堀込泰行

堀込泰行

【堀込泰行 インタビュー】
誰かに聴いて楽しんでほしいっていう
気持ちで書いてる部分が多い

オリジナルフルアルバムとしては2年半振り、コラボ作『GOOD VIBRATIONS2』からは1年未満という早いペースで3rdアルバム『FRUITFUL』が到着。今作ではレコーディングメンバーでもある信頼できるミュージシャンたちを共同プロデューサーに迎え、ある種バンド的に制作を進めたという。彼ならではの2021年の音と言葉の由来を探る。

信頼できると思った人と4人で
プロデューサーチームを組んで作った

コンセプトは違うかもしれませんが『GOOD VIBRATIONS 2』の時、わりと世の中の音楽が同じような音像を目指してるからつまらないとおっしゃってて。そうじゃない音楽が今回も続いてる気がしました。

そうですね。僕自身が普通に作るとオーソドックスなロックというか、ポップスになったりするんで。サウンド自体はちょっと今っぽいものにもチャレンジしてこうって感じで、4人でプロデューサーチームを組んで作ってるんです。

曲ごとにフォーメーションが変わるんですか?

いや、どの曲も4人で。

珍しいですね。

でも、海外だとチームでのプロデュースってあると思うんです。僕はいろんな曲を書くので、一枚のアルバムをひとりのプロデューサーに頼んだ場合、“この曲はハマったけど、この曲はあんまりだったな”ということが起きたりすると思うんで、ひとりのプロデューサーにお願いするのではなくて、僕の音楽仲間で、信頼できると思った人にお願いしました。みんな共通してるのは新しいものを僕より知っていて、かつ古いロックもルーツミュージックも知っているっていうところで。4人でプロデュースすれば、ひとりのプロデューサーでは賄えないような曲ごとの微妙なニュアンス…カッコ良い、カッコ悪い、これは良い、悪いというところをみんなで共有できるんじゃないかと思ったんですよね。

このアルバムを作るためのプロジェクトチームが出来上がったと。

まさにそういう感じです。

今回、非常にアルバムらしいアルバムだと思いました。誰かのセンスだけに頼るんじゃなく、“FRUITFUL”というテーマに向かっている感じなのかなと。

そうですね。それぞれのテイストがどの曲にも入ってるんで、曲調はいろいろあるんだけど、アルバムらしくなって良かったと思ってます。

曲ごとにリーダーがいたりするんですか?

そういうわけではないんですけど、やっているうちに自ずと役割が分かれていきましたね。まず最初は僕の家に集まってもらって、自宅のスタジオで大雑把なデモを作るところから始め、曲の長さとか基本的なベーシックなアレンジの方向性を決めていったんです。そこからあとは自然にギターは八橋義幸さん、サウンドの主なまとめ役は冨田 謙さん、サウンドの肌触りとか皮膚感覚的な部分を磨いたり、面白い録音の仕方のアイディアとかはエンジニアの柏井日向くんが担当して。僕は歌とコーラスアレンジといくつかの曲のバッキングギターという感じでした。と言いつつも、お互いの居場所が定まったからそこで分業制になるのかというとそうでもなくて、LINEでグループ組んでやりとりしてたんで、“これは音数が多すぎるよ”と八橋さんが言ったり、僕も意見をグループ内に投げかけてみたりして、リモートで出来上がったものをそれぞれがアップしつつ、音楽のアレンジが固まってく感じだったんです。そういうレコーディングは初めてだったものの、不思議とお互い良いとこを探っていったこともあって、なんかバンドみたいな感じでしたね。

みんながひとつの曲に対して附に落ちた状態で始めたのが良かったんじゃないですか?

そうですね。大変ではあるけど面白かったです。あとは、お互いの主張がぶつかった時でも、ちゃんと相手に誠意を持って伝える、意見するっていうのは心がけました。

前作以上に今回は明るいし、屈託がない印象でした。

あぁ、そうですね。コロナ禍というのも関係してるのかもしれないですけどね。あんまり自分のネガティブな感情を吐き出すよりは、この曲を聴いて楽しんでほしい…なかなかうまくいかない人間関係を歌った曲や、フラれてしまった女性の歌とかもありますけど、自分の気分は外を向いてるというか。歌詞を書いてる時も自分の鬱憤を晴らすというよりは、ひとつひとつを丁寧に書いて、聴いた人に楽しんでもらう…そこはそういう気分でしたね。
堀込泰行
アルバム『FRUITFUL』【CD】
アルバム『FRUITFUL』【LP】

OKMusic編集部

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