村上“ポンタ”秀一でしか
成し得なかった記念碑的作品
約100人の有名音楽家が集結した
『Welcome to My Life』
4.I'VGUOT YOU UNDER MY SKIN
もともとは1936年に発表された映画の挿入歌で、Frank Sinatra、The Four Seasonsのカバーが有名。歌はどこからどう聴いても山下達郎で、PONTA BOXとの絡みの素晴らしさも言うまでもない。特に、柔らかく、滑らかに、流れていくようなポンタのドラムが、シルキーな達郎の声にマッチしている印象。中盤の歌唱がどこか楽しそうな雰囲気に思えるのは気のせいだろうか。
5.青い山脈
西條八十作詞、服部良一作曲の昭和を代表する歌謡曲。言うまでもなく、矢野顕子のヴォーカリゼーション、山下洋輔のソロ、それぞれに個性的なジャズアレンジを見せる。ポンタの優しいドラミングが歌もピアノも壊していない印象がある。
6.OH!DARLING
陽水のまったりとした歌声に、ゆったりとした演奏が合っていて、“The Beatlesナンバーのジャズアレンジも、これはこれでありかも…”と聴き進めていくと、途中から一転、ロッカバラードに展開。シームレスにロックへと変貌していく。再びジャジーに戻るが、そのアレンジの妙、アンサンブルの妙が面白い。
7.JANE BAIRKIN MEDLEY
エルメスのバッグ“バーキン”の由来となったと言われる女優で歌手のJane Birkinのカバー(「YESTERDAY YES A DAY」~「LES DESSOUS CHICS」~「BALLADE DE JOHNNY-JANE」~「DI DOO DAH」)。贅沢なヴォーカリストの顔合わせで、ポップに、セクシーに、キュートに、バラエティー豊かな楽曲を披露している。それ故にドラムもさまざまな表情を見せ、軽快さと重厚感が同居する様子は、不世出のドラマーの凄さを実感できると思う。アウトロで聴かせる8ビートのドラムが艶めかしい。
8.津軽~南部俵積み唄
三味線との共演というだけで興味深いのだが、両者によるド迫力の演奏は“競演”と呼ぶべきものだろう。ふたつの楽器だけがぶつかり合う、言ってしまえばシンプルなアンサンブルなのだが、その緊張感たるや筆舌に尽くし難いとはまさにこのこと。香西かおりが歌う「南部俵積み唄」はデジタルな音も配されている上、南米っぽいリズムを取り入れたり、インプロビゼーションっぽい演奏もあったりと、どこか不思議な民謡に仕上がっている。