海羽凜(我儘ラキア)、類まれなる美
貌のアイドル担当 その内面に迫る「
自分の目指すアイドル像を我儘ラキア
で作っていきたい」

昨年末にリリースしたミニアルバム『WAGAMAMARAKIA』をたずさえ、キャリア最大規模となる全国ツアー『WAGAMAMARAKIA TOUR』真っ只中の我儘ラキア。待望のバンドセットでの全国ツアーは軒並みSOLD OUTとなっている。当たり前が当たり前じゃない、思わぬ公演中止の事態も乗り越えた彼女らのメンバー個別インタビュー第三弾として、類まれなる美貌でラキアのアイドル担当でありながらも笑いを一手に担うという海羽凜の、普段は語られる事の少ないその内側に迫る。
――お話を聞いてる現在は、ツアー中盤戦。まもなく折り返しというところで、バンドメンバーのコロナ感染で4本のライブが延期になってしまいました。
「ライブが中止になる」って言われた時、いつも騙されるので最初は「ドッキリかな?」と疑ったんですけど、そんな不謹慎なドッキリはやらないだろうなと思って。本当だと分かった時にはすごく気持ちが落ち込んでしまいました。誰も悪くないんですけど、現地で待っててくれたお客さんのことを考えると申し訳なくて……。
――ライブが中止ということは、どのタイミングで聞いたんですか?
鹿児島のライブの直前です。福岡のライブを終えて、「鹿児島も行くね」と言ってくれたファンの方の声を聞いた直後だったので申し訳ないなという気持ちと、私が宮崎出身なので自分の育った九州でライブが出来ることに特別な想いもあったので、当たり前のことって、生きてて無いんだなって実感しました。ラキアで活動してる中で、九州に100回も来ることはできないとだろうから、1本1本のライブとか特典会に来てくれる人たちをもっと大切にしようって改めて思い、気が引き締まりました。
――スケジュールが空白になって、気持ちが落ちたりしました?
その瞬間は落ちましたけど、すぐに気持ちを切り替えられて。「会場に来てくれたお客さんになにが出来るだろう?」って4人で話をしました。「バンドセットは出来ないけど、アコースティックで1~2曲だけとか出来ないかな?」ってアイデアも出たんですけど、私たちも下手に動けないところがあって、もどかしさを感じました。SNSで中止を責めるようなファンも一人もいなくて、「ラキアのファンって本当に優しいな」と思い、近いうちに絶対に戻って来て、良いライブをしなくちゃと心に決めました。そういう声が届いて嬉しかったことを伝えたかったんですけど、私、そういう気持ちをSNSとかで伝えるのが苦手で……。
海羽凜
――海羽さんはSNSで自分の気持ちを言葉にしてってことは、あんまりしないですよね。Twitterとかも報告みたいな感じで、わりと淡白というか(笑)。
そうなんですよね。SNSで自分の気持ちを伝えるのが上手じゃないし、思ったことを呟いた後で「言わなきゃ良かったかな……?」って後悔することも多いです。ライブが終わった後の「ありがとう」を呟くのもすごく時間がかかります。どうやったら上手く伝えられるかな?って思ってるとなかなか書けなくて、淡白なつぶやきになっちゃうんです。それはずっと悩んでいるし、「おはよう」くらいしかみんなに気持ちよく言える言葉がないっていうことへのもどかしさがずっとあります。
――自分の気持ちを言葉に出来ないのは、読み手を気遣いすぎてしまうからですかね?
う~ん、お客さんのことを考えたら、ちゃんと言葉にしないと分からないし、離れていってしまう人もいるかも知れない。特典会とかで会った時には話せたりするんですけど、SNSというみんなが見てる場だとなかなか言葉に出来ないんです……。
――そうか、川﨑さんが「凜ちゃんは人への愛が深い」と話してて。メンバーくらい近い人は海羽さんの良さや想いをちゃんと理解してるし。特典会で触れたファンには直接言葉で伝えることも出来るけど、不特定多数の人に想いを伝えるというのが苦手なんですね。
そうですね。怜奈とかメンバーは「いま、こう思ってるんかな」とか理解してくれて、ありがたいです。私もみんなが考えてることが分かるようになってきました。
――そんなメンバーと共に、6月には結成5周年を迎える我儘ラキア。星熊さんと海羽さんは結成時からのオリジナルメンバーですが、結成時を振り返って思うことは?
もともとアイドルは好きだったんですけど、我儘ラキアみたいなロックなアイドルグループに入るとは思ってもいなかったです。最初は歌もダンスもやったことなくて、右も左も分からない中で必死でやってたんですけど、いまになって「続けてきて良かった」と思うことも多いし、星熊がずっと一緒にいてくれたことが本当に良かったです。最初の頃、星熊とは仲がいいわけでもなく、好きでも嫌いでもなくて。2人なのに全く喋らないままステージに立つという状況が続いて、「なんで二人とも辞めなかったんやろ?」と思うくらいだったんです。ライブの後に怒られまくってもなんで怒られたのか分からないままやってる時もありました。プロデューサーの小山さんやお客さんのお陰で恵まれた環境で活動が出来たから、みんなの気持ちに応えたくて続けて来れたんだと思います。
――「なんで2人とも辞めなかったんやろ?」って思いながら、海羽さんはなんで辞めなかったんですか?
