あらき

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【あらき インタビュー】
最強のアルバムだと
自負できるものになった

ネットミュージックシーンで頭角を表し、総動画再生数1億2,800万回という厚い支持を得ているあらき。そんな彼がアルバム『UNKNOWN PARADOX』を完成させた。彼ならではの情熱的かつ表情豊かなヴォーカルと豪華作家陣による良質な楽曲が詰め込まれた佳作について話を訊いた。

“矛盾”というテーマを掘り下げたい
という気持ちになった

『UNKNOWN PARADOX』の制作に入る前はどんなことを考えていましたか?

まずはアルバムのコンセプトなり、題名なりを固めようと思っていました。僕が目指すところが固まっていないと、作家陣の方に発注も何もできないので。それで、最初は“PARADOX”という言葉を使いたいと思ったんです。“PARADOX=矛盾”というテーマを掘り下げたい気持ちになったんですよね。“矛盾”って高尚な印象を持つ人が多い気がするけど、分かりやすいとらえ方をして“疑問に思うこと”だったり、“間違っているんじゃないかと思うこと”や“モヤモヤした感じ”といったことを表現したかったんです。そういうものは作家陣の方それぞれにも必ずあると思うんですよ。なので、“PARADOX”という言葉を作家の方に投げかけて、個々が思っていることや社会に対して矛盾を感じていることとかを楽曲に起こしてもらったら、作家陣それぞれの感情や想いが詰め込まれたアルバムになると思ったんです。そうすることで、バラエティーに富んでいながら統一されたアルバムになるんじゃないかなと。それが最初の構想で、その後“UNKNOWN=未知の、不明の”という単語をつけて“UNKNOWN PARADOX”というタイトルでいくことにしました。

面白いです。それぞれの作家さんに曲調や歌詞のオーダーを出すのではなくて、コンセプトをもとに自由に書いてもらったんですね。

はい。自分はいろんな方に一曲ずつお願いするアルバムを作るのは、今回が初めてだったんですね。アーティストが作家の方に曲を作ってもらう時は音楽のジャンル…例えば、“4つ打ちでダンサブルなもの”とか“アップテンポのロックチューン”というような発注の仕方をすると思うんですけど、僕はそういう方向ではない方法で楽曲を発注してみたいと思ったんです。

作家さんもよりやり甲斐を感じながら曲が作れたと思います。そんな同作は「UNKNOWN PARADOX」をはじめ、「拡声ノイジー」「烽火」「ナリキリ」「トーロン」といったハード&スタイリッシュなナンバーが核になっていますよね。

そうですね。僕は激しい音楽が好きですし、自分の声自体が太くてガン!と出るほうなので、がっつりめになりがちなんです。ただ、「トーロン」はきれいな感じだし、「ナリキリ」とかはファンク要素が入っていて、ヘヴィな曲は「UNKNOWN PARADOX」と「イスカノサイ」くらいですね。自分の根本は激しい曲やパンクロックだし、ヘヴィロックも好きなのでそういう要素を取り入れつつ、さらにお洒落に仕上げたいという想いもあって。今回はいい塩梅でヘヴィネスとキャッチーさを両立できたんじゃないかと思います。それに、音は確かに重いと言えば重いけど、クリアーさを目指しました。

激しさと洗練感を巧みに融合させて、コンテンポラリーなハードネスを提示されていますね。激しさは共通していながら、楽曲それぞれのテイストが異なっていることもポイントです。

そうですね。例えば表題曲の「UNKNOWN PARADOX」はとてもストレートに分かりやすく、自分の根本にある音楽を体現した曲になっていると思うんですけど、この曲は今回の“UNKNOWN PARADOX”というタイトルを聞いたDECO*27さんが表題曲を書かせてほしいと言ってくださったんです。自分もアルバムを作る際は絶対にDECO*27さんにお願いしたいという気持ちがあったので、“ぜひ!”とお願いしました。DECO*27さんの根本にある音楽性や聴いてきたものが、僕と似ているんですよ。「UNKNOWN PARADOX」のイントロはパンクっぽいオクターブフレーズが鳴っているじゃないですか。小難しいリフとかよりもオクターブ奏法でグンッ!といきたい、たまにはそういう曲も作りたい気持ちがDECO*27さんの中にもあったみたいなんですよね。“じゃあ、今回はそういう方向でいってみましょうよ”という話をして、ストレートなオクターブ奏法でイントロを飾ることにしたんです。それに、自分はいろんな曲を歌わせてもらっているので、DECO*27さんが初音ミクとフィーチャリングした「ヒバナ」とか「ゴーストルール」みたいな要素も取り込みつつ重くなりすぎないというところを目指しました。その結果、すごく表題曲らしいものになっていると思います。

強いインパクトを放つ一曲に仕上がっています。それに、DECO*27さんとは単なるソロアーティストと職業作家という関係性ではなくて、バンドのメンバー同士のようなところがあるんですね。

そう言われるとそうですね。やり取りしている時は、そんなことはまったく感じなかったけど(笑)。でも、確かにDECO*27さんとはお互いの音楽的な好みをよく知っている間柄だし、“こういう曲を作ってください”と一方通行で発注するんじゃなくて、ふたりで“こういう音楽っていいよね”という話をしてから書いていただいたんです。だから、バンドっぽい曲の作り方だったかもしれない。

説得力のある楽曲に仕上がっているのは、それも大きかったと思います。「UNKNOWN PARADOX」の歌詞については?

この曲は歌詞もDECO*27さんが書いてくれて、自分に対する矛盾を爆発させているようなところがあると思いますね。Aメロの出だしから《変われない 変われない》と歌っているじゃないですか。自分が変わりたいと思っているのに変われないというのは、誰しもが持っているものですよね。それも矛盾にあてはめることができるし、変われないことがモヤモヤした気持ちを生む原因になっていて、そういうことをAメロから力強く歌っていくという歌詞になっています。
あらき
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OKMusic編集部

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