結城アイラ

結城アイラ

【結城アイラ インタビュー】
夢や信念、大好きな趣味や推しが
あなたの存在理由になる

シンガーソングライターとしての
決意の塊みたいな一枚になっている

そんな祝福を歌う「Blessing」から一転、カップリングの「トレノワール」はフランス語で“とても黒い”という意味のタイトルですが、どこから“黒”というテーマが生まれたんでしょうか?

「Blessing」が朝をイメージしたような楽曲だったから、ディレクターからも“夜っぽい楽曲がいいんじゃない?”という意見があったんです。それで『聖女の魔力は万能です』の世界観を考えた時に、“ヨーロッパの感じが合いそう。じゃあ、フランス語?”と。学生時代にフランス語を勉強していたので、仏語タイトルの曲を作る憧れもありましたし。ただ、フランス語で夜は“ニュイ”になるんで、響き的にちょっと…というところから、黒を意味する“ノワール”になり、さらに真夜中の感じにしたかったので“トレ(=とても)”をつけて“トレノワール”にしました。曲の物語的には“もし朝と夜が恋をしたらどうなるんだろう?”っていうところから考えて…朝と夜って絶対に相容れないものじゃないですか。だけど、絶対にふたつ揃っていないと成り立たないし、常に背中合わせで温もりを感じている。同じように“光と闇”だったり、それこそ誰しも心の中に“陰と陽”の部分って必ず持っていますよね。片方だけだったら生きていけないわけで、つまりはそれが互いにしか感じられない“愛”というものなんじゃないかと。

なんと壮大でロマンチックな! では、歌詞に出てくる《黒を着たあなた》というのは夜や闇だったり、自分の中にある陰の部分のことですか?

そうです! でも、朝が夜を照らしたら眩しすぎて、夜は朝の顔が見えなくなっちゃうんですよね。だから、ふたりは向かい合うことができないっていう…すみません、妄想が迸ってる感じですけど(笑)。

なんと切ない! ちなみにジャジーでアンニュイな曲調も、やはり夜の曲だからですよね。

そうですね。編曲はTECHNOBOYS PULCRAFT GREEN-FUND の石川智久さんにお願いしていて、これまでTECHNOBOYSさんに編曲していただいた曲はテクノサウンドの王道系だったり、ピコピコしてるような感じの楽曲が多かったんですけど、めちゃくちゃお洒落に仕上がっていて! 石川さんの力量が見られて、すごく嬉しかったです。

それにしても2曲とも物語の組み立て方だったり表現が本当に巧みで、作詞家デビューが数年前というのが信じられないくらいです。

実はもともとシンガーソングライターになりたかったんですよ。なので、詞も曲も書いていたんですけど、自分は作詞がダメだと自信喪失する出来事があって、“じゃあ、曲を書く必要もないし、歌だけに専念しよう”と考えるようになったんです。それで結城アイラとして歌手でデビューしてからも提供していただいた楽曲を歌わせてもらってきたのですが、2015年頃に作詞するチャンスをいただき、自信がないながらも書いてみたら“やっぱり歌詞を書くのって楽しい!”と思えて、前回シングル(2017年11月発表の「どんな星空よりも、どんな思い出よりも」)から作詞と作曲をするようになったんですね。そういう意味では、今回のシングルはシンガーソングライターとしてやっていこうという決意の塊みたいなもので、自分としてもすごくチャレンジングな一枚になってます。

「Blessing」の歌詞を見ると《心の音色》《初めて知る高鳴り》《祝福の鐘》等、音に例える表現が多いですが、それって何か理由があるんでしょうか?

そこは私のパーソナルというか、音に例えがちなんですよ(笑)。普通に生活していても音にとても敏感な部分があって…まぁ、だから音楽やってる部分もあるんでしょうね。例えば、誰かを好きになった時に“電気が走った”っていう表現をよくしますけど、どっちかと言うと私は“鐘が鳴る”派なんです。逆に“これはヤバい”って時も、何となく自分だけに分かる音が鳴ったりするんですよ。

なるほど。このご時世、なかなか自由に活動することは難しいですが、今後はシンガーソングライターとしての活躍も期待できそうですね。

チャンスをいただける機会があるというのは、“やりなさい”ってことなのかなとも思うんです。何もやることがなかったら一日中家でダラダラしていたいタイプなので(笑)、それでも何かを創作したり、誰かに提供させていただける機会があるのは、それをやっていくのが自分の使命なんじゃないかなと。でも、“楽しく生きていきたい!”っていうのは、このコロナ禍で痛感しましたね。できることって限られているし、こんなにも簡単に人と会えなくなってしまうからこそ、できることを一生懸命にやっていきたい。活動もなかなかできない中、歌で想いを届けられたり、音楽ができる環境はすごくありがたいことなので、まずは自分が持っている夢や信念…そこまで大袈裟なものじゃなくても、何か打ち込める趣味とか推しや好きな人がいるだけで、それが自分の存在理由になると。それを伝えていきたいです。

つまり、ファンの方々は結城アイラというアーティストを好きということ自体が…

あなたの存在意義だし、祝福するよ!…なんてね(照)。なので、みんなで頑張って、この状況を乗り越えていきましょう。

取材:清水素子

シングル「Blessing」2021年4月28日発売 Lantis
    • LACM-24099
    • ¥1,320(税込)
配信シングル「Blessing (English Ver.)」2021年5月26日配信開始
    • ※配信先の詳細はオフィシャルHPをチェック
結城アイラ プロフィール

ユウキアイラ:2007年にテレビアニメ『sola』OPテーマ「colorless wind」で歌手デビュー。圧倒的な歌唱力で、以後も数々の人気アニメ、ゲーム主題歌を担当し、12年には国民的TVアニメ『宇宙戦艦ヤマト』のリメイク版である『宇宙戦艦ヤマト2199』の第一章のED主題歌や、13年にはOVA『機動戦士ガンダム AGE MEMORY OF EDEN』のグランドEDも担当するなど、主要アニメの楽曲を次々と担当し、数多くのイベントや海外ライヴに出演するなど精力的に活動中。15年より作詞家としてもデビューし、作家としてのデビュー間もないながら人気作の楽曲やキャラクターソングを次々と担当している。さらに、18年には声優ユニット「NOW ON AIR」のサウンドプロデュースも務めており、音楽活動の幅をさらに多方面に広げている。結城アイラ オフィシャルHP

「Blessing」試聴動画

OKMusic編集部

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