、真っ暗でシーンとしたところで作っていたんですけど、この時期は朝、外を見ながらとか、散歩しながらとかで。

そうしますと、出てくるものも自然と開けた感じになりますね。

yu-ya
そうですね。自分がそうしたかったんでしょうね。“先が見えないな”“怖いな”みたいな感じだったから、“前向きになっていこう”というものをかたちにしてみようと。そうなった時にサウンド感も、今まで自分がやったことのないようなものが出てきました。

ギターに関して言うと、『変身コンプレックス』でギターは“引き算”をしていたという話を聞いた記憶があります。今回はその“引き算”を経て、メリハリがしっかりとしてきた印象がありますね。

yu-ya
そうですね。“より出せるところは出す”みたいな。
kiila
私は作品を重ねる毎にみんなが歌を大切に、歌に一番重きを置いてアレンジをしてくれていると思っていて。メロディーを活かすのってリズムと歌が重要だと思っているんですけど、ヴォーカル的に言うとリズム隊がめちゃくちゃ歌を気持ち良くさせるリズムを作ってくれている感じがあるんですね。その上で、上モノの押し引きがすごくいい感じに入っているので、一番はリズム隊が歌に寄り添ってくれているところが大きいのかなと。

vivid undressは音源毎にバンドアンサンブルが変化していて、今回もまた新しくなったと思うのですが、rioさんはどんなふうにとらえていますか?

rio
自分はみんなと逆かもしれないですけど、結構好き勝手にできているというか。手持ちの武器が増えている感じがして、どんどん音を重ねちゃったりとか、“こういう音を重ねたい”ということが明確になっていたので、“楽しかった”しかないんですよ。でも、自分で言うのも何ですけど、好き勝手にやったことで非常にいい具合に馴染んだ感じがありますね。

「夢見る2人 ~愛のゲイン~」の間奏での鍵盤とギターの絡みがそうじゃないでしょうか? それぞれ自己主張しながら絡み合っていく。これはかつてなかったことなのではないかと思います。

yu-ya
そうですね。こういうのは過去に数曲しかなかったですね。結構好きですけど。

ギターが前に出て、バックでキーボードがコードを鳴らすことはわりとあったと思うんです。でも、ともにメロディーを鳴らしながら進むスタイルはそれほど多くはなかった気がします。そこが新鮮でしたし、新しいと思いましたね。

yu-ya
間奏はスタジオで合わせて、最終的に作ったような気がする。
rio
どうだったっけ?(笑) でも、結構“自分がこうしたい”を出したような気がします。きっと“ここはこうしたい”というものが明確にあったんでしょうね。それをいい具合にしてくれているのが周りのメンバーなんでしょう。

自分がやりたいことを自然にできるようになった?

rio
ギターサウンドを重んじるあまり、引っ込み思案になっていたんですよ。音楽活動において我がまま勝手にやってきた創成期を経て、その反動からか“物理的にもみんなを支えなきゃいけない”みたいな変な使命感があって、それが音楽面にも出ちゃっていたんですね。でも、前作からシンセ音源を買ったりとかして突然アグレッシブになり(笑)…なので、“ここまでやっていいんだ!”って箍(たが)が外れた感じですね。

それがバンドサウンドにいい効果を生んだことも間違いないでしょう。

yu-ya
そうですね。そこで“ギターも弾きすぎないようにしよう”というところもあって(苦笑)、本当にちょうどいい感じです。

そんな「夢見る2人 ~愛のゲイン~」は、メロディーは王道で、ラテン調のリズミカルなナンバーに仕上がっていますね。

kiila
楽し気な感じですよね。私的にもサビがエレクトリカルパレードみたいなイメージだったんで、すごい華やかな感じで。ただ、歌詞をちょっとだけ切ない感じにしたらよりグッとくると思って、そういうアプローチでやってみましたね。

その「夢見る2人 ~愛のゲイン~」と「R-15 〜愛のゲイン〜」「そばにいて 〜愛のゲイン〜」の3曲は先行で配信されまして、いずれもサブタイトルに“〜愛のゲイン〜”とありますが、この3曲は組曲的な感じなんですか?

kiila
いえ。もともとこのEPを発売することが決まってたんですよ。で、後に“その中から先行で3曲を配信しましょう”と決まり、早く制作が進みそうな3曲を選んだんです。

そうですか。「夢見る2人 ~愛のゲイン~」に《君がいない地獄から歌う 私なりのラブソングを》、「そばにいて 〜愛のゲイン〜」に《例え世界が地獄に変わっても ちゃんと手を繋いでいよう》と、それぞれに“地獄”という言葉が出てきますね。“地獄”ってキツい言葉だし、それぞれの曲が一本の線でつながっているようなところもあるのかなと思ってもいたんですけど、そういうこともでないんですね。

kiila
一本の線でつながっているということでは、vivid undressを結成してからの歴史とつながってますね。今回のアルバムの6曲が線でつながっているというわけでなく。もともとvivid undressは、私がソロで活動してて“もう音楽は辞めよう”ってなった時に始まったバンドで、その頃って自分の人生のどん底くらいに思っていた時期だったんですよ。そこで“どうせ辞めるなら、いっぱい好き勝手しちゃおう!”と思ってバンドを始めたというか、“死ぬ気でやってみよう”という感じで地獄からスタートしたんです。今回は“愛”をテーマにしているんですけど、そもそも愛の歌を歌えるような人間ではなかったんですよ。だから、バンドの歴史を経て、今やっと“愛”に辿り着いたということで“地獄”という言葉が使えるようになったというか。

《君がいない地獄》辺りの歌詞は壮絶な別れを想像しますが、決してそうしたことだけでなく、“地獄”という言葉にはkiilaさん自身の過去の精神状態も重なっているんですか?

kiila
そうですね。地獄にいたような人生だったので、昔はずっと。でも、「夢見る2人 ~愛のゲイン~」で歌っているのは《君がいない地獄》で…きっと私は極端な人間なんでしょうね(苦笑)。自分が悲しい気分の時は地獄に落ちたような気分になるし、ハッピーな時は天に昇ったみたいな…お花畑にいるような気持ちになるしって。極端なことを表したかったんだと思います。

とすると、これらの楽曲はいわゆるラブソングではなく、ご自身の経験を重ねたような感じなんですか?

kiila
ラブソングって恋愛だけはないと私は思っているんですね。聴く人によって恋愛と受け取ってもらってもいいですが、例えば1曲目の「オリジナルカラー」って一見ラブソングですけど、実は私自身に向けて歌ってて、自己愛の歌なんです。今は、過去の自分を別の人に思えるくらい、自分自身が変わってきてるんですよ。でも、過去を乗り越えたのは過去の自分じゃないですか。その自分に対して歌っているので、ラブソングって私の中では一概には恋愛ではないんですね。「夢見る2人 ~愛のゲイン~」はラブソングとして聴く人が多いと思うんですけど、それこそ子供が大きくなって、家から出ていく時の親の気持ちでも聴けるかなとは思いながら書いてました。

広く聴けるように歌詞を作っていると?

kiila
そうでもないんですよ。自分の中ではかなり狭く、ピンポイントに作っているつもりではあるんですけど、受け取り方は自由だということですね。
L→R rio(Key)、syunn(Ba)、kiila(Vo)、tomoki(Dr)、yu-ya(Gu)
ミニアルバム『愛のゲイン』

OKMusic編集部

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