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【映画コラム】地球規模の大問題を描
きながら、どこか能天気な『コンティ
ニュー』と『グリーンランド 地球最
後の2日間』

 今回は、6月4日から公開される、地球規模の危機を描きながら、どこか能天気な、いかにもハリウッド映画らしい2本の映画を紹介しよう。
 まずは、『コンティニュー』から。
 朝、目覚めた瞬間から謎の殺し屋たちに襲われ、殺され続ける元デルタフォース特殊部隊員のロイ(フランク・グリロ)。ところが、ロイは何度殺されても生き返り、同じ1日を繰り返す。
 ロイは、死のループから抜け出すために何度もトライ&エラーを重ねる中、科学者の元妻(ナオミ・ワッツ)からタイムループの鍵を握る極秘計画、コードネーム“オシリス”の手掛かりをつかみ、計画の責任者ベンター大佐(メル・ギブソン)を追い詰めていくが…。
 監督はハードアクション系の映画を得意とするジョー・カーナハン。ロイ=グリロが、違ったパターンで何度も殺される中で、手を変え品を変えながら、タフな動きを披露する。
 そして、大事を抱えながらどこか能天気な登場人物たちや、所々に配された小ネタも含めて、B級アクションのテイストが満載。ギブソンも悪の権化を楽しそうに演じている。
 ところで、主人公が何度も死にながら、そのつど生き返り、同じ日を繰り返すという設定は、トム・クルーズ主演の『オール・ユー・ニード・イズ・キル』(14)とも通じるが、この映画の方がアクションゲーム的な要素が強く、ロイの行動を見ながら、まるで、リセットを繰り返しながら、対戦型格闘ゲームのステージをクリアしていくような感覚に陥る。
 時のループという題材は、撮り直しや編集ができる映画向きだと思っていたが、こういう映画を見ると、むしろゲームとの相性の方がいいのかもれないと思った。
 続いて『グリーンランド 地球最後の2日間』。
 突如現れた彗星(すいせい)クラークの落下による世界崩壊のタイムリミットまであと48時間。政府から緊急避難者に選ばれたある家族の姿を描く。
 「ノアの箱舟」のような話かと思いきや、さにあらず。はぐれた家族がシェルターに向かうさまを描いたサバイバルドラマが中心で、彼らが非常事態下での人間の善と悪を目の当たりにするというものだった。
 プロデュースも兼ねたジェラルド・バトラーが、あえてヒーローではなく家族との関係に悩む普通のおじさんを演じるなど、ほかのこの手の映画との差別化を狙った努力の跡は見られるのだが、たとえ、この家族だけが生き残ったとしても、果たしてそれだけでいいのか、という疑問を感じるのは否めない。
 自分たちだけが助かればいい、とでもいうような、むき出しのエゴや、強引なミーイズムが露呈されるのは、この手の映画の常ではあるのだが、同時に、そうした類型的な描き方しかできないところが、こうした映画の限界を示しているとも言えるだろう。(田中雄二)

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