MIRI(我儘ラキア)、キャリア最大級
の全国ツアーを前に訊く胸の内「3人
には感謝してもしきれないくらい感謝
してます」

我儘ラキアが昨年末にリリースしたミニアルバム『WAGAMAMARAKIA』。業界屈指のクリエイター達と作り上げた本作は業界を騒がせ、リード曲「SURVIVE」のMV再生数は120万回に迫っている。その新譜をたずさえ4月2日(金)下北沢SHELTERよりスタートする、キャリア最大規模となる全国ツアー『WAGAMAMARAKIA TOUR』もほぼほぼSOLD OUT。そんな勢いが増すばかりの我儘ラキアに、リレー形式のメンバー個別インタビューで踏み込んでいきたいと思う。まずは、ラッパーとしても唯一無二の存在感を放つMIRIから始めていこう。
MIRI(我儘ラキア)
――我儘ラキアでは、ラップパートをメインに担当しているMIRIさん。MIRIさんが自分らしさを表現するのに、ラップという強い武器がありますが。小さい頃からバレエやダンスと色々やってきた中で、ラップという表現方法が残ったのはなぜ?
もともと自分からラップをやりたくて始めたわけでなく、「萌え系ラップを中学生がやったら面白いんじゃないか?」って企画があって。元々いたアイドルグループから引き抜かれて、中学2年生の時にラップをやり始めたんです。そこで手探りでラップを始めたんですが、メンバーの脱退とかごたごたがある中で「私の経験って、普通じゃないかも知れない」って思った時に「いまこそラップに向き合う時だ」と気付いて。ラップの歴史を辿っても自身のバックボーンを歌ったりするものも多いので、「私の人生も辛いことの積み重ねだったけど、曲にしたらすごい良いものになるんじゃないか?」と思って自分で歌詞を書きたくなって。そこから日々の鬱憤とかをリリックに書くようになったんです。でも自分が好きなようにやれて、色んな挑戦が出来るようになったのはラキアに入ってからで、そこから幅も広がって色んなラップが出来るようになりました。喉の使い方や歌い方から、メロの付け方とか、本当に幅が広がったなと思います。ミクスチャーロックに飛び込んで「後ろの音がこうなら、こう歌ってみよう」とか、音楽的に感じ取れるようになったので、自分的にはめちゃくちゃ進歩出来てると最近は思っています。
――MIRIさんの音楽的ルーツには、ラップやヒップホップがあったと思ってたんだけど、実はメロコアとかロックが好きなライブハウスキッズだったんですよね?
そうなんです。もともとメロコアが好きで、最初に聴いたのがHi-STANDARDELLEGARDENで。そこから Zebraheadとか、Linkin Parkとか聴くようになって。ヒップホップのオールドスクールとかは、聴いてこなかった人間だったんです。いまでこそ聴きますけど、私はガシガシ音が鳴ってる熱いライブを観て「明日も頑張ろう!」と思うタイプだったんで。生のバンド演奏でラップが出来るなんて、自分にとっては夢に見た幸せな空間だし、最初はめちゃくちゃ興奮しました!
――バンドにおけるラップの在り方ってのは、自然と理解していた?
そうですね。理解していたつもりだったんですけど、『WAGAMAMARAKIA』を制作する前は、「私、単純 なラップやってるな。これじゃみんなと一緒でつまらないな」と思ってて。私、中学校の頃からK-POPも聴いてるんですけど。最近のK-POPって必ずと言っていいほどラップがいて、K-POPならではの効果音やオートチューンの入れ方があって。「これを取り入れてみたら面白いかも知れない」と思って作ったのが「SURVIVE」だったんです。あまり日本の音楽やミクスチャーに無かったやり方だと思うんですけど、ラキアの良い意味のごちゃまぜ感の中だったら通用するかも知れないと思って、今は“MIRIスタイル”を確立させようと、さらに研究している最中です。
――そういうアイデアや意識の高さがメンバー内にあるのが、我儘ラキアの強さで。そんなこと考えてるアイドル、なかなかいないと思いますよ。
私たち、移動車で座る場所が大体決まってて。MIRIとクマ(星熊南巫)が3列目に座るんですけど、新曲を録る時とか「私、こういうメロコア通ってないんだけど」ってクマが言ったら、「こういう歌い方するといいと思うよ」って私がオススメの曲を聴かせたり。クマも海外のコアなヒップホップをディグってきて「こういう歌い方出来ない?」って聴かせてくれたり。“闇の3階席”と呼ばれてる3列目ではそういう会話がされてて、「内容がコアすぎて気持ち悪い」って言われてます(笑)。あとは凜(海羽)ちゃんがK-POPを教えてくれたり、怜奈(川﨑)が聴いてるトップ10からアイデアが広がったり。みんな聴いてる音楽が違うので、お互いに影響与え合って吸収して、ひとつの音楽になってるのもラキアの強みだと思います。
MIRI(我儘ラキア)
――ラキアにおけるMIRIさんの立ち位置はどこにあると思ってます?
