Vaundy、新曲3カ月連続リリースで見
せた、溢れる若さと揺るがない自信

2019年から活動を開始し、わずか2年足らずでYouTubeを中心とするサブスクリプションサービスの再生回数が5億回を突破するなど、Vaundyの勢いは止まらない。既に2年後の楽曲も制作段階に入っているVaundyだが、今年2月からは3カ月連続で新曲をリリースするほか、2021年は昨年よりも意欲的に活動していくと言う。その第1弾となる「融解sink」では、他人の不幸を糧に生きている人々の悲しみが表現されている。一方、Aimerとのコラボレーション曲の「地球儀」ではグルーヴやノリを大切にした軽快さを見せるなど、多彩な音楽センスを存分に発揮している。今回は大阪のラジオ局、FM802のDJで『BRIGHT MORNING』(毎週金曜6:00~12:00)を担当する内田絢子とともに、「融解sink」や「地球儀」、そして4月11日にリリースしたばかりの最新配信シングル「しわあわせ」に込めた想いを語ってもらった。
■SNS社会の生き苦しさと新鮮な空気を「融解」■
ーー新年度が始まりましたが、今シーズンの目標はありますか?
9作品をリリースした1年目と同じくらいの曲を出したいと思っています。今はとりあえず準備をしている段階ではあります。
ーー嬉しい! いつもVaundyさんがTwitterで「良い曲ができている」と匂わせてくださるじゃないですか。匂わせがすごく上手くて、その度に「次はどんな曲なんやろう!」と期待が膨らんでいます。
最近ツイートしているのは、来年か再来年に出る予定の曲ですよ。逆に今リリースしている曲は「去年いい曲できたわ」と言っていたもので。みんな勘違いするだろうなと思いながらツイートしています。
ーーなるほど、そこで点と点が繋がっていくんですね。まんまと踊らされていました(笑) ここから2022年まで新曲が用意されているのですね。
どんどん出す予定です。
ーー今年は2月24日に「融解sink」がリリースになりましたね。深く深く染み込んでゆく印象でしたが、どんなふうに生まれた曲だったんですか?
2020年3月にリリースした「life hack」と同じ時期に作った曲で、テーマとか作り方とかは全く違うんですけど、「life hack」の音をブラッシュアップして姉妹曲っぽくしてみました。<他人の 不幸や 不安に 立ち止まって 幸福と 安堵を吸い取って生きている>と書いてるように、人の不幸を吸い取って生きている人の目線に立ってみる。そういう人たちの悲しみや苦しみを書いて「実はこの人たちはこう思っていて、俺たちがわかっていないだけかもしれないよ」みたいな新しい見方を提案したいですね。聴いている人たちが、自分の気持ちと置き換えて共感できるように曲を作りました。
ーー今の世の中の息苦しさや、自分個人としての息苦しさから、一瞬ハッと呼吸をさせてもらえるような楽曲だなと思いました。
そうですね。そういうイメージでは作っています。
■Aimerの可能性は無限大! Vaundyが引き出した新しい魅力■
ーーそんななか、3月16日に出されたAimerさんとのコラボ曲「地球儀」は、ラジオにも毎日のようにリクエストが届いています。Aimerさんの新しい歌声が、Vaundyさんの力によって引き出された感じがしました。
Aimerさんには無限の可能性がありますよね。もっと色んな曲を提供したいなと思うくらい。
ーーおー! 聴きたい聴きたい!
僕、Aimerさんが本当に大好きで。魅力をいっぱい知っているからこそ、今までのAimerさんっぽくないものを僕とのコラボで提供したいですね。
ーーAimerさんにこんなふうに歌ってほしいみたいな、提案やアドバイスはされたんですか?
