高野洸×西銘駿「全員が全力。一致団
結している信頼感が伝わってくるんで
す」~舞台『タンブリング』インタビ
ュー

2021年6月11日(金)~6月13日(日)より大阪・COOL JAPAN PARK OSAKA WWホール、2021年6月17日(木)~6月24日(木)にて東京・TBS赤坂ACTシアターで上演される舞台『タンブリング』。2010年に放送された同名ドラマを舞台化し、男子新体操に挑む高校生たちの青春が描かれる。
本作でW主演を務める野村朔太朗役の高野洸、北島晴彦役の西銘駿にインタビュー。作品の見どころやキャスト一丸となって猛練習を積んでいる新体操演技、お互いの印象などについて聞いた。
ーー上演が決定した時の心境を教えてください。
高野:素直にうれしかったです。本来なら、2020年に上演できていたはずの作品。中止の決定は、稽古をある程度積み重ねた後に知らされたんです。当時の情勢から覚悟はしていましたし、仕方のない状況とはわかっていましたが、本当に悔しかった。同じキャスト、スタッフで観たいと思ってくださった方がいらっしゃったことも含めて「やっとできる!」という喜びを噛みしめています。
西銘:僕もすごくうれしかったのと同時に、気合が入りました。『タンブリング』って本当に大変なんです。「こんな体の使い方をするんだ!」ってくらい、とにかく動く作品。大変だからこそ、今作を終えた後の達成感はものすごいことになるんだろうとワクワクしています。あとは純粋に、洸とお芝居できることがすごく楽しみです。
ーー現在は演技練習中と伺いました。手応えはいかがでしょうか?
西銘:どう? 洸はできるからな~。
高野:いや。ビジュアル撮影の時に「バランスやってください」って言われて、パッと出てこなかった。基礎的なことを忘れちゃっていたことが恥ずかしかったですし、たった1年でこんなに忘れてしまうのかと。でも1回目の練習で動いてみたら、すぐに感覚を取り戻せました。
高野洸
西銘:十分すごいよ。
高野:懐かしかったし、振り付けもちゃんと覚えてた。
西銘:僕は2週間くらいかけて、ようやく前回までの稽古の感覚を取り戻せた気がします。もちろん、もっと頑張らないといけないんですが。
ーー高野さんはダンス、西銘さんは野球などさまざまなスポーツを経験されていていますが、培った運動神経をもってしてもハードなもの?
西銘:僕、この作品に携わるまでバク転や倒立をやってこなかったんです。昨年、稽古に入ってビックリしました。みんな軽々とピョンピョン跳ねてて、人間業じゃなくて(笑)。
高野:ははっ! そうだよね。アクロバットが得意な役者さんがたくさん集まっていますから。
西銘:最初は本当に自分もできるようになるのかと不安でしたが、今は(完成度としては)8割くらいですね。バク転は、まだちょっと支えてもらってる状態なんです。あと2割、どうにかたどり着きます。洸にも「足の遠心力を使えばきれいになるよ」とアドバイスをもらいましたし、試しながらやっていきたいと思います。
ーー新体操ならではの魅力は?
高野:やっぱり、大きな感動を与えてくれるところ。パフォーマンス中、ずっと熱量と一致団結している信頼感が伝わってくるんです。一糸乱れぬ演技は、全員で相当な努力を積み重ねてきた証拠でしょうし、心にグッと来る。「うおー!」って声をあげたくなるくらい。個人プレーが一切ないというところもすごいと思います。
西銘:そう! ほかのスポーツだと、個性を生かした上でポジションが与えられると思います。だけど新体操は役割を分担する形のチームプレイじゃなくて、みんなが全く同じ動きを一緒にしなければいけない。
高野:確かに。みんな同じようにできなきゃいけないからね。バク転ひとつとっても、着地も速さも全部ぴったり合わせなきゃ成立しない。
西銘:お互いの動きを全員が把握するためには、チームの仲を相当深めなきゃいけないし。ほら、昨年の稽古前に言ってたよね? 稽古場からの帰り道、駅まで全員で歩幅合わせて帰ろうなって。
西銘駿
高野:言ってたね。本当にそれくらいやるつもりじゃないと、息をぴったり合わせるのは難しい。
西銘:そう。本当にすごい競技です。
ーー吹き替えなしの新体操演技が大きな見どころに。コロナ禍により制限が多くなってしまった環境や稽古時間で、より団結力が必要になってくると思います。
高野:そうですね。(制限を)あまり意識しすぎるとちょっと繊細になってしまったり、より壁を作ったりする可能性もあると思いますが、そこはもう取っ払って。絶対にいい作品を作りたいですし、共感し合ってやっていきたいです。
西銘:正直な話、稽古期間だけでは、実際に新体操に取り組んでいる高校生たちに勝つことは絶対できません。なぜ舞台でやるのかというと、芝居や気迫で見せていきたいから。もちろん約半年、本気で演技練習に取り組んできたので、技術以上に、自分たちの思いをぶつけるタンブリングをしたいです。もし未熟な部分があっても、それを感じさせないくらい「すごいものを見た」という気持ちになっていただきたいですし。
高野:パフォーマンスが全国レベルに届かないかもしれない。でも、頑張っていない人は一人もいない。本気で取り組みつつ、各々の課題をクリアしていきながら、みんなで楽しくやれています。