どうだろう? 私が一番年下なので、色んなことを許されてるなと思います。普段、お姉ちゃんはないですけど、ふとした時に3人を「年上だな」と思うことがあったり、「私が子供だったな」と反省することもあって。私、すごい気が強いし気分屋で、嫌なことがあるとすぐに態度に出ちゃうタイプで。「そこは直さなきゃいけないよ」と言われながら、なかなか直せなかったんですけど。ラキアに入って「いま私、すごく機嫌悪くてみんなに迷惑かけてるわ」って、自分で気付けるようになったし。みんなも気付いた時にそっとしておいてくいれたり、逆に「いま怒ってるよね?」って声掛けてくれたりして。言いたいこと言って喧嘩が出来るし、ゴタゴタがあっても後で電話して「ごめん、あの時こう思ってた」って本音を話せるし、それを受け止めてくれるのが3人なので。自分が子供だったことをしみじみ思うし、自分で変わる事ができたし、いまも変わってる最中で。良い意味ですごい良いお姉ちゃんたちに囲まれてるなと思います……なんてめちゃくちゃ恥ずかしくて、普段は絶対言わないですけど。綺麗事じゃなくて、今は本当に周りに成長させてもらってると思うし、3人には感謝してもしきれないくらい感謝してます。
――MIRIさんはラキアの裏で支える裏番長的な存在だと思ってたんで、ちょっと意外です。
前のグループの時、引っ張る役が多かったので、それが残ってて。すごく苦労したところだったんですけど、ラキアに入った直後は色々意見言ったり、すごい生意気なヤツだったと思うんです。でも、その時も「ウザッ!」とか言わずに、私を受け止めてくれたから今があると思うし。新入りがそんなに表立ってやっていたら、ファンの人も嫌なんじゃないかと思っていて。裏から裏からっていうのが染み付いて、みんなが落としたものを拾っていく係に落ち着いたのかな?っていう感じですね。でもそれがあるから、「ステージで好きなように暴れられるようになった」ってクマも言ってくれるし、凜ちゃんも怜奈も自由に発言出来るようになって、グループが綺麗に回るようになったんで。「ここに私の役割があったんだ」ってことに気付いたんです。でも、それもクマが先頭を走ってくれて、怜奈と凜ちゃんが走って、一番後ろを私が走るからで。3人が前を走ってくれてるから、見えるものもあるし、みんなが信頼し合って前に出てくれてるから私も私で自由に動けるんです。そこは4人の信頼関係があってこそですよね。
――互いにちゃんとリスペクトし合ってるのが、ステージ見ても分かりますしね。
そうなんです! この間、「ラキアって、なんでこんなに仲良いんだろうね」ってクマと話してて、「お互いにリスペクトしてるからだね」って話になったんですが。リスペクトがないグループって見て分かるんですけど、「自分が一番」の集まりだから全体を見た時にバラバラしてるんです。ラキアも『WAGAMAMARAKIA』をリリースしたばっかりの頃は、「クマとMIRIばっかり目立って」って言われたんですけど、ステージを見たら、そんなこと言う人は全然いなくなった。怜奈や凜ちゃんに勝てないところはいっぱいあるし、「4人が4人、4つの色で輝いてるのが我儘ラキアなんだよ!」って強調したいです。
MIRI(我儘ラキア)
――『WAGAMAMARAKIA』が出来てから、4人の説得力がすごい増しました。あの作品の完成はグループ的にも大きかったでしょう?