なんでだろう? 良くも悪くも前しか見てなかったからですかね。アイドルというものに本当に憧れてて、やりたかったことがやれるから続けてたんだと思います。2人時代のレッスンの時、星熊が私をすごく怒ってくれた時があって。私は星熊に言われた内容をメモ取りながら涙が出てきちゃって、星熊も怒りながら泣いてて……星熊の涙を見たら本気で怒ってくれてるのがわかって嬉しかったし、「これはお互いの人生を背負ってるんだな。自分だけじゃないから、この人と一緒にずっと頑張ろう」と思った瞬間でした。女の子に本気で怒られることって無いし、仲間に怒るって星熊もすごくイヤだったと思います。そうやって本気で怒ってくれる姿を見て、「私のためにここまでしてくれるんだ」思ったらすごく嬉しかったし。それが自分の人生の中でも大きな出来事になったし、ラキアを続けてこれた理由でもあります。
海羽凜
――いい話です。お互いの気持ちをぶつけ合うことで関係性も変わった?
変わった気がします。いまじゃめちゃくちゃ言ってくるし、文句の言い合いになることもあるんですけど(笑)。それも心を開いてくれたからだと思うし、すごく嬉しいです。
――MIRIさんや川﨑さんも海羽さんを語る時、「凜ちゃんは凜ちゃんだから」って言い方をして。ちょっとイジリにも聞こえるんだけど、それって海羽さんのありのままを全て受け入れている気がして、すごく優しいなと思ったんです。そしてラキアだからこそ、海羽さんは我がままで自分らしさを存分に発揮出来ているんだと思います。
そうですね、本当に嬉しいです。
――海羽さんは他のメンバーをどう見て、どう思っていますか?
星熊は「自分は弱い」っていうんですけど、めちゃくちゃ鋼の心だと思ってます。ファッションでも音楽でも、自分を貫くことを教えてくれた人でもあって。なにか悩んだ時は星熊を思って、「自分を貫こう」と思うことがあります。メンバーだけど、すごくカッコいいなと思うし、憧れです。怜奈は太陽みたいな人ですね。私と星熊だけの時は陰の空気があったんですけど、怜奈が入ったおかげでグループ全体が明るくなったし、変なことで悩んだりしなくなったんです。夢を追いかけていく上で迷ったり、不安になったりすることもあるんですけど、怜奈を見てると思い切って踏み出そうと思えるし。自分が持ってないものだらけの人なので、ラキアに入ってくれて本当に良かったです。MIRIはラキアの曲でラップしてる時、「めっちゃカッコいいな!」と思うし、ラップっていう技術があることも本当に凄いなと思う。小さい頃からアイドルをやってきて、歌詞も自分で書けて、英語やK-POPっぽいラップも出来て。MIRIを見てると積み重ねることの凄さを感じるし、私も何か積み重ねていかなくちゃって気持ちにさせられます。私はK-POPとか韓国にまつわる物がなんでも好きなので、好きなことを追求して取り入れて、積み重ねて、自分の武器にしていきたいなっていうことをMIRIを見て考えてるんです。
――そこで好きを貫く姿勢は星熊さんから学んで、前向きに踏み出す姿勢は川﨑さんから学んで。いま、海羽さんは自分の出来ることを考えて、実行しようとしていると。
はい。私、ライブで星熊やMIRIが「本気になれるものを見つけろ」とかMCで叫んでるのを聞くと、私に言われてる気がして。「お前が泣くなよ!」って言われるかも知れないですけどすごく響くし、泣きそうになっちゃうんです。私は泣いてる場合じゃなくて、それを伝える存在にならなきゃいけないと思うんですけど。
海羽凜
――では、海羽さんはラキアの中でどんな存在でありたいと思っていますか?
私は宮崎で生まれたんですけど、子供時代は熊本に引っ越したり転校も多くて、いま以上に暗い子だったんです。ど田舎から関西に来て、中学校の頃にテレビで2NE1を観てK-POPを知った時、「カッコいいな!」と思ってすごく惹かれて。KARAとか少女時代とか、AKB48とかテレビで観てるうちに「私もあんな衣装を着て歌ってみたい」と思うようになりました。「オーディションを受けよう」って初めて自分で決めて行動するようになったんですけど、当然受かるわけもなくオーディションに落ちました。普通に就職して、諦めかけた時にラキアから声がかかって。
――もともとは引っ込み思案で、あまり前に出るタイプの女の子じゃなかった?
