氷上に描き出される華やかな世界、レ
ビュー仕立てのアイスショー『LUXE』
開幕

フィギュアスケートと歌舞伎のコラボレーションを実現させた『氷艶hyoen2017 -破沙羅-』、「源氏物語」の世界を氷上に描き出した『氷艶hyoen2019 -月光かりの如く-』と、新感覚のアイスショーを作り出してきたチームが再集結しておくる『LUXE』。アイスダンスの現役選手としても活躍する髙橋大輔が光の王子に扮し、世界を巡るというレビュー仕立ての作品だ。その初日公演を観た(5月15日12時の部、横浜アリーナ)。
『LUXE』ゲネプロより
まずは、柚希礼音扮する“春の女神”がアリーナ上空に登場し、布を操ってのエアリアルを披露。鍛え抜かれたそのグラマラスな肉体美が大いに活きるオープニングだ。そして、“太陽の王”(西岡德馬)が“光の王子”(髙橋大輔)に譲位を宣言するが、自分の道は自分で決めたいと、彼は世界を巡る旅に出る。そこから、諸国のさまざまな情景が氷上に描き出されていく。
『LUXE』ゲネプロより (中央)西岡德馬
『LUXE』ゲネプロより 鈴木明子
アマゾンの場面では、“妖しい花”に扮した荒川静香の蠱惑的な魅力が炸裂。長い手足をあでやかに操り、一人の男を妖艶に誘惑していく。女王の如きその圧倒的な存在感、ファム・ファタルぶり。ローラン・プティ振付のバレエ『若者と死』で若者を冷酷に翻弄し、無情に足蹴にする“女”を彷彿とさせずにはおかない。
『LUXE』ゲネプロより (中央)荒川静香
『LUXE』ゲネプロより (左から)村上佳菜子、織田信成
水面に映った自らの美しさに恋焦がれて死ぬ、ギリシャ神話の美少年ナルキッソスの物語に基づく<Miroir-鏡->の場面では、髙橋大輔と田中刑事、二人の男性スケーターが登場。髙橋の繊細でどこかはかなげな魅力と、それを包み込むような田中の鷹揚さ、対照的な二人の持ち味が浮き彫りとなる、実に見応えのあるシーンである。今ここにいる自分と、もう一人の自分、彼我の境目が、水面の中で、揺れる。その様に、翻弄されていく。――傑作ミュージカル『エリザベート』のナンバー「闇が広がる」をも思わせる名場面である。
二幕冒頭では、氷上に円形の舞台が設置され、その上で、柚希が男性ダンサーたちを率いて黒燕尾服の踊りを披露。宝塚での男役時代とは異なり、女性としての魅力も新たな風味として加わった。そして、一幕の滑りでも優美さとキレのよさ、コケティッシュさで魅了した鈴木明子が、スケート靴を脱いで柚希のダンスパートナーとして登場。柚希のリードに鈴木もよく応え、リフトも盛り込まれた充実のデュエット・ダンスが展開される。
スパニッシュのナンバーでは、髙橋扮するマタドールの男を、荒川や村元哉中をはじめとする赤い衣装の女性スケーターたちが華やかに取り巻いて踊る。髙橋と組んで踊る際、村元がちょっとした仕草にさすがのパートナーぶりを見せる。
『LUXE』ゲネプロより (左から)髙橋大輔、村元哉中
ときに嵐に翻弄されながらも、織田信成扮する“カリブの青年”と、村上佳菜子扮する“カモメ”とが踊る<Brise-風->は、物語性に富んだ美しい場面。織田の端正な滑りと陰影に富んだ心理表現を堪能できる。
『LUXE』ゲネプロより (左から)吉川友真、織田信成、波岡一喜
サンバのリズムに乗った<Carnaval-祝祭->は、女性陣のあでやかなコスチュームも目を楽しませてくれる、まさに祝祭性に満ちたシーン。柚希が星組トップスター時代に主演経験のある宝塚の名作ラテン・ショー『ノバ・ボサ・ノバ』の盛り上がりをも思わせる、会場一体となっての熱気で高揚感がピークに。そこから一転、“光の王子” 髙橋大輔が、ますます洗練された滑りで、まさに今たどり着いた境地を氷上に描き出す<Phénix-不死鳥->の場面――。そのとき心に映るものは、ぜひ会場でご体感いただきたい。歌唱披露の際の髙橋の美声ぶりにも注目されたし。
『LUXE』ゲネプロより 平原綾香
歌姫として全編にわたって活躍を見せる平原綾香は、デコラティブな衣装に身を包み、空中ブランコの上から、そして氷上から、自作の主題歌『LUXE』をはじめ、シャンソンやラテンなど、さまざまなナンバーで伸びやかな歌声を披露する。突き抜けるようなその歌唱が、作品全体をあざやかに彩っている。
『LUXE』ゲネプロより
なお、『LUXE』は5月17日(月)まで横浜アリーナで開催される。

取材・文=藤本真由(舞台評論家)  撮影=池上夢貢

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