iri「こんな景色を見るのはいつ振り
だろうな」新曲「渦」を初披露した、
全国ツアーファイナルのオフィシャル
レポート到着

iriの全国ツアーが、5月29日(土)新木場 USEN STUDIO COASTにてファイナルを迎えた(大阪公演は緊急事態宣言の影響で延期となり、7月2日(金)に振替公演を実施)。本記事では、同公演のオフィシャルレポートをお届けする。

3月24日にEP「はじまりの日」をリリースしたアーティスト、iriが、5月29日(土)に東京・新木場のUSEN STUDIO COASTにて、全国ツアー『iri Spring Tour 2021』の東京公演を行った。
昨年、アルバム『Sparkle』をリリース後に予定していた全国ツアーが公演中止となった彼女だが、逆境を力に変えるように楽曲制作を行い、9月には無観客配信ライブ、12月には全国5都市を回るZeppツアーを通じて、ウィズ・コロナの時代における音楽表現の在り方を前向きに模索。今なお試行錯誤の日々は続いているが、2021年最初のツアーである『iri Spring Tour 2021』は、新型コロナウイルス感染拡大予防ガイドラインに則った万全の体制を敷き、4月28日の神奈川・川崎を皮切りに、残念ながら延期となった大阪公演を経て、全国7都市を巡り、この日、ついに最終公演を迎えた。
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お馴染みのサポーターであり、マニュピレーション、エレクトロニクス全般を担うMop of Headのジョージ、デビュー以前から親交が厚いキーボードの村岡夏彦とドラムの堀正輝、2019年のツアー以来となるベーシストの村田シゲ(口ロロ)という4人のメンバーに続き、ステージに立ったiriがアコースティックギターを手に歌ったのは「ナイトグルーヴ」。ダンストラック「Coaster」からラップを交えたミッドテンポのファンクチューン「半疑じゃない」まで、序盤は重低音の利いたトラックのニュアンスとバンドの躍動感が一体となった彼女らしいグルーヴが会場のテンションを徐々に高めてゆく。
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「こんな景色を見るのはいつ振りだろうな」。眼前の聴衆と相対したiriはそう語ると、昨年、自粛期間中に制作が進められた2021年の最新EPからタイトル曲の『はじまりの日』を披露。別れの季節を前に、前向きになれない心境をありのままに描くエモーショナルな歌の力が普遍的なメロディを紡ぐバンドサウンドのなかで、ぐっと存在感を増していった。そして、「room」、「回る」と続く最新EPの内省的な世界を浮かび漂い、ジャジーなヒップホップナンバー「Keep on trying」から葛藤を抱えながらも未来に向かってゆく力強い意志が込められた「Only One」へ。そのメッセージは会場を鼓舞するように響いた。
「ゆっくりとまったりと」。そう語りながら、ツアー中のエピソードを披露したiriのMCの語り口は寡黙だった以前から見違えるようにオープンでカジュアルだ。自身の内面を飾らずに投影したバンドサウンドのしなやかさも相まって、終盤に向けて放たれた最新EP収録の2ステップナンバー「doyu」やTikTokがきっかけとなりバイラルヒットを記録した「会いたいわ」といった楽曲は、iriのアーティストとしての精神的な成長を強く感じさせた。
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そして、ライブはクライマックスへ。歓声を上げられないオーディエンスが上げた両腕を振り、ハンドクラップで迎えるなか、ゴスペルの高揚感に満ちた「24-25」からソニーhear.✕ウォークマンCMソングに起用されたヒット曲「Wonderland」、初期の代表曲「rhythm」をたたみ掛けるように演奏。ライブを締め括ったかに思われたが、「今日はファイナルだから……このしんどい感じをなんとか奮い立たせて抜けたいと思って書いた曲です」という紹介に続いて、6月16日に配信リリースされる新曲「渦」が初披露された。国際ファッション専門職大学のTVCMソングとして、2018年から3年間に渡ってオンエアされてきた「Only One」に代わり、新たに書き上げられたこの曲は、コロナ禍で先の見えない日々が続くなか、逆境に負けじと自分の表現を続けていこうという揺るぎない思いが込められた1曲。ソウルやヒップホップをも内包したクロスオーバーなダンストラックから放たれたキャッチーなフックと胸に迫るメッセージは早くもオーディエンスの心を魅了し、沸き立たせた。新たな代表曲「渦」と共に、7月2日に振替となった本ツアーの大阪公演をはじめ、2021年のiriの活動はこれからも続いていく。

文=小野田雄 撮影=田中聖太郎

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