演者との融合で生まれた新たな“Pho
ton Maidenらしさ” 水島精二監督
佐高陵平 PA-NONが語る D4DJ Photon
Maiden 2ndシングル制作秘話

『DJ』を題材に アニメ『D4DJ First Mix』 やスマートフォン向けリズムゲーム『D4DJ Groovy Mix(以下:グルミク)』など、多方面に広がりを見せる音楽メディアミックスプロジェクト『D4DJ』。登場する6ユニットによる各2ndシングルが2021年3月17日を皮切りに半年間に渡ってリリースされている最中だが、SPICEではそんなニューシングルに携わったクリエイターに毎月密着中!『Photon Maiden(以下:フォトン)』の2ndシングル「Be with the world」が5月19日にリリースされたが、同ユニットの音楽プロデューサーとしての肩書きも持つ水島精二監督と、表題曲の作詞/作曲を担当した佐高陵平、カップリング曲「Wonder Wonder Trip」の作詞を担当したPA-NONの3名にお集まり頂き、新曲の制作秘話などを伺った。D4DJが目指す広大な世界と、フォトンが持つ遠い宇宙の彼方から語り掛けるような世界観は、実は互いに歩み寄っていっているのかもしれない。そう感じたインタビューだった。
■「人間の世界に入り込んだ宇宙人たちのガールズトークみたいな曲」
――現在SPICEではD4DJ 2ndシングルシリーズを毎月特集中!ということで、今月リリースとなるPhoton Maidenのクリエイター陣から水島監督、佐高さん、PA-NONさんにお集まり頂きました!まず”そもそも”の話なのですが、水島監督が思うD4DJというコンテンツの面白さや制作にあたって意識された点などをお伺いしたいです。
水島:アニメだけでなくゲームにライブと多角的に展開しているこのD4DJプロジェクトでは、アニメ監督としての参加であるものの、どこまで自分がコントロールできる領域なのか探り探りな感じでスタートしました。元々、音楽プロデューサー的な役割もずっと挑戦してみたかったことのひとつだったので、信頼していただき、お話を頂いた時はすごく嬉しかったですね。現在ではようやく歯車がうまく回り始めたぞ…!という手ごたえを感じ始めている段階で、自分自身もすごく楽しんで関わらせて頂いています。コロナの影響なんかもあって、当初主軸に置いていたライブが思うように出来ない状況が続いてはいるのですが、逆にその制限が役者さん自身にキャラクターについて考えさせる状況を生んで、結果として演者さんとキャラクターに深みが生まれたりしたのが思わぬ収穫でした。やりたかったけど、もう少し先の話かなと思っていたことが早めに出来るようになりそうなので、今後の展開も楽しみにしておいて頂けると!
――確かにライブなどを拝見しても演者さんとキャラクター、その両面で愛されているコンテンツになりつつあるなと感じることがあります。では改めて今回のシングルについてお聞かせください。
水島:表題曲の「Be with the world」はグルミクのシナリオの第一章の最後の曲だという説明を受けまして、アニメの最後に作った「暁」の方向性での完成形のイメージを持って、生楽器の音から始まる曲にしたかったんですよね。カップリング曲の「Wonder Wonder Trip」ですが、こちらは同じくゲームのホワイトデーイベントにちなんだ可愛らしい感じの楽曲というオーダーを受けて、また作曲をラスマス・フェイバーさんにご担当頂けるということになりまして、先ほどもチラッと話をした役者さんとキャラクターのリンクみたいな部分も加味して、これまでになかった可愛らしさが全面に出た曲に仕上がったんじゃないかなと思っています。
