向井秀徳×崎山蒼志、有観客野外ツー
マンライブにて奇跡の“響嚥”ライブ
レポート

2021年4月24日(土)大阪・服部緑地野外音楽堂にて、向井秀徳アコースティック&エレクトリックと崎山蒼志という奇跡の競演が実現した。どちらもバンドを背負わない弾き語りでのツーマンライブ「白昼ノ響嚥」。新型コロナ禍の影響で一時開催も危ぶまれたが、厳重な感染予防対策のもと無事開催された。
(c)ハヤシマコ
観客の期待と興奮で満ち溢れる中、まず登場したのは向井秀徳アコースティック&エレクトリック。歓声を上げられない状況の中、観客も普段以上の盛大な拍手で出迎える。「皆さんお集まりいただきまして誠にありがとうございます。Matsuri Studioよりやってまいりました、This is 向井秀徳!」とお馴染みの挨拶を発したのちにエレキ・ギターをかき鳴らし届けられたのは「SENTIMENTAL GIRL'S VIOLENT JOKE」。これぞ向井秀徳と言わせるパフォーマンスで早速観客を酔わせ、続く「SAKANA」ではループ・マシンを駆使した没入感たっぷりのアンサンブルと、夏を感じさせる爽やかな晴天に重なり合うようにリリックが響き渡る。
(c)ハヤシマコ
「Water Front」で向井秀徳色に染まりゆく会場はさらに一体となって体を揺らす。時折歌詞に関西弁を交じらせる演出に観客もすっかりリラックスムード。ここでアコースティック・ギターに持ち変えると、Kimonos「Yureru」のカバーを披露。至極の心地よさを感じさせるチルアウトな空気に浸らせたのもつかの間、「6本の狂ったハガネの振動」で一気に緊張感をもたらす。そして「誰も知らないと思いますが、フィッシュアンドチップスというバンドの『忘れられへんねん』という曲をやります」というMCを経て披露されたのはサカナクションの「忘れられないの」。なんとも贅沢なカバーだ。

(c)ハヤシマコ
さらに「夏のユーレイ」「夕焼け小焼け」を披露し続けられたのは独特の歌詞で切なさを描く「KARASU」、そしてNUMBER GIRLの代表曲「OMOIDE IN MY HEAD」。爪弾くアコースティック・ギターが空間を切り裂く。いよいよ迎えたラストナンバーはZAZEN BOYS「はあとぶれいく」。エレキのカッティングと向井の声が空から降りそそぐ。「This is 向井秀徳!」この一言で締まった、あっという間の向井ワールドであった。
(c)ハヤシマコ
続いての登場は18歳天才シンガー・ソングライター崎山蒼志。出囃子とともに登場し「崎山蒼志です、宜しくお願いします」と短い挨拶の後に披露されたのは、メジャーデビューアルバム「find fuse in youth」の先行シングルとして配信された「Undulation」、そして「ソフト」。
崎山の代名詞となるオベーションギターが唯一無二のボーカルメロディーとともに美しい旋律を描き、向井秀徳色に染まった会場を早くも崎山色に染め変える。そして崎山の名を広く知れ渡らせるきっかけとなった代表曲「Samidare」を披露。崎山をこの日初めて見たという観客も多い中、頭や足でリズムを取りながら、絶妙なカッティングテクに思わず見入る場面が見られた。劈(つんざ)くギターの音色が場に緊張感をもたらす。
(c)ハヤシマコ
対して次に披露されたバラードナンバー「そのままどこか」では、しっとりと優しい空気で会場を包み込む。「(向井さんが)サッキーとおっしゃってて、感無量なんですけども…。これからはサッキーでやっていきたいと思います」と会場に笑いをもたらすと、エレキ・ギターに持ち変え、「今日の日はさようなら」のカバーを披露。コーラス・エフェクトに乗せて幻想的なアレンジを施し、そよ風に乗って心地よい時間が流れる。「のぼり」「机」「A song」と初期の楽曲をメドレーで紡ぎ、メジャーデビューAL「find fuse in youth」に収録されているスローナンバー「ただいまと言えば」と、アコースティック・ギターに再度持ち変え「国」を披露。西日も相まってなんとも優しい空気に包まれていた。
「ちょっと静かな曲が続いたので・・・。」と披露された楽曲は、新曲「逆行」。パーカッシブなギターサウンドと攻撃的なリズムで一転空気がガラッと変わる。崎山のパフォーマンスがまるで観客をあおっているように聴こえてくるのがなんとも不思議な曲だ。そのままメジャーデビューALのリード曲「Heaven」、そしてラストナンバー「踊り」と畳みかけ、バラードからロックナンバーまで振れ幅の広い楽曲群で観客を飽きさせることなく全11曲を披露し終え、崎山は手を振りながらステージを後にした。

ここで終演と思ったのもつかの間、なんと最後に向井秀徳と崎山蒼志が再びステージに。「This is 向井秀徳!君は?」「This is サッキー!」という掛け合いで観客を沸かすと、披露されたのは向井秀徳による「KIMOCHI」。崎山もボーカルで参加し、「K.I.M.O.C.H.I」とユニゾンで会場を煽ると、声が出せない代わりに観客が全員手拍子で応える。最後向井がギターを置き、崎山に近づくと、崎山の手を取りステージ袖に掃けていく。なんとも微笑ましい風景に笑いが起き、惜しみない拍手で見送られる二人であった。
(c)ハヤシマコ
新型コロナ感染拡大による厳しい状況下で、ギター1本という最小限のセットですさまじき才能を見せつけた二組。ますます日本の音楽界が盛り上がることを期待させるライブであった。再び歓声を上げられる日々が戻った頃に、改めてこの二組の“響嚥”を見られることを心待ちにしている。
なお本公演に先駆け、崎山蒼志自らセレクトした「崎山ヲ習得セヨ」プレイリストも公開となっている。このライブにこれなかった方も、このプレイリストで二組の世界に触れてほしい。

SPICE

SPICE(スパイス)は、音楽、クラシック、舞台、アニメ・ゲーム、イベント・レジャー、映画、アートのニュースやレポート、インタビューやコラム、動画などHOTなコンテンツをお届けするエンターテイメント特化型情報メディアです。

新着