港町ぎんぢろう

港町ぎんぢろう

【港町ぎんぢろうと
バスエのキャバレーズ
インタビュー】
“港町ぎんぢろう”は
空想のキャラです!

こんな欲のないバンドは
日本中探してもいない

港町ぎんぢろう photo by 大橋祐希

港町ぎんぢろう photo by 大橋祐希

曲のテーマは作っていく中で見えてくるものなんですか?

完全に曲先なので、歌詞はあと回しって感じですね。「キャバレー」は20年前に作ったんですけど、サビのメロディーと歌詞が同時にできるっていう初めての経験をした曲で、“降りてくるっていうのはこういうことか!?”って未だ不思議なんですよね。

へぇ! でも、そういう曲が20年経ってリリースされるアルバムでも、ひとつ象徴的な曲になっているというのは面白いですね。

ぎんぢろうの持ってる世界観を一番表してる曲なのかもしれないですね。歌詞に“マイルドセブン”って出てきますけど、もう今はないですから(笑)。

そこは昭和テイストを出したんじゃなくて、当時のままの歌詞だったんですね(笑)。僕は昭和生まれですけど、昭和の雰囲気漂うネオン街とかは大人の世界だったし、「キャバレー」みたいな世界観はいつまでも憧れとしてあるんですよ。

ムード歌謡風の「ドッグラン」でMVを撮ったんですけど、MVも昭和テイストにしたかったので、古い映画なんかを観て衣装や画質を研究しました。やっぱりいいんですよねぇ。昭和っていい時代だなって。

でも、「シャバは最高!!」や「URA!! CASINO」とか、創作でも規制がうるさい昨今、ぎんぢろうさんはなかなか攻めてますよね。

自分で聴きたい音楽をやってるだけなので、あんまり規制がどうとか考えずに作ってます。で、できたあとに“さすがにこれは怒られるかな?”と思って、歌詞を変えた部分もあったりするんです。

カッコ良いサウンドでお洒落な言葉を並べただけだと、あまり面白みを感じなかったり、興味がなかったりするんですか?

素晴らしい歌詞がちゃんと書ければいいんですけど、思いつかないので。どうしても、ぎんぢろうのキャラに寄せちゃうんですよね…。「HOT SPRINGS」なんかは僕がスーパー銭湯が大好きだから書いた歌詞だし。みなとみらいの万葉の湯に毎日のように行っててるんで、港町ぎんぢろうのポスターも貼ってくれてるんですけど、誰かが剥がしちゃうみたいで、毎日貼る場所が変わっていて、最終的にはバスの発着所に張られてました(笑)。

あははは。スーパー銭湯が好きで、「地図読めない」って曲もあるし、人間味がありますよね。

地図が読めない人は女性に多くて、“なぜ読めないんだろう?”とずっと疑問だったので、“歌詞にしたら面白いかな?”と思って書きました。「UFO」は“UFOを見たいな”と子供の頃から思っていたことを曲にして、それをみんなで歌ったら出現するんじゃないかと(笑)。全部の曲の中で、唯一伝えたいことのある歌詞かもしれないですね。
港町ぎんぢろう photo by 大橋祐希

港町ぎんぢろう photo by 大橋祐希

メッセージ性ですか? 《UFOお願い出てきて》はメッセージ性って言わないですよ(笑)。でも、「月焼け」みたいな美しい歌詞も書けるんですよね?

「月焼け」は10年くらい前に書いた曲で、リアレンジして収録しました。その頃はちゃんと書こうと思ってたんです。

前のアルバム(2017年11月発表の『スマッシュ イット』)にも収録されているし、大事な曲なんだろうなと思いました。

いや、そんなに大事ではないです(笑)。ライヴで演奏しているうちにアレンジが変わってどんどん良くなっていったので“これも入れよう”と。でも、いざレコーディングを始めたらその通りにはならず、“ドラムを打ち込みにしてみようか”と変えてみたり、“だったら、BTSみたいなサウンドにしよう”って、さらに変わっていきました。それをきっかけにBTSの曲を解明していったらすごく作り込まれていて! 今は時間があるからそんな研究ができたのも良かったですね。

では、改めてですが『ウォンチュー!』完成しての感想はいかがですか?

しっかり時間もかけたけど、“まだやりたかったな”って気持ちはどうしてもありますね。歌も含めて完成度を上げられたので、そこは次の作品でできたらと思うのと、前作よりもぎんぢろう感が確立してきたと思います。港町ぎんぢろうのライヴは寸劇みたいなこともやってて、半分くらいは演技の練習してたりするんですけど(笑)、それを通じてぎんぢろうのキャラクターが確立していき、それがアルバムに活かされているなって。なので、港町ぎんぢろうの世界がしっかり出たアルバムになりましたね。

そうなると、次はライヴですね。

そうですね。ライヴのスケジュールは全然立っていないんですけど、夏をすぎたくらいにちょっと考えようかなと。個人事務所ですし、商業的なことは全然考えていなくて、曲も人に聴かせて収益化するっていうより、自分の聴きたい音楽を作ってるだけなんですよね。本当に自分たちのペースでやっているんで、こんな欲のないバンドは日本中探してもいないと思います(笑)。あっ、MVは「キャバレー」ができていて、「ドッグラン」もめちゃくちゃ面白いのが出来上がると思いますし、「キャバレー」の続編になる「シャバは最高!!」のMVも作りますので、そっちも楽しみにしてください。

取材:フジジュン

アルバム『ウォンチュー!』2021年6月2日発売 Yumeya
    • SRYM-001
    • ¥3,300(税込)
港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズ プロフィール

ミナトマチギンジロウトバスエノキャバレーズ:年齢国籍不詳のハードボイルドシンガー・港町ぎんぢろうを筆頭に、ジミー岩崎(Key)、外園一馬(Gu)、松田 肇(Gu)、工藤拓人(Key)、鳴海克泰(Jazz Ba)、阿部一仁(Dr)、森 秀輝(Dr&Par)、ファイアーホーンズ(Horn Secsion)、臼井 亮(Gu)が所属。2017年に1stアルバム『スマッシュ イット』を発表し、21年6月に2ndアルバム『ウォンチュー!』をリリース。港町ぎんぢろうとバスエのキャバレーズ オフィシャルHP

『ウォンチュ-』SPOT映像

「キャバレー」MV

「月焼け」MV

OKMusic編集部

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