佐高:ボクが担当した「Be with the world」ですが、そもそもPhoton Maidenって”宇宙”とか”原始”とか無機質なキーワードが飛び交う楽曲が多かった中で、監督からも先ほど話があったようにアコースティックギターやピアノみたいな生楽器の音から入るなど有機的なテイストも新たに取り込んでみたりと、フォトンなりの進化の様子をお届け出来てるのかな?と思っています。自分のイメージだとこう、ようやく地球に降りてきた……みたいな(笑)。
PA-NON:でも本当に佐高さんのおっしゃる通りで、フォトンってどこか遠い存在のように感じる瞬間が多かったんですけど、そんなフォトンの存在を少し身近に感じられるシングルになったんじゃないかなって思います。私が作詞した「Wonder Wonder Trip」は元々英詩のデモテープをもらったので、元のリズムを崩さないように言葉をのせる作業が苦労しました。監督から「地球の各地を旅行しに来た宇宙人の気持ちで〜」みたいな依頼を受けたんですけど、あまりにもふんわりしすぎていて、不安になって電話しちゃったんですよ(笑)。
――「Wonder Wonder Trip」は“東京”や“上海”など世界をめぐる感じがとても印象的でした。
PA-NON
PA-NON:歌詞に地名が色々と出てくるのですが、そういう固有名詞ってそのものが持つイメージが強烈すぎるので歌詞に入れるのは少し勇気がいるんですね。無機質なイメージに相反しちゃうのかな~とも思ったのですが、監督からお話を伺って「宇宙人だから瞬間移動できるんだよ」と言われて「あぁ、それなら大丈夫ですね」って十分に納得して書けました(笑)。人間の世界に入り込んだ宇宙人たちのガールズトークを聞いてる気持ちで聞いてみてください。
水島:そう、ラスマスがデモに英詩を付けてくれていたんだよね。せっかくだし佐高くんの「Wonder Wonder Trip」の感想とか聞いてみたいなぁ。
佐高:いやぁ、ラスマス節が効いてると言いますか、さわやかなんだけど少しひねったコード進行でカッコイイなって思いましたよ。
――DJがモチーフの作品となっていますが、その点を踏まえたお気に入りのポイントや注目して聞いてもらいたい点など、何かありますか?
佐高:元々、自分がいわゆるEDMと呼ばれるダンスミュージックをずっと作ってきた人間だったので、やっぱり”しっかりと踊れる曲”という点にはこだわりがあるかもしれません。サビの後のドロップという部分なんかは普通のポップスだと間奏に当たる部分ではあるのですが、EDMにとってはここでお客さんを踊らせるっていうサビと同じくらいキモとなる部分なので、そこをいかに気持ちよく鳴らすか。あくまでアニソンではあるのですが、しっかりEDMをしようというのを念頭に置いて制作しました。ちょっと話はズレるのですが、同じ一二三の彦田元気くんが作った「Discover Universe」ではドロップで手ぶりする振付があって、声が出せない状況下でも一体感が生まれるライブ演出の一助となっていて、考えられているなぁって思いました(笑)。
水島:「Discover Universe」はEDMのライブ演出をモロに意識して考えたヤツだね(笑)。大型フェスとかって基本縦から抜く画になるじゃないですか。舞台上からDJの背中越しにお客さんがうわぁーっていっぱいいる画とか、逆に多くの観客の背中越しに、遥か向こうにいるDJがみんなをロックしている感じとか、そういう縦の構図の時にみんなが同じ方向に手を振ったりしてると、やっぱり”映える”んだよね(笑)。今度、野外でのライブも予定されているし、他のユニットに取られる前にそういう楽曲も抑えちゃおう……みたいな考えもありました。
■「Photon Maiden最大の魅力は”ギャップ”」
――続いては皆さんにお聞きしたいのですが、これまでリリースされた楽曲やキャラクターなどを踏まえた上で”Photon Maiden”に対して抱いているイメージなど教えて頂けませんか?
