【安月名莉子 インタビュー】
一度きりの人生、
何が起きるか分からないんだから、
どんどんチャンレンジして
リベンジしていこうよ!
こんな時期だからこそ楽しくて
癒されるものを作っていきたい
カップリングの「恋なのかも」のほうもタイトル通りのラブソングですが、表題曲とは逆になかなか想いを伝えられない曲で、難解で不思議すぎるサウンドの展開にびっくりしました。
友情から恋愛へのギリギリの線で燃え上がってくる感情をさわやかに描くというお題をもとに作られた楽曲で、作編曲してくださったタナカ零さんの“タナカワールド”が炸裂しています。タナカさんにはこれまでもたくさんの楽曲を提供いただいていて、言葉では表現できない不思議な楽曲を作られる方で。メロディーの展開とか譜割りやコードも変わっていて頭に残るし、そんな曲が私は大好きなんです。今回はヴォーカルディレクションも初めてタナカさんが担当してくださって、“もっと感情的に、伸び伸びと自由に歌ってほしいです”っていうオーダーが多かったです。
おかげでヴォーカルに抑揚があって、とてもミュージカルっぽいと感じたんですよ。歌詞から情景が浮かぶのもあって、恋してしまった女の子を舞台の上で演じているような。
私の原点がミュージカルなので、そう言っていただきドキッとしました。そういう意味では、一番自分らしく歌えたのかもしれません。歌詞も初めてタナカさんと共作させていただいていて、“もっともっと妄想して!”って言われました。それで、着ていた服を肩にかけてもらうのを妄想して入れた歌詞がBメロの《秋風オーバーサイズ》で(笑)。私は他人の恋愛を見るのが好きで、恋愛リアリティードラマとかを観てドキドキすることが多くて。そういうところから引っ張ってきた妄想をタナカさんに投げて、うまくメロディーにハマる言葉にしていただきました。その中でも一番気に入っているフレーズが最後の《未読 消した言葉たち唇からこぼれた》。メッセージを打ったけど、やっぱり怖くなって既読がつく前に消してしまって、それでも伝えたかった言葉が唇からこぼれて“あっ、言えた!”ってなるという。それを最初は説明文みたいに書いたのですが、タナカさんがきれいな言葉でロマンチックにまとめてくださいました。
ちなみに消した言葉って安月名さんの中では何ですか? やっぱり“好きです”?
友達から恋人に変わる、ほんとに第一歩! “明日空いてる?”とか“ふたりで話そう”とか、その程度です。だけど、このひと言を言ってしまったら今の関係が壊れるんじゃないかっていう怖さがあって、それでも一歩踏み出そうっていう葛藤がクライマックスのCメロで歌われています。《映画でも行こう 駅まで歩こう》っていう伝えられない想いを描いた箇所は、この曲の中では音域が一番高いところです。普通ならパッと言えるひと言も、この子にとってはすごく大変なことで…私自身、たぶん好きな人には言えないんじゃないかな? それでも勇気を振り絞る場面なので、この言葉にこの音程の高さっていうのはとても重要なポイントです。
なるほど。音程の高さは、ある意味でひと言を告げる心理的ハードルの高さも表しているわけですね。
そうですね。カップリング曲は、私自身が伝えたいことをテーマに作っています。だから、ワンマンライヴのタイトルにもカップリングの曲名をつけています。実際、昨年の8月にやるはずだったワンマンライヴは、4thシングル(2019年8月発表の「Glow at the Velocity of Light」)のカップリングからとって“たたくおと”っていうタイトルになる予定でした。
じゃあ、次のワンマンのタイトルは“恋なのかも”になるかも?
その時の心情によりますけど、今はそうしたいですね。新しい春が来ますし、『幼なじみが絶対に負けないラブコメ』も始まりますし、いろいろ始めたいと考えていることはたくさんあって。自分発信のYouTube番組も制作しているところですし、SNSもうまく活用しながら、私の曲と私自身を知っていただけたら嬉しいです。今、こんな時期だからこそ観ていて楽しいとか、聴いていて癒されると思ってもらえるものを作っていきたいです。
2021年はどんな想いを胸に活動していきます?
先のビジョンを見据えて、やるべきことをやっていきたいです。あとは、“変わらず”っていうのが一番かな? 今、本当に恵まれている環境で活動させてもらっているので、応援してくださっているファンの方々と支えてくださるスタッフさんと一緒に夢を叶えていきたい。いろんな曲を歌ったり学んでいく中で感情は変わっていきますが、喜怒哀楽という人生の中で大切な感情に寄り添える歌を歌っていきたいという気持ちは変わらないので、もっと自信を持って、みなさんに応援してもらえるように、今は“自分磨きを頑張るぞ!”っていう決意を伝えたいです。
おぉ、最初の話に戻りましたね。
そこが一番だと思っているし、まずは自分を完璧なものに仕上げていかないと思い通りの表現でみんなのことも愛せないので。今は会えない時期だからこそ、自分を育んでいきたいですね。
取材:清水素子