神使轟く、激情の如く。がReVision
of Senceを迎えた対バンライブ『LEG
IT vol.7』をレポート

LEGIT Vol.7

2021.5.18 渋谷WOMBLIVE
2021年4月27日、東京・TSUTAYA O-EASTで行なった嘘とカメレオンとのツーマンを筆頭に、その後も『FUJI ROCK FESTIVAL』、『ROCK IN JAPAN FES』、『VIVA LA ROCK』などに出演している錚々たる邦楽ロックシーンの先輩方を迎え、独自のバンドツーマンシリーズ企画『LEGIT』を開催中の神使轟く、激情の如く。(読み:しんしとどろく、げきじょうのごとく。、以下、神激)。今回はその後半戦から、5月18日、神激が東京・渋谷WOMBLIVEにてReVision of Sence(リビジョン・オブ・センス)を迎え、それぞれ熱いステージを繰り広げた『LEGIT Vol.7』の模様をレポートする。
入場時の検温、消毒はもちろん、ソーシャルディスタンスでゆとりをもった距離感でマーキングされた観客の立ち位置など、政府の感染拡大防止対策のガイドラインに則ったなか開催された『LEGIT Vol.7』。4階まで吹き抜けという天井高のWOMBならではのライブ空間。そこに最初に登場したのはReVision of Senceだった。
ReVision of Sence/河井教馬
辻友遥(Dr)、嘉藤康介(Gt)、上村元隆(Ba)、偉町大介(Gt)、河井教馬(Vo)がオンステージしたあと、教馬の「はじめまして」という挨拶を合図にオープニング曲「I’ m a クズ人間」へ。演奏がスタートすると同時に、ステージ背後の巨大LEDパネルにはリリックビデオが映し出される。強烈なライティング、スモークが飛び交うなか、サビでいまはクラウドサーフをしたくてもできないオーディエンスに向かって数馬が「アタマ振れ~!」と促すと、観客とともに偉町、嘉藤の両ギタリストもヘドバンしながら気迫溢れるプレイを見せる。
ReVision of Sence/嘉藤康介
いい人になんてならなくていい、としょっぱなからリビジョンらしい歌、ロックバンドならではのサウンドで場内を圧倒したあと、自分たちは大阪のバンドであることを伝えた上で、教馬が「今日は戦いにきた。クソッたれの日常ぶち壊すために。俺らを知らない人も好きにさせますから」と宣言し、リビジョンの負け犬スピリットが場内のクラップと共鳴し、狼煙をあげていく「復讐アンセム」、続けて静かなエレクトロなサウンドにウイスパーボイスのラップをのせた「ハッピーエンド」をアクト。いまの時期はライブで大騒ぎできない分、今回は暴れ系ではないセットリストを持ってきて、個々の負け犬な部分、ダメ男にハマったオンナ心と、リスナーの内側にあるモヤモヤをナイフでグサグサ刺しまくるエグい歌詞で“現実から目を背けるな”といわんばかりに、心を暴れさせる。そこに、教馬が「僕らは夢の国のようなキラキラしたステージだけを見せにきたんじゃありません」といい放ち、この後その決定打として「友達なんて必要ない」をブチ込み、心のモヤモヤを全肯定して外に向け、発散させていく。
ReVision of Sence/偉町大介
仲良しこよしでいなくていい、大勢のなかにいなくていい、分かってもらおうなんて思わなくていいといって、一人でいることを肯定していく歌詞に共鳴したオーディエンスが次々とステージに向かって、拳を掲げていく。そうして、場内がどんどん外向きのエネルギーで包まれていったところに、キラーチューン「ダメ、ゼッタイ、現実逃避」を全力で投下! キャッチーでポップ、ラウドでメロディック。そんなリビジョンの真骨頂を詰め込んだこの曲が始まると“ダメ”のところで手をクロスする振り付けが一気に広まり、一体感ある空気が場内に誕生。
ReVision of Sence/上村元隆
「これまでバンドやってて、お前らクソだといわれることが多くて。すごい嫌われてきた人間が“負けたくない”という一心で、不器用で生きるのは下手くそだけど、なんとかここまできました。やっぱり大切なものは守りたいですから。みんなの日常はどうですか? もう1回自分と戦ってくれたら嬉しいです。僕も戦い続けるんで」と場内に話しかけた教馬は、過去に1度だけバンドを辞めようと思ったときに書いたという「負け続きの日々」を最後にしっかりとみんなの心に届けるように歌唱。歌い終えた後「本当に素敵なお客さんの前でできて嬉しかった。ありがとうございます」と頭を下げ、とても丁寧な挨拶をしてステージを去っていった。
ReVision of Sence/辻友遥
ラウドからキャッチーなメロディ展開、心を動かすエモーショナルなMCと、神激との親和性の高さを感じさせるステージングで神激ファンにも好印象を与えたリビジョン。これに対して、ここまで嘘とカメレオン、MAKE MY DAYBenthamAiliph Doepaと『LEGIT』でロックバンドとの対バンを積み重ねてきた神激が、果たしてどんな戦いを見せてくれるのか。
生牡蠣いもこ
暗転した舞台に生牡蠣いもこ、実久里ことの、涙染あまね、三笠エヴァ、二日よいこ、TiNAの6人が革ジャンの衣装で登場。ロックバンドの後だからといって、ひるんでいる様子は彼女たちの表情からはまったく感じない。
まずは、リビジョンで盛り上がる観客をフロアに降りて目撃していたということのが「私たち、リビジョンに負ける気ありませんから」といって「神奏曲:テンペスト」のタイトルコールを入れたところから、ライブは幕開け。あまねがデスメタルバンドを思わせる地面を這うような本格的なグロウルを響かせ、よいこが間髪入れずに「全員まとめてかかってこい!」と煽ると、ラウドに疾走するビートに合わせてフロアでは2ステップが始まる。サビメロの歌と立体で鳴り響くあまねのシャウト、よいこが切れ味抜群の高速ラップでつないで、ラストはことのが大迫力のハイトーンで“未来へ~”と曲を見事に締めくくってみせた。