めちゃくちゃ大きかったです。ライブで言うと、セトリの幅の広さがすごく増えました。レコーディングの時は東京のホテルでずっと4人一緒にいて、ずっと曲の話をしてて。プロデューサーの小山さんの考えなんですけど、「出来るだけメンバーはずっと一緒にいて欲しいし、一緒に考えて欲しい」と言ってくれて。一緒にみんなでご飯食べて、今日の出来事や明日のことを話して、4人で銭湯に行くんです(笑)。で、裸の付き合いじゃないですけど、そこでもたくさん話をする。みんなが常にレコーディングモードになってるし、何かあったらメンバーが近くにいるからすぐに話し合えて、それぞれの曲に対するメンバーの考えが一緒になっていって。あれはすごく大事な時間でした。
――ライブでは「SURVIVE」も「ONE」もそうだけど、新曲たちってセトリに一曲入るだけで一気に空気が変わって。すごい強い武器を手に入れたと思いますよ。
ほんとに。今まで“ほのおタイプ”でしか戦えなかったのが、“みずタイプ”とか“くさタイプ”とか色んなタイプを手に入れたんで(笑)。その状況で色んな戦い方が出来るようになったし、セトリ組むのが楽しいですね。セトリの流れってすごい大切だなと改めて思うのが、例えば「There is surely tomorrow」から「Melody」に行くと、「今日本当に楽しかった!」って気分になるけど、「One」から「Melody」に行くと「生きてて良かった!」と思ったり、全然印象が違って。MCで挟むのも空気が変わると思うし、曲で表現出来てるのは強くなったなと思うし。「出せて良かった!」と本当に思います。
MIRI(我儘ラキア)
――去年はコロナで思うように活動出来なかったけど、自身を持って聴かせられる作品が出来て、それをライブで表現することが出来て。そしていま、だんだんとライブが再開する中、バンドセットでのツアーがスタートと、すごく良いタイミングで動けてますね。
はい。コロナ期間にも関わらず、20箇所回らせていただけるのがすごい嬉しいです。みんなが配信ライブとかやってて、その方が安心だし安全だけど。ラキアはこんな時だからこそ、生の音を届けたいんです。生の方が元気も出るし、「明日も頑張ろう」って気持ちになれると信じてるんです。画面上だけじゃ絶対伝わらないことがあるし、生で見ないで「これがラキアだ」と思って欲しくないんですよ。部屋に閉じこもって、鬱になりかけてしまう時期だから、ラキアの生の音を全身で浴びて、元気になって欲しい。だからこそ、ラキアは生の音を20箇所届けに行くんだって気持ちで、ライブに望みたいと思ってます。
――バンドセットでのツアーってところの意気込みはいかがですか?
ラキアの課題として、大きいステージは気持ちも比例して大きく出来ていたんですけど。バンドセットになるとステージが動けないくらい狭い時もあって、そうなった時にめちゃくちゃ弱くなっちゃってたんで。そこをどう打破出来るか?っていうのを課題にしてるし、それ用の対策もしています。あとは体調管理ですね。結構なハードに日本全国飛び回るんで、いかに万全な体調でライブに臨めるかっていうのは課題です。一会場にしか来れない人もいると思うから、その日その日にベストなパフォーマンスを見せるというのは絶対で。しっかり準備して体調万全で臨んで、万全のラキアを見せられたら全部優勝出来ると思うので。一個一個、優勝を勝ち取って行きたいです。
――最後に、ここからラキアの目指すべき場所は?
すごい難しいですけど、「みんなの当たり前になること」かな? 疲れた時や嫌なことがあった時、楽しい時に当たり前に帰って来れる場所になればいいなと思っています。みんな色んな音楽を聴くし、新しいものが好きだし、ラキアを離れる時もあると思うんです。でも、ふとした時に帰って来れる場所になればいいと思うし。ラキアがどんどん変わっていったり、遠い存在になったりっていうのもあると思うし、私たちもそれを望んでいるので、どうにも出来ない時はあると思うんですけど。みんなと会ってた期間や応援してくれてた期間を私たちは絶対に忘れてないし、いつでも帰る場所があるよって伝えたいし、ラキアがそういう場所でありたいと思います。もちろん、武道館や海外でライブしたいとか、やりたいことや目指す場所はいっぱいあるけど。最終的にはみんなの帰って来る場所でありたい。もし、ラキアが解散してもメンバーが帰って来れる場所を作るっていうのが、私の最終的な目標だし答えだと思います。

取材・文=フジジュン 撮影=大橋祐希
MIRI(我儘ラキア)
「SURVIVE」

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