そうですね、グルーヴを大切にしたかったので、初めに英語っぽくて、言ってる日本語がうまく聞き取れないようなデモをAimerさんに送ったんですよ。それを上手く噛み砕いて歌ってくれて。僕も歌をディレクションしていたので、「こんな感じに歌ってください」とか言いながら二人で詰めていった感じですね。
ーー私もAimerさん大好きなんです。だから「え!? この歌声のテイストは聴いたことなかった」と思って。めちゃくちゃびっくりしました。
最初に歌った時点で完成度が高かったので、もうこれでいいやと思ったんですよね。だから、細かいところのノリの調節くらいしかしてなくて。Aimerさんの良さを消さないために、ここの歌詞をこういうふうに歌ってほしいなんて絶対言わなくて、「ノリを大事に」と言っていた気がします。もうだいぶ前なんですごい楽しかった思い出しか覚えてないですけど(笑)。
ーーVaundyさんの歌い方も、いつもよりクールな感じでよりかっこよく聴こえます。
本当ですか、ありがたいです。Aimerさんの歌い方とかも参考にしてたから、やっぱり似てると言われる時もあったり。
ーーだからこそ歌声が重なる時の気持ちよさや、聴き終わってからすぐに聴きたくなるような病みつき感がありますね。
繰り返し聴きたいと思ってくれる曲を作りたかったので、最初と最後に同じサウンドを入れてみました。よくできたと思っています。無限に聴いてほしい(笑)
ーーなるほど。だからラジオに「地球儀」のリクエストがたくさん来るんですね。まさに回り続けてますよ。Aimerさんや、昨年「ASH」でフィーチャリングしたNulbarichさんとコラボレーションされたことで、何か吸収したものはありますか?
気づきが多かったですね。言い方や曲の作り方、グルーヴなどをその人に合わせるために試行錯誤していくなかで、その人が歌いにくそうにしていたらそれが僕の癖なんだなと。
ーー一緒に楽曲を作ることで、今まで気づかなかった自分の新しい部分が見えたんですね。
そうですね。理論的に語ってるように見えますけど、直感的に作ってるものを後から理論的に説明しているだけであって、後から気づくこともいっぱいあるんですよね。コラボ相手に歌ってもらった時に、こうなってたんだと仕組みに気づいたり。今は自分で考えて学んで、試行錯誤していくことで自分のモノにしていく段階だと思っています。
ーー先ほども仰ってましたが、今後楽曲提供も含め、色々な人とコラボレーションしてみたいと思われていますか?
そうですね。今までご一緒した方達ともまたやりたいですし。たとえばAimerさんだったら、Aimerさんの曲を作ってみたり、Aimerさんが作ってる曲を僕が歌ったり。まだ自分で曲を作られていないんですけど、一緒にメロディを作るようなところから、いい部分を引き出すサポートをしてみたいですね。Aimerさんに関わらず、誰とコラボするとしてもその人にないものをとか、やってこなかったものを上手く形にする人になりたいな。それがコラボの意味なんで。
ーーここからまだまだ色んなコラボレーションを聴かせてほしいですね。
まだまだやりたいですね。
■信じ切らないからこそ拘った、クサくない強い絆■
ーーそして4月11日に配信された「しわあわせ」。先日聴かせてもらいましたが、ストリングスとかもいっぱい入っていて、壮大なアレンジに圧倒されました。
前からなんとなく原型はあったのですが、完成が見えずに途中で諦めてたんですよね。そんな時に首都医校・大阪医専・名古屋医専さんからCMへの書き下ろしの機会をいただいて。色んな人が手伝ってくれて、最終的にはめちゃくちゃいいものになりました。誰が聴いてもいいなと思える曲に近づけた気がしてます。
ーー<変わらない 変われないよ僕ら>のフレーズがすごい心に残りました。
1番最初に思いついたフレーズなので、聴き手もやっぱり心に残るんだなと思いました(笑)。<変わらない 変われないよ僕ら>の歌詞があのメロディに合っているんですよね。そこを中心に世界が広がった楽曲かなと思います。
ーーそうなんですね! 強い強い絆を感じるフレーズで。私も最初に聴いた瞬間にこのフレーズが1番頭に残っていました。作り手のVaundyさんと聴き手の私たちとの絆みたいなものも、繋った気がしましたね。
僕が感じていることは、聴いている人にも伝わるだろうと思って作ってるから、共感できた瞬間が面白いですね。
