あらき「歌があれば、離れていてもい
つだって僕たちは一緒です」 全世界
配信ライブ『ARAKI LIVE ARK -syoko
u no toki- ONLINE』をレポート

ARAKI LIVE ARK -syokou no toki- ONLINE

2021.3.25
まだ薄暗い夜明けに、東の空に射す太陽の光。それはまさに、“曙光”を思わせる歌声だったように思う。
今年に入り、多くの“歌ってみた”楽曲のサブスクリプション配信が開始となったあらきが、サブスク配信記念の全世界配信ライブ『ARAKI LIVE ARK -syokou no toki- ONLINE』を3月25日に開催。昨年7月に初となる無観客配信ライブ『ARAKI LIVE ARK -iki ni kanzu-』を行ったあらきだが、全世界配信ライブは初の試み。国境を越え、彼の歌声、そして想いが届くこととなった。
あらき
ギター&プログラミング・K.F.J。ギター・鳴風。ベース・Ryosuke。ドラム・裕木レオン。おなじみのバンドメンバーがスタンバイしているステージへと向かうあらきをカメラが追って、「今宵は心ゆくまで楽しんでいきましょう!」と叫んだ1曲目は「モザイクロール」。トレードマークでもある赤髪は相変わらず鮮やか、パワフルでよく伸びる歌声は高音から低音までレンジが広くて、しょっぱなから無双状態だ。
続くのは、今年になって動画がYouTubeで100万再生を突破した「ベノム」。時折不敵な笑みを浮かべながら、お立ち台に足をかけ、メンバーと向き合ったりもしながら、そこにはいないけれどオーディエンスをアオるように手を上げながら歌うあらき。画面の前にいるひとりひとりが、最前列気分になれてしまう。
「画面の向こうのみなさんも、ぜひ一緒にジャンプしていきましょう!」と呼びかけた「ELECT」では、レーザー光線が飛び交う中、バンドメンバーと一緒にあらきがジャンプするイントロからして楽しくて、突き抜ける歌声を浴びるのも快感だ。
あらき
「画面の向こうのあなた、あなた、あなた。楽しんでいますか? 今日は、“歌ってみた”サブスク配信を記念した特別なライブとなっています。ここまでで、すでに懐かしくないですか? 「ELECT」は5、6年ぶりに歌って楽しかったです、ピョンピョンしちゃいました。今日は、懐かしい曲だけじゃなくて、ライブでやったことがない曲、新しい曲もやっていきますのでよろしくお願いします!」
そう挨拶して、2020年12月に動画投稿した「旧約汎化街」へ。クセになるリズムが効いた重厚なサウンド、あらきがなぞる不穏なメロディが重なって、グリーンが印象的なライティングがサイケデリックに彩る。まったくブレないロングトーンにも、驚かされてしまうではないか。
あらき
赤をメインにしたライティングの下、昨年12月にツイートしていたニューギターだろうか、赤いエレキギターを弾きながらスタンドマイクで歌ったのは「KING」。昨年7月の配信ライブでは、「My First Kiss」でライブでは初めてギター&ボーカルに挑戦したあらきだが、ギターを弾きながら歌う姿も最強にサマになっている。
あらき
ギターを置き再びハンドマイクに切り替えて歌う「一騎当千」では、オンラインライブならでは、会場内を縦横無尽に飛び回るドローンカメラがあらきをますます大胆にとらえていく。ステージのせり出した部分に歩み出て歌う彼が、オーディエンスの歓声やコール、クラップを全身に浴びているように見えるのだから不思議。愛憎渦巻く「アンチビート」を貫く骨太な歌声も、なんてエモーショナルなんだ。
「今ではすっかり配信ライブだらけの世の中になりましたけど、普段ライブに行けないような場所にいる方もライブを観られるようになったことは、嬉しく思います。配信ライブが始まったころは賛否両論ありました。生の熱量には劣るんじゃないか、とかとか。でも、そういうのって自分で決めちゃったルール、限界だと思うんです。なんでもかんでも時代や環境のせいにしちゃいけない。自分で決めたルールや限界をぶっ壊していくのが、ロックっていうものなんじゃないかなと思います。何が言いたいかって言うと、僕らは今を精一杯に生きていきますので、みなさんも今を精一杯生きてください!」
あらき
力強く決意表明&メッセージしたうえで、怒濤の終盤戦の始まりは「スーサイドパレヱド」。疾走するカオスな音像とあらきの圧倒的な歌声の相乗効果は、息を呑むほどだ。イントロでお立ち台に乗った「URUSaaA愛」では、圧巻のハイトーンを響かせたり、加速する爆音に身を任せ頭を振ったり。
さらに、メンバーのコーラスも胸アツな「スロウダウナー」、ノスタルジックで叙情的なメロディにあらきの歌声がよく映える「敗北の少年」とたたみかけ、2020年のクリスマスに動画投稿した「テレキャスタービーボーイ」では、再び狙うドローンカメラにあらきがばっちり目線を合わせる場面も。
「タイトルの“syokou=曙光”という言葉には、こういう苦しい状況のときにこそ希望の光を見出そう、という想いを込めました。動画が、生放送が、歌が、ライブが、どれがあなたの心の支えになっているかわかりませんが、あなたの日常に少しでも光を与えられたなら嬉しいです。そして、僕にとっての希望の光を、この配信を観てくれているあなたに発表します。あらき全曲オリジナルアルバム発売決定しました! やっと、前へ進むことができます、楽しみにしていてください」
あらき
嬉しいお知らせをして、「“LIVE ARK”はこの曲じゃないと締まりませんよね。共に歌いましょう」と呼びかけて最後に届けてくれたのは、2020年6月17日に動画投稿された、あらき作詞・作曲のスケールの大きなバラード「Ark」。丁寧な歌い出しから、胸打つ言葉と歌声が紡がれていく。画面の前で、ひとりひとりが歌声を、気持ちを重ねていたことだろう。いつかまた、同じ空間でシンガロングしながら、一緒に“馬鹿みたいに笑える”日が来ることを願って。
「こうやって歌があれば、離れていてもいつだって僕たちは一緒です。ありがとうございました!」という言葉で、この日のライブを締めくくった。

文=杉江優花
あらき

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