【近藤真由 インタビュー】
今の私にあるものは
カバー曲に教えてもらった
また何年後かに聴いて、
“今ならこうしたい”と思えるように
近藤さんが初めて「心絵」を聴いた時から変わった部分や成長したところがあるからこそ、“忘れたくない”と思う大切なことが見つかったわけですよね。他に今作で大人になった今だからこそ心に刺さった曲はありましたか?
「今宵の月のように」のちょっとやさぐれる感じは大人になった自分にもあるんです。ずっと夢を見ているだけじゃなく、そんな自分もいるってことを認めて歌うことで安心させてくれる曲ですね。
「風になる」は先ほどお話した「しろつめくさ」と同じく、YouTubeでは2016年にアップしていて、以前から歌ってきた曲だと思いますが、どんな気持ちで収録しましたか? 特にイントロのギターフレーズはYouTubeの頃にはなかったですし。
この曲はまだ親戚に聴いてもらうために実家の和室で録って上げたものなんですけど、初めて再生回数が伸びた動画なんです。動画を観てライヴに来てくれる方もいて、音楽を続ける自信がついたというか、自分の始まりになった曲という感覚があります。でも、動画を上げた当時はうまくできたと思っていたのに、今では“何てへたなんだ!?”って思うんですよね。だから、アレンジを含めて今できる精いっぱいのことをやって、また何年後かにこのカバーを聴いて、また“今ならこうしたいな”って思えるようになっていたいです。
今は動画をアップする時にアプリを使って派手にもできるところ、近藤さんがアコギ一本にこだわる理由は何ですか?
アコギの音がすごく好きで、“この音だけでどこまでできるんだろう?”とワクワクするんです。“好きな曲を弾きたいけど、“これはもともとピアノの曲だからアコギにできない”って言われた”とYouTubeにコメントしてくれた方がいて、その時に“アコギに限界はあるのかな?”と思ったんですよね。だから、どんな曲でもアコギでアレンジしてやってみたくて、それに挑戦する気持ちでやっている部分もあります。他の音を入れてみたいとも思うけど、たぶんまったくアコギを使わなくなることはないです。
では、初めてアレンジャーにREVEL MUSICが参加した「flower」が完成した時はどんな印象でした?
自分の中からは出てこないような表現が広がっていて、初めて自分が歌っているのを客観的に聴けた気がします。アコギでラルクを歌って、ラルクのファンの方がその動画を観て反応してくれたから支えられた部分もあるし、自分も一ファンなので、カバーアルバムを出すのであればラルクの曲を入れたいと思っていたんです。そんな思い入れのある曲なので、今までやってこなかった試みを取り入れて、リスナーを驚かせてみようと。
お話をうかがって、近藤さんにとって曲をアコギでカバーすることは全ての始まりであることを感じましたが、ご自身ではカバーで得たものとは何だと思いますか?
今の私にあるものの全てを教えてもらったような気がします。最初は自信がなかったし、歌ってどこまでいきたいのか、何を伝えたいのかも分からなかったんです。だけど、いろんな曲の歌詞を歌って、自分の心が動く瞬間がたくさんあって、人の心を動かすってすごいことなんだと身を持って感動して。音楽って最大のエンタテインメントなんじゃないかと思うようになりました。今の自分はカバー曲に育てられたので、これからも大事にしていきたいです。
取材:千々和香苗
・・・
アルバム『マーマレード』2021年2月25日発売
BIGRANDE MUSIC
- BIGM-0001
- ¥1,800(税込)
- ※ヴィレッジヴァンガード限定発売
コンドウマユ:YouTubeのチャンネル運営の企画、撮影、編集を全て自身でこなし、作詞作曲から音源のレコーディング作業も行なうシンガーソングライター兼マルチクリエイター。アコギ一本でオリジナル曲や弾き語りアレンジしたカバー動画が人気となり、チャンネル登録者数は8万人を超える。2021年2月に動画で人気のあった曲を中心に収録したカバーアルバム『マーマレード』をヴィレッジヴァンガード限定でリリースした。近藤真由 オフィシャルHP
【アコギでラルク】
flower / L'Arc-en-Ciel
小さな恋のうた / MONGOL800 (cover)
1/3の純情な感情 / SIAM SHADE
【るろうに剣心】女性が歌う