ーーそれを感じる瞬間がたまらないですね。
思惑通りというか、そういう気持ちが嬉しかったりするので、お話を聞けてありがたいですね。でも「しわあわせ」は、あんまり書かない系統の曲なんですよね。
ーー初めて触れるVaundyさんのサウンドでした。いつもふわっと「こういうことかな?」と思わせていただくのが、今回ドストレートに入ってきました。
誰が聴いてもわかるように作りましたね。元々は人と人との絆を歌う曲があんまり好きじゃないんですよ。普段は照れくさいし、クサいなと思ってしまう。だからよく考えると僕にはないものを曲にしたので、合ってるかが正直不安でした。絆がないというわけではないけど、どうしても音楽に投影しようとすると、安っぽくなるんですよ。そこをどう見せるかを結構考えましたね。
ーーその答えが「しわあわせ」なんですね。
そうですね、歌詞で絆を伝えすぎないようにしました。あとはコーラスの<重なる日々を僕たちは 流るる日々を僕たちは 思い出すこともなくなってしまうんだろう>のフレーズが好きなんですけど、ここで安っぽさを打ち消しました。そこもまたサブテーマとして広がってくるし、良いバランスで今回組めたなと思います。
■「今のVaundyを見逃さないで」ワンマンライブで更なる進化を■
ーー2021年のVaundyさんには、まだまだこれからワクワクさせていただけそうです。いよいよ5月には東阪Zeppワンマンライブ『KATARIBE』があります。やっとワンマンだ! 待ちに待ちましたよ。
3回目のワンマンライブですね。最初のワンマンがコロナの影響で配信になり、2回目も有観客とオンラインの複合型みたいな感じでした。なので実質2回目のような感覚です。歌いきれるようにしないとな(笑)。
ーーみんなめちゃくちゃ楽しみにしていると思います。タイトル『KATARIBE』の意味が気になりますよね。
例えば焚火をみんなで囲んで、今までの自分の話をするような感じにしたくて。これからの自分についても話して、みんなをゾクゾクさせて、始まりを予期させられるタイトルがいいなと思い『KATARIBE』にしました。
ーー私たちは始まりを一緒に目撃させていただけるのですね。大阪ではこれまで、昨年9月3日に開催された『FM802 HEAVY ROTATION NIGHT support by Spotify Early Noise』や、3月28日に開催した『ジャイガ』フェスのスピンオフイベント『THE BONDS』などに出演されています。オンラインも増え、色んなスタイルのステージに立たれていると思いますが、ライブでの感じ方は変わられましたか?
歌うときはどこであろうと全力なので、正直あんまり変わらないですね。でもお客さんがどういう反応をしてくれるかも気になります。
ーーそうなんですね!
楽しそうにしてくれていると僕も楽しくなって、歌も上手くなる。『THE BONDS』はみんな嬉しそうで、だから僕もかなり興奮して歌ってました。
ーー表情からめちゃくちゃ伝わってきます(笑)
出演者のRin音くんも緑黄色社会もめちゃくちゃよくて。全員が場を作り上げていましたよね。ワンマンライブであそこまでできるかが不安です。こんな状況下でもあんなに盛り上がったので、コロナが明けた後にはもっと暴れてくれるのかなと思うと楽しみです。
ーーみんなが踊ったり歌ったり自由に楽しさを表現すればするほど、ステージのVaundyさんがどんどん興奮してくるわけですね(笑)。
聴いてる人には踊ったり動いたり自由に楽しんで欲しいです。
ーーこんな感じにしようかなみたいな、アイディアは固まってきていますか?
まだ全然ですね。『strobo』の時もそうでしたけど、この規模でできることは演出じゃなくて歌うことだけだなと思ってるので、このグルーヴを届けたいですね。一緒に歌って踊って、その場で寝られるくらい疲れて欲しいですね。今のこのVaundyの若さとか、熱とかを見れるのは今しかない。この後僕は進化するつもりなので、もしこのVaundyを感じたい、見逃したくないと思うなら今ライブに来てください。
ーーこれはもう皆さん、今見逃しちゃいけないと伝わってきたので、ぜひそれぞれお近くの会場に足を運んでいただきたいと思います。
取材=内田絢子 文=川井美波 

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