辻井伸行、三浦文彰がアーティスティ
ック・リーダーを務める音楽祭『サン
トリーホール ARKクラシックス』が今
年も開催! ブラス・アンサンブルが
新たに結成

ピアニストの辻井伸行と、バイオリニストの三浦文彰がアーティスティック・リーダーを務める音楽祭『サントリーホール ARKクラシックス』が2021年10月8日(金)から11日(月)まで東京・サントリーホールで行われる。超一流の個人技、オーケストラ、ブラス・アンサンブルを楽しめる〝極上の音楽祭〟を前に辻井と三浦が6月9日(水)、同ホール内のブルーローズ(小ホール)で内容発表会を開いた。
登壇する出演者たち
4回目の開催となる今年は、同音楽祭のレジデンス金管アンサンブルとして10人のメイン編成による『ARK BRASS』が誕生することを公表。コアメンバーのトランペッター・佐藤友紀は「1970~80年代に世界を一世風靡した、フィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルのように、(ブラスへの熱を)再燃させたい」と意欲を見せた。辻井は「幅広い音楽をみなさまに聴いていただける音楽祭。いろいろな仲間と演奏できることが今からとても楽しみです」と期待に胸を膨らませていた。
和やかな雰囲気で行われた会見
『サントリーホール ARKクラシックス』は、2021年10月2日(土)~11日(月)に同ホールを中心に開かれる都市型音楽イベント『ARK HILLS MUSIC WEEK 2021』のフィナーレとして、同ホールとアーク・カラヤン広場を舞台に超一流の奏者が集まる音楽祭。2018年からアーティスティック・リーダーを務める辻井と三浦を軸に、ふたりの呼びかけにより名プレーヤーが集結した夢のオーケストラ・ARKシンフォニエッタらとともに、大ホールとブルーローズ合わせて全8公演を開催する。
バイオリン演奏と指揮を務める三浦
10月8日(金)にブルーローズで行うオープニングは、プライベートでも親交がある辻井と三浦がベートーヴェンの「ヴァイオリン・ソナタ 第5番 へ長調 Op.24《春》」に臨む。同ステージではさらに、チェリストのヨナタン・ローゼマンをゲストに招き、シューベルトの『ピアノ五重奏曲 イ長調 Op.114, D.667《ます》』も演奏。三浦は、「辻井さんと、信用している同世代のローゼマンとともに、充実した演奏を聴かせたい」とコメントした。
バイオリン演奏はもちろん、ARKシンフォニエッタを率いる10月10日(日)・11日(月)には指揮も務める三浦。楽曲をより知りたいと始めた指揮は、「まだ赤ちゃんの状態」と謙遜したが、「素晴らしいオーケストラとやらせていただけることはとてもうれしい。ARKシンフォニエッタは、若い奏者と、経験豊富な演奏家が一緒に音楽を作っていくオーケストラ。毎回新しい発見があり、リハーサルからとても刺激的です。楽しいコンサートになると思います」と笑顔を見せていた。
ソロリサイタルに加え、新しい楽曲に取り組むなど精力的な辻井
1歳半でピアノを始め、12歳でソロリサイタルを開くなど長いキャリアを持つ辻井だが、幕開けに三浦と演奏する『ヴァイオリン・ソナタ 第5番 へ長調 Op.24《春》』や、音楽祭を締めくくる10月11日(月)に三浦とARKシンフォニエッタと挑むベートーヴェンの「ピアノ協奏曲第4番 ト長調 Op.58」など、「初めて取り組む曲がある」と明かした。「色んな仲間と演奏できることは、とても勉強になります。今からとても楽しみです。みなさまに少しでも楽しんでいただけるような音楽祭にしたい」と抱負を語った。10月10日(日)には『笑顔で会える日のために』と題したソロリサイタルも行う。
「ブラスの熱を再燃させたい」と佐藤
今回、新結成されたARK BRASSは、ブラス史上に燦然と輝くフィリップ・ジョーンズ・ブラス・アンサンブルの偉業をたたえ、スーパー金管プレーヤーが集結。佐藤は「彼らがやってきたレパートリーを中心に、僕らのテイストで演奏したい。5重奏、10重奏などさまざまな編成で、(かつて世界をとりこにした)熱を再燃させたい」と話していた。
「コアメンバーとの演奏がとても刺激的」と福川
佐藤とともにARK BRASSのステージに立つホルン奏者の福川伸陽は「僕自身、これまであまりアンサンブルをやってきませんでしたが、まだグループの名前が付く前にコアメンバーと演奏したとき、弦や木管、ピアノと同じように音楽的に会話ができることを感じ、『やりたい!』と強く感じました。お客様にもその思いが伝わるのではないかと思います」と新しい取り組みを楽しんでいるよう。
「サントリーホールや近隣の大使館など、さまざまな施設で行われる音楽フェスを楽しんで欲しい」と河野
サントリーホールの企画制作部長の河野彰子氏は「2011年から始まった『ARK HILLS MUSIC WEEK』。2018年からは三浦さん、辻井さんをリーダーに迎えて、音楽がどんどん拡大している楽しみを感じています。サントリーホールで行われる8プログラムはもちろん、近隣のみなさんにも音楽を楽しんでいただけるよう、アーク・カラヤン広場では(ホール内での演奏を大スクリーンに上映する)ライブビューイングも行います。ホールの外で涼風に吹かれながら、楽しんでもらえたら」と呼びかけていた。
会見の最後に「ARK BRASS」によるミニライブが開かれた
会見の最後には、佐藤と福川とともにARK BRASSのメンバーであるトランペットの安藤友樹、トロンボーンの青木昂、チューバの次田心平が登壇し、シャイトの「戦いの組曲」(金管五重奏)を生演奏。佐藤とセカンドトランペットの安藤が剣を交えるように、旋律を交互に奏でた「戦いのガリヤード」から、「悲しみのクーラント」、「ベルガマスクのカンツォーン」へと、五線譜の中を泳いでいくような躍動感あふれる演奏でブラスの楽しさをアピールした。ARK BRASSは9月1日(水)にアルバム『イージー・ウィナーズ~PJBEへのオマージュ』でCDデビュー。「戦いの組曲」は同盤に収録されるほか、10月10日(日)にブルーローズで開く公演で演奏される。
取材・文・撮影=Ayano Nishimura

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