村田あつみさんの思い出の一曲「PLA
Y」/SEKAI NO OWARI

引きこもりだった私を救ってくれた1曲

ー思い出の一曲を教えてください
の「爪爪爪」です。

ーどんなエピソードがあるか教えてもらえますか?

18、19歳の時に大阪で一人暮らしをしていたんですけど、その時に精神が弱ってしまってコンビニの店員さんと会うだけで、ドキドキして家から出れなくなっちゃったんです。電車とかも乗れないし、人が怖くて外すら出れないから、友達が借りてきてくれた音楽を聴きながら毎日カレーばっかり作っていました。
ーなんで毎日カレーを作っていたんですか?

毎日カレーでした。当時は究極のカレーを作ってやろうと思ってたんですよね。好きな音楽を聴きながら、カレーを作るっていう生活を半年くらいしていたんですが、ある日家の中でホルモンを聴きながら携帯を見ていたら、ホルモンが「爪爪爪」のツアー中で、なんばHatchに来るって気付いたんです。

私はライブハウスから歩いて5分くらいのところに住んでいたので、これは行くしかないと思ったんですよ。引きこもりのくせに(笑)。一か八かチケット取れるか挑戦したら偶然取れて、ライブのために8ヶ月ぶりに家を出ました。ホルモンだけではなく、
も出演が決まっていて、彼らも好きだったのですごく嬉しかったです。でも、当時の私は外を歩くのもドキドキだから、5分かかる道を30分くらいかけてなんばHatchに着きました。

最初はSCOOBIE DOで後ろの方は人も多くないし、音楽に集中してたらイケるかもって思っていたんですが、SCOOBIE DOが終わってホルモンが始まるっていう瞬間に、ファンの人が一気に入ってきて3列目くらいまで流されてしまったんですよ。店員さんと話すだけでも吐いちゃうくらいのパニック障害なのに、この位置はやばいと思いましたね。でも頑張って耐えていたら、「爪爪爪」をホルモンが演奏したんですよ。

その時に、私の隣にいたパンクなお兄さんがめっちゃテンション上がっちゃって、私のことをグーで殴ったんです(笑)。人と顔を合わせるだけでも大変だったのに、いきなり他人に殴られたショックで、逆にその時からパニック症が治ったんです。「あれ?私イケるじゃん!」って。それで徐々に家から出れるようになって、その後ライブとかもたくさん行きました。半年後には完全に治って仕事にも復帰できたんですが、あの時ホルモンのライブに行ってなかったら、一生家から出れてなかったかもしれないです(笑)。
ー家から5分の距離じゃなかったら絶対行ってないですよね?

絶対行ってないですね。本当に近かったから勇気を出せたんだと思います。本当に衝撃的でしたね。あんな至近距離で殴られるなんて。しかもグーパンですよ(笑)。


ーそれは色々忘れられない思い出ですね。最後に一言お願いします。

私は今バンドやアイドルをプロデュースしているんですけど、自分の体験を踏まえて、1回1回のライブがそうやって自分の知らない誰かの人生を大きく変えることがあるっていうことを、自分が身をもって知っているので、それをレーベルの子たちにすごく言っているんです。それをホルモンが教えてくれて、今の仕事にも活きていることなので、本当にあのライブに行ってよかったなって思っています。
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