水島:アンノウン感とでも言いますか、設定としても唯一プロダクションに所属していてプロデューサーもいるユニットということもありますし、なんでもこなせるんだけどあまり多くは語らない、ミステリアスな感じで。楽曲的には一番EDMをしているんじゃないかなと思っています。そんな第一印象がありつつ、キャラクターとしての魅力的にはフォトンが一番幅が広がったんじゃないかな。
――水島監督がそうおっしゃると説得力があるというか。
水島精二
水島:先ほどもチラッとお話しましたけど、キャラクターを演じてもらって役者さんがキャラを理解してもらったのと同時に、ライブや配信番組などを通じて、キャラクターも役者さんに近付いていってる感覚があって、その融合が面白いかなと。本来だったら、もっと役を演じるシーンが多くなるはずだったのが、コロナの影響もあり、どちらかというと配信番組などで、キャラクターを意識しつつも自分の言葉で表現する機会が多かったんですよね。
――それはそうですよね。
水島:その結果、我々が準備していた以上に役者さんがキャラクターの事を考えてくれていて、逆にそこからのフィードバックをキャラクターの成長に活かせる、みたいな状況もありまして。Marm4idなんかはもっとお姉さんっぽくなるかな?と思っていたのが案外そうじゃない方向でハマりだしたり。他のユニットでもそうなんですが、フォトンではオン/オフのギャップが一番面白いと思います(笑)。音楽的には先月インタビューされていたElements Gardenの上松さんもPeakey P-keyに相当気合い入ってるな!というのを感じましたし、他のユニットも同様なのですが、ウチも負けてないぞ!という気持ちもありますね(笑)。
PA-NON:私のフォトンの印象も監督がおっしゃってたのと同じで、キャラクターと演者さんのシンクロ率がすごいなっていう点ですね。作詞家としては歌う人とキャラの個性が掴みやすいと本当に書きやすくて、言葉をドンドン引き出してくれるので助かっています(笑)。
佐高:ボクはフォトンってすごく攻めてるユニットだなと思っていて。常に挑戦しつづけているというか、これまでリリースした楽曲もひとつとして同じような印象の曲が無いんですよね。ありがたいことに自分は大体の曲に携わらせて頂いてるのですが、作る側としては毎回楽しいんですよ。
――裏を返せば、作家の引き出しの数が問われるとも言えると思いますが、大変じゃないですか?(笑)
佐高:もちろん、大変は大変ですけど(笑)。 自分みたいにEDMが大好きな人間としては楽しみながら携わらせてもらってます。
■「D4DJ楽曲のREMIXコンテストをやってみたい」
――続いては監督と佐高さんにお聞きしたいのですが、 D4DJではREMIXの制作、並びにSNS等での共有をOKとしています。佐高さんは「y0c1e」名義で他のアーティストさんにREMIXを提供されていたりもすると思うのですが、自身の楽曲がREMIXされたりDJというカルチャーが持つサンプリング文化についてお話いただけますか?
佐高:ボクは主にD4DJだとグルミクのカバー楽曲を色々と手がけているのですが、どれだけ遊べるか?というREMIX的解釈で作っていますので、元の楽曲と比べて楽しんでもらえたら嬉しいですね。逆に自分が作詞作曲した「Photon Melodies」という曲は、グルミクで”あの”TAKU INOUEさんにREMIXを作って頂きまして……もう感無量ですよね(笑)。
――自分からしたら、佐高さんも神様みたいな存在なんですけど……でもその気持ち分かります(笑)。
佐高:分かってもらえます?(笑)。自分の曲がイノタクさんにREMIXされる日が来るなんて思ってもみなかったですから、やっぱり嬉しかったですよね。しかもめちゃくちゃカッコいいですし。
水島:その流れで言うと、佐高くんがカバーを作った「シドニア」。あれをangelaのKATSUさんに聞いてもらったんですよ。そうしたら「僕には作れないカッコよさがある」って褒めてくれてたんですよ。
佐高:ええ!? ホントですか…。いや、ありがたいですね。嬉しい……。
佐高陵平
水島:そうやって自分の周りの人間が喜んでくれたり、よく知る楽曲がアレンジされる楽しみもD4DJにはあるなって改めて思いましたよ。自分もDJすることがあるのですが、やっぱり自分の立場上、どんなに好きでもブートレグ的な音源は使いづらいので、公式がオッケーと言ってくれると、監督という肩書き背負ってても自信持ってREMIX曲かけますよね(笑)。ホント、まさか公式でOKという時代が来るとは……って思ってたタイプの人間なので。
佐高:これを機にD4DJのREMIXを作る人が増えてくれたらいいなって思いますし、せっかくならREMIXコンテストとかやりたいですよね!
