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【映画コラム】ユニークな視点で描か
れたドキュメンタリー映画『ブックセ
ラーズ』と『SNS-少女たち10日間-

 今週は、4月23日から公開される、ユニークな視点で描かれたドキュメンタリー映画を2本紹介する。
 社会の多様化やデジタル化で、本を巡る世界は大きく変化した。果たして書店や本は、未来に生き残れるのだろうかと危惧する声すらある。映画『ブックセラーズ』は、そうした流れの中で開催された世界最大規模のニューヨークブックフェアの裏側を紹介しながら、ブックセラーたちの世界を捉えたドキュメンタリーだ。
 インタビューに答えるのは、業界でその名を知られるブックディーラー、書店主、コレクターから、伝説の人物まで…。本を探し、本を売り、本を愛する個性豊かな人々が登場する。
 彼らブックセラーは、ただ本を売るだけの存在ではない。彼らは本の狩人=ハンターであり、本を守る天使=エンゼルなのだ。書棚や部屋に所狭しと並ぶ、彼らが所有するさまざまな本は、それだけで美術品のようにも見えて壮観。だからこの映画は視覚的にも面白い。
 さらに、ビル・ゲイツが史上最高額で競り落としたレオナルド・ダ・ビンチのレスター手稿、『不思議の国のアリス』のオリジナル原稿、『若草物語』のルイザ・メイ・オルコットが偽名で執筆したパルプ小説といった希少本も多数紹介。ニューヨーク派の作家フラン・レボウィッツが辛辣(しんらつ)ながらユーモアあふれる語り口でガイド役を務める。
 また、ブックセラーが登場する映画として、『素晴らしき放浪者』(32)『三つ数えろ』(46)『ネバーエンディング・ストーリー』(84)『チャーリング・クロス街84番地』(87)『ナインスゲート』(99)『運命の女』(02)の場面も映る。
 D・W・ヤング監督によれば、この映画は「本そのものが、どのように耐え抜き、所有者たちよりも長生きするかについて語る叙事詩」なのだそうだ。
 著名なブックコレクターのマイケル・ジンマンが「人と本との関係は、恋愛とよく似ている。他人には理解できないし、完全に自分だけの喜びだ。妻が『本が初恋の相手なのね。私は何番目?』と聞くから、20秒考えてから『6番目だ』と答えた。『本で生きる者は本で死ぬ』ということかな」と語るが、その言葉こそ、この映画を象徴するものだと感じた。
 本は決してなくならない。本を愛する者のそんな思いに応えてくれる映画だ。
 オーディションに合格した幼い顔立ちをした18歳以上の3人の女優が、撮影スタジオに作られた子ども部屋に集められた。そして、12歳の少女になりすました彼女たちが、SNSで友達募集をすると、2458人もの成人男性がコンタクトを取り、すさまじいまでの性的欲望をあらわにした…。
 『SNS-少女たち10日間-』は、現在、SNS上で、子どもたちが直面する危険を、成人女性をおとりに使って検証し、そのありのままを映したチェコ発の実験的なドキュメンタリー映画だ。
 では、SNS上で、実際にどんなことが起きたのか。さまざまな年齢の男たちは、女優たちが「私は12歳だけど、いいの?」と問い掛けても全く意に介さない。そして、大多数の者はビデオセックスを要求し、勝手に自慰をする者、自身の性器の写真やポルノのリンクを送信してくる者、親にバラすと脅す者など、おぞましい姿をカメラの前にさらしたのだ。もちろん彼らの顔にはぼかしが入っているが、それ故に、男たちの姿はどこか滑稽にも映る。
 この映画の、リアリティーショーを思わせるような手法はとてもユニークだ。ビート・クルサーク監督は「この形式にしたことでリアルタイムの出来事を見せることができたし、タブーの扉を一つ開けて、社会を巻き込んで議論するきっかけにもなった」と胸を張る。
 確かに、この映画は映像の持つ告発力の強さを示すが、それと同時に、いくら男たちが許されざる行為をしているからと言って、おとりを使って彼らをだまし、それを映像で見せることが果たして正義なのかという疑問も残らなくはない。そうした意味では、この映画は映像の持つ諸刃の剣のような特徴を表しているとも言えるのだ。(田中雄二)

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