豊永利行、和風アレンジとギャップで
魅せた「表裏一体」DAY1ライブレポー

『ドラゴンクエスト ダイの大冒険』や今秋放送スタートとなるアニメ『サクガン』など数々の作品で活躍する豊永利行が、2021年5月1日と5月3日の2日間、『豊永利行ライブ「表裏一体」』を開催した。本稿では、豊永自身が作詞作曲を手がけた楽曲で構成されたDAY1の模様をレポートする。
「表裏一体」DAY1をレポート
ライブで披露されたのは、5月2日に配信された新曲「夢の歯車にのって」を含む全13曲。配信ライブならではの美しい演出やリラックスモードのMCまで、アーティスト・豊永利行の魅力が詰まったライブは、イープラス「Streaming+」にて2021年5月8日(土)23:59までアーカイブ配信中。
夜桜の世界に誘う幻想的な楽曲から、大人のロックまで
「本日は豊永利行のライブ『表裏一体』DAY1をご覧いただきまして、誠にありがとうございます。そうです、あたしが豊永利行おじさんです」と、豊永自身による生の開演前サウンドチェックからスタート。豊永とバンドメンバーのセッションを聴きながら、音声を調整する豪華な時間が用意された。配信ライブならではの、粋な演出だ。
「俺は東京生まれ八王子育ち、やってきましたJ:COMホール八王子! 凱旋ライブだぜ」と言うかけ声とともに、ライブ本編がスタート。和太鼓の景気の良い音と共に「表裏一体」とタイトルが描かれると、次々とバンドメンバーが紹介された。「表裏一体」というテーマに相応しく、メンバー&豊永が真面目な表情と顎をしゃくれさせた変顔を披露していた。豪華絢爛な襖が順に開くと、モダンな和障子に豊永のシルエットが。
「やっほー!」と軽快な足取りでステージ正面に立った豊永の装いは黒を基調としたロングジャケットに、ラメがかかった黒や金、ステンドグラスのように淡い赤と青の色調を集めた紗の布地が何層も重なった動きを感じさせる衣装。
緩急の効いた演出と共に、1曲目の「妖言」へ。和の紋様が施された画面の左右には煙のエフェクトがかかり、小暮邦明&矢野奨吾のダンスが妖しくも疾走感のある世界に華を添える。3人で背中を見せるシンクロした動きや、豊永自身が先導する鮮やかな身のこなしが目を引いた。春の宵に狂い咲く、桜の情景が目に浮かぶ。
1曲目から一気にボルテージが上昇し、「さあ、皆さん始まりますよ! 盛り上がる準備はできていますか?」という煽りで「Reason...」へ。和の雰囲気から一変、大人の魅力で聴かせるロックへとスイッチした。下手側に配置されたカメラに至近距離まで近づき、手を差し伸べてウィンクするサービスカットも。続く3曲目は、自然と手拍子したくなるハッピーなナンバー「MUSIC OF THE ENTERTAINMENT」。歌詞に合わせてコミカルな動きを入れたり、くるくる変わる表情でポップに歌い上げる。「この世界に必要なもの それはMusic of the Entertainment」という今のこの時期だからこそ一層心に響くフレーズにあわせて、画面には音符のエフェクトが踊った。
ライブパートとMCのギャップは安定の豊永利行スタイル
MCパートの冒頭でさっそく、観客に向かって「いや~、人(観客)がいないな。な~?」と笑いかける豊永。MCはステージ横にタブレットを置き、寄せられたコメントに答えるスタイルを取っていた。豊永が話題に選んだのは、マッサージ店で繰り広げられた“攻防”について。身振り手振りを織り交ぜながら、「マッサージ中にオナラが出そうになったら、どうしますか?」と問いかけると「初見の皆さん、どうもこんにちは。これが豊永利行のライブです、ようこそ」と笑いを誘う。すると、「これが豊永さんのライブですね」「安定ですね」などのコメントが届いた。
MCで場を温めた後は、しっとりとしたバラードタイム。「月は知っている」では、青い照明のなか優しい歌声を響かせた。続く「青い花」は舞い落ちる桜に想いを託す、切ない楽曲。「ひらひら 舞い落ちる桜」というフレーズには前向きな未来に向かう芯の強さが感じられ、そこから白い照明が差すなか「花」へと続く。歌の歌詞に合わせて、マイクを手に挟み「ありがとう」「辛い時こそ 笑顔を見せて」と首を傾げる歌う姿が印象的だった。
転換時間も観客を楽しませる工夫が