水島:いいね! アニメでもやってたし、全然アリだと思うよ。コンテストで良かった人はそのままグルミクでプレイできるようになる……とか、夢広がるよね。スタッフさん、企画通してもらえません? 絶対、盛り上がりますよ(笑)。
――せっかくクリエイターの皆さんに直接インタビューできる機会ですので、今後作曲や作詞の仕事に携わりたいという方へのメッセージを佐高さんとPA-NONさんから頂けないでしょうか?
佐高:とにかくいっぱい音楽を聴いて、いっぱい書くことでしょうか。どんなに短いリフレインでもビートでも、なんでもいいのでとにかくDAW(作曲ソフト)を開くクセを作ることだと思います。自分は音楽を聴いてて、気になった音があったらすぐ耳コピをするクセをつけることでDAWを開く習慣を作りました(笑)。未だに「これどうなってるんだ?」と気になったら直ぐシンセソフトを開いたり、DAWを開いたりしてます。コード進行には著作権はないので、バンバン取り入れて解析しちゃっていいと思います! ただ、好きな曲をマネするんじゃなくて、曲のルーツというか、どういう背景でこういうコードにしたんだろう、とかそういうバックボーンを想像しながらやるのが大事かなと。でないと身にならないかもしれません。
PA-NON:作詞は紙とペンさえあればホントに誰でも始めることが出来ます。どうかご自身の感じたままに一度書き出してみてください。そこから全てが始まります。それで、もし少しでも興味が湧いてきたら、私とても良い会社を知っていて「株式会社一二三」って言うんですけど……。(今回インタビューした3人が所属する制作プロダクション)
一同:(爆笑)
PA-NON:私、実はそこで作詞講座なんかをやっていたりしまして、必ずお役に立てるはずなので、少しでも興味があるならば、是非!株式会社一二三にご連絡を……!!(笑)。どうです、始めてみませんか?興味出てきたでしょう??
――私にも始められそうな気がしてきたので、今日から「師匠」とお呼びしても良いでしょうか?(笑)。最後になりますが、改めましてファンの皆様にメッセージをお願いします!
佐高:アニメは1月で終わっちゃいましたけど、D4DJはどんどん面白くなってきてます。フォトンだけじゃなくて他のユニットもそうなんですが楽曲の個性が出来つつあるので、この辺で一度、推しユニット以外の曲に浮気してみても楽しいタイミングなんじゃないかな…! ということで、フォトンの最新楽曲「4 Challenges」がグルミクで実装されていますので(笑)、皆さんたくさん遊んでください!。
PA-NON:このあいだ電車に乗っていたらとても嬉しいことがあって、高校か大学生くらいの男の子たちがD4DJの話をしていたんですよ。悪い事だとは思いつつも、ついつい耳がそちらに傾いてしまって…。ちょうど「Wonder Wonder Trip」のグルミク実装のお知らせがあった日だったんですけど、話を聞いていると「絶対やるわ!」って言っていて、もう涙が出そうになるくらい嬉しかったんですよ。注目されてる作品だからこそ起きる出来事なのかなと思うので、そんな作品に関わることができて嬉しいですし、これからも私自身も1人のファンとして皆さんと一緒に楽しんでいきたいなと思ってますので、これからもよろしくお願いします!
水島:D4DJ全体でいうともっと幅広く楽しめるコンテンツになると思うので、皆さんお好きなユニットをこれからも応援して欲しいです!フォトンに限った話をすると、今回ラスマス・フェイバーさんにお願いできたように「おっ、今度はこんな人連れてきたの?!」みたいな話題になるようなフックも用意しつつ、我々、一二三のメンバーもそれに負けないように、これからも良い音楽を皆さんにお届けできるようやって参りますので、ぜひ注目して頂けたらなと思います!
インタビュー・文:前田勇介

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