映画「パーティで女の子に話しかける
には」とふたりだけの色。

こんばんは、ヘアメイクアップアーティストの安藤瞳です。
この連載では、映画の感想をヘアメイクで表します。
今回のテーマは『パーティーで女の子に話しかけるには』

あらすじ セックス・ピストルズ、ラモーンズ、ヴィヴィアン・ウェストウッド… 1977年、ロンドン郊外。音楽だけに夢中だったぼくは、48時間後に別れなければならない相手と恋におちてしまった パンクなのに内気な少年エンは、偶然もぐりこんだパーティで、反抗的な瞳が美しい少女ザンと出会う。大好きなセックス・ピストルズやパンクファッションの話に共感してくれるザンと、たちまち恋におちるエン。だが、ふたりに許された自由時間は48時間。彼女は遠い惑星へと帰らなければならないのだ。大人たちが決めたルールに反発したふたりは、危険で大胆な逃避行に出るのだがーー (『パーティで女の子に話しかけるには』オフィシャルサイトより)

このコラムでは、あくまで映画から受けた感想を自分なりに作品に落とし込んでいるのと、映画をみていない方も楽しめるように感想や物語の核がわかることは書きすぎないようにしているのですが、今回はなんというか観てはじめて伝わるかなってちょっと感想ベースでかいてみます。

公開当時、エル・ファニングがかわいいシング・ストリート的なボーイミーツガール映画だと思っていたら、しっかりポップに奇妙に裏切られたことを思い出しつつ、今回観直してみました。

1度目は驚きが勝って「???」だったので、2度目でようやくわかったけど、
6つのコロニーが言っているマニフェストだったり会話をそれぞれよく聞いたら
めちゃくちゃおもしろい〜〜〜ってなっちゃった。観た人と話したくなる。

サンディ・パウエルの衣装をみているだけでもわくわくしちゃう、それで思い出したけど同じく彼女が衣装を手掛けた映画『キャロル』。
とても好きな映画で、クリスマス付近になると一生観てしまいます。
この連載でいつか書けたらいいな。

48時間後のさようならを告げられたらな
にをする?

異性は何歳になっても宇宙人みたいな部分があるけど、これは本当に異星人に恋するお話。
個性の色のメタファーな女の子と気弱なパンク少年。

理解したいから触れるし聞くし、たまに暴れちゃうし、「バターの匂いがする」って顔を舐めたり、ゲロキスもしちゃったかも。
彼女が触れる肌感やスッとした目。衝動をぶつけられてドキドキしてしまう。
わたしは異星人なのにあなたは何も言わない。言う必要もなかった。

心・精神・声・意思・性・力。そして心臓には。チャクラの色に意味があるこの映画。
暖かいピンクはでてこないのだけど、わたしが感じた強くて意思のあるふたりの色。
ワンピースの緑の意味も同じなの、知りたい人は観てザンから聞いて。

ふたりにしかわからない共通言語みたいな、それを空気で感じることを恋だとしたら、相手がどこで生まれて、どこの星にいてもいなくても繋がれる気がする。
最初はあまりなかった表情も気づかないうちに溢れてた感情も、どちらも濁りがない。

吐く息まで個性な彼女の泣き顔がとても印象的で。でも悲しみの涙だとは思わなかったから、涙よりラブリーなものを目周りに。

リップは、一個のトマトをふたりでかじった瞬間をとじこめたくて、瑞々しくツヤっと光る質感。
この一年、グロスとかジャムとかが遠いものになった気がする。今選ばれるのは、落ちないとかつかないリップなのかもしれないけど、いつだって大好きなちゅるんな色。
春になったし、「髪の毛くっついちゃう」って眉を下げながらも、上機嫌な透明感あるリップメイクがしたかったな。
『パーティで女の子に話しかけるには』で描かれてるのはよくある恋の逃避行じゃない。
パンクな彼と一緒にいたからこそカルトな支配から逃れて、個の選択で未来のためになれたり、人を受け入れられた。
全然混ざらないのに加速していく恋愛と割と混ざり合って変化していきながら、めまぐるしく動く友達や家族の心情が嬉しかった。

あっという間の思春期はまじでとっくに終わっているけど、社会とか空気とかどんなに圧がある空間でも個人であることは自覚すべきだし、パンクな気持ちはもっていたい。マスクの下では舌を出して。

「もっとわたしにパンクして!」

心のままに生きること、当たり前と思っていることに疑問をもつこと。
彼女は彼女であること。
父親をあまり知らずに育った彼が最後に出会う誰かとか。
パンク軍団との階段小話でみえる本当のステラとか。
なんか全部ぎゅ〜〜ってなるし、ちゃんと笑える。

あなたも疲れちゃったら、ティータイムって叫んで休戦してね。
撮影:浅野杏子 https://www.instagram.com/_kyonc/
衣装:maho
ヘアメイク・執筆:hitomiandoh https://www.instagram.com/he_to_mean/

関連記事

パルプ・フィクションのミアになれるもんならなりたい
映画「パーティで女の子に話しかけるには」とふたりだけの色。はミーティア(MEETIA)で公開された投稿です。

ミーティア

「Music meets City Culture.」を合言葉に、街(シティ)で起こるあんなことやこんなことを切り取るWEBマガジン。シティカルチャーの住人であるミーティア編集部が「そこに音楽があるならば」な目線でオリジナル記事を毎日発信中。さらに「音楽」をテーマに個性豊かな漫画家による作品も連載中。

連載コラム

  • ランキングには出てこない、マジ聴き必至の5曲!
  • これだけはおさえたい邦楽名盤列伝!
  • これだけはおさえたい洋楽名盤列伝!
  • MUSIC SUPPORTERS
  • Key Person
  • Listener’s Voice 〜Power To The Music〜
  • Editor's Talk Session

ギャラリー

  • 〝美根〟 / 「映画の指輪のつくり方」
  • SUIREN / 『Sui彩の景色』
  • ももすももす / 『きゅうりか、猫か。』
  • Star T Rat RIKI / 「なんでもムキムキ化計画」
  • SUPER★DRAGON / 「Cooking★RAKU」
  • ゆいにしお / 「ゆいにしおのmid-20s的生活」

新着