(左から)渡辺歩監督、大竹しのぶ、明石家さんま

(左から)渡辺歩監督、大竹しのぶ、明石家さんま

明石家さんま、大竹しのぶの声優起用
は「正解だった」 初プロデュースの
劇場アニメを語る

(左から)渡辺歩監督、大竹しのぶ明石家さんま 明石家さんまが企画・プロデュースを務めた劇場アニメ「漁港の肉子ちゃん」が、6月11日から全国で封切られた。「アニメを作るのは大変で、今のところはもう二度としたくない(笑)」と苦労をにじませつつもどこか嬉しそうなさんま、ボイスキャストを務めた大竹しのぶ、渡辺歩監督に話を聞いた。
 本作は、西加奈子氏のベストセラー小説を原作に、ワケあり母娘・肉子ちゃんとキクコの秘密が巻き起こす奇跡を描く感動のハートフルコメディ。「鉄コン筋クリート」「海獣の子供」「映画 えんとつ町のプペル」などのSTUDIO4℃がアニメーション制作を手掛け、さんまの座右の銘「生きてるだけで丸儲け」を体現したような主人公・肉子のボイスキャストを大竹が務めている。
(c)2021「漁港の肉子ちゃん」製作委員会 構想から5年、アニメーションに向けて実際に動き出したのは2年前のこと。想像以上に時間がかかったという製作期間を、さんまは以下のように振り返る。
 さんま「2年前は、半年くらいでできるかと思っていました。半年経って監督の説明を聞いたら、まだ10分しか仕上がっていないって言われて。もう大変やで、アニメには手出すなよ(笑)。自分のなかでバラエティー感覚の時間ができているので、アニメはその感覚と大きく違ってこういう世界なんだと知りました。庵野(秀明)監督のドキュメンタリーも見て、ああいう風に立ち振る舞えばいいのかなって。『ゼロ号は見ません、次の仕事が始まっているんです』っていう庵野監督のコメントがあるのですが、ゼロ号を3回くらい見ましたからね(笑)。でも、今回はいい経験をさせていただいて、渡辺監督とも出会えました」
 「今日知ったんですが、すごい賞をもらっているみたいです」とさんまに驚かれた渡辺監督は、さんまと大竹が共演したドラマ「男女7人夏物語」のファンだったそう。「片岡鶴太郎さんか奥田瑛二さんになったような感じ」と一緒に仕事ができた喜びを明かし、「さんまさんがアニメにチャンスをくださったことが嬉しいですし、その期待に応えたかったです。大ファンのさんまさんを喜ばせることができたら、すごいことだなと思っていました。いいものを作ろうとするさんまさんの熱量は、プロデューサーとしても素晴らしいです」と太鼓判を押す。
 主人公・肉子のボイスキャストは、制作陣の推薦で大竹に決定した。どんなに悲しいことがあっても明るく全力で生きる肉子をより魅力的にしているのは、大竹の声の演技による力が大きい。さんまも、よく知った仲だからこそ大竹に信頼を寄せる。
 さんま「大昔に一緒にDVDの短編アニメ(『リリが見たやさしい虹』)を作ったこともあるので、芝居や声優の部分は安心していました。『大阪弁が心配』って言っていましたが、大竹さんが『心配なの』って言うときは、できるときなんだとわかっています。そこが好きで共演していますが、そこが嫌いで別れたんです(笑)。スタッフが全員『大竹しのぶさんにお願いしたい』って言ったのは、わからんでもないです。大竹さんで正解だった。これは大竹さんしかできなかったなと思います」
 その大竹は、さんまプロデュースならではの作風、アフレコを楽しんだそう。
 大竹「ところどころに小さなギャグやユーモアが散りばめられていて、それはやっぱり、さんまさんならではなので、すごいなと思います。アフレコでは、突然セリフの前の空いているところにギャグを入れるとか、オフショットで入れてくれとか、監督は大変だったと思いますが、私はそれが楽しかったです」
 さんま「こう言ったらこうしてくれるって(大竹は)わかっているので、こっちの意図をすぐ汲んでくれるのはありがたかったです。共演したり、一緒に暮らしたりしましたが、東京弁のノリをするシーンでは、さすが大竹しのぶって思いました。普段は大阪弁でやっておいて、あのノリのときだけ東京弁にしている。僕もコントで東京弁のノリをやることもあるので、それを肌で感じてもらっているのはありがたかったです」
 肉子の娘・キクコの声を務めたCocomiの起用も話題になった。さんまは昔から約束していたことを明かし、声優としてのCocomiを高く評価する。
 さんま「Cocomiちゃんは15歳のとき声優の養成所に通っていて。僕が『漁港の肉子ちゃん』に出合って、当時はアニメにするつもりなかったけれど、ひょっとしたらというのがよぎっていたので、『アニメを作ったら主役ね』って冗談で言っていたんです。それから5年後、誰がキクコをやるかってなったとき、演技の面では大竹さんが引っ張ってくれるから大丈夫やろってことで、Cocomiちゃんと約束していることを監督に伝えました。それで、声を聞かせてもらおうとなって、監督のなかでは話題になるって思ったかもしれない(笑)。けど、声を聞いたらみんな鳥肌が立って感動しました。
 後から気付いたのですが、芝居も大阪弁もアフレコも初めてで、俺、よう起用したなって(笑)。共演者たちがみんな上手いので、このなかでCocomiちゃんいけるかって心配になったけど、やればやるほどすごかったので驚いてます。彼女のお父さん、お母さん、おばあちゃんも驚いてくれたらしいです。なかには、俺が知り合いだからキャスティングしたんでしょって言う人もいますが、作品を見たらそれは違うとわかっていただける仕上がりになっていることにもホッとしています」
 この取材の最後、さんまが本作を全国の小学生にも見てほしいと願いを込めると、大竹も「家族や親子で見てほしいです。実の親子の間でもきちんと言葉を交わすことができなかったり、愛情を持てない関係もあるなかで、肉子みたいに出会った人を必死で愛するっていうのは、人とのつながりが希薄になっている今の時期にこそ見てほしいです」と紹介。隣で聞いていたさんまは「ええこと言うでしょ」と笑顔を見せていた。
 「漁港の肉子ちゃん」は6月11日から公開。

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