西銘:頑張ってる姿、みんなカッコいいですよ! 『タンブリング』という作品が受け継がれている歴史を感じながら、前作よりいいものを作りたいという気持ちで臨んでいます。超えていきたいです。
ーー本作は新体操にあこがれた幼馴染が、高校ではライバルとして対峙するストーリー。役どころや台本を読んだ感想を教えてください。
高野:朔太郎は根っから明るくて、優しくて元気な性格。ほかの登場人物が個性豊かな分、ベーシックなヒーロー像かもしれません。晴彦と一緒に夢見た目標に向かって、どんどんいろんな人を巻き込んでいける人です。
高野洸
西銘:朔太郎の面白いところは、主人公的ではありつつ、一方では天然なんです。自分が明るすぎるからこそ、親友の晴彦がどう思っているのかということを……。
高野:把握できてないんだよね。いい奴ではあるんですけど。
西銘:そこでどんどんすれ違っていっちゃうんです。晴彦の性格的には朔太郎に言えない、「親友だから」という思いもあるのに、すれ違っていく。台本を読んでいてもどかしいですもん。「晴彦! ちゃんと自分の気持ちを言うんだ!」って(笑)。
高野:朔太郎は朔太郎で、言われたところで「突然、何?」って思っちゃうタイプ。
西銘:二人がぶつかって、成長していくストーリーが面白いんです。お互いの学校のメンバーの個性も強いので、それぞれのチームはまったく異なる雰囲気になるはず。そのぶつかり合いも楽しみです。
ーーお二人の共演は約5年ぶりだそうですね。取材中の雰囲気から仲の良さが伝わってきましたが、意気投合した要因は?
西銘:同い年っていうのが一番近道だったのかもしれないです。
高野:共演したのが18歳の時だったんですけど、同級生に出会うことが少なかったんです。あと、お互いお仕事のために上京してきたっていう状況だったのも大きかったかも。僕が九州の福岡で、駿が沖縄という出身地の近さも親近感を覚えました。
西銘:このお仕事って、一人で戦わなくてはいけない場面も多いんです。同じ状況の子がなかなか周りにいなかったから、やっぱりビビッと来たんじゃないでしょうか。
ーー役者としてはよきライバルでもありますが、尊敬する一面は?
西銘:それこそ、朔太郎っぽいところがあるかも。洸は自分が決めた道をまっすぐに、100%貫き通すんです。絶対にあきらめないところがすごく好き。役者としてもそう感じるんですけど、ゲームでもそう。
高野:あっはっは!
西銘:洸の家に遊びに行った時、いろんなゲームのデータを見せてもらったんですけど……ひとつも中途半端にしてるものがないんです! 全部クリアして、2周目以降もやりこんでる(笑)。完璧にやりたいんでしょうね。何に対してもちゃんと最後までやり通す、その気持ちの強さが好きです。ダンスも歌もお芝居も、いろんな特技を持っている。マルチな活躍は実力以外の何物でもないですし、素直に尊敬しています。
西銘駿
高野:駿は「やり通す」と表現してくれましたけど、僕はたぶん、やらなくてもいい無駄なところもやっちゃってるんです(笑)。
西銘:いやいや! そんなことないよ!
高野:逆に駿は、器用に効率よく物事をこなせるタイプ。僕はそこが本当にうらやましいし、尊敬しています。必要なものと不要なことを正確に判断できるんです。さっき見どころのお話をしたときも、パッと朔太郎について補足してくれた。実は僕が、今の時点では伏せておこうかなと端折っちゃったポイントでもあったんです。話を聞いていて、やっぱり言うべきだったと思いました。台本を読み込んでいて、要所をすぐ把握して、物語の動きをしっかり解説できるまでが速い。話してる姿を見て、やっぱりお芝居がすごく好きなんだろうなとも感じました。
西銘:正直さ、性格が違いすぎるでしょ? だからこそ、一緒にいておもしろいのかも。
高野:どうだろうね。違うのかな?
西銘:たまに同じ部分があるんだよね。僕は、自分が表面的に適当さが見えていると思うんです。洸は見るからにしっかりしているんですけど、実は隠れて適当な部分があるから面白い。しっかり者なのに、めちゃくちゃ抜けてる。
高野:確かに。変わってるって言われる(笑)。
ーーより本作での共演が楽しみになりました。最後に、公演を心待ちにされているお客様へメッセージをお願いします。
西銘:一年越しに、ようやくお見せすることができます。昨年時点の稽古では少し通せた段階で終わってしまっていたので完成に至れませんでしたが、あの時得た経験を生かして2倍、3倍……とクオリティを上げて舞台に立ちたい。絶対に良い舞台にして、ファンの皆様の期待以上をお届けします。
高野:強いパワーを持ったスキルの高いキャストが揃っていますし、全員が全員、全力で努力しています。何より、汗をかいて頑張る姿に心動かされるはずです。団結力や仲間を信じることの強さに勇気づけてもらえる作品になっているので、ぜひ観に来てください。
(左から)西銘駿、高野洸
取材・文=潮田茗  撮影=敷地沙織

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