Nulbarich、ゲストにVaundy、唾奇、
AKLO、Mummy-D迎えたワンマン公演の
ディレイ配信が決定

Photo by 岸田哲平, Victor Nomoto

Nulbarichが6月13日(日)に東京・東京ガーデンシアターからおよそ1年半ぶりの有観客ライブ『Nulbarich ONE MAN LIVE -IN THE NEW GRAVITY-』を開催した。4月にリリースした最新アルバム『NEW GRAVITY』の収録曲を中心に披露。さらに、Vaundy唾奇、AKLO、Mummy-Dといった豪華なゲスト・アーティストが入れ替わり立ち代わり登場するなど、一夜限りの贅沢なステージとなった。

また、本公演のディレイ配信が6月19日(土)19:30より行われることが決定。チケットは本日6月14日(月)より販売されている。なお、本編は当日の客席視点からでは見えなかった“もう一つの世界”が描かれる配信映像のための演出も楽しむことができるという。

また、Spotifyではライブのセットリストを再現したプレイリスト(※一部ライブ内容と異なる部分あり)、そしてオフィシャル・レポートも到着。こちらも合わせてチェックを。
Nulbarich ONE MAN LIVE -IN THE NEW GRAVITY- 2021年6月13日(日) @東京・東京ガーデンシアター Setlist
1. IN THE NEW GRAVITY
2. TOKYO
3. Twilight
4. VOICE
5. Super Sonic
6. CHAIN
7. Mumble Cast #000~Kiss Me~Handcuffed~Mumble Cast #000 
8. Lonely
9. A New Day
10. ASH feat. Vaundy
11. It’s Who We Are feat. 唾奇
12. Sweet and Sour feat. AKLO
13. Be Alright feat. Mummy-D
14. Kiss You Back
15. Break Free
16. LUCK
17. Almost There
18. In My Hand

Nulbarich ONE MAN LIVE -IN THE NEW GRAVITY- オフィシャル・レポート

Text by 黒田隆太朗

キーボーディストが優しい音色を奏でる中、残りのメンバーもステージへ。この瞬間を待ちわびたと言わんばかりの手拍子の中、ギターリフが始まりJQが登場。実に1年半ぶりとなる有観客ライブの幕が開けた。

この日の第一声は「やっぱ生っすわー」である。配信での無観客ライブを昨年末に行ったとはいえ、やはり大勢のお客さんを前にすると喜びもひとしおだろう。「緊張しちゃうな、お手柔らかによろしく」という彼らしい言葉で1曲目の「TOKYO」がスタート。
毎回演出にも強いこだわりを見せるNulbarichのライブだが、この日は趣向を凝らした映像が、ライブの世界観を強固なものにしていた。今回のライブ『IN THE  NEW GRAVITY』のキービジュアルの映像を背に、孤独を癒し、励ますようなリリックを歌っていく。過去にもライブで披露されていたことのある楽曲だが、恐らく今後改めて彼らの代表曲になるはずだ。

リズミカルなビートと飛翔していくようなサビメロにうっとりする「Twilight」は、心の扉を開くような爽やかな開放感がある。その後は『Blank Envelope』に収録された「VOICE」、「Super Sonic」へ。前者で流れていた動物のキャラクターたちによるアニメーションは、可愛らしくもどこか面白みがあり、ゆるいムードを演出。一転、コンピューターの中へと入り込んでいくような映像と、縦に刻まれるリズムが臨場感を生み出す後者はキーボードのソロも凄み十分。スキルフルな演奏が痛快だ。

元々しっとりとした音色が印象的な「CHAIN」では、リラクゼーションを促すような演奏が心地良い。こうした時期にライブへと足を運んでくれたお客さんへの、Nulbarichからのプレゼントのようだ。

軽いMCを挟むと、ここからはメドレー形式に懐かしい楽曲を披露していく。新作に収録した「Mumble Cast #000」を終えると、「普段やらない曲をやろう」と言って「Kiss Me」へ。最初のサビ終わりまで歌うと、今度は『H.O.T』に収録された「Handcuffed」を演奏。どちらも爽やかなJQの英詞が気持ち良く、凪のようにゆらゆらと揺れる「Handcuffed」のリズムは、言葉の意味よりも音の快感を共有していくよう。

続く「Lonely」はこの日最初のハイライトである。スリリングなアンサンブルと、会場を貫くように降り注ぐ白い光の照明が、独特の緊張感と熱気を生み出していく。

会場のボルテージを上げたところで、この日一番のトピックスであるゲスト陣との共演である。最初に披露されたのは、タイのアーティスト・Phum Viphuritと共作した「A New Day」。本人の登場は叶わなかったが、「タイに届くといいな」とこぼしたように、Phumの存在を意識して歌っていたことは間違いない。

その後はすかさずギターのカッティングが印象的な「ASH」へ。「もうお馴染みですね、Vaundyです」と言って彼を招くと、「ぶちかます?」「やっちゃいましょう」とふたりの息はピッタリ。「ASH」を共作した時には面識がなかったというふたりだが、楽曲を作り、ライブなどで共演していく中で、お互いの理解を深めたのだろう。Vaundyが歌う情熱的な「今灰にして」というフレーズは、普段のNulbarichのライブにはない熱気をもたらしていた。
また、お客さんが生み出すライブの空気も素晴らしく、目に見えて会場の一体感が増していく。何度も感謝を口にしていたこの日のライブだが、音楽を共有できることの喜びを、この日のJQは全身で感じていたように思う。メロディやリズムを通して、目の前にいるお客さんと心を交わし合う、こうした生身のコミュニケーションこそNulbarichが望んでいた景色だろう。

