七海ひろき

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【七海ひろき インタビュー】
“CHALLENGE”を通して、
さらに歌うことが好きになった

2019年の宝塚歌劇団退団後は舞台で鍛え上げたヴォーカルと表現力を生かし、歌手、俳優、声優と幅広く活躍している七海ひろき。今回のミニアルバム『FIVESTAR』では“CHALLENGE”をテーマに掲げて作品作りを行なっていったという。なぜ今、彼女に“CHALLENGE”が必要だったのか? その真意と制作のプロセスについて話を訊いた。

今までの自分にないものを吸収し、
進化させて打ち出したかった

今回のミニアルバムのテーマは“CHALLENGE”ということですが、今のタイミングでこれをテーマにしたいと思われた背景について教えていただけますか?

私は2019年に宝塚歌劇団を退団して、今年で3年目になります。これまでミニアルバム(2019年8月発表の『GALAXY』)、フルアルバム(2020年4月発表の『KINGDOM』)と出してきて、今回は3枚目の作品になるんですね。今、新しいことにチャレンジすることによって、これまで私のことを知らなかった人にも知ってもらいたかったんです。そして、今まで私を応援してくださった方にも“こういう曲も歌うんだ!?”と、七海ひろきというアーティストをまた楽しんでもらえたらという想いが強くあって。なので、今回のテーマを“CHALLENGE”としました。

具体的にはどんなチャレンジだったのでしょうか?

今までのアルバムは私の中から出るものというか、これまでやってきたものを打ち出す作品だったんです。だから、自分に合ったキーや曲調、自分らしいものを表現していました。でも、今回はそれとは違って、逆に“歌うのは難しいんじゃないだろうか?”とか“今までの曲調とはまったく違うからどうなんだろう? できるんだろうか?”というところから打ち出していきたいと思って挑戦しました。

今作のタイトルは“FIVESTAR”ですが、収録曲の中には「ポラリス」など星の名前のタイトル曲がありますよね。各曲のタイトルが出てきて“FIVESTAR”というタイトルになったのですか?

最初に“FIVESTAR”というタイトルを決めていました。確かに「ポラリス」という星の名前の曲があるんですけれど、これは“FIVESTAR”だからではなくて、曲としてその名前をつけたんです。先にアルバム名を決めたので、5つの曲のタイトルを星の名前にする案もあったんですよ。でも、一曲一曲作っていく中で“それは違うな”と思って。なので、題名的には「ポラリス」は星の名前になったんですが、“FIVESTAR”が持つ意味とはちょっと別なんです。“FIVESTAR”というのは一曲一曲全部にチャレンジして、ひとつひとつが輝く星のようなアルバムにしたいと思って名づけたので。だから、「キラキラ」という曲もテーマが絆なので、星とは意味合いが違うんです。

なるほど。今回は5曲中4曲を初の作家さんにお願いしたそうですね。

今回は今までの自分にないものを表現したいと思ったので。今までの自分にないものと出会い、それを七海ひろきとして吸収し進化させて、打ち出していきたいという想いをお伝えして作っていただきました。

今回は1曲目の「THE CHASER」と2曲目の「DARKNESS」のWリード曲だそうで。

はい。「THE CHASER」はもともと自分の中ではダンス曲という位置づけでした。そして、「DARKNESS」は自己の葛藤や戦いを表す曲で、この2曲が二本柱としてあったんです。だから、“今回はWリード曲にしたいです”と制作の方にお伝えしました。「THE CHASER」は“私は宝塚時代をこういうふうに過ごしてきました”という歴史や、ファンの方への想いや今の状態といったことを天才凡人さんにお伝えし、それで作詞作曲していただいた曲なんです。天才凡人さんが私のことを分かった上で書いてくださったので、言葉も曲調も非常に気持ちを込めやすかったですね。曲としては難しく感じるところがたくさんあったので、レコーディングでは苦労した部分もありましたが、今までは自分で作詞をしていたので違う感覚で歌えたと思います。すごく刺激的でした。

七海さんはどういうきっかけで作詞を始められたのでしょうか?

最初の『GALAXY』というミニアルバムは、今まで一緒に歩いてきたファンの方たちに対する手紙のような気持ちで作った作品だったので、自分の言葉でより伝えたいと思ったんです。それでリード曲となった「Ambition」という曲を作詞して制作の方に見ていただいたら、“この感じで大丈夫なので行きましょう!”となって。その結果、『GALAXY』は自分で全ての歌詞を書きました。

作詞は大変というアーティストの方もいる中で、果敢に挑んでいったんですね。

もともと学生時代から小説など、ものを書くことが好きだったんです。宝塚在団中には『一曲作詞をする』というコーナーがある番組で、“書きたい!”と言ってやらせていただいたりして。好きな分野だったので、やってみたい気持ちが強かったですね。

ご自身で作詞の経験があるから、他の方の詞のすごさもより分かるんでしょうね。

“こういう曲にはストレートな言葉が相応しいんだ”や“ストレートな言葉ではなく、抽象的な言葉のほうが逆に伝わるんだ”といったことを、私自身も吸収しながらアルバム制作をしていくことができたと思います。

ちなみに「THE CHASER」の中で特に好きなフレーズは何でしょう?

全部なんですが…特に《“軌跡”に言い訳なんて出来ない》と《“奇跡”を君に見せてあげたい》の対比ですね。ここを見た時に“あぁ、なるほど!”と思いました。

言葉のチョイスも素晴らしいし、七海さんの歴史をすごく考えての歌詞だというのが分かりますよね。

本当に! 曲を最初に受け取った時はとても感激して、天才凡人さんは天才だと改めて思いました(笑)。

そして、この曲はダンスが見どころで。

今回は“MVでダンス曲をやりたい”という気持ちが強くて。宝塚ではダンスがありましたし、アーティストとしてデビューした最初のMVの「Ambition」では少し振り付きで踊ったりもしたんですけど、一曲全てがダンス曲というのは今回が初めてだったんです。振り付けを担当してくださったShin.1さんが、この曲にとても合う振りをつけてくださったんですよ。今までにない新しいもので、挑戦している私を観てもらえるMVになったと思います。ダンサーさんと一緒に踊っているのも新しい部分だと思いますし。自分で言うのも何ですが(笑)、この曲にぴったりのMVができたと確信しています」

決めポーズに注目ですね。

《CHASER》というところで決めポーズがあるんですけど、そこがすごくカッコ良いんです! みなさんが真似できる感じの振りなので、そこも素敵だと思っています。ライヴの時にみんなでやれたら、きっと楽しいでしょうね。

でも、この曲にダンスというのはスピーディーで難しそうですね。

それもありますし、一曲全てを歌いながら踊るということがこんなにも体力を使うものなんだと分かりました。終わったらハアハア言っていましたから(笑)。

えっ、そうなんですか!? 七海さんは宝塚時代からずっと歌って踊っていらっしゃるから軽々かなと思ったのですが。

そう思うじゃないですか。でも、一曲まるまる踊るのは、まったく違うんだなと。

“いつ息つぎをするんだ!”みたいな?

本当にそうなんです! “どこでたっぷり息を吸えばいい?”とか、そういうことはやりながら掴んでいくものなんだなと思いました。
七海ひろき
七海ひろき
ミニアルバム『FIVESTAR』【初回限定盤A】(CD+Blu-ray)
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OKMusic編集部

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