神使轟く、激情の如く。/実久里ことの
オープニングから本領発揮で総攻撃をかけてくる神激。曲は情報量もりもりのプログレッシブミクスチャーロック、女の子なのに、ロックバンドじゃないのに、なにこれ、と驚く初見のファンに軽く一撃をくらわし、「自己都合主義メタモルフォーゼ」へとなだれ込む。よいこのラップにレスポンスを入れられないオーディエンスは、代わりに手を前後に動かして応戦。なにが出るかお楽しみの中盤のフリースタイルゾーンへと突入すると、三笠がさっきリビジョンで盛り上がったばかりの“ダメ、ゼッタイ、現実逃避”をフレーズに取り込み、会場は大盛り上がり。こんな粋なフリースタイルを即座にかませるようになったのも『LEGIT』の成果といえるだろう。そうして“ダメ、ゼッタイ、現実逃避”に代わって6人は“神激ばんざーい”のキャッチーな振り付けでフロアに壮大な一体感を生み出していく。
涙染あまね
そして「神奏曲:アブソルートゼロ」へ。ジャジーなピアノの音色で静かな曲と思わせておいて、曲はそこから目まぐるしく展開。そのサウンドに負けないほど、いもこの歌はセンターで迫力ある立ち上がりを見せ、あまねのシャウトとよいこのラップがバトルするシーンや、三笠の繰り出す必殺技シャウトに向かってよいこがラップをぶつけるシーンなど、前にも増してメンバー各々のアクトが説得力を増していて、一瞬たりとも彼女たちから目が離せない。
三笠エヴァ
6人ひとまとまりできっちり神激を歌うのではなく、私はここではこんなラップを、じゃあ私はこの曲ではこんな歌を、など、いまの彼女たちはメンバー各々がまるでバンドのように呼吸を合わせたり、ぶつかったり、駆け引きをしながらこのライブを作っているように見えた。これも、間近で対バン相手の生演奏をたくさん見てきた彼女たちが、自然と吸収してきた部分なのだろう。さらに驚いたことがある。それは、スピーカーから流れるサウンドだ。神激のようにロックをバックグラウンドにもつグループは、その成長過程の途中から“生バンド”をバックに配置し、サウンドをマッシュアップしていく展開がこれまでのやり方だった。だが、神激は違った。今回の『LEGIT』でも、これまで通りのマニピュレーターを入れた独自のサウンドメイクで戦っていて、これが驚いたことに、生バンド並みのサウンドのクオリティーに到達してたのだ。その証拠に、リビジョンを観た後に神激を観ても、その音に物足りなさは微塵も感じなかった。聞けば、この『LEGIT』開催にあたってサウンドチームはサウンドシステムを一新したのだという。バンドサウンドにブレイクダウン、美しいストリングスから、繊細なピアノに到るまで、洪水のように詰め込まれた音が圧倒的な熱量をもって畳み掛けてくる神激のラウディーなサウンド。これらをデジタルで徹底的にコントロールしながら、バンドを彷彿させる生っぽい高まりやうねり、迫力を音像へと落とし込んで構築していくセンスは、まるで元バンドマンのスクリレックス(SKRILLEX)がエレクトロのみならず、ラウドロック・リスナーをも魅了していったサウンドのバランス感覚と近いものを感じる。だから、ライブで観るいまの神激サウンドは、バンド以上にバンド、そう思えて仕方がなかった。
二日よいこ
TiNA
そして、ライブのほうはTiNAを中心に軽快なトークがスタート。TiNAが「初めて神激を観た人?」と問いかけると、女の子がたくさん手を上げる。すると、よいこがその子たちに向かって「うちの“イケメン”が全部もっていくんで」といってる横から、三笠がその女の子たち一人一人に向かって濃厚な投げキッスをプレゼントして、新規ファンを悩殺。TiNAがリビジョンについて「めっちゃ歌詞が耳に残る」というと、バンドキッズの三笠が聴きたかった「I'm a クズ人間」を生で観られて「嬉しかった」と告げた。そして、彼らの「ダメ、ゼッタイ、現実逃避」のような一体感が作れる曲が「ウチらにもあるんです」とTiNAが伝え、振りのレッスンを挟んで最新曲「BAD CAKE」がスタート。振り付け、楽しいクラップで場内に一体感を作りながら、歌のない間奏のドラムソロでは息の合ったダンスパフォーマンスを披露。「BAD CAKE」では歌のソロパートでファンを魅力したTiNAは、次の「生まれ変わっても自分になりたい」ではエンディングで一人でフェイクを放つなど、オールマイティーな個性を次々と発揮。
実久里ことの
生牡蠣いもこ
曲が終わると三笠がマイクを持ち、自分もみんなと同じようにライブハウスが「ホンマに必要だった人間やった」と本音でフロアに語りかける。「だから、ここは特別な空間。だから、ここはずっと守る。誰にも奪わせたりせぇへんから。憂鬱、ぶっ飛ばしていけ!」とテンションをどんどん高ぶらせていって「合法トリップ:ボイルハザード」をドロップ。激しいラップにスクリーモ、そこに強力なサビメロを共存させ、TiNAのソロダンスという合わせ技までフルボリュームで詰め込だライブ映えしまくり、フロア熱狂しまくりの流れに、さらに神激必殺の最強メタルコアチューン「神奏曲:ガイア」を畳み掛ける。巨大ミラーボールが放つ光を浴びながら、ことのが英詞を歌い出すと、フロアは歓喜。ヘヴィなギターリフに合わせて体を勢いよく折り曲げ、のりまくるオーディエンスは、次に“G.O.D”の声なきコールを入れ、あまねとよいこはセンターで顔を付き合わせ、壮絶なバトルアクトでフロアをクライマックスの頂へと加速させていく。そのあと、突然訪れるサイレントブレイク。一瞬にして無音に包まれたフロア。この恐ろしいほどの緊張感が、たまらない。ゾクゾクするほどカッコいい。そのブレレイクの後に、CDにはないあまねのおどろおどろしい、ダイナミックなシャウトパートが差し込まれ、会場はいっきにカオスな狂気空間へと塗り変わっていく。その狂騒を沈めるようなメランコリックなアルペジオのギターが流れ、いもこがマイクを握る。