はい。通知表に「短所は気が弱いところです」ってお母さんに書かれてたり、自分から何かをするタイプでは無かったです。アイドルになりたいって気持ちはなぜかあったけど、その気持ちを誰にも言えない自分がいて、友達にも言わずにこっそり応募して、オーディションを受けてました。高校卒業が近づいてみんな進学するとか就職するとか言ってる中でも、私はアイドルに興味がありました。アイドルになりたいって気持ちを持ったまま就職をするのはどうだろう?と思いながら、誰にも言えずに悶々としてたんです。
――なるほど。だから星熊さんと2人でやってる頃も「やっとアイドルになれたんだから」って気持ちがあって、辞めずに頑張れたんですね。
そうですね。自分が目指していたアイドル像とはちょっと違ったんですけど、我儘ラキアには「我がままに自分らしく」ってコンセプトがあって、私が昔アイドルに感じてた“尊い”とか“儚い”って想いや、“この人たちを観てたら、明日も頑張れる”ってアイドル像を我儘ラキアに作りたいと思ったんです。その気持ちを自分らしさや自分の立ち位置としてやっていけたらなっていうのは、いまも思ってて。どのメンバーよりもお客さんの近くにいたい、一番お客さんのことを考えて寄り添える人でいたいと思っています。お客さんから嬉しい言葉をもらえることが当たり前じゃないし、こんな状況でも会いに来てくれる人や「会えないけどずっと応援してます」と言ってくれる人がいることを絶対忘れちゃいけないなと思ってます。
海羽凜
――いまのお話を聞いて、「SNSで自分の気持ちを伝えるのが苦手」って話もすごく理解出来て。一人ひとりの近い存在でいたいし、一人ひとりと対話がしたいから、不特定多数に気持ちを伝えるのが得意じゃないんですね。だから、海羽さんがやるべきことは、例えばお客さんが10,000人集まったら、その一人ひとりに向けてしっかり伝えることで。
そうですね、そうありたいです。「カッコいい」とか「可愛い」だけじゃなくて、「この子のために生きる」って誰かに思わせられるアイドルって凄いなと思います。アイドルはそうじゃなきゃって自分の解釈では思っていて、ファンの人を置いてけぼりにするようなことは絶対したくないです。それを言葉でなかなか伝えることが出来ないので、ステージを通してちょっとでも伝え続けて、「明日も頑張って生きよう」と思ってもらえるアイドルになりたいんです。
――うん、海羽さんのアイドル観やステージに対する姿勢がすごく良く分かりました。ラキアのライブを見ていると、海羽さんの存在ってすごく大きくて。例えば星熊さんとMIRIさんのせめぎ合いがあって、川﨑さんがダンスで魅せてって、攻撃的なステージを見せている時、海羽さんが前に出てくると優しさに包まれるというか、一気に空気が変わる感覚があるんです。それもラキアの色のひとつや魅力になってると思うので、海羽さんの色でステージを染めるくらいにもっともっと前に出て、しっかり魅せて欲しいです。
ありがとうございます。あの3人って個性が爆発してるので、それに隠れちゃいけないなと思っています。お客さんから「あの3人に隠れてちゃダメだよ」って言われたことがあって、自信が持てなくて悩んでたこともありました。けど「俺たちが自信を持って応援してるんだから」って言葉を貰った時、「私の気持ちとか不安はお客さんには関係ないんだから、悩んでステージに立ってちゃダメなんだ!」と思いました。私の気持ちが引っ込んでたら、他の3人のパフォーマンスを下げてしまうから、自信を持って前に出なきゃって思うようになったんです。
――4人の個性がぶつかり合って重なり合った時、ラキアの表情が見えてくるから。グループの色をしっかり出すためにも、遠慮してる場合じゃないですよね。
そうですね。ラキアってそれぞれが前に出た時、「めっちゃいいやん!」って褒め合えるんです。そんなグループや女同士でそういう関係ってなかなかないと思うので、ラキアって男なんじゃないか?ってくらい、アイドルっていうよりは工事現場みたいな感じです(笑)。
――わはは。へっぴり腰で穴掘ってたら、「何やってんだ!」みたいな(笑)。
そう(笑)。だから陰湿な感じも一切ないし、すごくやりやすいんです。
――ツアーで全国を回る中、チームワークや絆の部分はより強固になっていますか?
はい。新しい曲も入って、今までと違ったライブを見せられてると思うし、全力でやってることは変わらないです。下を向いたり、後ろを振り返ることは出来ないので、前を向いて自分たちのいまの姿を見せて行きたいし、お客さんともライブを通してしっかり向き合っていきたいなと思っています。
――では最後にラキアとして、個人として目指すべきものは?
やっぱり、自分の目指すアイドル像を我儘ラキアで作っていきたいです。ラキアの中ではアイドルって部分を担当してきたし、これからも私の思うアイドルでいたい。ラキアは自信を持って「アイドルです!」と言える存在でいたいと思います。

取材・文=フジジュン 撮影=大橋祐希
海羽凜
我儘ラキア「SURVIVE

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