さて、彼のライブにゲストが入るのは、有観客ライブではこれが初。それが4曲も続くのだから、まさしくメモリアルな時間である。続くゲストはシーンの中でも一際クールな存在感を放つ沖縄出身の唾奇。小気味良いギターのカッティングが気持ち良い「It’s Who We Are」は、唾奇のヒリヒリとしたラップが乗ることで、強烈なインパクトが生まれていた。ゲストが入ることで、新たな魅力を持って楽曲がアップデートされる。
3組目はもう10年来の付き合いだというAKLOが登場。お互いのライブを行き来しているという必然のコラボであり、今日は彼らをつなげた共通の友人もきているとのこと。気の置けない会話も止まらない様子で、JQ自身非常に嬉しそうだ。「AKLOさんのライブに行くと、彼もMCがゆるいんですよ」とのことで、ふたりで歌う「Sweet and Sour」は、そよ風のような原曲のムードも相まって柔らかいバイブスが会場を包んでいく。
ゲスト・アクトの最後は、JQがキッズだった頃からの憧れRHYMESTERのMummy-D。「コロナ禍で足を運んでくれたリスクもあるし、ストレスを心の中に溜めていると思う。そんなみんなに一言言いに来た」、「大変だと思うけど、大丈夫。きっと上手くいくさ。Everything’s gonna be all right」と、今伝えるべき言葉を誠実な口調で告げていく。

紳士的な物腰と、誠実な言葉を真っ直ぐに届ける姿勢こそMummy-Dが多くのリスペクトを集める理由だろう。「Be Alright」が持つ祝祭感のある太陽のような明るいサウンドと、「きっとうまくいくさ」というリリックに励まされる素晴らしい瞬間だった。
「この30分を振り返ると、恥ずかしくなるくらいイキっていた気がする(笑)」と語ったJQ。フレッシュな才能から刺激をもらうようなコラボで始まり、盟友との共演を楽しみながら、最後はリスペクトを捧げるレジェンドと歌を届ける。間違いなく、このコラボを一番楽しんでいるのは他ならぬJQ自身だろう。

さて、「こっからクライマックスに行くから」と告げると、リフだけで手拍子が起こった「Kiss You Back」へ。もし声を出せる環境であったら、イントロだけで歓声が上がっただろう。四つ打ちのドラムとスケールのあるコーラスに乗せられて、誰もが心の中でシンガロングをしていたはずだ。

それから80’sの影響が伺える「Break Free」と「LUCK」を披露するなど、畳みかけるようにオーディエンスの心を踊らせていく。前者はピンクのジャケットをまとって踊る、アニメーションと共に演奏。後者は80年代のダンスホールを映したで実写映像に乗せて、ソリッドなアンサンブルを奏でていく。内省的なムードを湛えた『NEW GRAVITY』の中で、数少ない享楽的な側面を打ち出したこの2曲は、やはりライブでこそ映える楽曲だ。
「やっと会えたね。これからどういう風になっていくかわからないけど、会えるチャンスがある限りこういう機会を作るから。来てくれたらすこぶる喜ぶんだ。本当にありがとう。この暗い世の中も、もう少しで光を見つけるから。あとはゆっくり進むだけだね」と語ってから、まさしくクライマックスと言える「Almost There」へ。

「Almost There」は、『H.O.T』のリリース以降常にライブの後半に演奏されてきた。Nulbarichの中でも重要な音源のひとつであり、これまでも何度もオーディエンスと心を通わせてきた楽曲である。先のメッセージの後に演奏されたことは、Nulbarichの歴史を考えても必然的なものがあるように思う。

最後は名残惜しさを噛み締めながら、『NEW GRAVITY』に収録された「In My Hand」へ。彼の祈りがストレートに綴られた楽曲で、いつも以上に言葉を丁寧に届ける歌唱が印象的だ。あたたかみのあるコーラスも気持ち良く、ライブで聴くと一層包容力を感じた。

映像を配信用にリアレンジし、この日のライブを6月19日に配信することをアナウンス。足を運べなかったリスナーも、是非後日発表されるライブ映像を楽しんでもらいたい。
 
思えば2019年の12月に行われたさいたまスーパーアリーナ公演を、「第一章の終わり」と位置付けていたNulbarich。コロナ禍で一度は足を止めることになったが、ここから本当に第二章が始まっていくのだろう。
【配信情報】

『Nulbarich ONEMAN LIVE -IN THE NEW GRAVITY- on Live Streaming』

視聴期間:2021年6月19日(土)19:30 〜 6月27日(日)23:59
配信:
U-NEXT(https://t.unext.jp/r/nulbarich)
ローチケ(https://l-tike.com/nulbarich0613-st/)
e+(https://eplus.jp/nulbarich/st/)
ZAIKO(for oversea customers)(https://l-tike.zaiko.io/_item/340599?lang=en)

料金:
一般視聴券 ¥3,800
IN THE NEW GRAVITY Limited towel付視聴券 ¥5,800(送料込)

※タオルはアーカイブ期間終了から一ヶ月後の発送を予定しております。

■ Nulbarich オフィシャル・サイト(http://nulbarich.com/)

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