TiNA
涙染あまね
「暑い。予想外の盛り上がりだね。みんなまだ元気ある?」と最初はやさしい口調で問いかけた。そうして「でもね」といったあと、声のトーンが沈む。「神激に入る前、自分は消えたくもないのに“消えたい”が口癖で。なんでも簡単に諦めてた」と10代の頃のなんにもなかった頃の自分を振り返る。だが、その自分が「神激に入る、そんなたった一つのきっかけがこんな大切なものになるとは思いもしなかった」と本心を露わにする。そうして、いまの自分は「1日も無駄にしたくないぐらいに、キラキラ輝いてて、こんな景色が見られて幸せだと思えるようになった」と告白。だからこそ「学校、仕事、友達同士、うまくいかないときはどうして自分はこんなにできないんだって、自分を責めてしまうと思うけど。そんなときはイヤフォンでこの曲を聴いて欲しい。この曲がそんなあなたの背中を押すから」といって力強く前を見据えて、歌い出したのは「不器用HERO」だった。神激がこの曲に込めた想いと、シンガロングできない代わりに腕を振って気持ちを受け止めるオーディエンスの想い、それが響き合い、メンバーとフロアに新たな光が降り注いでいくような感動をもたらす名演で、神激のライブは幕を閉じた。

二日よいこ
三笠エヴァ
『LEGIT』を通して、グループとして驚くほどの急成長を遂げていた神激は、この後もこの対バンイベントを引き続き展開していく。6月14日、東京・新宿BLAZEにて開催する『LEGIT Vol.8』ではa crowd of rebellionバックドロップシンデレラを迎えて。さらに7月16日、名古屋・名古屋 ReNYにて開催する『LEGIT Vol.9』ではヒステリックパニックを迎えて、それぞれ共演者と刺激し合いながら、さらなる狂宴のステージを目指していく。ラウドロックファンにはぜひ、この対バンイベントを通して神激のライブを体感してみて欲しい。
取材・文=東條祥恵 撮影=鈴木恵

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