6曲目が終わると画面が切り替わり、「トシュレ アドリブショッピング」と題したコーナーがスタート。トシュレ・アド=リブ・カーナ4世に扮した豊永が、ライブグッズを紹介した。画面の下から豊永の両手がニョキっと出てくると、愉快なテロップとあわせてハイテンションにグッズを紹介。専用のポーチに入った「マスク&メガネストラップ」を「虫かご」と紹介するなど「物ボケ」のようなくだりなど、転換時間も観客を楽しませる工夫が溢れていた。
赤いジャケットに衣装チェンジ、ライブ後半戦がスタート
ライブ後半戦は1曲目「光へ」で、ロングコートに身を包んだ豊永が登場。ジャジーな導入で始まると、サビとともにコートを脱ぎ、赤ジャケットとペイント柄の入った黒パンツ姿に。7色の照明の中、軽やかなステップを踏み、ジャケットのラインストーンが動きに合わせてキラキラと光る。まるでミュージカルナンバーのように、ステージを駆けまわった。眩い光の中、一度暗転すると「リフレクション」へ。力強い歌声を響かせた。
続くMCで「幕間のグッズ紹介コーナーと、ライブパートのギャップがひどいですね」と自らツッコミを入れて笑いを誘う豊永。今回のライブテーマである「表裏一体」のコンセプトについて語った。
赤と青というコンセプトカラーにちなんだ衣装や、もうひとつのテーマである「和」にちなんで、楽曲が和風アレンジされていることについても言及。その流れで今回のバンドメンバーを紹介した。ライブハウス時代からの活動を知るメンバーからは「昔ライブハウスでしていたことの規模を大きくして、壮大にふざけている」と指摘されるシーンもあり、チームワークの良さや温かみを感じさせる時間となった。
本編ラスト3曲のスタートを切ったのは「Day you laugh」。疾走感のあるギターと共に、ソリッドな歌声で一気に空気を変える。次の「C“LR”OWN」はトリッキーな魅力が光るナンバー。甘い歌声と小粋なダンスで魅惑の世界へと誘い込む。キラーチューンでたたみかけたあとは、包容力で包み込むような「With LIFE」へ。
途中、観客目線のカメラ越しに頭を「いいこ、いいこ」するジェスチャーが入り、ファンにうれしいサービスも。ラストのサビ前で豊永が「コロナで大変だけど、みんな吹き飛ばしていこうぜ、音楽は世界を救う!」と叫ぶと画面には「Music of the entertainment」の文字が。最後のコール&レスポンスではマイクをカメラに向けて、画面越しの観客と気持ちをひとつにした。
アンコール「夢の歯車にのって」ではTVアニメ『サクガン』の初出し映像も
アンコールで披露されたのは、5月2日にリリースされた配信新曲「夢の歯車にのって」。豊永がユーリ役で出演するTVアニメ『サクガン』の未公開映像を織り交ぜながら、初披露された。今回のライブで初出しとなった映像では、ユーリのさまざまな表情が描かれていた。
アンコール直前のMCで「(配信ライブで)お客さんが目の前にいないと、どんどん素の自分になっちゃう」と語った豊永。リラックした表情を見せたあとは、最後のアンコール「サクラノタヨリ」で、再び幻想的な世界観を築きライブを締めくくった。画面上に桜の花びらが舞うなか、冒頭と同様に障子のシルエットの中へと消えていく豊永。配信が終了すると「次は生で会えますように。ありがとうございました! 豊永利行」という手書きのメッセージで見送った。
次回、「表裏一体」DAY2は、豊永が担当したキャラクターソングを中心に構成。こちらの模様もレポートする。DAY1のアーカイブ配信は2021年5月8日(土) 23:59まで視聴可能なので、ライブを見逃した方もぜひチェックしてほしい。
豊永利行 ライブ「表裏一体」DAYS1セットリスト
01.妖言
02. Reason...
03. MUSIC OF THE ENTERTAINMENT
04.月は知っている
05.青い花
06.花
07.光へ
08.リフレクション
09. Day you laugh
10. C“LR”OWN
11. With LIFE
En01. 夢の歯車にのって
En02. サクラノタヨリ
原稿=本多恵、撮影=池上夢貢

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